シャーレにお迎えしたハナコが何か違う   作:みやびさん

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ハナコをお迎えした日の続きからです

当番として手伝わせない?
ならハナコは一体何になるのでしょうか?


ハナコが悪い大人に何か勧誘されてる

ポロポロと涙を溢すハナコを見てオロオロしてしまった

そっと見守ってるうちに落ち着いてきたらしい

良かった

 

ポケットに入ってるハンカチを渡して涙を拭いてもらおうかな

え?要らない?じゃあいいや

 

念の為お手洗い行っておいで

泣いてる姿を親しくもない異性に見られたくはないだろうしね

 

お手洗いから出てきて

何故か張り切ってるハナコをやんわり止める

 

"ハナコにはね、本当に自分が何をしたいのか見つけて欲しいんだ"

 

「何がしたいかをみつける……ですか?」

 

"そうだね"

"早速ハナコに教えられる事が見つかったみたいだね"

 

---

 

すっかり冷めてしまったお茶を飲み干し

新しくお茶を淹れて改めて座り直す

 

"ハナコ、一足お先に大人になってみない?"

「はい?大人って……まさかエッチな意味じゃ……」

 

エッチなのはお前とコハルだ

その思考を読まれたのか、ハナコの口角がへの字に下がっていく

 

"ふふ……そっちの意味ではないよ"

"ハナコは生徒と大人の違いってなんだと思う?"

"色々違いはあるけど不正解はない、思い付いたものを言ってみて"

 

「ふむ、何でも良いのですね?」

「責任の重さ……とはよく言われていますね」

"正解の一つだね、生徒が責任を全く取らずに、皆に迷惑をかけ続けるなら話が変わってくるけどね"

"一度の失敗程度で、その生徒の未来が閉ざされてしまうのは良くない事だ"

 

"他には?"

「ええと、つまらない?」

"ん〜……なるほど?"

「小説に出てくる表現だと、納期に縛られている奴隷というイメージ」

"そうだね、そういった見方ももちろんある"

 

「子供から搾取する悪い大人も居ますね」

 

そういうとこだぞ

 

わざわざ目線を合わせながら言うな

美人が微笑みながら口角上げれば何でも良いってわけじゃ……

その通りでございます、よく分かってらっしゃる

 

"悪い大人に搾取される可哀想な大人も居るけどね"

 

"さて、色々挙げてきた中で、大人のイメージってネガティブなワードが多いよね"

"ハナコはこれらの話を聞いて大人になりたい?"

「それは……わかりません」

 

本編のハナコはトリニティを退学しようとする鬱病末期患者だ

行くも地獄、帰るも地獄と思い悩んでいるかもしれない

そして目の前のハナコもそういう答え方をしたということは……

 

少し長くなるがこのまま大人になる方向で誘うべきか?

 

"私が思う大人はね、メリットが沢山あるんだよ"

"きっとハナコも気に入ってくれると思う"

 

一応授業っぽくメモを取ってもらうよう促す

知識としては知ってそうだから、この才媛にメモなんて不要だが

 

"一つ、生きてるだけで偉い。お金稼ぎは生きる手段のひとつでしかない"

"二つ、手段は問われない。法律や倫理上NGな物を除けば自由だ"

"三つ、何処へでも行ける。嫌なことがあっても仕事や住所を移して再出発できる"

"四つ、好きな人とだけ付き合える。嫌いな人からは逃げても良い"

 

仕事とは何かも定義しておこう

 

"取引して他人の問題解決をするとお金に交換できる"

"問題は理想と現実のギャップである"

 

"ありとあらゆるものに理想と現実のギャップが存在してて"

"仕事に出来そうな事は沢山あるんだ"

 

「ふむ、そう言いかえても不自然ではありませんね」

 

"以上を踏まえて、何処で何をしても良いし、好きな人とだけ付き合えば良い"

「何処で何をしても良いし……好きな人と付き合う……」

「……別に好きって訳じゃ……まだ……」

 

なんかモジモジし始めたがスルーだな

 

"ただし、仕事を選べる人には条件がある"

「条件ですか?」

 

"一つ、その仕事に高い能力や適正がある"

"二つ、長時間取り組んでも苦にならないこと"

 

"誰がやっても同じ仕事は安く買い叩かれてしまう"

"逆に能力を示した人は引っ張りだことなり、需要が上がって高い金額で仕事を請け負うようになる"

"長時間続けられない仕事は精神を蝕み、そのうち辞めることになる"

 

「なるほど……だからですか?」

 

"話が早くて助かるよ"

"ハナコは優秀そうだから多くの事に適正がありそうだね"

"だから、後は何に熱中できるか……が非常に重要"

 

"大昔、人は自分の生き方を選べたわけじゃない"

"でも今は違う……人は十分に富んだから、好きな事をして生きていけるんだ"

"そして、生徒達みんなが好きな事を見つけて、笑顔で生きて欲しいんだ"

"少し熱く語り過ぎちゃったね"

 

「いえ……大丈夫です」

 

"例えばミレニアムの生徒は一芸に秀でた生徒が多くてね"

"私はこれを仕事にして生活したい!と思ってる子が多いんだよ"

"色んな生徒からいっぱい話聞いて、試してみない?"

