Blue Archive / The Dark Knight: Requiem   作:藤子F藤浪

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9.銀行強盗

「──クソっ!!」

 

ドン、と大きな音を立てて揺れる机。苛立ちを隠せないその男──カイザーPMCは机に置かれた資料が床に零れたことなど気に留めず、大袈裟に椅子に座りなおした。

 

「…………どうかされましたか?」

 

そんな理事の様子を、黒いスーツを着た異形の男──黒服を自称する彼が見兼ねたのか、建前の作法としての行動なのかは定かではないが、床に散らばった紙面を拾い、目を落とした。

 

「……便利屋がアビドスに敗北したことですか。しかし、このデータに不備はありません。ただ単にアビドスの生徒が──」

「それもあるが、違う!……まさか、”奴”が現れるとは…!」

 

黒服の拾い上げた紙面。それはアビドスと便利屋の生徒の戦闘力を数値化し、比較したものだった。それによると勝利は濃厚だった筈の便利屋は敗れ、アビドス側が勝利した。とはいえ、これは理事にとってもここまで大袈裟になって怒るほどの問題ではない。アビドス側に運が傾いたのか、協力者がいると思えば納得できる結果ではある。

 

しかし、それ以上に理事が気にしているのは──

 

「──バットマン、ですか」

 

黒服の持つタブレット端末に再生された動画には、ブラックマーケットにて炎上するアイスバーグ・ラウンジが映し出されていた。少し遡った動画にはラウンジで起こった銃撃戦と、ラウンジのオーナー、ペンギンの部下の断末魔が記録され、そして、既に削除された動画には、ラウンジから颯爽と飛び出すコウモリの格好をした男の姿が確認できた。

 

「………先程、ペンギンから連絡があった。「協力は打ち切らせてくれ」と。どうやら、あのコウモリにやられたらしい」

 

多少は落ち着きを取り戻したのか、理事は深呼吸を繰り返す。しかし、黒服が怒りだと思い込んでいた体の震えは一向に収まる気配はなく、むしろ酷くなっているとも思えた。

 

「ダークナイトなら、やるでしょうね」

 

黒服の知った口ぶりが理事の目を引いた。

 

「彼は最も効果のある行動を即決し、手段を選ばず成し遂げ、恐怖で相手をコントロールしようとする人物です。彼がペンギンを襲撃したのもその考えあってのものでしょう。最近のブラックマーケットの肥大化は目に見えていました」

「面倒な時期に……わざわざ()()ペンギンが連絡する程だ、我々とペンギンの関係は見抜かれているだろうな………」

 

闇銀行から傭兵業まで幅広く事業を広めているカイザーという大企業は、その実キヴォトスでもかなりのグレーな企業であり、ブラックマーケットでペンギンと共謀して事業を展開し、ある程度の権力を持っている時点でそれは明白である。

 

その事実を踏まえて、理事は考える。

果たして、あのコウモリはどこまで介入するのだろうかと。黒服の言う通り、バットマンは手段を選ばない。もしアビドスに対するカイザーの行動が彼の”正義”のラインを超えた時、彼が様々な手段を用いて妨害、抵抗することは間違いない。ラウンジへの襲撃が良い例だ。バットマンが無敵であることは、闇社会の人間だからこそ理解していた。

 

「バットマンとアビドスの繋がりを確認する。場合によっては、PMCの全戦力で敵対するかもしれん。そうなれば勝率は………」

「………仮に肉弾戦で勝てたとしても、彼は常に何らかの対策を持っています。彼を”殺害”でもできれば話は別ですが──」

 

──コツ、コツと廊下から何者かの足音が聞こえ、理事と黒服は会話を切り上げ耳を澄ませる。

足音と共に金属が擦れる音と共に荘厳な理事の部屋の扉は開かれた。

 

扉の先にいたのは──少女だった。

特徴的なオレンジと黒の衣装とマスクを被りながら、腰まで伸びた白い髪が目立つ。更に目を引くのは身に着けている装備だろう。金属製のシャフトから刀、銃まで、あらゆる場面を想定している少女の装備は、理事をもって究極に近い傭兵の姿だった。そして、彼女こそペンギンに紹介された”対アビドス”の秘密兵器とも呼べる存在──

 

