Dovahkiin 彼の地にて、斯く戦えり   作:無敵のタロス!

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5話 山賊

 あの後は伊丹さんは大変な目にあったらしい。

 まず炎龍はキャッチ&リリースということになった。

 自衛隊の偉い人曰く、流石に危険すぎるし服従のシャウトがどこまで信用できるか分からないかららしい。まあ研究用に鱗の回収や採血はしたらしいが。

 折角、名前までつけたのに残念だ。ちなみに名前はMir・Aar・Yol、ミラヨルだ。ドラゴン語でMir(忠誠)・Aar(家来)・Yol(炎)という意味だ。

 

 次に身寄りのない避難民25人の受け入れ、これは伊丹さんの独断らしい。直属の上司である檜垣三佐は頭を抱えていた。

 まあ最終的には人道上の観点から避難民の保護を許可することになったが。

 

 そして俺はいつもの仕事をすることになっている。

 特に最近、力を入れてるのは錬金だ。氷の生霊の歯やスプリガンの樹液などファンタジー素材は無理だが、クマの爪やベニテングダケなどの普通の素材は調達できるわけでそれらをすり潰してマジカ*1を混ぜ込めばある程度の薬は作れる。

 

「ドヴァキンさん、イクラと鶏の卵です。こちらに置いておきますね」

 

 自衛隊が俺の作業工房に入ってきて荷物を置いて行く。

 イクラと鶏の卵で出来る薬、つまり政府が特に興味を持っているのは水中呼吸の薬だ。

 まあ飲んだら水中でも息が出来る薬なんて驚くよな。というわけで研究するために大量に寄越せと言われているわけだ。

 そういうわけで全力で薬を作りまくっている。俺はまるで人間薬剤師だ!

 …………………薬剤師って人間じゃね!?

 

 しかし販路が日本だけは不満だな。これって異世界側にも売れるんじゃないか?水中呼吸の薬は漁師とか海女さんに需要がありそうだし。

 そうと決まれば外に出るぞ。早速、伊丹さんに相談だ!

 

 ◆◆◆

 

「まさか君達もいるとはなぁ」

 

『……………?』

 

 自衛隊の車に乗りながら俺はそう独り言をつぶやく。君達とは避難民のことだ。青髪無表情のレレイ・デイドラのロゥリィ・エルフのテュカがワイバーンの鱗を売りにいくと言って俺の商談にくっついてきた。

 もちろん自衛隊の護衛つきだ。ちなみに自衛隊の隊長は伊丹さんだ。

 

「門の向こうの魔法使い………どんな魔法を使うの?」

 

 レレイと言う子は俺に興味深々だ。どうやら彼女は魔法使いで異世界の魔法に興味がある様子。

 俺としてもこっちの魔法には興味がある。是非とも魔法交流がしたいな。

 

「この車というのはガソリンで動いてると聞いた。これも魔法?」

 

「いや俺は門の向こうの世界とも別世界の住人だ。門の向こうには魔法はない。これは科学技術の産物さ」

 

「なるほど」

 

 本当にレレイは興味津々だな。まあ中世の人間が現代に来たみたいなもんだから無理はないけど。

 しかも早々に日本語を覚えたりと頭がいい。従者に欲しいくらいだ。

 

「黒ゴスロリ人外・エルフ・ロリ魔法使い……………なろう小説みたいな状況だな。もちろん主人公は伊丹さんだ」

 

「誰もそんなこと思わないよ」

 

 伊丹さんに話を振ってみるとそう返してきた。

 本当?俺が言えたことじゃないがまるで小説の主人公みたいな活躍してるぞ。

 

「伊丹を題材にした小説が作られたりして。そして将来的には英霊になって女体化だな」

 

「そんなことされてたまるか!」

 

「割とマジで二重橋の英雄のネームバリューで開発されそうだけどね」

 

 そうなったら笑ってやるよ。

 

「というかお前も人のこと言えないだろドヴァキン!既に日本では俺と同じくらい祀り上げられてるんだぞ」

 

