──???
「……ねえ、ハナコ?急にどうしたのよ」
ふと気が付くと、爪先立ちで私を心配そうに覗き込むコハルちゃんと目が合った
コハルちゃんは好き
外見だけでなく心の中も可愛らしい
猫を吸うように、見つめ返していっぱい感情を味わおうと思ったのだが
(あら?感情が流れ込んでこない?)
でも不思議と不安は感じない
だってコハルちゃんは、人で態度を変えないから
少しお馬鹿で単純で、私と違ってとびきり優しくて勇敢でぶれないから
私のような卑怯者でも変わらず愛してくれるから
好きと呟いてコハルちゃんを抱き寄せる
「ちょっ!ハナコ!?急にこんな場所じゃダメ!!」
「ふふ、愛してるよ……コハル」
「ふぇ!?」
何となく人恋しい気分だったので
コハルの鞄に入ってる過激な本のような台詞を囁いて抱き締める
そんな風にコハルちゃんをからかっていると
ふと先生と目が合った
先生は穏やかな視線を私達に向けている
先生は好き
私がこうしてトリニティの校舎で笑って過ごせてるのは先生の存在が大きい
(でも、その瞳は嫌い……)
私達よりもたった数年程度長生きしただけのはずなのに
達観したような、昏い深淵の底を見てきたような
そんな目が、そして先生にそんな目をさせる何かが嫌いだ
せめて寄り掛かってくれるのなら私も支えて上げられるのに
きっと先生に惚れた他の生徒も同じように支えようとするだろう
実を言うと先程からコハルちゃんを弄りつつ先生を目で追っていたが、
頬を染めながら先生に歩み寄ったイチカさんも
一生懸命にアプローチをしていたカズサさんも
死んだ魚の様な目を変えることなく淡々と処理されて憐れんでいた所だ
(でもまぁ、言えないでしょうね)
先生が連邦生徒会長と共に何度もキヴォトス滅亡に立ち合い
時を遡りながら抗っていたなんて……
仮にウトナピシュティムに搭乗してた他の生徒に打ち明けたら
「はいはい、軽口は良いから手を動かしてください、仕事は待ってはくれませんよ?」とでも言うのだろうか?
私のように否定はしないけど笑いながら茶化していただろうか?
きっと数え切れない生徒の死に目に遭っただろう
少し覗いただけでも数え切れないグロ画像のようなものが流れ込んで
青白い顔で誤魔化した苦い思い出がある
それを体験した先生は、過去の死ぬ前でしかない生徒に会ってどう思うのだろう
生きて笑ってくれてるだけで尊い、この笑顔を護り続けたい
私であってもそうとしか思わなくなりそうだ
両手ですくった水のように
一瞬の油断で両手から幸せが溢れてしまう
孤独と戦う先生に甘酸っぱい恋愛などしている暇はない
そうとは知らない浦和ハナコは、乞い願わずには居られなかった
先生に並び立ち、喜びも苦しみも共有したいと
……
おっといけないと一瞬で表情を作る
「あら、先生は乙女の睦事を覗き見るのがお好きなのですか?」
「仕方のない方ですね、コハルちゃんに死刑を言い渡されても知りませんよ?」
コハルちゃんの頭の羽をくすぐりながら先生に笑いかけると
正気に戻ったらしいコハルちゃんが暴れ始める
「ぷはっ、死刑なのはハナコよ!エッチな事ばかりして!」
"ふふ、お楽しみ中にごめんねコハル"
"後で補習授業部にも寄るからね"
「もう!先生まで乗っかって!」
「エッチな匂わせも禁止よ!」
先生はごめんごめんと笑いながら去っていった
「ちょっとハナコ?そろそろ離しなさいよ!」
何故だか無性に寂しくなったので
抱き締めたまま追加でおでこと羽にキスしておいた
コハルちゃんを静かにさせる事には成功した
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──シャーレ執務室
"どうしたの?ヨツバ"
いつもの痴女行為はどうした?やけにしおらしいけど?
ヨツバに限ってはそんなの生理位しかないか、ですって?
黙らっしゃい!
私にだって憂鬱になる日だってあります
あれは夢だったのか……という落胆からの
朝起きて登校してコハルちゃんに慰めて貰おうと思ったら
ピッタリのサイズの制服を着込んだ私のコハルちゃんが
聖園ミカに抱きしめられながら会話してたんですよ?
さっきの夢で人恋しくなったから
久しぶりにあのブカブカ制服に手を挿し込んでもみくちゃにしたかったのに……
はぁ……こちらの先生は素直なのは良いですが、
不躾な考えが多過ぎじゃないですか?
私だって年頃の乙女なんですからね?
「ふふ、どう思われますか?」
「一人別世界に連れてこられて、頼れる人も居なくて……」
「心細くて人恋しくなってるかも知れませんよ?」
おヘソが見えるくらいまで制服の上着をめくり、流し目を送ると
分かりやすく私の肌を凝視した後に急いで視線を逸らす
かなり反応は遅いとはいえ視線を逸らせただけ
ハナコちゃんの彼氏として加点してあげましょう
はぁ……私の先生も、この1/10でも私を意識してくれたら嬉しかったんですけどね
惚れた女ってのも関係ありそうですが
余りにもチョロすぎて張り合いがありません
はぁ……
まぁ奥手なハナコちゃんにはお似合いではないでしょうか
(過程はともあれ、先生に並び立ち、喜びも辛さも分かち合えてるわけですしね)
女子校に通う生徒同士はもみくちゃしあってる百合百合空間に違いない(偏見)
「はいはい、軽口は良いから手を動かしてください、仕事は待ってはくれませんよ?」
これはユウカとアコの言いそうな台詞を混ぜてます
普段の先生の言動が言動なだけに、何度も揶揄われてすっかり疑心暗鬼になっています
リオやヒマリは即座に踏み込んだ質問をいくつか投げそうですし
ハナコとノアはその場は流しつつ
後日また同じ事を聞いて設定の破綻等を見極めつつ信じるか信じないか決めそうだなと思いました
ハナコは公式絵の背景でノノミと談笑しているカットがあったり
晄輪大祭でアヤネに頼られたりしていたので
最終編の最中で交友を深めていたようです
流石美人で皆が憧れるトリニティ学園に通うお嬢様ですね!