キヴォトスに墜ちた悪魔 エ駄死Ver   作:やーなん

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今回も後半に追加エピソードがありますが、観覧注意です♪
よく注意して読んで下さい!!




マイフェアレディ

 

 

 

 これはどうなっているんだ、と先生は思った。

 

「ぐがー」

「すぴー」

「むにゃむにゃ」

「すーすー」

 

 男とゲーム開発部の四人が、机を中心に眠っていた。

 

「“……起きてくれないか”」

「ぐが!?」

 

 先生は、とりあえず触れてもセクハラにならない男を揺すって起こした。

 

「んあ? ……先生か。どうした?」

「“一応、心配だから様子を見に来た”」

「ああ……一応言っておくが俺はちゃんと合意を得るからな?

 今も俺たちは夜通しゲームで遊んでただけだ」

「“いずれにせよ、教育に良くない!!”」

「まあまあ、落ち着けよ」

 

 男はルールブックを取り出した。

 

「“TRPG?”」

「やったことはあるかい?」

「“いや、やってみたいと思ってたけど、機会に恵まれず……”」

「じゃあやろうじゃないか!!」

「“だけど……”」

 

 先生はユウカに頼まれて来ていた。

 ゲーム開発部が連日夜通し遊んでいるから、何とかしてほしい、と。

 そして、規則が変わり彼女達も本格的に危機に瀕していると。

 

「ほらこれ、見て見ろよ、“お友達”にもらったんだ」

「“そ、それは!?”」

 

 先生は、目を剝く。

 男が見せたのは、ルールブックの追加サプリメント。要するに追加ルールなどを記した別冊だ。

 

「クトゥルフ神話TRPGのキヴォトス版追加サプリメント、『恐怖と神秘』だ!!

 キャラクリエイトで“生徒”の概念を追加、“大人”の特権や大人のカードのルール化、各種学園・部活動所属に対するステータスのボーナス!!

 キヴォトスならではの銃火器・兵器の大量追加、機械エネミーの追加!!

 サンプルシナリオも充実、邪神召喚を目的とした狂信者プレイも可能だ!!」

「“すごく、やりたい!!”」

「だろう? ささ、こいつらを起こしてやろうぜ!!」

 

 男は先生をゲーム仲間に引き入れると、早速皆を起こした。

 

 

 

 

【お前達はこの世のものとは思えない存在に遭遇した。

 それは怪人、としか表現できない何かだった。

 黒いビジネススーツを纏い、手袋をして地肌の露出を一切見せない。

 肌を露出せざるを得ない頭部は、靄が卵型のように形作っており、まるで目や口を模るように怪光がひび割れたかのように走っていた。

 この世のものとは思えない怪異との遭遇、全員SAN値チェックだ】

『(“どこかで見覚えがある神話生物だな……”)』

 

 子供たちは怪異との遭遇にきゃっきゃしているが、大人たちは身内ネタを楽しんでいた。

 

 

 

「なんてことだ、どうして、この私がキヴォトスを制覇するはずだったのに!!」

 

【ああ、なんということだ。

 マコト議長は、ヒナ委員長を生贄に己が召喚したシュブニグラスに押しつぶされて即死してしまった。

 邪悪なる豊穣の女神と融合したヒナ委員長は、その頭部だけがおぞましい邪神の身体の一部から突き出ていた】

 

「早く、退散の呪文を!!」

「“だがそうすると、ヒナが!?”」

 

【さあ選べ、彼女を救ってキヴォトスを滅ぼすか、キヴォトスを救って彼女を見捨てるか!!】

 

「“大人のカードを使う!!”」

「止めて、それをしたら先生が今度こそ消えちゃう!!」

 

『“退散の呪文の判定を、大人のカードで代用する”』

 

【わかった、その代償にSAN値を10消費しろ。

 それにより先生の正気度はマイナス。キャラロストだ】

 

 男はシュブニグラスのSAN値チェックに成功していればな、と笑った。

 

『“覚悟の上だ!!”』

 

【ではエンディングに移行しよう】

 

 

 

 

『やばいやばいやばい、これワンチャン助からない?』

『お姉ちゃん、ごめん今までありがとう』

『そんなー!!』

 

 判定は、失敗!!

