ヴァル・フ・ドルゴーム~チートスキル“仮面ライダー”とか異世界召喚3回目とかはどうでもよくて、俺みたいな陰キャでも勇者になれますか?~   作:であであ

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第二二幕 デウス・エクス・マキナ

●??

 

  勇也とピリオネ、落ちている

  蠢く、不思議な空間が広がる

 

勇也M「これが、所謂タイムホール……。やはりピリオネは、未来から来た猫型ロボットではないのか。だって、さっきも―」

 

◆ボーテミュイズン〔上界〕・山奥《回想》

 

  ピリオネ、腹のあたりを弄っている

  そこには、一つのポケットが着いている

 

勇也「な、何してるの?」

 

ピリオネ「過去に飛ぶための魔道具をば」

 

勇也「魔道具?」

 

  巨大な装置、ポケットから出てくる

 

ピリオネ「テッテレ~『タイムカプセル~』」

 

  ドスンッ、砂煙が舞う

  勇也、口をあんぐり

 

ピリオネ「これで、過去の時間に飛ぶデス。因みに、実際に肉体ごと飛ぶわけじゃないデスよ?意識だけのタイムリープデス」

 

勇也「ごめん、青狸にしか見えなくて、話しが入って来ない……」

 

ピリオネ「侮辱デスか!?訴えるデス!」

 

●??

 

勇也M「あれは完全に、もしもボ○クスを出すときのドラ○もんだったな……」

 

ピリオネ「馬鹿面してるとこ悪いデスけど、そろそろ着くデスよ」

 

勇也「口の方が悪いよ。そういえば、魔機学が確立したのって何年前なの?」

 

ピリオネ「さぁ、遥か昔過ぎて数えるのも嫌デス。ただ、高貴種と下賤種の選別が行われた……、それより前なのは確実デス。今となっては、エルフもハイエルフも等しく下賤種デスからね」

 

  〔回想〕

  アノス「全ての始まりは、忌子をこの世界に再び召喚したエルフ族だ。やつらを皮切りに、亜種族間の高貴と下賤の選別が行われ、多くの種族が下界へと堕ちることになった」

 

勇也「……」

 

ピリオネ「さ、到着デス。衝撃に備えろ、デス!」

 

勇也「え、え?衝撃って?ちょ―」

 

  直後、目の前、光り輝く

  その眩しさに、思わず目を覆う勇也

  やがて、真っ白な光が二人を包み込む

 

●エルフ族の森・マギーチェスの部屋

 

  木造の、落ち着いた雰囲気の部屋

  古びた本棚には、大量の書物

  読み込まれボロボロ

  中央のテーブル、置かれた杖の数々

  そして、その傍らで倒れるマギーチェス

  血溜まりの中で眠る、動く気配はない

  勇也、思わず尻餅をついて―

 

勇也「こ、れが……」

 

ピリオネ「あ~。これ、詰み、デスね」

 

勇也「え……?」

 

ピリオネ「端的に言えば、ワタシたちにこの事象を変化させることは出来ないデス」

 

勇也「い、今からでも治癒魔法で……!あ、証石はエルマが……」

 

ピリオネ「馬鹿デスね、そう言う話ではないデス」

 

  勇也、眉を歪める

  不服と困惑が混じった顔

 

ピリオネ「さっきも話したデスが、今のワタシたちは意識体。ワタシたちの意識のみが、体を置き去りにしてこの時間にやってきたデス」

 

勇也「幽体離脱、的な……」

 

ピリオネ「故に、ワタシたちはこの時間の人や物、あらゆる事象に直接干渉することはできないデス。ワタシたちの行動は例えば、本がカタッと動く、扉がギシッと鳴る、塵が僅かに舞うetc、などのほんの些細な現象として表現されるデス。そしてそれが、マギーチェス氏が魔機学の研究を始めるきっかけになるはずなのデス」

 

勇也「つまり……、マギーチェスさんは大々的に『魔機学の研究をするぞー!』って言って始めたわけじゃない……?」

 

ピリオネ「そうデス。彼のもたらした結果は、確かに偉大だった。デスが、そのきっかけはほんの些細なもの……。彼が、魔機学の研究を始めるも始めないもただ偶然……、確率論でしかないのデス。その証拠に、魔機学のない改竄された世界は、特異点のワタシたちから見ても、気づかない程度の変化しかなかったはずデス」

 

  〔回想〕

    魔獣だ、勇也たちを囲っている

    大型の狼のような魔獣、涎を垂らす

    だが、その様相は獣らしくない

    実に、機械的な造形をしている

 

勇也「確かに、モンスターはちょっと変だったけど、それ以外はなにも……」

 

