ヴァル・フ・ドルゴーム~チートスキル“仮面ライダー”とか異世界召喚3回目とかはどうでもよくて、俺みたいな陰キャでも勇者になれますか?~ 作:であであ
●ヴァースタトリスタ〔上界王都〕・宿屋・寝室
部屋の中央、大きなベッドが一つ
それを挟んで睨み合う、バスティとガンテ
否、バスティが一方的に眼を飛ばしている
バスティ「……まさか今度は、一緒に寝るなんて言わないわよね?」
ガンテ「仕方ねぇだろ。この宿屋にベッドは二つ。一つはナーチとピリオネが使ってっから、残りはこれしかねぇ」
バスティ「だったら、アンタもそっちで寝なさいよ!」
ガンテ「いや、俺もそう思ったんだけどよ―」
× × × × ×
ナーチ、短剣を舌なめずり
ナーチ「寝込みは、暗殺にピッタリでしゅ……」
ピリオネ、狂気の表情に影を落とす
ピリオネ「ワタシの寝顔を見たやつは、全身の毛という毛が全部抜け落ちて―」
バスティ(声)「なんなのよアイツら」
× × × × ×
ガンテ「ナーチを犠牲にすることになっちまうが、仕方ねぇ……」
バスティ「言っておくけど、アンタ人のこと言えないからね?」
ガンテ「何が?」
バスティ「アタシの尻尾覗いてたでしょ!」
ガンテ「あ、あれはほんの出来心で……」
バスティ「ふんっ、信用できないわね」
バスティ、ボフッとベッドに飛び込み―
バスティ「ベッドはアタシが使うから、アンタは床で寝るといいわ」
ガンテ「そりゃねぇぜ、ねーちゃん!」
バスティ「じゃあ、どうするのよ?」
ガンテ「ん~……」
顎に手をやるガンテ
仕方なく、槍を錬金する
ガンテ「じゃあ、これ真ん中に置くか。これより先に入ったらダメってやつ」
バスティ「睡眠が永眠になるのは御免だからね?」
× × × × ×
バスティとガンテ、ベッドに眠る
部屋は照明が落とされ暗い
落ちる静寂、寝息も聞こえない
ただ、バスティの鼓動だけが騒がしい
バスティM「って、やっぱりこんなの意識しちゃうじゃない……!///パパと一緒に寝たことはあるけど、それとこれとは……!」
その時、ハッとするバスティ
背中に、何か感触を感じる
バスティM「ちょ、背中当たってるわよ……!こっち来すぎでしょ……!……やっぱり、ガタイいいわね。コイツの背中、おっきくてあったかい……。こ、こんなんでもし、寝込みを襲われでもしたら……」
カーッと頬を赤く染めるバスティ
バッと顔まで布団に潜る
声にならない声を出し悶絶
やがて、目元を少し出して―
バスティM「どうして、こんなことばっかり考えちゃうのかしら……。さっきだってそう……。勇也には、こんなこと微塵も考えないのに……。コイツが……、ガンテがいる時は、なぜか考えちゃうの……」
× × × × ×
眠るバスティ
微かにうなされ、目を開ける
バスティM「ん……、体が重い……」
ガンテ「ねーちゃん」
バスティ「え……?」
不意に掛けられる声
ガンテ、こちらを真っ直ぐ見つめている
バスティ「ガン、テ……?」
サワサワと、体を弄られる感覚
思わず、声が漏れてしまう
バスティ「ちょ、アンタどこ触って……、ニ゛ャンッ……!///」
ガンテ「可愛いよ、ねーちゃん。いや、バスティ」
バスティ「……!」
耳元で囁くガンテ
思わず、ゾクゾクと背筋が疼いてしまう
バスティM「何よ……、それ……」
ガンテ「動くな。優しくしてやっから……」
細く、それでいて逞しい手が体を這う
胸から腹、やがて秘部へと伸びていく
ただ、キュッと目を瞑るバスティ
頭では分かっていても、体が抵抗できない
バスティM「ダメ……!こんなの、こんなの……!」
× × × × ×
うなされるバスティ
バッと目を開く
バスティ「はぁ……、はぁ……、はぁ……」
息を切らしている
自分の胸に手を添える
バスティM「夢……?」
心臓の鼓動が速い
だがそれは、緊張だけから来るものではない
胸の奥で確かに疼く、甘美な脈動
ほんのり赤く染まる頬、甘い吐息が漏れ出る
そして直後、あることに気付く
バスティM「体が、重い……」
バスティ、バッと布団を捲って―
バスティM「まさか、本当に……!」
その光景を見て、瞠目
ガンテ、バスティに被さり眠っている
バスティM「……何してんのよ、コイツ」
モゾモゾ、体を登ってくる
ガンテの顔がすぐ目の前まで迫る
バスティ「ちょ、近いわよ……!いい加減に―」
ガンテ「俺が……、守ってやる……」
耳元で囁くガンテ
否、これはただの寝言だ
それに、ハッと眉を上げるバスティ
フッと薄く微笑んで―
バスティ「いい加減起きなさいっ!」
ガンテ「ごびゅはぁっ!」
バスティ、ガンテを殴り飛ばす
綺麗な放物線を描き、不時着
宿屋が轟音に揺れる
●ヴァースタトリスタ〔上界王都〕・市場
様々な露店が立ち並ぶ
数多の人々で賑わっている
その中を歩く、バスティとガンテ
その背後に、ナーチとピリオネ
バスティ、チラと横目でガンテを見る
その頬は、ほんのり赤に染まっている
ガンテ、その視線に気づき―
ガンテ「何だ、ねーちゃん?」
バスティ「バカッ」
ガンテ「何でっ!?」
頬を膨らませ、ふいとそっぽを向く
物言いたげなガンテに知らん顔
その時、ふと見つける
遠方、市場を通り過ぎる勇也の姿
バスティ「あれ、勇也じゃない?」
ガンテ「お、本当だ」
ナーチ「でも、エルマしゃんがいないでしゅね」
ピリオネ「もしかして、抜け出してきたデスか~?」
背中は丸まり、横顔は暗い
見るからに、意気消沈している
やがて、路地に消えていく勇也
ガンテたち、露店に興味津々
既に、勇也への関心を失っている
バスティ、しかし彼から目を離せずにいる
バスティ「勇也……」