 モモイのSAN値はマイナスに!!

 

【おっと、そう言えばモモイは“生徒”で作っていたな?】

『え、そうだけど? 色々とステータスで有利だし』

『まあ十代でしか作成できないから、技能ポイント少な目だけどね』

 

【ここで追加サプリメントの追加ルール、“反転”が発動する!!

 これは“生徒”のSAN値がゼロになった瞬間、悪堕ちしてその驚異的なステータスのまま敵キャラとしてお前たちに牙を剥くという感動的なルールだ!!】

『そんな、うそだー!?』

『お姉ちゃん、死んでまで私達に迷惑を掛けるなんて……』

『まだ死んでない、キャラロストしただけ!!』

 

【大人のカードがあればキャラロストだけで済むんだけどなぁ。おやおや、先生は今発狂中だったな】

『“うぐぐ……”』

 

【さあ、大惨事の始まりだぁ!!】

 

 

 

「大惨事なのはあなた達よ!!!」

 

 ドン、とユウカが部室のドアを開けて入ってきた。

 

「先生、なんでみんなと一緒に遊んでるんですか!!」

「“ご、ごめんユウカ。つい楽しくて……”」

 

 先生は平謝りしていた。

 

「あなたもです、お客さん!!

 ずっとこの子たちと遊んでばかりで」

「良いんだよ俺は、急ぎじゃないし。

 それに、こいつらが俺のゲームを作るのにふさわしくなるのを待ってるだけだ」

 

 男の言葉に、開発部の三人は顔を見合わせた。

 本当に、彼女達は遊んでばかりで、待つもなにも無いからだ。

 

「それに遊んでばかりじゃないぞ。

 俺らのTRPGの光景は動画編集して動画サイトにあげる予定だ。

 先生、当然あんたとこのセッションも動画にしていいよな?」

「“え、うん、それは構わないけど”」

「よし、話題性ゲット。言質取ったぞ」

 

 男は録音機を確認して、先生の言質を確認する。

 

「とりあえずこれで実績は出来るべ。何か文句あるか?」

「……生憎と、彼女達にはそんな時間は無くなりました」

「なんだって?」

 

 そしてユウカは語った。

 部活動に関する規則が変わったのだと。

 成果を出していない部活動は、廃部にされてしまうのだそうだ。

 そして、ゲーム開発部にユウカは課題を出した。

 ミレニアムプライス、という祭典で最低でも受賞しろ、と。

 

「確かに、TRPGの動画じゃパンチは弱いな。成果ですと言い難いし、成果になるとしても時間が掛かるか。

 はぁ……成果成果って、ケツを叩けばいい結果が出るもんなのかねぇ。

 成果の為に焦って失敗する輩が増えるだけじゃねえのか?」

「成果も出さず、遊興に部費を費やす輩がいるからですよ」

「がはは!! そりゃあしかたねぇ」

 

 男とユウカの会話に、どっちの味方だ、と騒ぎ出す双子。

 

「そう言うわけで、頼みましたよ、先生!!」

 

 バタン、とユウカはドアを閉めて去って行った。

 

「だそうだ、頑張れよお前ら」

「何で他人事なんですか。私達が廃部になったら、オオカミさんの依頼も達成できないじゃないですか」

 

 まるで他人事のような男に、ミドリが咎めるように言う。

 

「廃部になっても、ゲームは作れるだろ。

 俺はお前達を選んだぞ。廃部になろうが退学になろうが、俺にゲームを作ってもらう」

 

 あっけらかんと言う男に、ミドリは言葉を失った。

 まるでそれが当然のように、男は自由だった。

 

