Dovahkiin 彼の地にて、斯く戦えり 作:無敵のタロス!
「なんだこれは!?」
それは率直な感想であった。防衛省の臨時暴徒対策本部のモニターに映る各局の生中継には同じような映像が流れている。
そこには日本人に襲い掛かる門から現れたローマ風味の兵士達とモンスター、それに抵抗する警察と自衛隊、そして日本側に協力する謎の猫獣人が映っていた。
「仲間割れでしょうか?」
「奴らも一枚岩ではないか」
対策本部に参加している政府の高官達は口々にそう言う。猫獣人、明らかに日本側の存在ではない。
どちからというと彼はオークやらゴブリンやらを使役する暴徒側に近い見た目だ。だというのに彼は日本人を守っている。
「一応、確認するがデマではないよな?」
「既にテレビでも報道されている。信ぴょう性は高い」
テレビで報道されている。それすなわちある程度の裏取りはされてるということだ。
まあ彼らも間違えたり偏向報道することはあるが。
「どうしましょうか?」
「今回の騒ぎと何かしらの関連があると考えた方が自然だろう」
「ただちに捕縛ですかね」
「待て!彼は日本人を守っているぞ」
「彼の活動を妨害したとなれば政府の評判が落ちる。SNSでは彼のことに対する反応が大量だ。ここで対応を間違えれば次の選挙に負けかねないぞ」
「だが彼が暴徒との戦いで命を落とせば重要参考人を失う」
「いや暴徒がどうこうできる存在ではないだろう。現に魔法のようなもの使って圧倒している」
官僚の1人がそう言う。彼ことドヴァキンは伝説のドラゴンボーン。ローマ風味を声で燃やしつくし、掌から放つ雷でドラゴンを痺れさせ、手持ちのメイスでオークの頭蓋を砕いている。傍目から見て彼が負けるとは思えない。
「とりあえず状況を注視するしかありませんね。既に自衛隊と警察は動いていますし事態も直ぐに鎮静化するでしょう。その時に彼に事情を聴取しましょう」
そういうことで彼らは事態を静観することに決めた。
そして数日後、事態は収まり改めて会議が開かれることになった。
「以上が銀座へ出現しました門と「暴徒」に関する論旨になります」
「いつ見ても信じられませんな」
「なんでこんな理不尽が私達の時代に来るんだ。ゴジラに対処する政治家の気分が今なら良く分かるよ」
「まあ仕方ありませんな。それが国を背負うということ」
場所は永田町、つまりは官邸の大会議室で総理大臣を始め主要な大臣および重鎮と専門家が列席している。
既に連日会議を重ねており参加者は疲労の色を見せている。それは今回の銀座事件が如何に非現実的なのかを物語っていた。
「続いて同時間帯に存在が確認された重要参考人ドヴァキン・テルヴァン二氏についてですが、事情聴取が完了しました。現在は市ヶ谷で保護しております」
「名前が分かってるのか?それに事情聴取?彼は門の向こうから来たんだろう?日本語が通じるのか?」
「北朝鮮の拉致のように事件発生前に日本人を攫って日本語を習得したのかもな」
「それがドヴァキン氏は元日本人らしいのです」
会議室はざわめく、明らかに人間ではないドヴァキンが日本人だという情報は受け入れがたい。
官僚は情報を補足していく。彼はこことは別世界の日本出身で、ここに来たとのことだ。
「は?流石に嘘だろう」
「門の出現している時点で今更だろう。門の向こうは異世界、ありえん話ではない」
「転生か。この情報は伏せておいた方がいいな同盟国のアメリカと連立政党に衝撃を与えてしまう。それに転生と言う情報があれば来世にワンチャンと思い自殺者が増えるかもしれん」
大臣の1人がそう言う。アメリカはキリスト教を信じる人が多い、そして連立政党も仏教系である。
死後の転生という概念を公表してしまえば彼らの信仰が揺らぎかねない。
「門の向こうとの関連はあるのか?」
「それは不明です。ですがドヴァキン氏の話す異世界語と銀座事件で捕縛した暴徒の言語を照合した結果、全くの別言語だと結論付けられました」
「なるほどな。とはいえ魔法を使う存在は貴重だ」
「確かにな、門の向こうはファンタジー世界。幽霊など現代兵器が効かない存在がいるかもしれない。魔法はそれに対抗できるやもしれない」
