シャーレにお迎えしたハナコが何か違う   作:みやびさん

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ハナコ視点


どっちがハナコでしょう♪

「さぁ、先生♪好きな方にプロポーズしてください♪」

 

私はヨツバとお揃いの眼鏡を着けて

先生の前に立っていた

 

どうして……

 

隣のヨツバは少し不安そうな瞳で先生を見上げ

私は張り裂けそうな心をひた隠しにして笑顔を作る

 

どうして、私はヨツバと入れ替わる演技までする事になったのでしょうか……

 

----

 

別世界の私がキヴォトスを訪れてから早いものでもう1ヶ月……

 

中間考査の結果、新しい成績不振者の登場と共に再度補習授業部が立ち上がった

浦和ヨツバの文字を見て顔を顰める、まぁ……あり得たことではありますか

何故ミカさんの名前が……?

 

ナギサさんに確認した所

エデン条約のゴタゴタでパテル派内部の生徒間の仲が良くなり

またコハルちゃんに心を奪われたミカさんは右に左に遊び呆けて成績をかなり落としたとのこと

 

本来そこまで目くじら立てる程ではないそうですが

「ティーパーティーの一員として恥ずかしいから成績上げるまで戻ってくるな」と叩き込んだと……

 

最初は喜んでたミカさんも、今ではすっかりヨツバの玩具ですね……

可哀想ですが矛先が分散されて助かっています

 

他には合間にカヤさんによるクーデターを潰したりしましたね

 

SRT特殊学園復活の為に署名活動が始まり

ヒナさん、ナギサさん、リオに先生……影響力の強い人の協力を受け

既に復活まであと一息という所まできている

 

そうなればFOX小隊の方たちの耳にも入るという訳で

秘密裏に味方に抱き込む事に成功

 

哀れカヤさんはクーデターを起こすと同時にFOX小隊に拘束されてしまいました

開き直ったカイザーPMCがまたシャーレや連邦生徒会を襲いましたが

D.U.区には既に3大マンモス校の連合部隊が待ち構えており瞬殺

 

カイザーコーポレーションにも大きなペナルティーが課せられました

もしかすると経営陣が一掃されたり

実質的に連邦生徒会が運営するような事もあるかもしれません

 

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現実逃避していました

……で、この状況の説明ですっけ?

 

ヨツバから「ハナコは目に頼りすぎです」と言われ

能力を封じるメガネを常に掛けるよう言いつけられて……

 

私の生活は一変した

 

むしろ私というよりは、先生の周りが一変した

 

生徒達との距離が近すぎやしませんか?

 

ヒフミちゃんの誕生会で先生がトリニティに来た日は

ヒフミちゃんの頭をめっちゃ撫でてるし

パテル派の生徒達に囲まれて鼻の下伸ばしてるし、頭撫でてるし

私には撫でてくれないのに……

 

晄輪大祭ではユウカと一緒にゴールして

「えっ、ユウカは私の事が嫌いだったの?」等と弄ってるし

ノアとも距離が近くなってて冗談交わしてるし

ゲーム開発部でもモモイやアリスを侍らせてゲームしてるし

私とはこんなに近づいて先生と過ごした事ないのに……

 

ヨツバとは相変わらず距離が近いし、すっかりタメ口で話す仲になって

イロハとも気の置けない仲になって一緒に休んでるし……

私には、まだ……敬語っぽい話し方なのに……

 

分かってます……

別に何も変わってないんだって

 

でも、他の娘と先生の距離はこんなにも変わっているのに

私との距離だけが変わらない

 

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そして今日、ヨツバからいつものカフェへ呼び出された

 

「今日、先生に告白しようと思ってます」

 

アイスティーをストローでかき混ぜる私の手が止まる

 

ふと、私はヨツバと比べてどれだけのリードがあるだろう……と思った

もしかしたら、もうそんなリードと呼べるものはないのかもしれないし

他の生徒に追い抜かれているのかもしれない

 

そもそも、先生は私のどこがそんなに好きなのでしょう……

人は自分を映す鏡というが、こんな無愛想な女、本当に好きな人が居るのか疑わしい

 

「何故、私がそんなに生き急ぐように先生にアプローチするのか……気になりますか?」

 

聞いてもいないのに喋りだすヨツバ

 

「気に入らないんですよ」

 

先生の事が気に入らないのに、なぜ私の先生にちょっかいを出すんですか?