ピリオネ「それだけ、魔機学がニッチで、マキナ族が排他的である、ということデス。偉大、というのもマキナ族にとって偉大、というだけデス。ワタシたちの存在を知っている種族なんて、この世界に殆どいないデスよ」

 

  ピリオネ、視線を落とす

  その横顔は、心悲しげ

 

勇也「そうなんだ……」

 

ピリオネ「さて、今回の事象デスが、どうやら並行世界の過去の出来事が、ワタシたちの世界線の過去に影響を与えたみたいデスね」

 

勇也「殺すぐらいだから、魔機学が確立されると不都合な誰か……。もしかして、魔族冥衆……!?」

 

ピリオネ「そんな単純な話じゃないデス。この世界には、数多の可能性があり、それと同数の並行世界が存在するデス。世界は常に分岐している……、どんなことがあっても不思議じゃない。これも、数ある内の事象の一つに過ぎないのデス。それこそ、基盤となる事象が確率論的なものであるなら尚のこと。そしてこれは、ワタシたちとは異なる直接的な干渉。それを止めることは出来ないデス」

 

勇也「ってことは……」

 

ピリオネ「諦めて帰る、デス!」

 

勇也「え、ちょ……!」

 

  直後、空間、激しく歪む

  眼前、広がる暗闇

  どこまでも続いている

  勇也、やがてその闇に呑まれる

 

勇也「……!」

 

× × × × ×

 

  ハッと目を見開く勇也

  最初に聞こえたのは、お経

  木魚、無機質に木霊する

  次に、人々の啜り泣く声

  椅子に腰かけ、手を合わせ、涙を拭う

  ふと、正面に目を向ける

  飾られた写真、勇也が写っている

  遺影だ

  無表情、こちらを真っ直ぐ見つめる

 

勇也「俺……?」

 

勇也M「違う、これは並行世界だ……。こんなこと、本当に起きてるわけじゃない……!だけど……」

 

  直後、再び歪む空間

  悍ましい気配に身を包まれる

 

× × × × ×

 

  ハッと目を開く勇也

  煮え滾るマグマのような空

  そして、地面に倒れ伏す勇也一行

 

勇也「みんな……」

 

  遠方、何かが佇んでいる

  影が差し、全容は分からない

  しかし、悍ましい気配を放っている

  思わず、後退りしてしまうほど

  勇也、グッと歯を食いしばり―

 

勇也「頑張れ、負けるな……!これが終われば、きっと帰れるから……!だから……、立て、俺……!」

 

  直後、再び歪む空間

  眩い光がさす

  勇也、それに包み込まれる

 

●ボーテミュイズン〔上界〕・山奥

 

  ハッと目を覚ます勇也

  巨大な装置の中、体を起こす

  傍ら、ピリオネが気づいて―

 

ピリオネ「おはよう、アナタ♡デス」

 

  しかし、勇也、呆然

  一点を見つめている

 

  〔回想〕

    遠方、何かが佇んでいる

    影が差し、全容は分からない

    しかし、悍ましい気配を放っている

 

勇也M「まさか……、あれが……」

 

勇也「魔王……」

 

ピリオネ「あぁ、きっと他の並行世界や時間軸と繋がっただけデス。気にすることないデス」

 

勇也「……そう、だよね」

 

ピリオネ「それより、どうするデスかね~」

 

勇也「まさか、歴史が元に戻らないと、みんなを助けるって約束も―」

 

ピリオネ「もちろん、叶わないデス。条件が達成できてないデスからねぇ」

 

勇也「そんな……!」

 

  ゴソゴソ、ポケットを弄るピリオネ

 

ピリオネ「ん~、何か良い魔道具は~」

 

  直後、ピリオネ、ハッとする

  ポケットから、小型装置を取り出して―

 

ピリオネ「テッテレ~『時空間修正装置~』」

 

  ピリオネ、それを足元に設置

  直後、大きな地揺れ、轟音が響く

 

勇也「な、なになになに!?」

 

  眼前、薙ぎ倒されていく木々

  空間が歪み、そして拡張

  やがてそこに、巨大なビル群が現れる

 

勇也「こ、これは……?」

 

ピリオネ「これが、マキナ族の魔機都市デス!」

 

勇也「……え?」

 

ピリオネ「なんデス?」

 

勇也「えっと……、あれ……?」

 

ピリオネ「脳みそよわよわデスか?」

 

勇也「だ、だって……、マギーチェスさんが死んだ、から、全部なくなったって……」

 

ピリオネ「だから、たった今、それを解決したデス」

 

勇也「……は?」

 

ピリオネ「この装置で、改竄された歴史を綺麗サッパリ戻したデス」

 

  勇也、開いた口が塞がらない

 