政府の高官の発言は的を射ている。
実際にスカイリムの前作、オブリビオンではゴースト系の敵には通常の物理攻撃は効かなかったりする。
「元日本人ということがどこまで信頼できるかわからないが日本に協力的なのは確かだ」
「異世界のアドバイザーとして雇いいれましょう」
「化け物には化け物をぶつける理論ですな。神秘には神秘をぶつけましょうぞ」
そうして会議は別の話題へと移る。
◆◆◆
―特別地域 アルヌス―
銀座事件から3か月後、政府は野党と市民団体の反対を押し切り制定した「特地派遣法」により、門の向こう側に3個師団相当の陸上自衛隊を派遣する運びとなった。名目は「特地の調査、銀座事件の首謀者の逮捕、補償獲得の強制執行」。
自衛隊が特地へと踏み入った直後に門の向こうの国、帝国(タムリエルの帝国ではない)と大規模な戦闘が発生。それ以降も何度か戦闘が繰り返されて帝国側に甚大な被害が出たそうな。
帝国の死者は10数万、自衛隊は死者0という大勝利でおわったとのことだ。まあ中世レベルの軍隊相手に現代兵器で戦えばそうなる。俺でも現代兵器で武装した3個師団は勝てるか分からないからな。デイドラロード(デイドラの中でもより大きな力を持つ者)やヌミディウム(人造の神、ドワーフが建造した)でようやく勝ちの目が出てくるくらいだ。
一方の俺は内閣府直属の特別顧問として雇われることになった。
なんでもゴースト系の敵が怖いから専門家として特地に同行してくれとのことだ。
確かに俺の世界ではゴーストは銀の装備か魔法か修行者の拳くらいでしか攻撃できないしな。気持ちは分かるぜ。
特別顧問として仕事はいくつかある。
まずは魔法の解析協力である。変な機器とかセンサーをつけられて魔法を使うだけだ。
次に錬金だ。錬金といってもハガレンみたいなことはしない。お薬の製造だ。日本政府も異世界の薬に興味があるようで高値で買い取ってくれている。まあお金なんて貰っても使う機会がないんだけど。
ちなみに
「あー、お外でたい」
休憩中の俺は陣地内を歩きながら愚痴る。
俺は特地の駐屯地で缶詰生活だ。スカイリムにいた時は野山をかけ巡るアウトドア派だったのでこういう生活は非常にストレスだ。
いっそのこと陣地から抜け出して山賊やモンスターを倒してやろうか。でも山賊略奪団*1は勘弁な。
そんなふうに考えていると伊丹さんとばったり出会ってしまった。
「やあ伊丹さん。丁度いい所に、俺はどうにかお外を歩きたいんだけど何かないかい?」
「んー、あるにはあるけどさ」
「ほう!?」
「特地の人間、宗教、産業、政治形態を調査しろって命令されたんだよ。そのうえ可能なら住民と友好的な関係を結んでこいと」
伊丹さんはそう言って深々とため息を吐く。組織人は大変ですね。
しかし俺にとっては好都合。
「やはり調査か……いつ出発する?俺も同行する」
「ドヴァキ
「じゃあ確認取ってくれ友よ。もしOKしてくれなかったら野良猫になってマスコミにあることない言いつけるぞと伝えてくれ」
そう言うと伊丹は慌ててどこかへと向かった。それから数時間後、退屈なひと時を過ごしていると自衛官から呼び出しを受けた。
そして後についていくと伊丹さんと十人弱の自衛官がいた。これはつまり…
「訳あって第三偵察隊へと加わることになったドヴァキン・テルヴァン二さんだ。彼はファンタジーの専門家として活躍してもらおう」
「どうもMrファンタジーのドヴァキンです。伊丹二尉の説明通り皆さんをサポートさせていただきます。ゴーストやドラゴンが出た時は私に頼ってください」
俺がそう言うと各隊員が様々な反応をする。驚く人、不審がる人、目が光り輝いている人と多種多様だ。
そうして俺は駐屯地を出発した。
さあタムリエル以外のファンタジー世界、何が待ち構えてるのだろうか。実に楽しみだ。
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スカイリムはどちらのもの?
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帝国のもの
-
ストームクロークのもの