「でも、それじゃあユズの居場所が無くなっちゃう!!」

 

 だが、モモイが叫ぶ。

 ユズは青い顔をしていた。

 

「ユズ、まさかイジメられたのか?」

「えっと、その……」

「誰だ、言ってみろ」

 

 震える彼女に、男が問い詰める

 先生は不憫に思い、止めようとしたが。

 

「お前の心を縛るのは誰だ? ミレニアムの校舎に吊るして、二度とお前の前に出れないようにしてやるよ」

 

 思わず、というようにユズは顔を上げた。

 そこに、本気の顔をした男が居た。

 

 本気で、ユズを害したという人間を探し出して、一人残らずその報いを受けさせようとしていた。

 彼女の苦しみを、我がことのように怒っていた。

 

 マズい、と先生は思った。

 ここでユズが誰か一人でも名前を口にすれば、それは現実になるのは目に見えていた。

 自分に不利益を被ってもヤル、誰が止めようとも必ず実行する。それがこの男の生き様なのを、先生はよく知っている。

 

「ち、違うんです」

 

 ユズは俯いて、首を横に振った。

 

「わたし、自分が、わたし達が創ったゲームが批判されるのが、怖くて……」

「馬鹿にされるのが怖くて、ずっと部室に籠ってるのか?」

 

 こくり、とユズは男の問いに頷いた。

 そして。

 

「バカが!!」

「ひう!?」

「千人いたら千人、お前の創るゲームを称賛してくれると思うのか?

 ゲームのレビューなんて、便所の落書きだ、批判されて当たり前だろうが!!

 批判されるのが怖いなら、なぜ公開した!!

 世の中には自分の創作意欲を満たし、作ったらすぐに捨てるような人間だっている。

 お前は自分が創ったゲームで、賞賛されたかった、違うのか!!」

「だって、しらなかったから……」

 

 ユズの両眼から、涙が零れ落ちる。

 

「こんなに、ひどいこと言われるなんて、しらなかった……」

「……そうか。悪かったな」

 

 誰も、二人の間に入りこめなかった。

 

「昔、小説投稿サイトで、たった一件の心無い批判の感想を貰って、更新を断念した作者が居た。

 その後、百件以上の励ましや更新を望む感想があったにも関わらずに、だ」

 

 誰もが、批判に負けずに創作を続けられるわけではない。

 創作とは常に孤独で、自分との戦いなのだから。

 

「ユズ、恐らくそいつに無かったモノを、お前は持っている」

「え?」

「モモイとミドリだ」

 

 その言葉に、彼女はハッとなった。

 男はユズの肩を掴んで、言った。

 

「部長はお前だぞ、ユズ。いつまで仲間に縋っているつもりだ。仲間に甘えてれば、良いゲームが創れるのか?」

「そんなわけ、ない」

「そうだ。よく聞け、お前ら」

 

 男は部員たち三人に向き直る。

 

「テイルズ・サガ・クロニクルはまごうこと無きクソゲーだ。

 ひとつも擁護する気が起きないほど、ゴミカスだ。これを買うカネをどぶに捨てる方が、時間を使わないだけマシな代物だ」

 

 男の遠慮ない言葉に、三人は怖気づくが。

 

「だが、お前たちは同時に、極上の切符を手にしたのだ」

「え? どういうこと」

 

 ミドリが小首を傾げる。

 

「悪名は無名に勝る。悪行ならまだしも、ゲーム業界にはそれは当てはまる。

 この世に見向きもされず話題にもならない凡作や、ゲーム未満のインディーズの作品がどれだけ蔓延ってると思う?

 お前たちは底辺だが、その頂点に立った。それを自覚しろ」

 

 男は真摯に訴えた。

 

「お前たちの次の作品は、否が応でも注目される。

 次はどんなクソゲーを作ったんだ、どれ怖いもの見たさで遊んでやろう、そんな上から目線の連中が期待しているんだよ!!