「”デスストローク”……いや、スレイド。よく来たな」

「手短に済ませろ。貴様に割く時間などない」

 

デスストロークと呼ばれた彼女がマスクを脱ぐ。以外にも綺麗な顔立ちながら、右目は眼帯に覆われている。可愛げな見た目とは裏腹に、敏腕の傭兵としての風格がそこにはあった。

 

「便利屋がアビドスに敗北したことは知っているか?」

「ああ、だがそれはアビドスの連中の戦力が貴様の予想より強かっただけだろう。たかだか学生の遊びのお遊戯クラブを信じた貴様が馬鹿なだけだ」

「──貴方は違うと?」

 

黒服がそう言い放つと同時に、黒服の喉元には刀が突き付けられた。行ったのは言うまでもなくスレイド。隠すことのない怒りが「見くびるな」という無言のメッセージを伝える。

 

「私をあんなアマチュアと一緒にするつもりか。見る目もなければ、頭も随分軽いらしいな」

「クックック……失礼しました、発言を撤回します。貴方も相応の”神秘”の持ち主のようですね」

 

理事の緊張とは裏腹に、スレイドは素直に刀を収める。彼女の刃の矛先は常に強者に向けたものであり、弱者に興味はない。

 

”自分の最強を証明したい”

 

ただ、それだけなのだ。

 

 

──だからこそ、彼女はその甘言に逆らうことができない。

 

 

「喜べ、スレイド。次の任務はきっと気に入るだろう。お前好みの相手だ」

「…………誰だ」

「”小鳥遊ホシノ”を狙え」

 

 

──嗚呼、スレイドは思わず息を呑んだ。

キヴォトスでも屈指の実力者の名前が、まるで高級フレンチのメインディッシュの様な甘美な響きを持ち、自分を魅力する。

 

”最強の傭兵”と”暁のホルス”

 

軍配があがるのはどちらになるのか。

運命のみがその答えを知っている。

 

「──では、私はこれで。アビドスの急成長の理由でも探ってみます」

 

その言い残し、黒服の姿が闇の中へ消える。

珍妙な存在だ、なんて言うスレイドも立ち会がり消える。

 

部屋に残ったのは理事一人。

その面持ちから表情を察することはできない。

 

彼が何を考え、思い描いたのか。彼自身だけがその答えを知っている。

 

 

 

 

 

 

 

ペンギンから情報を聞き、アイズバーグ・ラウンジを去ったバットマンが向かったのはバットケイブ……ではなく、バットマンのスーツや装備は全てアタッシュケースに仕舞い、ユウリとしてブラックマーケットに潜伏していた。

 

普段の面影も、みすぼらしい服装と深くかぶったフードでカモフラージュされた姿からは到底想像つかないものになり、とてもではないがその正体がキヴォトス有数の億万長者などと思う人間は一人としていない。

 

(さて………)

 

ユウリの目的は二つ。

まず先程ブラックマーケットに出没したという先生と対策委員会に万一の事態が訪れることの予防。ホシノがいるのであまり心配はしていないが、それでも先生はただの一般人。一発の銃弾で致命傷に成り得る怖さもある。強盗、詐欺、恐喝……稀な殺人に至るまで、あらゆる悪事が日常的に行われるキヴォトスの中でも、ブラックマーケットの治安は特に酷い。ここだけの治安ならゴッサムにも匹敵するだろう。

 

そして、銀行のデータからカイザーの集金のルートと目的を把握すること。何故カイザーという巨大な組織がわざわざ力技を選ばずに餓死作戦を取るのか。世間体を気にするにしても、アビドスという廃校寸前の学校に対し、他の学校がわざわざ首を突っ込む可能性もゼロに近く、連邦生徒会も機能しているとは言えない。疑問は大いにある。

 

バットコンピュータと接続された電子コンタクトレンズから情報をリアルタイムで引っ張る。それによると、どうやら先生達はブラックマーケットの闇銀行へ向かっている。会話を聞きたいが、先程から何度も電子端末へのジャックを仕掛けても全て弾かれてしまう。バットコンピュータすら凌ぐそれだけ強力な”何か”があるのだろうが、その正体はおそらく先生の持つシッテムの箱。まさか、対策委員会の端末まで保護できるとは考えていなかった。