ピリオネ「馬鹿面デスね。デスが、これがマキナ族!」

 

  ピリオネ、ビシッとポーズを決めて―

 

ピリオネ「『デウス・エクス・マキナ』でズバッと解決!終わりよければ全てよし、デス!」

 

  ピリオネ、言い終わりポケットを弄る

 

ピリオネ「いや~、ちょうど良い魔道具があって助かったデ~ス」

 

  勇也、口をポカンと開けたまま

  言葉が出てこない

 

勇也M「これ、俺、必要だった~……?」

 

●マキナ族の魔機都市・ピリオネの家

 

  エルマ、料理を作っている

  慣れた手つきで、食材を切る

  そこに、勇也がやってくる

  エルマの包丁を手に取り―

 

勇也「俺がやるから、エルマはゆっくりしてて!」

 

エルマ「あ、ありがとうございます……」

 

× × × × ×

 

  ガンテとナーチ、武器を磨いている

  そこに、勇也が颯爽と現れ―

 

勇也「俺が綺麗にしとくから、二人は休んでて!」

 

ガンテ「おぉ、にーちゃん、さんきゅー」

 

ナーチ「……」

 

× × × × ×

 

  バスティ、窓際で香箱座り

  その隣、勇也が香箱座りで―

 

勇也「バスティも、俺がやっとくからゆっくりしといて!」

 

バスティ「アンタは何をやってるのよ」

 

× × × × ×

 

ガンテ「何か、にーちゃんおかしくねぇか?」

 

エルマ「妙に積極的と言いますか……」

 

バスティ「日向ぼっこ、邪魔されたわ」

 

ナーチ「私のDual Dagger……」

 

??「全く、調子のいいやつデス」

 

  振り返る一同

  ピリオネ、椅子に踏ん反り返って座っている

 

ガンテ「んで、こいつは誰なんだ?」

 

ピリオネ「口を慎めデス、半端者」

 

ガンテ「んだとっ!?」

 

エルマ「これがマキナ族……、初めて見ました……」

 

バスティ「マキナ族?」

 

エルマ「魔学……、魔法を転用した魔機学という学問を基に造られた、機人の種族です」

 

バスティ「ふ~ん」

 

ピリオネ「ふっふっふ、その目にしかと焼き付けるといいデス!」

 

ガンテ「うっぜぇ~」

 

エルマ「勇也様とは、いつの間にお知り合いに?」

 

ピリオネ「それはまぁ~、色々あってデスね~」

 

バスティ「色々ってなによ?」

 

ピリオネ「そうデスね~、例えば―」

 

  ピリオネ、ニヤッと悪戯に笑って―

 

ピリオネ「一緒に寝たデス」

 

ピリオネM「タイムカプセルで」

 

  バスティ、ボッと顔を赤くして―

 

バスティ「な、なになに、何言ってんのよハレンチな!」

 

ガンテ「ねーちゃん、何そんな焦ってんだよ?」

 

バスティ「だ、だって……!お、男の人と女の人が二人で寝たら、す、することなんて一つじゃない……!」

 

ガンテ「?」

 

ナーチ「はわわわ~……!」

 

エルマ「はぁ~……」

 

ピリオネ「我々マキナ族の使命は、ボーテミュイズンの観察、及び研究デス。ということで、しばらくオマエたちに着いて行くことにしたデスので。貴重な研究材料として、十分に機能することデスね」

 

× × × × ×

 

  夜

  廊下を歩く勇也

  そこにふと、バスティが現れて―

 

勇也「バスティ」

 

バスティ「勇也、少しいいかしら……?」

 

勇也「?」

 

  勇也、ハッとして―

 

勇也「まさか、夜のおさそ―」

 

バスティ「早く来なさい」

 

× × × × ×

 

  とある一室

  席に腰かける勇也、その隣にエルマ

  対面のバスティ、神妙な面持ち

 

勇也M「3Pとは、バスティもレベル高いな……、なんて」

 

エルマ「それで、お話というのは?」

 

バスティ「……そうね、前の続きって言えば分かるかしら?」

 

  エルマ、ハッと目を見開く

 

  〔回想〕

  バスティ「だから、私たちのことも助けてくれるんじゃないかって……。勝手に、どっかで期待してたのかしらね……」

  バスティ「時が来たら、ちゃんと話すわよ」

 

エルマ「……はい」

 

勇也「ん、何のこと?」

 

バスティ「アタシの故郷について、そろそろ話そうと思ってね」

 

勇也「バスティの、故郷……?」

 

  バスティ、静かな声音で―

 

バスティ「アンタらを、獣人族の村に案内するわ。特に勇也……、アンタには知っていてもらいたいの。アタシたち、獣人族のことを……」

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