 そいつらにお前たちが作り上げた真に面白いゲームを叩きつけてやれ!!

 すぐに手のひらを返すぞ、俺はこのチームがクソゲーを作っていた頃からの古参ファンだ、あのクソゲーをやってないのはニワカだ、とな!!」

 

 三人は、男の言葉に衝撃を受けたように固まった。

 

「モモイ、あのシナリオはイカレてる。理解のしようがない!!

 だがそれは強力な、誰も真似できない個性だ。

 お前達が有名になれば、世の間抜けどもは考察サイトや考察スレを立てて、頑張ってお前の脳内を分析しようと躍起になる!!

 そう言った作品にはコアなファンが付くんだ、クリエイターとしてこれ以上の喜びがあるか!?」

 

 モモイはポカンとしたまま、男の言葉を理解しようと呆然としていた。

 

「ミドリ、お前たちの作品を今のうちに限定生産でパッケージ販売しろ。必ずプレミアが付く!!

 十年後、二十年後、お前たちのファンはそれを奪い合うぞ。

 ダウンロードのゲーム全盛期に、究極のファンアイテムだ!!」

 

 こくこく、とミドリは頷くほかなかった。

 

「ユズ、エロゲー業界のクソゲーに、戦極姫というシリーズがある。

 毎年ナンバリングが増えるたびにクソゲー認定される、冗談みたいなシリーズだ。

 そんなクソゲー量産シリーズも、ユーザーの購入と言う有料デバッグを経て改善され、良作にまで改善された。そんな作品にも根強いファンが居たんだよ!!」

 

 ユズは信じられないと言う表情で、男の言葉を受け入れていた。

 

「いいかお前達、お前たちは望まれているんだ!!

 今度こそ良作を作り、見返してやれ!!

 お前たちへの批判は、高く飛翔する前の前振りに過ぎない!!

 お前達のゲームへの愛が本物なら、やれるはずだ。違うか!!」

 

「違わない!!」

 

 モモイが言った。

 

「私達の、すっごく面白い物語は、これから始まるんだよ!!」

 

「うん、最高のゲーム製作をプレイしよう」

 

 ミドリも姉に頷く。

 

「わたしが、皆を連れて行くよ」

 

 ユズも意を決したように顔を上げた。

 

 

 皆の決意に、先生はホッとしたように息を漏らした。

 ふと何かに気づいて先生は部室のドアを開ける。

 

「うう、頑張って、三人とも……」

 

 話が聞こえていたらしいユウカがハンカチで涙を拭いていた。

 

「ああそうだ、先生」

「“どうしたんだい?”」

「戦極姫シリーズなんだが、クソゲーを連発してたって言ったけどな」

「“良作を出すようになったんだろ?”」

「いや、その後またやらかしてな。

 戦極姫6で、主人公以外にもう一人男主人公を出して、それまでのシリーズのヒロインを片っ端から寝取ったらしくてな!! 

 批難轟々で、結局最終的にもう一人の主人公をメーカーが無かったことにしたらしい!! それで見事その年のエロゲー板クソゲーオブザイヤーで初めて大賞作になったらしいぞ!!

 俺はあんたの女には手を出さないつもりだから、事前に言ってくれると助かる。お互いに持ちつ持たれつで行こうや」

「“台無しだよ!!”」

 

 こうしてオチがついたところで、話は次の日に移る。

 

 

 

「おい、お前ら」

「なに、オオカミさん」

「なぜこんなところに来る羽目になったか、説明しろ」

 

 ここは連邦生徒会が立ち入り禁止区域に指定しているエリア。

 なぜここに彼女達が来れているかというと、先生の権力のお陰である。

 

「ここに、G-Bibleがあるからだよ!!」

「この期に及んで、他人を当てにするってのはどういうことだって言ってんだよ!!」

「しょうがないじゃん、後二週間も無いんだから!!

