R18版で100話以上、時系列でパヴァーヌ二章まで書いてるのですが、正直に詰まって来てるので気晴らしに健全版を投稿することにしました。
勿論そのままではなく、そこまでの内容を含めた伏線等や設定を踏まえた加筆や修正、オリ主とのごにょごにょな関係をぼかしたり、過剰な暴力描写を控えた内容にするつもりです。
この小説はオリ主のイカレ具合を楽しむ小説なので、その辺りはあまり変えないようにするつもりです。先生は別にちゃんと存在します。
あと、これは大事なことですが、この作品に特定の生徒に対するアンチヘイトする意図はありません。
では、長々と前書きを失礼します。では、本編どうぞ。
「どうぞ、ここを使ってください。先生」
ノノミに案内されたのは、アビドスの校舎の使っていない部屋だった。
「“ありがとう、ノノミ”」
「いえいえ、アビドスに良くしてくれる先生の為ですから」
アビドス高校が地元の最近
遭難しながらも現地にたどり着き、襲ってきている暴力組織を蹴散らしたのがつい先ほど。
彼女達、対策委員会の問題解決の協力を決めたのがたった今。
先生は暴力組織であるヘルメット団の基地の逆襲するのがこれからだった。
ホシノ達が計画を立てて準備をしている合間に、先生はしばらくの間に滞在する場所に案内されていた。
部屋の中は教室を改装したところなのだろう、机やベッドなど最低限のモノしか置かれていなかった。
だが、先生は何気なくふとした瞬間に違和感を抱いた。
──火薬の臭いがしたのだ。
「“もしかして、最近までここを誰かが使っていたの?”」
その言葉に、ノノミは僅かに表情が引きつったのを見逃さなかった。
「“……どうかしたの?”」
「いえ、先生には話さなければならないでしょうね。
ですが独りでこの話をするのはちょっと」
一人、ではなく、独りで、その僅かなニュアンスを生徒思いの先生は見逃さなかった。
柔和な笑みをいつも絶やさない彼女の表情に、影が差したことも。
「基地への移動は車両を使いますので、その道中にでもお話ししましょう」
「“わかった”」
先生は頷いた。
……
…………
…………
「先生、あの部屋の前の住人について聞きたいんだっけ?」
砂漠の悪路を物ともしないオフロードカーを運転するホシノが、助手席の先生に語り掛ける。
心なしか、後部座席に座る三人にも緊張が走ったような気がした。
「あの人、“アップルマン”さんは──」
「止めてよホシノ先輩、あんなやつのことなんて!!」
セリカの声が、ホシノの言葉を遮る。
その声はどこか悲鳴にも似ていた。
「でも、きっと避けて通れないよ。
先生が、あの人が仕出かしたことを知らないままでいるのは」
「ッ──!! それはそうだけど」
いつも表情の変わらないシロコの意見に、セリカも言い淀む。
『私も、言うべきだと思います』
「アヤネ……」
『私は聞いてほしいです』
通信機のホログラムに投影される彼女は俯いていた。
「“聞かせてくれないか? その人の事を”」
「ええ、聞いてください。
彼と、────私達の罪を」
§§§
「うへぇ、やっぱり今日も冷えるねぇ」
ホシノはその日、アビドスの校舎の周辺を自主的に哨戒していた。
後輩たちに心配かけたくないのでこのことは言っていない。
だから彼女はいつも昼間に眠っている昼行灯で通っていた。
「えっくしゅ!! 今日も敵影は無し、と」
砂漠の夜は昼間とはまた別の側面を見せる。
灼熱と氷点下、二種類の地獄。
ホシノはコートの裾を握り締めて身を縮こませ、体を震わせる。
ヘルメット団が夜襲を仕掛けてくる様子はない。
双眼鏡や暗視スコープを駆使して、高台から索敵する。
「あ、流れ星」
ふとした瞬間、空を見上げると流れ星が見えた。
「うへへ、良いことがありそう」
願いを言う時間なんて当然なく。
ちょっとしたラッキーを明日の後輩たちの雑談の合間に話そうかと思っていた彼女は。
「ッ!! 熱源!!」
暗視スコープが、人型の熱源を捕らえた。
双眼鏡に改めて確認すると、遠くに人影があった。
微動だにしていない。
暗いからよく見えないが、どうやら倒れているようだった。
ホシノは逡巡する。
相手はヘルメット団かもしれない。
カタカタヘルメット団。最近アビドス高校を攻撃する不良集団。
敵意と良心を天秤に掛け、ホシノはすぐに高台から飛び降りた。
「後悔は後からでもいいよね!!」
愛銃を手に、人影に近づいて行く。
ホシノの見立て通りに、それは凍てついた砂漠にうつ伏せで倒れていた。
「……大人?」
そう、大人だった。
キヴォトスの住人や生徒たちとは根本的に異なる体格。
キヴォトスの、外部の存在だった。
倒れている大人の身体を仰向けにひっくり返す。
その顔は人間の身体に、犬か狼の頭部を持った存在だった。
普通の人間から見れば異形の姿は、別にこのキヴォトスでは見慣れている。
だがその身長は二メートル近く、見たことのないどこかの軍服を纏っていた。
そしてなにより。
「こ、これ、血だッ」
その異形の男は、血だらけだった。
明らかに銃創と思しき傷跡が散見され、すぐに処置しなければ出血死は免れないだろう。
ホシノは万一の為に自分用に置いておいた医療バッグを引っ張り出し、応急処置を施す。
「う、うう!!」
男が呻き声を出した。
「しっかりして、意識はある!?」
いつだか読んだ覚えのある手当のマニュアル通りに気付け薬や止血剤を投与する。
うっすらとその瞳が開き、視線がホシノに向けられる。
「て……」
「て?」
「……美しい。天使だ」
「え」
恐らく朦朧とした意識の中で出た言葉なのだろう。
思わず赤面したホシノだったが、すぐに己のやるべきことを思い出した。
「緊急事態、緊急事態!!