 

「生徒の目の前で撃てよと凄んだら怯んでくれると思ってる所」

「そして、脅威と戦い続ける総大将が、のこのこと敵の前にやってくる所」

「なので、先生を籠絡した後に誓わせるんですよ……迂闊な行動をしない、絶対に私を一人にしないでと」

 

あの時のヨツバの顔を見たわけではないが、

普段の私達であれば絶対にしないような眉間にシワを寄せて苦い顔をしてたことだろう

 

それはさぞかし見ものだったのだろうが、私にとっても笑えるものではない

 

エリドゥでの一件や、ヨツバとの決戦では何度撃たれて崩れ落ちる先生を幻視したか分からない

先生の背中と血しぶきは、何度も悪夢となって私の眠りを邪魔しにきている

 

「あっ、良い事を思いつきました♪」

 

私にプレゼントしてくれたメガネと同じ物を胸元から取り出し、くるくると回し始める

 

「ハナコちゃん、私と同時に、先生へ告白してみませんか?」

 

----

 

そして冒頭に戻る

先生は何かを探るように目を泳がせていたが、意を決して私達に話し掛ける

 

"はぁ……ハナコ、ヨツバ…結婚生活を長く続ける秘訣は分かるか?"

 

先生は私達を見つめて問い掛けた

 

「えっと、二人で愛し合い続ける事でしょうか?」

 

先日、私に散々説教しておいて惚けた回答しやがって

それも私の返答をそのまま使うなんて底意地の悪い

 

私はこめかみに怒りを滲ませたまま笑顔を続ける

 

"いいや、恋愛感情そのものはその内冷めてしまう"

"大切なのはお互いに信頼しあい、共に支え合おうとする不断の努力"

"で?そのスタートラインとなる愛の告白で、いきなり試し行動か?"

 

ズキンと胸が痛む音がした

言葉は多少違っても、ヨツバと同じ考えだなんて……

 

"一体どちらの発案……いや、当てよう"

"ハナコが愛されるか不安だと溢して、ヨツバが提案したんだな"

"ハナコはそれを受け入れた"

 

さすが先生ですね……見てきたように当てるんですね……

 

"……で、どちらにするかという話だが、答えは決まっている"

"ハナコ、すまないが席を外してくれないか?"

 

先生はヨツバを演じる私の頭を撫でて

私を演じるヨツバを下げさせる

 

私は拒絶されてしまった……

 

先生に抱き寄せられても、ちっとも嬉しくない

 

──いきなり試し行動か?

 

この期に及んでこんな事する私が

 

先生を騙してしまう私が

 

幸せになれる未来なんて、最初から無かったのだ

 

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"ハナコ……やっと捕まえた"

 

……えっ、今ハナコって……どういうこと?

 

「でも、さっきヨツバって……確かに私も浦和ハナコですが……」

 

"こんな入れ替わりまでする悪い子はお仕置きだ"

 

優しく、おでこにキスを落とされる

 

"バカだな、好きな女の子を間違えるわけないだろ?"

 

"ハナコは捕まえるのが大変なんだから、二度と逃げないで欲しい"

 

「は、はぃ……」

 

私は蚊の鳴くような声で返事を返し、先生の胸に顔を埋めた

 

----

 

「そういえば先生?よく私だと分かりましたね……」

 

先生の手で私のメガネが外される

 

……へ?

 

ヘイローの形で簡単に判別出来る?

運命の人はヘイローの形まで正確に認識出来ると聞いた事はありますが

まさか本当だったなんて……

 

しかも全生徒のヘイローを判別出来る!?

 

あっ、だからヨツバはあんな提案してきて

しかも退室する時にこっちにウインクして……さては知っていた?

 

"ふふ……大好きだよ、ハナコ"

 

ようやく二人にハメられた事に気が付いた私に先生が微笑みかけてくる

 

はぁ……

 

でもまぁ……

 

この1ヶ月間みたいに不安な思いをし続けるのは、もうたくさんです

 

私は何も考えない事にして、先生を抱きしめた




"悩んでる間にハナコを連れて乗り込んでくるのは強硬策過ぎるだろ!"
「うふふ、あんまり焦らす先生が悪いんですよ♪」

全然関係無い話ですが
対戦ゲームで勝負が拮抗してて勝ったり負けたり楽しいねと思える勝率は7割だそうですよ
自分の認知って歪んでる事がよく分かりますね

今作のハナコは恋愛面では(かなり)臆病な少女なので、
どうやって先生とくっつければ良いんだろう?と頭をひねりました

ちょっと上手く行かない事が重なって、気持ちが沈む時ってありますよね
ヨツバにそういう状況を作らせて、引っ込みが付かなくなる所まで連れていき、先生に捕まえて貰う
そういう方向性で話を組み立てました
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