 この時間で新しいゲームが作れると思う? 出来ないよね!!」

 

 男の叱責に、モモイが反論した。

 

「言わんとしたことは分かる。

 俺のダチも、RPGツクールってソフトで簡単なゲームを作った時、一か月掛かったって言っていた。

 10日ぐらいで受賞できるようなゲームなんて難しいだろうさ。

 だがよ、そこはもうちょっと自分たちで努力する姿勢をみせろよ!!」

「すみません、形振り構ってる場合ではないので……」

「まったく、馬鹿馬鹿しい……」

 

 男は、なんでこんなガキどもの為に熱くなったんだ、と溜息を洩らした。

 

「あのロボどもは俺たちが引きつけてやるから、先生こいつらを頼む。その首尾よくそのGガ●ダムとやらを探して来い」

「G-Bible!! ゲームの聖書!!」

「“わかった、任せて”」

 

「お前ら、鉄くずどもを蹴散らすぞ」

 

 了解、と男の指示にWolf小隊の四人が頷いた。

 

 

「はぁ、楽しいねぇ、無限湧きの雑魚キャラ相手にスコアアタックしてるみたいだ!!」

「ボス、弾薬の五割を消費!!

 これを突破し、我々だけで帰還するのは難しいかと。

 一時退却を進言いたしますッ!!」

「じゃあお前たちだけで行け!!」

 

 男はトリコの進言を却下し、己の愛銃でロボットの頭部を撃ち抜いた。

 その間にもWolf小隊は押し寄せるロボットの軍勢に応戦し、破壊していく。

 

「あいつらと合流すれば、こんな雑魚ども造作もない!!」

「ボス、先生たちが侵入した工場跡らしき建物に、ロボットどもは侵入していません。

 あそこで籠城を進言いたします!!」

「ほう、あそこは重要な建物ってことか。使えるな、採用だ!! 総員、駆け足!!」

 

 男を中心に、Wolf小隊は工場跡へと進撃する。

 五人がその入り口に立てこもる準備をしようとすると、あれほど苛烈に攻撃を仕掛けてきたロボットたちは遠巻きに見るだけになった。

 

「どうやら、本当に重要施設らしい」

「ボス、そこに大きな穴が開いています。

 下から先生たちの声も聞こえますので、どうやらトラップに引っかかって落下したものと思われます」

「はあ、なにやってんだあいつら。

 お前ら、ロープで救助してやれ」

「オーケー、ボス」

 

 Wolf小隊がロープを引っかけ、次々と穴の下に降下していく。

 男もロボット達が侵入してこないのを確認すると、同じようにロープから穴の下へと降下した。

 

「た、助かったー」

「なにやってんだ、お前ら」

「どうやって上がるか、考えてたところなんです!!」

 

 男はそんな双子に呆れた視線を向けた。

 だが、すぐに今回のメンバーに居ない人物に目が行った。

 

「うん、君は……」

「未確認の接触対象の増加を確認」

 

 予備のミレニアムの制服を着せられた黒髪の少女を前に、男は気持ち悪いほど素早く移動した。

 

「マイフェアレディ……」

 

 男が機械的な表情の少女に、手を差し伸べる。

 それを見てWolf小隊の面々は、また始まったよ、というような顔になった。

 

我が麗しの少女(マイフェアレディ)よ、君の名を教えてくれ」

 

 まるで意味が分からないとでも言うように小首を傾げる少女を、男は笑みを浮かべて見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 §§§

 

 

【ネタバレが激しすぎるTRPGセッション アリスの正体は預言の破滅

 

 

 

 時間は少し巻き戻る。

 

「とりあえず、コストも掛からないし我々のセッションは動画にして上げる感じにしようと思う。

 上手く人気でも出れば広告収入も得られるだろう」

「それが良いと思います」

 

 男の提案に、ミドリは頷き返した。他の二人にも異論は無さそうだ。

 なお、動画編集の技術なぞ男には無いので、ウズに丸投げするつもりである。

 

