キヴォトスに墜ちた悪魔 エ駄死Ver   作:やーなん

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今回もAIイラストがあります。
作者は元型月の設定厨なので、オリキャラでも作りこまないと気が済まないのです。

できればお付き合いくださると幸いです。


【オリキャラ生徒紹介】

元SRT特殊学園、Wolf小隊所属の情報処理担当の毒島ウズさんです。
トリコさんと違って、自身の有能さで取り入るタイプの潜入工作員みたいですね!!
主に、姉と慕うフォローをしているのだとか。
でも、何だか彼女を見る目がちょっと異様なような……。

【固有武器】「ケロべロス・バイト」

三つ首の番犬を意味する、ウズの自動拳銃。
トリコと自身を番犬の首とし、もう一つの首の代わりにこの銃がある。
ウズはこの銃を抜く時は潜入工作がバレた時なので、必ず相手を仕留める時に使う。



フェアリーテイルの狼 その2

 

 

 

【絆ストーリー:狂気のレズモンスター、襲来!!】

 

 

 

「“そろそろ待ち合わせの時間だけど”」

 

 今日、先生はトリニティ学園付近のバス停に来ていた。

 ここが今日の当番の子と待ち合わせだったからだ。

 

 モモトークで連絡を事前にすると、非常に事務的な内容でここに集合することになった。

 

 バスがやって来て、女学生を吐き出していく。

 その内の一人が、先生を見た。

 

「ちッ」

 

 ああこの子か、先生は直感で悟った。

 開口一番で舌打ちをされたのは先生でもなかなかない経験である。

 

「毒島ウズです、先生」

 

 狼耳に黒髪ショートの小柄な女の子。

 先生は昨日トリコに聞いた容姿に、彼女が今日の当番である“ムツキ”であることを理解した。

 

「“よろしく、ウズ”」

「気安く名前を呼ばないでください!!」

「“じゃあ、毒島(ぶすじま)さん……”」

「苗字を呼ぶ人とは仲良くなれません」

「“……Wolf2”」

「誇りあるWolf小隊のコールサインを、指揮官でもない奴が呼ばないでください!!」

 

 面倒くさい、先生は既にそう思った。

 

「そもそもなんで私が男なんかと。

 トリコ姉さんも、私が襲われでもしたらどうするつもりなのかと……」

「“そんなことはしないよ”」

「男は皆そう言うんです!!

 ああ穢らわしい、どうせ私の事を脳内でエッチなことをして楽しんでるくせに……」

 

 心底軽蔑するような視線に、先生はモモトークを開いてトリコに事情を説明した。

 すぐに、ウズの携帯電話が鳴った。

 

「あ、トリコ姉さん、はい、はい……はい、わかりました」

 

 ウズは電話口でぺこぺこ頭を下げると。

 

「ちッ、せいぜい私の裸でも想像すればいいんです。

 どうせ私は指一本触れさせるつもりはありませんから」

「“どうしてそんなに邪険にするんだい?”」

 

 先生は既に疲労感に襲われながらも、尋ねた。

 

「昨日、トリコ姉さんが深夜になって帰ってきました!!

 姉さんは何でも無さそうにしてましたけど、口では言えないようなことをされたに違いありません!! こ、殺さなきゃ、穢れを雪がなきゃ!!」

「“誤解だよ!!”」

 

 命の危険を感じた先生はハイライトが消え始めた少女に訴える。

 

「……おかげで私は姉さんと愛を確かめる時間が減りました。

 どうしてくれるのですか!!」

「“悪いけど、そろそろこちらの用事の時間だから”」

「あ、待ってください!!」

 

 先生はこれまで個性的な生徒たちといろいろな接し方を模索し、それぞれに応じた対応をしてきた。

 その先生が、彼女に対する最適解をはじき出した。

 

 即ち、雑でいい、と。

 

 決して面倒になったとか、そんな先生にあるまじき発想ではない。

 この子と真面目に話をするだけ、無駄であると悟ったのである。

 

「“今日の当番の結果は、トリコと彼に報告するから”」

「んな!?」

 

 ウズの顔面が崩壊しかけた。

 

「姉さんだけじゃなく、あのエロ親父にもですって!?」

「“あの二人になんて言われるだろうね”」

「うがぁあああぁぁ!!」

 

 ウズは発狂した。

 が、すぐに真顔に戻った。

 