「マジで!?」

 

「大マジだ。帝国を裏切って日本についたとか、銀座の魔法猫とか、あることないこと書かれまくってるぞ」

 

 はえー、そんなことが。帝国を裏切るか。そもそも別世界人であることは伝わってないのかよ。

 

「お取り込み中悪いですけど隊長、前の方に黒煙が出てます」

 

「位置的に目的地のイタリカだな」

 

 煙?またドラゴンか?いやそれはないか。近くで人を襲わないようにとミラヨルに命令を出したしな。

 そうして俺らは煙がある方向に近づく。するとイタリカを襲っていたのはドラゴンではなく山賊だった。ただ山賊に町に襲われてるだけで辛うじて町は残っている。

 

 俺らはなんやかんやありつつも町に入ることに成功した。

 この襲って来た山賊がただの賊なら町は被害者だが、イタリカを襲っているのは門近くで自衛隊に戦闘を仕掛けて返り討ちに会った軍隊の残党、つまり元帝国軍だ。

 

 自衛隊達は炎龍を従えた緑の人、俺は門の向こうで暴れた猫獣人の亜神ということでイタリカではちょっとした有名人らしい。そして伊丹さんは町の防衛をすることを決定したらしい。更に自衛隊のヘリによる援護要請もしたとのこと。

 ヘリか、ベルチバード*2でないことを祈るばかりだ。

 まあ俺としても町が襲われていては商談なんてできないからそっちの方が助かる。

 

 そして夜。戦いの時間だ。俺らは守りが薄い南門で防御をしている。

 しているのだが。

 

「おやっさん!隊長!始まりました!東門です」

 

 敵達も流石は戦いのプロ、敢えて守りが硬い東門を攻撃している。

 この判断は正解だ。南門はデイドラ・自衛隊・ドラゴンボーンなど化け物の巣窟だしな。

 突撃すれば山賊達は瞬殺されていただろう。

 

「〇三〇〇。夜襲には絶妙な時間だな」

 

「盗賊といっても元正規兵だそうですし」

 

「んっ♡あっ♡くぅっ♡なんでぇ♡こっちにぃ♡こないの…おっ♡ああん♡」

 

 自衛隊達も感心している。そしてロゥリィは喘いでいる。なんで!?

 俺は心配して近づこうとしたらレレイに止められた。

 

「なんで近寄っちゃダメなんだ?」

 

「彼女は使徒だから。戦場で倒れていく戦士の魂が彼女の体を通してエムロイの下に召されていく。それは亜神にして死徒たる彼女には魔薬のように体を狂わせている」

 

 この世界のデイドラはそう言う感じなのね。

 そう説明を受けてる間も彼女は体をくねらせている。流石に絵面がよろしくないな。

 そしてそう思ったのは伊丹さんも同じだったようだ。

 

「仕方ないな。栗林!」

 

「はいっ」

 

「ロゥリィについてやってくれ。後で富田二曹と俺、この4人で東門に行く」

 

「俺も行こう!」

 

「ちょっ、待って!」

 

 ひゃぁ!もう我慢できないぜ!止められてるけど知ったことか!

 俺は東門へと急ぐ。

 

 ◆◆◆

 

 ここはイタリカ東門、そこでは地獄が広がっていた。

 

『らぁっ!』

 

『農夫ながらお見事!』

 

 そう言って山賊は矢を撃ちこみ防衛兵の命を奪う。その目には狂気と充足感で満ちている。

 これはこの兵士に限ったは話ではない。

 

 これこそが戦争

 

 敗残し実を落とせども我らは戦士

 

 わかりやすい殺戮

 

 わかりやすい自分の死

 

 これこそが俺たちの戦争

 

 エムロイへの賛歌

 

 言葉に出さずともそのような精神が山賊達には根付いている。

 彼らは自衛隊にこっぴどく負けた兵士たちの成れの果てだ。あんな一方的な虐殺は戦いではない。今これこそが戦いである。そう信じていた。

 

