ハナコも飛び級で卒業しちゃいましたが
まだ可愛い生徒のままということで見てやってください。
濃い夏が終わり暦の上ではようやく秋となった
生徒達の夏休みもおしまい
ハナコもトリニティの教室で真面目に授業を受けている事だろう
"キヴォトスでも残暑は厳しいんだな……"
私はブラインド越しにシャーレの外を眺めていたが
アスファルトからは蒸気が立ち上り、地上はスケバンやヘルメット団一人歩いていない
ゲーム内の執務室はガラス張りで青空が見えていたが
我がシャーレはブラインドとエアコンで完全防備状態である
「せんせい?少しばかりエアコンの温度低くありませんか?」
「寒過ぎて風邪を引いてしまいそうです」
"まずお前は服を着ろ"
私はスクール水着を着た生徒にツッコミを入れる
「ぶー……いけずですね」
彼女は文句を言いながらワイシャツを羽織り始める
それは居住区に保管している私の最後のワイシャツじゃないだろうな?
それを着られると明日着る服が無くなるんだが?
彼女はもう一人の浦和ハナコ
プレナパテスがアトラ・ハシースの方舟と共にキヴォトスへ攻め込んできたが
彼が随伴させた生徒は何をトチ狂ったのか浦和ハナコだった
「トチ狂ったは言い過ぎですよ」
ナレーションにまで突っ込まないでいただきたい
本来のハナコには読心術なんてものは無かった筈だが
目の前の美人はこういう独白まで見透かして好き勝手言ってくる
何はともあれキヴォトスへやってきたもう一人の浦和ハナコ
彼女もトリニティの生徒となり生活を始めたはずなのだが……
授業はどうした?
「私の居場所は今も昔も補習授業部ですから、いくらサボっても問題ありません」
問題大アリである
シャーレへ通っても当番の申請をしていなければ出席日数へのダメージを受けてしまうのだ
"まぁいいや、ヨツバなら何とでもなるだろうからね"
浦和ハナコが2人に増えた
これはこれでタイムパラドックス等で大問題がありそうだが
何よりもハナコをどう呼び分けるかの問題が残る
そこで、もう一人のハナコは元々インターネット上で使っていた
ヨツバというハンドルネームを名乗り始めた
ヨツバ……心の中でそう呟くと、
彼女の頭にある四葉のクローバーを模したヘイローが揺れた気がした
「それはそうと先生?」
ん?
「私達のこと、やっぱり見分け付くんですね」
"全然違うからな"
私がやってきたキヴォトスに居るハナコは
痴女として華々しくデビューする前に捕まえてシャーレ所属にしたため普通の清楚な美少女になってしまった
エロい発言でうざ絡みして来ないので安心するやら寂しいやら
目の前のもう一人のハナコは原作通りだが
あまり無理に絡んで来ないよう見受けられる
そしてなにより……
「ヘイロー、そんなに違うんですか?」
ふと原作で遊んでた時のシロコ*テラーの立ち絵を思い浮かべる
あのようにヨツバのヘイローは所々ひび割れており、
沢山の戦いを生き延び、辛い思いをしてきたのだと想起させられた
それに……
「私の先生は、大人失格なんかではありませんから」
大事な生徒に、そんな目をさせちゃダメだろ
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裸ワイシャツみたいな格好した痴女が執務室をうろついているが仕事は待ってはくれない
私はヨツバを放置して資料整理を始めた
いくらハナコのスペックが高いとはいえ、何でもかんでも任せるのは沽券に拘る
1年経って落ち着いたのは風貌だけで
中身はやんちゃなイタズラっ子のままなのか
執務室をウロチョロしては興味深く観察している
そんな彼女の足音がふと止んだ
作業の手を止めて視線をヨツバに向けると
コートハンガーに掛かっている私の背広を目を細めながら撫でている
「大きさはおんなじだけど、匂いは別なんですね……」
ワイシャツの次は背広を狙っているのか?
だが彼女を観察する限り、彼女の恋慕は元々の先生へ向いてて
私の事はそうでもなさそうに見えるのだが
"背広がどうかしたか?"
「言いたくありません」
ふむ……
私は背広をハンガーから抜き取り、ヨツバに羽織らせる
"今までよく頑張ったね"
"私のじゃ代わりにならないと思うけどね"
「頭を撫でないでください……」
俯いた彼女からクレームが飛んでくるが、
特に嫌がっている様子は無いので撫で続けた
放課後やってきたハナコは一嗅ぎした後にこっちを睨んできた
冷たい表情ですっと眼鏡をずらす彼女で目覚めかけたのは内緒だ
BBクリームで宥めようとしても無駄だった
ヨツバにこの事を話すと大笑いされた
クローバーは9月から10月が種蒔きに適した季節だそうですよ
そんな花が好きなハナコの誕生日は1月3日です
ままならないものですね
プレナパテスと先生はDNA上では同一人物ですが
こっちの先生はハナコから手渡された香水を使っているので背広についてる匂いもまた別物です
因みに、水着ハナコはBBクリームが大好物ですが
通常ハナコには効果ありません
先生の気遣いと普段の私を好きで居てくれる事が嬉しかっただけのようです
この章ではハナコの読心術にふれていければと思います
正直この流れだとこの能力は本SSにおいて蛇足だと思ってたので、もう少し続けようかなと思いました