「分かりました。どうぞウズと呼んでください、先生」

「“よろしくね、ウズ”」

「ちッ」

 

 本日三度目の舌打ち。

 前途多難だな、と先生は思った。

 

 

 

 §§§

 

 

「それで、今日の仕事とは何ですか?」

「“あそこだよ”」

 

 先生はバス停の横にある公園に入った。

 丁度、そこではトリニティ生と思わしきシスターたちが炊き出しを行っていた。

 

「“彼女達の手伝いだ”」

「うっひゃ」

「“うっひゃ?”」

「ああ、いえ、失礼。じゅるり」

「“じゅるり?”」

「さあさあ先生、早く女の園へ向かいましょう」

 

 先ほどまで不機嫌そうな表情だったウズは、天使のような微笑みを湛えていた。

 

「ああ、先生、今日はありがとうございます」

「マリー。今日はよろしく」

「そちらの御方は?」

「“彼女は今日の当番だよ”」

「ウズと言います、よろしくお願いします」

 

 ささっと、ウズは先生を押しのけ、シスターの手を取った。

 

「はい、よろしくお願いしますね」

「えへッ、えへへッ、へへ」

 

 ウズは女性がしていい範囲で絶妙に気持ち悪い笑みで頷いた。

 先生は何とも言えない表情でそれを見ていた。

 

 

「シスター・マリー。えっちですねぇ」

「“なんて?”」

 

 お昼になり少し休憩に入った二人だが、先生はぼそりと呟いたウズの発言を耳を疑った。

 

「世間一般ではあちらのシスター・ヒナタの方がいかがわしい格好をしていると言うんでしょう。

 ですがそんな輩は“わかって”ない。

 見てください、あのシスター・マリーの構成要素全てを。

 清楚、以外の言葉は見つからないでしょう?」

「“う、うん……”」

「世の男どもはきっと、彼女のような清楚なシスターを薄汚い欲望のままに穢す妄想をしているはずです」

「“そ、そうかなぁ”」

「雪景色に積もる処女雪を踏みならすような背徳感が、より情熱を増すのです。

 だから先生も当番と称して、わざわざ“生徒”にして欲望の捌け口にしているんでしょう?」

「“だから誤解だってば……”」

 

 ウズはまるで同類を見つけたようにニヤニヤと笑っていた。

 

「遠慮しなくても良いんですよ。

 えへッ、えへへ、あの白雪のような肌が赤い傷跡だらけになるって想像すると、えへッ、へへ……あ、ちょっと下着が」

「“あ、アウトだよ……”」

「どうかしましたか、先生?」

「“マリー!! なんでもないよ!!”」

「そうでしたか?

 それよりも、先生の持ってきてくれたビラですが、全て配り終えましたよ」

「“あ、ありがとう”」

 

 先生は心を落ち着かせてからお礼を言った。

 そして近くのコンビニで己の尊厳と引き換えに、こっそり下着を買ってきて、女子トイレの入り口に置いて中に避難したウズに受け渡しをした。

 

「……すみません。ちょっとだけ見直しました」

「“気にしないで……”」

 

 程なくして出てきたウズに、先生は疲れ切っているように微笑んだ。

 休憩が終わり、二人はボランティア戻った。

 

「そう言えば、あのビラはなんなのですか?」

 

 程なくして、ウズは先生に問うた。

 ウズは配膳の手伝いをしていたので、先生が近くでビラ配りをしていたのは知っていたが、その内容は聞いていなかったのだ。

 

「“彼から聞いていないかい?

 アビドス社会福祉支援学園のビラだよ”」

「ッ」

 

 ウズは当事者ではない。

 だが、当事者がすぐ側に居た。

 そしてアビドスの一件が彼女達の方向性を決めたと言ってもいい。

 

「“一度道を外れてしまったら戻れない、なんてことはあってはいけないからね”」

「そうですね、先生」

 

 近くで一緒にビラを配っていたマリーが頷いた。

 

「私も支援活動を通して、多くの退学した人たちを見てきました。

 私やシスターフッドがトリニティと言うだけで心無い言葉を浴びせられたこともあります」

 

 マリーは切なそうな表情でそう言った。

 トリニティはキヴォトス有数のお嬢様学校。お金持ちに施しをされるのに嫌悪感を抱く者は少なくないだろう。

 