 

(敵に回せば厄介だな……)

 

そんな考えが浮かぶのは、少しでもバットマンになれた証拠だろうか。疑え、疑え……自分の中にいる何かが何度も、強く自分にそう囁く。

 

 

高台に移動して上から目視での監視の準備と同時に銀行のカメラをハッキングする。ユウリにしてみればバットマンとして幾千と繰り返した作業に失敗するはずもなく、容易く銀行のシステムを変更し、視界が切り替わる──

 

 

 

 

 

 

「──お待たせいたしました、お客様」

 

スーツを着たロボット、銀行員が近づく先にその少女はいた。長い赤髪の少女、便利屋68の社長である陸八魔アルは、眉間に青筋を立てたまま、それまでの鬱憤を晴らすかの如く盛大に立ち上がり、銀行員を睨みつけた。

 

「なにが「お待たせしました」よ!本当に待ったわよ!六時間も、ここで!」

 

溜まりに溜まった苛立ちが、大雨の後のダムの様に決壊し、一気に溢れ出た。止めどない怒りに、銀行側もたじたじになる……なんてことはなく、ブラックマーケットという立地もあり、こういった手合いには慣れているのか、聞き流す様に相槌を打って一先ずの場を収めようとする。

 

「融資の審査に何で半日もかかるの!?別にウチより先に人もいなさそうだったのに!私の連れは待ちくたびれて、ソファーで寝ちゃっているし!」

「私共の内々の事情でして、ご了承ください」

 

反省するどころか、当然とまで言いたげな銀行員の態度にアルは更なる怒りに駆られそうになるが、自分達が融資を受ける側で、あくまで客の身分。グッと辛抱する。しかし、件の銀行員はそんなアルの様子に一切気を向けることもなく、ソファで眠る便利屋の面々を指さした。

 

「当行の助けが必要なら、辛抱強くお待ち頂く事も大事かと……それとお連れの方ですが、そちらでお休みになられては困ります……セキュリティ、あの浮浪者……いえ、お客様を起こして差し上げなさい」

 

銀行員がそう指示すると、待機していたセキュリティガードがアルを除いた便利屋の三人をたたき起こした。

 

六時間という長い待機時間を過ごしていた中、突然肩を強く揺すられ、叩き起こされた三人は目を白黒させながら目を覚ました。アルはそんな銀行側の態度に苛立ちを隠さず睨みつけるが、肝心の銀行員は相変わらず飄々としている。

 

「さて、では一緒にご確認を。お名前は……陸八魔アル様。ゲヘナ学園の二年生ですね。現在、便利屋68の社長ですか……この便利屋はペーパーカンパニーではありませんか?書類上では財政が破綻していますが?」

「ちゃ、ちゃんと稼いでいるわよ! まだ依頼料を回収できていないだけで……」

「従業員は社長を含めて四名のみですが、室長に課長、そして平社員……これは、肩書の無駄遣いでは?ごっこをしておられるので?」

「そ、それは……肩書があった方が………」

「あとですね、事務所の賃貸料が必要以上に高過ぎます、財政状況にあった物件を見つけて頂かないと」

「ちゃ、ちゃんとしたオフィスの方が仕事だって………」

「………アル様、これでは融資は難しいですね」

 

ハッキリと断言したのは善意故か。気まずそうに眼を逸らした銀行員の先には白目を剥いて狼狽えるアルの姿がある。

 

「まずは、より堅実な仕事に就くことをお勧めします。日雇いや期間工はいかがでしょうか?」

「は?はああ!?」

 

アルにしてみれば侮辱の限りを尽くされ、自分と仲間を心底から舐め腐っている目の前の男に対し、そろそろアルの怒りも沸点を超え、どうしても銃の引き金に指を掛けざるを得ない。

 

(――ムカつく、もう大暴れして銀行のお金持ち出してやろうかしら……?)