 だがそれはすぐに終わりを告げることになる。

 猫であり鬼であり人であり竜であるもの、ドヴァキンが来るからだ。

 

「くらいな!畏怖の魔法だ!」

 

 ドヴァキン幻惑魔法、畏怖をグミ撃ちする。それは生物に恐怖を呼び起こし逃走させるというものだ。

 彼は幻惑魔法の達人、これを使いスカイリムの内戦では大活躍をしてきた。

 

『ぎゃああ!』

 

『おい!どうした?』

 

『なぜ逃げる同胞!戦いはどうしたのだ!』

 

 畏怖により山賊達は逃げ惑う。エムロイの賛歌などと抜かしていた戦士たちとは思えないほどの醜態だ。

 そして恐怖は伝播していき畏怖にかかってない山賊達も逃げ始める。

 

『逃げるなんて情けないわねぇ!』

 

「かかってきなさい!」

 

 ロゥリィと栗林はそう言いながら兵士たちをなぎ倒していく。まさに虐殺であった。

 

『こんなのが戦いであるはずがない!』

 

 戦士の1人は激昂する。

 だが彼らの不幸はそれだけではない。

 戦闘ヘリ達もようやく到着する。

 

 ヘリのミニガンからは銃弾が雨あられの如く掃射され逃げた兵も逃げなかった兵も挽肉にされていく。

 イタリカを襲った彼らには平等な死が訪れた。

 そうして東門の戦いは朝日と共に終わりを告げた。

 

 ◆◆◆

 

 いやぁ、まあ大したことなかったね。スカイリムの山賊に比べれば雑魚ばかりだった。

 まあアイツらは魔法で焼こうが向かってきたりマンモスを狩ったりしてる修羅の国の住人だし比べるのが酷か。

 そして俺はこの戦いで発生した怪我人達の方へと向かっている。

 

『魔法猫様!』

 

『緑の人の仲間だ!』

 

 なんかもてはやされている。まあそんなことより治癒だ。

 俺は治癒の手を怪我人達にかけた。

 

『な、なんだ!?』

 

『あれ?痛みがない。傷も塞がっている。治ったぞ!治ったぞ!』

 

『バカな!回復魔法だと!?』

 

『信じられん!ソレハおとぎ話では?』

 

 周りの人達は驚いている。やはりこの世界には回復魔法はないか。

 ならこれも有用なんじゃないか?

 俺は体力回復の薬を大量に差し出した。

 

『これ、回復、魔法、力、ある、飲め』

 

 すると怪我人達は我先にとそれを取って飲み始めた。良い飲みっぷりだ。

 ちなみに体力回復の薬の材料は蝶の羽と小麦だ。

 これでよし。

 

『あの、お礼なんですが………』

 

『礼、いらない』

 

 俺はクールに立ち去る。何も俺は善意でやっているわけではない。

 ここで薬の効果を証明すれば彼らが口コミで薬の事を紹介してくれるかもしれないだろうという打算だ。それが結果的に販路拡大へと繋がる。

 グヘヘ、将来的にはドヴァキン製薬みたいな会社とか作っちゃったりして。夢が広がりんぐ。

 

 そうして俺は商人と顔合わせをしたり、自衛隊とイタリカの交渉の翻訳補佐をしたりしてからヘリで帰ることにした。

*1
スカイリム世界におけるMPや魔力

*2
Falloutに出てくるヘリ。カプコン製とタメを貼るほどの紙装甲である。




・イクラ入り水中呼吸の薬
これが需要があるのはスカイリムでもそれが高く売れることの再現ですね。
・錬金薬
蝶の羽と小麦の組み合わせで錬金すればスカイリム実機でもちゃんと体力回復の薬ができます。
・回復魔法について
漫画版ゲート自衛隊73話で「魔法がある世界なら回復魔法とかないのかよ」と言ってたのでこの世界には回復魔法がないと推測。

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スカイリムはどちらのもの?

  • 帝国のもの
  • ストームクロークのもの
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