皆、寝ているところ悪いけど、急病人だよ!!
処置が必要だから手伝ってねー!!」
ホシノは通信機で後輩たちを叩き起こす。今日はお泊り会だったのが功を奏した。
無線機の向こうでは慌ただしい声が聞こえだしたが、スイッチをOFFにする。
優秀な後輩たちはすぐにこちらの位置情報を特定して駆けつけてくるだろう。
その間に、ホシノは身元の確認のできるモノを確かめようとした。
そして、彼の服から出てきたのは一つの鉄塊。
骨董品のリボルバー銃だった。弾薬はゼロ。
それ以外に、持ち物らしい持ち物は無かった。
状況から考えて、遭難した男が野盗に遭遇。
応戦したが、この銃でキヴォトスの不良たちを相手にするには火力不足だろう。
その結果、重傷を負いここで倒れている。
だが、怪我の具合から考えて、
しかしホシノはそれらしい銃火や銃声を知覚していない。
どこかチグハグな状況。
それに思いを馳せようとしていたホシノだったが。
「ホシノ先輩ッ──!!」
「あ、みんな~、こっちこっち!!」
彼女の後輩たちが医療品を持って駆けつけてきたのだ。
「とりあえず、一命は取り留めたと思います」
アヤネは額の汗を拭ってそう言った。
ホシノは本当に彼女をよく出来た後輩だと思っている。
彼女はマニュアル片手に男の弾丸の摘出と治療、傷口を縫うという大立ち回りをしたのだ。
なので、彼を運び込んだこの部屋は野戦病院さながらだった。
アヤネも、それの補佐をしたノノミも血だらけだ。
「輸血とかは必要無いの?」
「それは大丈夫そうです。
何と言うか、この人、生命力が凄いと言うか──」
「ぐかー」
アヤネの言葉に応えるかのように、男はいびきをかき始めた。
「うそ、麻酔は打ったとはいえ、手術直後にいびきかいて寝てるよ」
勿論アヤネには全身麻酔なんてする技術は無いし、軽い麻酔薬で代用するほかなかった。
その上で手術中に熟睡していると言うのなら、とんでもない胆力としか言えない。
「一応、交代で目を覚ますまで見張りをしましょう」
「そうだねぇ、あっちで待機している二人にも伝えておくよ。
順番と時間はモモトークで送ってね~」
「わかりました」
ホシノはノノミの提案に頷き、教室を後にする。
「ところで、こんな時間まで何をしていたんですか?」
「うへへ、天体観測かな?
ほら、今日は星が良く見えるよ、さっき流れ星も見ちゃったんだ」
「……わかりました、そう言う事にしておきます」
ホシノは深く追及してこないノノミがありがたかった。
「病人食って、何かありましたっけ?」
「とりあえず、すりおろしたリンゴと生理食塩水、薬を届けましょう」
五人だけで知恵を絞り、怪我人を助ける。
彼女達に一体感と充実感があった。
そしてセリカとノノミはホシノを伴って病人の様子を見に行く。
今の時間はアカネとシロコが看病をしているはずだ。
三人が病室になった教室に向かい、ドアを開けると。
「そういやアヤネちゃん、今十五歳なんだって?
ちょうど食べごろだねぇ。おっさんと三年後に結婚しない? 身体だけの関係なら今からでも構わないぜ?」
「け、けけけ、結構です!!」
「そうか。じゃあそっちのシロコちゃんは?