 

そんなことを考えながら、しかし冷静になる。

 

(……いや、それは駄目ね。ここからお金を持ち出せたとしてもブラックマーケットから抜け出すのは至難の業。それに、あちこちにマーケットガードがいるし……)

 

銀行内を見渡しても、他の銀行員から武装したマーケットガード、セキュリティガード達がいる。結論はやはり、難しいという一言に尽きる。

 

(でも、意外と大したことない連中かも?私達4人ならなんとか……)

 

アルとしても、実力にはそれなりに自信があった。ましてや、ここにいる他の便利屋メンバーも合わせれば、いくらブラックマーケットの兵士とはいえ、逃げ切る程度なら達成できるのではないかとも思う。

 

(……はぁ、やっぱり無理だわ。ブラックマーケットを敵に回す勇気は……)

 

しかし、行動には移せない。仮に成功しても、その後は?今は良くても、相手は組織。報復を受ければ面倒になる。それに、ここはブラックマーケットのど真ん中。大きな揉め事になれば、”別の何か”が自分たちを狙うかも知れない。

 

(――情けないわね……キヴォトスで一番のアウトローになるって心に決めたのに、私は……)

 

アルの視界が滲む。キヴォトスで一番のアウトローになるという大層な夢を叶える自信も覚悟も今の自分には足りないことを思い知らされた。今の自分を見て、誰がアウトローの称号を与えるのだろうか。今の自分はブラックマーケットという組織に恐怖する惨めな子悪党に過ぎないとすら思わされる。

 

──何事にも縛られず、何事も恐れないアウトロー

 

自分が成りたい自分を想起する。

 

 

「な、何事ですか!? て、停電!?」

 

 

誰かがそう叫んだ。

 

「い、一体誰が、パソコンの電源も落ちてるじゃないか!?」

 

その声が発せられたと同時にけたたましい銃声が鳴り響き、銃弾の雨が真っ暗な銀行内を奔る。

 

「銃声っ!?」

 

ショットガンだろうか、数秒刻みの激しい銃声と共に、マーケットガード達の悲鳴が聞こえる。

数十秒、いやもっとだろうか。通常より遥かに長く感じたその暗闇が明け、銀行内に光が戻った時──そこには、覆面を被った五名の女子生徒と思われる者と、一人の成人男性と思わしき人物が立っていた。

 

「全員その場で伏せて!持っている武器は今すぐ捨てて!」

「言うこと聞かないと、ハチの巣にしますよ☆」

「あ、あはは……皆さん危ないので、伏せてくださいね………」

 

それぞれ2、3、5の数字を付けてメンバーが銀行内の全ての者に警告する。恐ろしいのはその徹底ぶり。少しでも怪しい素振りをすれば躊躇なく発砲し、一瞬で銀行内の空気を恐怖に染めた。

 

「緊急事態!緊急事態!」

「うへー、無駄無駄ー。外部に通報されるシステムは遮断したし、コウモリとペンギンが喧嘩したからマーケットガードも機能してないからね~」

「ほらそこ!伏せて!下手に動くとあの世行きだよ!?」

 

1と4の番号を付けた二人が先程までアルの対応をしていた審査官に銃を突きつけ、床に伏せることを強制する。アルにしてみれば気分爽快だが、その陰で5番の紙袋を被った一人が「お願いですから…ジッとしてください………」と呟く。

 

「うへ~、ここまでは計画通り!リーダーのファウストさん!次の指示をお願い!」

「え、ええ!!?ファウストって……いや、私がリーダーなんですか!?」

 

 

「あの子達って……」

「アビドス…だよね……?」

 

ムツキ、カヨコ、ハルカの三人がソファの裏から顔を出しながら、何とか状況を飲み込もうとする。何故アビドスがここにいるのか……いや、それ以上に何故銀行強盗を働いているのか。借金が滞り過ぎて、とうとう武力で制圧することを選んだのか。あれやこれやを考えて、幻覚かと目を擦ってみても現実は何一つ変化していない。しかも、他のメンバーよりもひと際大きいあの男性、絶対に先生である。その先生が今何をしているか。制圧された銀行員を大人しくさせる為に一人一人にピンを抜いた手榴弾を握らせているではないか。

 

「しっかり握ってくださいね、緩むと爆発する危険性があります……あっ、そこの人、姿勢は楽にしていいですよ。握ってさえいればどうってことはありませんから」

「手慣れてるね~、”ビッグボス”。もしかして経験あったり?」

「昔、世界各地を旅をしている頃に何度か巻き込まれたことがあってね……その時は私がコレを握る側だったよ」

 