「ですが、こうして私達が食べ物を支援すれば、一度だけとは言え、他人から奪わなくてもよくなります。

 誰もが進んで、悪事をしたいわけではないのですから」

「シスターマリー……」

 

 ウズは何も言うことが出来なかった。

 彼女も、彼女達も一歩間違えれば同じところに居たのかもしれない。

 どうしようもなく道を外したのかもしれない。他人事ではなかった。

 

「あの、先生、で良いんだよな」

 

 三人の会話が聞こえていたのか、ヘルメットを被った女生徒が歩み寄ってきた。

 いや、元女生徒と言うべきか。その手には、先生が配ったビラが握られていた。

 

「わ、私、元トリニティ出身で、これを被って来たのも、知り合いに会うのが怖くて……」

「“安心して、今の新アビドスにも元トリニティの生徒がいっぱいいるから”」

 

 先生は少女を安心させるようにそう言った。

 

「ほ、ほんとうに、私でもやり直せるんですか?」

「“うん、皆元の所属なんて気にしてない。新アビドスの受け入れ態勢が整ったら、もっと生徒を受け入れていくつもりだよ”」

 

 先生の言葉に、ヘルメットの中ですすり泣くような声が聞こえた。

 

「もし復学が怖いなら、いつでもシスターフッドを訊ねてください。

 我々はいつでもあなたを温かく迎え入れますよ」

 

 少女は何度も何度も、シスターの言葉に頷いた。

 そして、話が終わると彼女は手を振って去って行った。

 

 

 

 日が沈み、先生はウズと一緒にバス停でバスを待っていた。

 

「先生、貴方は誰かを心から愛したことはありますか?」

 

 急に、ウズがそんなことを言い出した。

 

「“まだ、無いかな”」

「私にとって、それはトリコ姉さんでした。一目惚れです」

「“そうなんだね”」

 

 同性を好きになる、そのセンシティブな話に先生は否定も肯定もしなかった。

 ただ彼女のありのままを受け入れた。

 

「私は小隊で一番有能であると思っていますが、実戦では一番足を引っ張っていました。

 何か失敗する度に、トリコ姉さんは私の手を引っ張って、また頑張ればいい、そう言ってくれたんです」

「“だから姉のように慕っているんだね”」

「いえ、それはWolf小隊の伝統というか、隊長を姉と呼ぶ、先代の先輩たちからの習わしみたいなものです」

 

 なるほど、と先生は頷いた。

 

「先生は、絶対に手に入らない相手に恋をしたことはありますか?」

「“残念だけど、そういった経験は無いよ”」

「私は以前、今よりは清楚だったんですよ」

 

 想像できなかったが、先生はとりあえず頷いておいた。

 

「あの男が、──ボスが、私の全てを壊した」

 

 ある種の憎悪が、そこにはあった。

 

「先生にはわかりますか?

 自分がどうしても手に入らないと思った相手を、自分が一番気に入らないと思った相手に、──与えられるという屈辱を」

 

 俯くウズの顔は夕焼けの影となり、見えなかった。

 

「あの男が私達のところに現れて数日、私を含めて四人全員が彼の手腕を認めていました。

 ですが、あの男は言った。

 私達に足りないのは、愛である、と。

 お互いに愛し合い、補完し合うことで、任務に対する集中力や士気を保てるのだと。

 俺がお前たちを愛してやる、そう言いました。

 私はそれ見たことか、と思いました。男なんて所詮、女を欲望の捌け口としか思っていないとね」

「“……”」

 

 だが、それで終わりなら彼女達はあの男の下にはいない。

 

「あの男は、トリコ姉さんに言ったんです。

 私にキスしろ、と。私は心臓が破裂するかと思いました。

 最初の指導であの男は、私達に指一本触れることなく、お互いに愛で結びつかせる方法を教えました」

 

 それを語るウズは恍惚と笑っていた。

 誰かを呪い殺しそうな声音で、それでも笑っていた。

 

「あの男の指導で、私達はどんどんと愛を深めていきました。

 ついにはお互いの全てを、お互いに差し出したのです。

 あの男は悪魔ですよ。私がトリコ姉さんに懸想しているのを見抜いて、このように仕向けたんですから」

 

 そうか、と先生はただただ相槌を打って頷いた。

 あの男は兵士が何を求め、何が必要か把握する能力を有していた。

 そして愛情を兵士の武器とする、外道の所業さえも躊躇わないのだろう。

 