クールでかわいいねぇ、そっちに立ってないでこのベッドの中で将来の家族計画について話し合わないか?」
「ん、遠慮する」
「そっかー、やっぱ女子高生って良いよな。
おっさん的にはもうちょっと青い果実ぐらいが最高なんだが」
病人が、ドアを開けて硬直している三人の方を見た。
「お、おお、おおお!!
そこの猫耳のJK!! めっちゃ俺好みの体型じゃん!!
げへへへ、お小遣いあげるからおっさんとデートしない?」
「死ねぇ、このセクハラオヤジ!!」
セリカ、キレる!!
「落ち着いてセリカちゃん!!」
「相手は病人だってばー!!」
「んがああぁぁ!!」
ノノミとホシノが両側から抑え込んで、彼女が落ち着くのを待った。
「おや、君はたしか昨日の……」
そしてようやく、男はホシノの存在に気づいた。
「美しい、俺の天使。見間違いじゃなかったのか」
男は感慨深そうに天を仰ぎ、そして。
「とりあえずその姿を永久に後世に残したいから、裸婦画のモデルになってくれない? 写真でもいいよ?」
「やっぱり死ねぇこのロリコン親父!!」
この僅かな時間の間で、色々と発育の良いノノミに一切興味を抱いていない筋金入りだった。
そしてそんなノノミが間に入ることになった。
「ご自分の事は思い出されますか?」
「ああ、まさかこんなところに学生が居るとはな。
なんで避難していないんだ? まさか、その格好で戦争に参加しているのか?」
彼の言葉は、彼女達五人にとって支離滅裂だった。
「落ち着いてください。ここはキヴォトスです。
あなたは恐らく、外部から流れてきた大人だと思います。
少なくともこの周辺、広大な砂漠で戦争状態にある勢力はありません」
「きぼ、とす?」
男は、キヴォトスという言葉を案の定知らなかった。
「ご自分の意思で、こちらに来られたのではないのですか?」
「バカな、俺は戦場で!! 殺し合いを、そうだ!!
あいつらは、あいつらはどうなった!? いや覚えてる、覚えている!! 俺は死んだ、死んだはずだ、なんだこれは、なにがどうなってる俺は!!」
「アヤネちゃん、鎮静剤!!」
「わ、わかりました!!」
ノノミの指示に、アヤネはすぐに医療バックから鎮静剤の入った注射器を取り出した。
錯乱する男を四人がかりで抑え、鎮静剤を投与する。
「はあ、はあ、落ち着いた。悪い。取り乱した」
「いえ、心中察します」
「ここから出れるのか?」
「外部との交流があるとは聞いていますが、それがどこでどのように行われているのかは分かりません」
「そうか、学生だもんな。悪かった」
男は遠い目をして、病室の壁を見上げる。
それを聞いた皆は気まずそうになった。
「帰らないと」
男は立ち上がろうとした。
ノノミは慌ててその体を抑えつける。
「待ってください、傷に障りますよ」
「ここが死後の世界じゃないのなら、帰らなきゃならん。
戦友たちを戦場に残している」
そう言った彼は、しかし抗弁することなく力無く肩を落とした。
「いや、思い出した。
誰かに言われたのだ。あれは俺の知らない神だったような気がする。あれはきっと超絶美少女に違いないな、くくくッ。
まあそれに……」
彼は彼女達五人を見た。
いや、その頭上に浮かぶヘイローを見て諦念の笑みを浮かべていた。
「俺にとって、ここは死後の世界なのだろう。俺には、それでいい」
男は力無い笑みを五人に向けた。
「名前」
「ん?」
「名前を教えて」
「ああ、名乗ってなかったか」
シロコに促され、男は洗濯され壁に掛けられた軍服の襟を示した。
そこには、リンゴのエンブレムが部隊章として刻まれていた。
「俺に名は無い。
だが皆は“アップルマン”と、俺を呼ぶ」
それが、男と彼女達五人の出会いで。
現在の一か月前の出来事だった。
あっちの方を読んで下さっている読者の方が居れば分かると思うのですが、この男が急に恋しくなって、健全版なら大丈夫かな、と思った次第です。
加筆以外にも、新しい追加エピソードとかも書く予定ですので、ぜひ読み比べても楽しい話にしたいです。
あっちに大本があるので、更新速度も速くて済みそうですしね!!(本音
とりあえず一章のアビドス編を投稿して、需要が有ったらそれ以降も順次投稿しようかとおもいます。
では、次話へどうぞ!!
あと、連日のように誤字報告して下さっている丸木戸左道様にはこの場を借りて感謝申し上げます。