ハハハと乾いた笑みを浮かべながら、覆面を被ったビッグボスと呼ばれる男性は手を止めることはない。本当に被害者側だったのかと疑いたくなる手際の良さに、アルを除いた便利屋のメンバーも本当に先生なのか確信を持てなくなりそうになるが、しかしどう考えても先生でしかない。

 

「さあ、そこの貴方。このバッグに詰めて。少し前に到着した現金輸送車の……」

「ヒ、ヒィ…!わ、分かりました!何でも差し上げます、現金でも債券でも金塊でも!幾らでも持って行ってください!」

「そうじゃなくて、集金記録を……」

「ど、どうぞ!これでもかと詰めました!これでどうか、命だけは!」

「あ……う、うーん……」

 

そういう訳じゃ……とは今更言えず、渋々ながらカバンを受け取るシロコ。とはいえ、これで目的のブツは回収できたことに違いはなく、もう銀行に用はない──目線で周りにそう伝え、その意味を汲み取った覆面水着団のメンバーは妙に手際の良い先生を筆頭に周囲を警戒しながら銀行を後にしようとする。

 

「それじゃ逃げるよ~!全員撤収!」

「アディオース☆」

「け、けが人はいないみたいですね…?す、すみませんでした!さようなら!」

 

ホシノを先頭に覆面水着団のメンバーが急ぎ足に退散する。そして、最後、先生は最後尾をついていく途中、突如として振り向くと、天井の照明を銃で撃ちぬいた。当然銀行内は再び暗黒に包まれるが、それこそ先生の狙いだった。

 

「や、奴らを捕まえろ!道路を封鎖して、マーケットガードに通報しろ!一人も逃がすな!」

「し、しかし…!この暗闇じゃ何も……警報装置の場所が分かる者も現在は動けません…!」

 

 

「…………手際良すぎない?」

「す、凄いですね………?」

「こんなの見たら、アルちゃん……あっ、やっぱり」

 

暗闇の中、便利屋の三人がそっとブルブルと震えるアルの顔を覗き込む。数メートル先の視界すら見えない中で、アルの顔だけがはっきりと見える。

 

「かっ、カッコいい………あれが、あれこそが……私の目指した真のアウトロー………!」

 

譫言の様にアウトローという単語を連呼するその様はまるで戦隊ものに憧れる小学生………下手をすれば、それ以上に幼いかもしれない。そんなアルを見て、呆れるカヨコと楽しそうなムツキの死視線が交差する。こうなった状態のアルをどうすればいいのか。アワアワと狼狽えるハルカを置いて二人が考える。

 

そして、二人が出した結論は──

 

((まあ、いっか))

 

暗闇の銀行の中で、アルの呟くアウトローという言葉だけが響いていた。




バットマンの強盗で一番有名なのはきっと多分「ジョー・チル」
バットマンことブルース・ウェインの両親であるトーマスとマーサを殺した中年の男で、他のヴィランの様に特別精神がイカれている訳でもないただの強盗。作品によって違いはあるが、大抵は家族で劇を見る途中、トラウマであるコウモリにビビったブルースが帰りたいと願い、家族で劇場を抜け出して裏路地に入った場面でジョー・チルにより両親が殺されてしまう。映像作品なら「バットマン・ビギンズ」かドラマの「GOTHAM/ゴッサム」が学びやすくはあると個人的な所見。特にバットマン・ビギンズはダークナイト三部作の始まりでもあるので取り合えずバットマンを知りたい!という人にオススメ。
コミックではブルースに最期を穏やかに看取られたり、バットマンがモビウス・チェアという座ると全能になる椅子に座り、神になった状態で刑務所内のチルを脅したり、アメコミ特有のストーリーの展開があったりする。
実はけっこう重要な存在で、彼がいないとバットマンは誕生しないので他のヴィランが更に暴れ、ジャスティスリーグが機能しない等の理由で世界が滅んでしまう。そのことはブルース自身も深く理解しており、過去に戻った際にも歴史を壊さない為に目の前でチルに殺される両親を助けることなくただ傍観する場面もあったりする。可哀そうなバッツ君。ちなみにバットマンが誕生しないと基本的にジョーカーも誕生しない。運命共同体だね♡
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