 

「はい、わかりました」

 

これにはもう一つ狙いがある

 

ハナコは利を示す事でしか他人と繋がって来なかった

エデン条約編のコハルへの接し方を見る限り、損得ない関係構築能力はコハルと大差無い

これで練習して笑顔で話せる友達が増えてくれると良いな

 

「なんというか、馬鹿にされてる気がします」

 

"そんな事はないよ、それに大人になればこういうのも食べられる"

 

私はトリニティにある有名なケーキ屋さんで買ってきた、

ビター目なチョコブラウニーを冷蔵庫から取り出した

 

「それ、美味しいですよね!」

 

ハナコは私より一足お先に大人になっていたようだ

 

----

 

数日好きなように過ごしてもらった

 

ハナコはシャーレを気に入ってくれたのか

放課後になる度にやってきては好きなように過ごして帰っていく

 

「そういえば先生?」

 

ハナコが席を外したタイミングで

当番のユウカから声を掛けられる

 

"どうしたの?ユウカ"

 

私はペンを机に置き、身体ごとユウカに向き合う

 

この仕草は尊敬する先輩に叩き込まれた心構えの一つだ

部下や後輩と向き合う姿勢を過剰にでも見せる努力をしない上司は決して良い仕事が出来ない

 

理由は自分がどれだけ部下や後輩本人を信頼していても

決して伝わりはしないからだ

常に態度で伝え続ける必要があり、それはその一つの絶好の機会となる

その分仕事は後ろにずれて残業が増えるんだがな……

 

今は先生と生徒だが、共に脅威に立ち向かう運命共同体だ

彼女達全員を部下や後輩だと思って実践し続けている

 

「ハナコさんって私が当番の日には毎日居ますよね」

「シャーレではどんな事をする人なんですか?」

 

ハナコの役職か……

先生でも当番でもないなら何なんだろうな……

思わず天井を仰ぐ

 

推しの生徒で好きだから口説いて連れてきただけとは言えないよなぁ

普通に事案だ、もしもしヴァルキューレ?私です!

 

「別に邪魔ってわけではありません」

「普段は無表情で黙々としてますが」

「私の手が止まるとすっとやってきてアドバイスをくれるんです」

「そして集中力が切れたら紅茶やコーヒーを淹れてくれるんです、毎回味がちょっとずつ違うんですけど丁寧に淹れてあって美味しいんです……」

 

そんな事してたのか、私の分が出てきたことは無いぞ

まぁカフェインは好きではないので麦茶を常備してるが

 

なら役職は……え?まだ話の続き?

聞く姿勢を継続する

 

「ずっと難しそうな本を読んでいて大変だろうに……」

 

それカーマ・スートラだろ

愛用品欄で見覚えあるから知ってるんだぞ

シャーレにエロ本を堂々と持ち込むんじゃない!

 

"ハナコはね、非常勤講師として呼んだんだ"

"トリニティは派閥争いが激しいからね、たまには羽を休ませる場所もあると嬉しいかもと思ってね"

 

「そんな事もありそうですね」

「想像するだけでもやだなぁ……運営だけでも大変なのに派閥争いや政治で故意に足を引っ張られるなんて……」

 

"それに、ユウカの事も気に入ってくれたんじゃない?"

"ユウカは素直で良い子だからね"

 

「そうなんですか?なんか嬉しいです」

「今迄頼られるばかりだったから、お姉ちゃんが出来た気がして……」

 

同い年だけどな

 

ハナコが帰ってきたのでやんわりと話題を変える

後でハナコにはモモトークで非常勤講師になったと伝えておいた




なんと大人だけがビターなチョコレートケーキを食べられます!

序盤・中盤ではつまらないビジネスの話が多く出てきて退屈させてしまいごめんなさい
本編の先生よりビジネスマン色を強くして
感情や思ってる事とは別に上司・先輩としてやるべき事を淡々と行っている表現です

ハナコはいままでギバーとして生きてきて
テイカーに利用され続ける人生だったからこそ刺さってくれたら良いなあという期待を込めて尺を取っています

カーマ・スートラは目次だけ読みました
確かに2章に四十八手ならぬ88手の生々しい致し方が記載されているようですが
1章に一般的な恋愛観、3章に妻を得る方法、4章に妻の模範的行動も記載され人生恋愛観とも言えるとても良さそうな本でしたね

仲が深まるにつれてハナコが愛読する章が変わっていくというのはエモくないですか?
原作ハナコ!そんな匂わせばかりするから魅了される先生が増えるんだぞ!反省しろオラ!

今作のハナコさんも「それはそれ、これはこれ」で考えてます
ガス抜きする場所が増えただけで、別にトリニティが好きになったわけでもないですし
最悪シャーレの子になっても良いかなとか、ミレニアムに転校でも良くね?と考えてるかも知れませんね

そしてユウカちゃんは脳破壊されてしまったのか!?
ハナコを特別扱いしすぎた結果、普通の当番の子になりました
本編のように先生好き好きファンクラブの第一号になるんでしょうか?

ハナコとユウカはまだ猫のような距離感です
いうてまだ数日ですからね

ですが、ハナコは何だかんだでお人好しですよね
利用されるのは嫌いだけど困ってる人を見かけたら手を出さずにはいられない
そうじゃなきゃ至る所から頼られトリニティ中で取り合いにはならんやろ

本作でも早速ユウカにちょっかい掛け始めてしまいました
どうなるんでしょうか?暫く見守りたいと思います
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