千代アフター   作:月魄 椛

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前回のあとがきで物語が動くと言ったな、あれは嘘だ。すまない......


03 黒猫亭の現状

 

コンコンと軽いノックの音が鳴る。

 

「お茶をお持ちしました」

 

「月下、扉を開けてやってくれ」

 

「了解であります」

 

「あっわたしが!」

 

「千代ちゃんは座っていると良いであります」

 

そう言いながら月下さんは立ち上がると、とととっと軽い足音を立てながら扉へ駆け寄る。

 

「千代さん、ここでは気負う必要なんかないんですのよ」

 

それは、わたしの頑張りを否定しているようにも、肯定しているようにも聞こえる言葉。

 

けれどわたしは

 

「うん、ありがとう」

 

と反射的に答えていた。

 

気を抜いてしまうと、今住まわしてもらってるお(うち)よりも良い、その居心地の良さにそのまま身を委ねてしまいそうで...

 

そうしたら、わたしの居場所が無くなっちゃうんじゃないかって...

 

...だから無意識のうちに、役に立たなきゃって、頑張らなきゃって思ってたのかもしれない。

 

そう思えたとき、少し肩の力が抜けたような気がした。

 

 

「あら、ありがとう月下」

 

「ありがとうございます、げっちゃん。両手が塞がっててどうしようかと思ってました」

 

「いえ、これくらい気にしなくて良いであります」

 

月下さんが戸を開けたのだろう。

そんな声が聞こえる。

 

「箒星もありがとう。やっぱり機械人形(メカニカ)が使えないのは辛いわね」

 

「僕の方からも一応、軍に掛け合ってはいるんだけどね」

 

機械人形(メカニカ)が使えないってどうしたの?」

 

「ん?あぁ、黒猫亭の機械人形(メカニカ)も軍に回収されちゃってね」

 

「まぁ、状況が状況ですからねぇ」

 

「半分はオーナーの責任と言われても仕方ないであります」

 

「耳の痛い話だよ...」

 

「それを言うならそのうちの半分はあたしたちの責任ね」

 

「そうですねぇ、かぐちゃんの暴走を未然に防げなかったのは、私たちにも非があるんじゃないですか?」

 

「まぁまぁ皆さん、過ぎたことはどうしようもないんですし、わざわざ今話す必要もないでしょう?」

「今話すべきは、“これから”についてなんじゃないですの?」

 

「そうだ。そのためにもまずは灰桜についてだ。千代ちゃんも待たせてるしね」

 

「えっ!?いや、わたしのことは気にしなくて良いですよ!?今日は一日お休みの日なので」

 

「なら最後まで付き合ってくれるかい?灰桜のこと、そして...黒猫亭のこと」

 

「もちろん!」

 

そんな話をしているうちに、3人はお茶の準備を終わらせていた。

 

そして箒星さんはお茶受けにクッキーを出してくれた。

...っていうかこのクッキーあったかいんだけど!?

焼いたの?この短時間で!?

 

お礼とサクサクで美味しいって感想を伝えたら、嬉しそうに笑顔を浮かべてくれた。

 

こんなに優しくて()()()()()のに、みんなどこが怖いんだろう?

 




次回こそ......!
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