「でも、結局それは愛情では無かった。

 私とトリコ姉さんが情愛を交わすのは、ただの仕事。

 だけど、だけどですよ?」

 

 彼女は先生を見た。

 ウズは何かを、先生に期待しているように見えた。

 

「ある時、あの男とトリコ姉さんが抱き合っているのを見ました。

 私はそれを見て頭が真っ白になり、そして、初めて私は────トリコ姉さんからこっちにおいでと求められた。背徳感を煽る、道具として!!」

 

 彼女は泣いていた。

 それ以上に、笑っていた。

 

 それは、一人の少女の脳が壊れた瞬間だったのだろう。

 

「道具として使われるのも、今の自分になったのも、開き直ればそう悪いモノでもありませんでした。

 あのままずっと、サバイバルを続けていても、私の方から踏み出せることなんてなかった。

 ボスは私からトリコ姉さんを奪い、そして与えた。恨んではいますよ、ですが感謝もしています」

「“愛って、難しいね”」

「ええ、そしてあの男の信念もまた本物でした。

 私に向ける、愛さえも。私は、あの男に魂から屈服するほかなかった」

 

 それが、愛する人を奪われ、同時に得た彼女があの男に従う理由。

 あの男が居る限り、自分は愛する人とずっと恋人のままでいられるのだと。

 

 それはこの少女の狂気ではあった。

 だが、純愛でもあったのだ。

 

「ああ、でもそれはそれとしてカスミちゃんを痛めつけた時はたのしかったなぁ。

 今日会ったマリーちゃんも鞭を打ちたいなぁ。彼女が私の鞭でいやいやと乱れたら?

 こ、興奮してきたぁ!!」

 

 え、今の会話の流れでそれ、みたいな表情に先生はなった。

 

「これからもちょくちょく当番に行きますので、先生のお眼鏡に叶った生徒さんを一緒に調教しましょうね!!」

 

 とりあえず、先生は二度と彼女をマリーに近づけまいと誓った。

 

「はッ!?」

 

 そこで、彼女は何かに気づいたように先生に向き直った。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

「今、私の話を聞いて、厭らしいことを考えましたね!!

 私はあなたの事なんてどうでもいいんです、あなたと一緒に居るだろう女の子に興味が有るんです!!」

「“トリコも大変なんだな……”」

「なんでトリコ姉さんの名前が出てくるんですか!!」

 

 先生は思った。

 よくも、こんなとんでもないモンスターを目覚めさせてくれたな、と。

 

 

 

【オリキャラ設定:毒島 (ぶすじま)ウズ】

 

 身長:143㎝

 部活:Wolf小隊

 年齢:16歳

 趣味:トリコ、投機

 誕生日:7月19日

 

 

 名前の元ネタはトリカブトの毒を“ぶす”と呼び、烏頭(うず)とはトリカブトの一部のことである。

 こんな毒塗れな名前なのに、毒キャラではない。

 モチーフは赤ずきん+ケロべロス+人狼。

 

 トリコと同じく人狼の能力を潜入工作員として見立て、ケロべロスの涎から産まれたトリカブトという伝承を女の子によだれを垂らすところと表現、そして赤ずきんに登場する女の子を襲う狼そのものといった具合である。

 彼女の固有武器【ケロべロス・バイト】の由来もここからきている。

 ちなみに、彼女の誕生日もトリカブトの誕生花の日である。

 

 性格は男性不信の同性愛者。比較的真面目な方であるが、サッディズムで悦楽を覚える性格。

 バディのトリコに一目惚れし、慕っている。報われない恋だと思ているが、主人公のせいで半端に芽が出てしまった結果、脳を破壊されモンスターが誕生してしまった。

 情報分析に秀でて、その分野では有能。そうやって有能さを示して敵に取り入るタイプの工作員である。

 

 ゲーム的にはスペシャル、ポジションはバック、クラスはサポーター。

 トリコを強化するパッシブを持ち、味方にバフを与えるスキル、敵のバフを解除しデバフを付与するEXスキルを持っていそう。

 

 

 

 

 

 




エロ狼から、サディストになったウズは一番割を食ったと思っています。
え、本人は楽しそう? ならええか。

エ駄死版に合わせて、そこそこ内容を修正しました。
あと一回ぐらいイベントを挟みたいですね。その後に二章をやろうと思います。

ではまた、次回!!
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