「先生……こんな作戦はやめましょう?」
"いや、決行すると決めた"
"行動を変えて出方を変えられると取り返しの付かない事になる"
"それに……今の私になら十分耐えられるはずだ"
「先生、アロナ先輩……ガスの配管システムに異常を検知」
「介入されています……捻れて、歪んでいて、不快な……」
「やはり来てしまったんですね……先生!」
"わかった……!!"
怒号と共に空間が爆ぜる
"あっ……やば!!"
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始業前、ミカさんが私の教室に騒々しく入ってくる
「ハナちゃん!居る!?」
「……ミカさん、今度は何ですか……?」
こちらは寝不足で機嫌が悪いというのに……
まぁ、寝付きの悪い私のせいなんですが
「先生が……病院に搬送されたって!!」
まさか……
「シャーレの執務室が爆発して、その勢いで外に投げ出されたらしいの」
スマホを開くと、モモトークの通知数が倍に跳ね上がっていた
私のせいだ……
先生が本当に大事な人なら、一時たりとも目を逸らしてはならなかったのに
いや、まだ泣いてる場合じゃない
考えるより先に身体が動いた
「今日はシャーレへ行きます」
「申し訳ありませんが手続きをお願いしても良いでしょうか?」
「う、うん……気を付けてくださいね」
隣の席の生徒にお願いする
自分のロッカーから愛銃を取り出し、肩に下げて走り出す
校舎の直ぐ側に待機していたミカさんにまたも呼び止められた
「待ってたよ、こっち!着いてきて」
「ナギちゃんがティーパーティのヘリ使っても良いよって!」
ありがとうございます
私はティーパーティのテラスにお辞儀をして
ミカさんと共にヘリに乗り込んだ
スマホを開いて高速にモモトークを消化していき
最後に残ったのが先生のモモトークだった
急に視界が歪んで、息が出来なくなる
私は両手でスマホを握りしめ、嗚咽を漏らしていた
……
シャーレ屋上ではサオリが待ってくれていた
「おはようサッちゃん!先生は?」
申し訳無さと、恥ずかしさで顔を俯ける私には
ミカさんの存在はありがたかった
「近くの病院だ、先導しよう」
「ねぇサッちゃん、先生の容態知ってる?」
「死の危険はない、とだけ伝えるよう言われている」
「なにそれ?」
少なくとも、取り返しの付かない状態ではない……?
こんな時に現金な私がまた少し嫌いになった
……
先生は病室で横になっていた
点滴のチューブに繋がれて心電図が映し出されていた
せっかく元の身体に戻れたばかりなのに……
駆け寄って先生の顔を間近で見つめる
「……!?」
私は急に伸びてきた先生の腕に捕まってしまった
"いらっしゃいハナコ"
「ひゃん……!」
「……わーお。」
油断してましたが……
い、今私の耳にキスしました……?
"心配させてすまない、傷一つないよ"
"アビドス編3章だ、地下生活者に攻撃されている"
なるほど、話はわかりました
でも、耳に不意打ちでキスするのはえっちでは?
"久し振り、ハナコが居なくて寂しかったよ"
大人ってズルいです……
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その後、本気を出したヨツバは対策委員会のメンバー達と合流し
RabbitとFoxの2小隊、アリウススクワッド、ミカ+補習授業部を率いた多面作戦を展開した
そして地下生活者も、共同出資者達も、ホシノ先輩も、スオウさんという方も、セトという化け物も全てを薙ぎ倒したとのこと
最近よく外出してたのはこういうことだったんですね
私は吹き飛んだシャーレの執務室で
片付けと掃除をしていたら終わっていた
地下生活者を先手で潰せれば楽だったのだが
伝手を使っても見付けられないので泳がせていたって事なんですね
また先生が危険な目に遭ってしましたが……
結果的に先生が無事で良かったです
……
「先生……今までごめんなさい……」
少し不思議そうな顔をしていたが
頭に大きな手を乗せてぽんぽんとあやされる
これ好きなんですけど、子供扱いされてるようで嫌い……
"ハナコは今までが頑張り過ぎだったんだよ"
"社会人はキャパシティを超えると兆候なく潰れるんだ"
"だから、明日は我が身だと思って、同僚や取引先には優しくするもんなんだよ"
大人っていつもそうですね!
ビジネスの解説ばっかりじゃないですか!
生徒の事を何だと思っているんですか!?