「ああ、そうだ、モモイ」

「うん、なあに?」

「とりあえず千年魔導王国物語のシステムはキヴォトスでは珍しいから、それをメインにしたいんだが、キャンペーンのプロットとかあるのか?」

 

 キャンペーンというのは、TRPGにおけるセッションのシリーズの事である。

 例えば舞台設定を自由に設定できるメアリースTRPGでは、千年魔導王国を舞台にしたセッション全般を指すことになるだろう。

 

「うーん、実はね、私達今、部員の最低人数に達してなくてさ、ユウカに部員を増やせって言われてるんだけどさ」

「そうなのか?」

「うん、だからとりあえず部員を増やしたら、セッションでも仲間が加入するわけだけど」

 

 モモイはニヤリと笑って、悪戯でもするようにこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※※※ ここから先は、R18版の現在連載中の章(116話以降)の重大なネタバレを含みます ※※※

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あ、ユズリハ達は全員死にます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「千年魔導王国に予言されている破滅の正体は、────実は加入する新入部員のキャラにしようかなって!!」

 

 ミドリとユズは耳を手でふさいだ。

 これ以上は聞きたくないらしい。

 

「きっとビックリするよ!!」

「おお、ドッキリみたいな? それは盛り上がりそうだな!!」

 

「メアリースTRPGのルールには、魂が無いと魔法が使えないって設定があるんだ!!

 ソードワールド2.0の種族、ルーンフォークみたいに特定の魔法が使えないって解釈だと思うんだけど」

「魔法は魂をランクアップするって設定で、レベルが上がるもんな」

「うん、一応魔王とか登場させようと思ってるんだけど、ミスリード要因だよ。

 魂を得る方法に指定はないっぽいから、じゃあ怒りと憎しみにしようかなって!!

 だから一旦、ユズリハ達は全滅しようかなって」

「なるほど、折角だから双子の最後の切り札も活用できるな」

「ドラマチック!! メイクドラマ!!」

 

 モモイはきゃっきゃとはしゃいでいる。

 

「それで、それでどうなるんだ?」

「うん、最終的にその子だけ生き残って──」

 

 モモイは語る。魂を得る存在が、なぜ破滅になりうるのかを。

 

 

 

「仲間と、一番大切なモノを踏みにじられて、真の魔王と化すんだ!!」

 

 

 

「モモイお前天才だな!! よッ、鬼畜ロリ!!

 レトロゲーのお約束を踏襲するわけか!!」

 

 男の賞賛に、誰が鬼畜ロリだよ、とモモイは殴り掛かった。

 

「まあ、ゲーム開発部はレトロ風ゲームを作ってるからね!!」

「メアリースTRPGは、その設定から魔王軍側プレイも推奨されてる。見事な場面転換だと感心するぞ」

「まあ、それ以降はアドリブかな。細かい設定とか全然決めてないし」

「とりあえずプロットが決まってるのは安心したぞ。行き当たりばったりが一番悪い」

 

「うん、これで動画を見てる視聴者の情緒をぐちゃぐちゃにするんだ!!」

「やればできるじゃないか、モモイ!!」

 

 大声で楽しそうに鬼畜展開を話している二人に、ミドリとユズは大半が聞こえてしまって溜息を吐くのだった。

 

 

 

 

 

 





追加エピソードの元ネタは、「ネタバレの激しすぎるRPG 最後の敵の正体は勇者の父」です。無料の神ゲーなので、是非実況を見るとかでも良いのでやってみてください。後悔はしません。

そしてR18版のネタバレをエ駄死版でやると言うギミック。
もう作者が楽しむだけにやってます。でも二次創作なんて、そもそも作者の自己満足、そんなものでしょう?(作者は狂っていた!!

よーし、それじゃあR18版の続きを書くぞー!!
ではまた次回!!
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