千代アフター   作:月魄 椛

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やっと話が進みます。
あと人によってはキャラ崩壊に見えるかもです。


04 灰桜の存在

 

「じゃあ改めて、灰桜の話から始めようか」

 

全員が座ったことを確認したナギさんは、そう話し出す。

 

その一言で(なご)やかな空気は鳴りをひそめてしまう。

 

「まずは...ごめん。僕では灰桜を直せなかった」

 

「「「「「!」」」」」

 

「“みんなと経験した感情を忘れたくない”っていう願いを叶えてあげることどころか、記憶力すら完全には直してあげられなかった」

 

全員が押し黙ってしまう。

 

「レーツェルの論理機関を参考に、補助記憶装置を増設した。そして、そこにバックアップを取るようにした。これで多少は改善されるはずだが、結局は起動してみるまでわからない」

「それに、想像以上に論理機関は損傷を受けていたから、ほかにも何か後遺症が残る可能性はある」

 

「本当に、ごめん。僕の力不足だ」

 

辛そうな表情で頭を下げるナギさん。

わたしたちがその言葉を理解するまでの一拍は、まるで時が止まったかのようだった。

 

「そ...そんな...」

 

灰桜さん...

 

「...お姉様の覚悟は...全て無意味だったと言うんですの!?」

 

「本当に...ごめん...」

 

灰桜さん()、わたしを置いていくの...?

 

「ごめんじゃないですわよ!」

 

夕霧お姉ちゃんたちと同じように...

 

「レーちゃん、ナギさんだって辛いんですよ?」

 

「そ、それはそうでしょうけれど...!」

「だからって許せるわけじゃないですわ!」

 

「うん、僕も謝って許されるものだとは思ってないよ」

 

「...いや...嫌だよ

「わたしを置いていかないでよ...」

 

もう独りぼっちは嫌だよ...

 

「千代ちゃん...?」

 

わたしの溢れた言葉と涙に、最初に気づいた月下さんだった。

 

「ねぇ、ナギさん...本当に、方法は残ってないの...?」

 

どうにかわたしは感情を抑えてそう口にする。

黒い(もや)のように渦巻くこの感情を、勢いに任せて吐き出してしまったら、元の黒猫亭に戻れない気がしたから。

 

「ごめん...僕には無理なんだ...」

「おじいちゃんの資料だって何度も見返しながら、この半年近くの間、そればっかり考えてた」

「それでも...無理なんだ...」

 

「マスター...」

 

その言葉は、わたしたちのほかに、ナギさん自身を納得させるために言ったように聞こえた。

 

「そう...なんだ...」

「ごめん...なさい...わたしのせいで」

 

「千代ちゃんのせいなんかじゃないわよ」

 

そう言う鴉羽さんは今にも泣いてしまいそうな表情をしていた。

 

「ありがとう、鴉羽さん。でも違わないんだ。だって...」

「お母さんも、夕霧お姉ちゃんも...」

「わたしが好きな人、大切にしたい人はね、みんな()()()()()()()()()()()()()()()()から...」

「きっと、灰桜さんも一緒」

「わたしが悪い子だからなんだ...」

 

そう言うと、空気がより一層沈んでしまう。

 

ごめんね、どう返したらいいかわからないよね。

 

そう言おうとしたとき、ふいに月下さんが口を開く。

 

「千代ちゃん...千代ちゃんが頑張り屋さんでいい子なことは、ここにいるみんなが知っているであります」

「...それに、あれは灰桜の意志で機械人形(メカニカ)たちを、灰神楽を止めるために戦ったのであります」

「桜花の...桜花()()の意思を継ぐ者として...」

「千代ちゃんはその意志や決意を(ないがし)ろにするので?」

 

「そんなつもりじゃ...!」

 

月下さんはその小さな手で、いつの間にか固く握られていたわたしの左手を、優しく包んでくれる。

 

「わかってるでありますよ」

「だからこそ、最後まで人騒がせなやつだなって、笑うと良いであります」

「...きっと灰桜も、この様子を見て困ってるでありますよ」

 

「そうね。灰桜は優しい子だもの」

「きっとその方が喜ぶわ」

 

鴉羽さんはそこで一度言葉を区切ると、真面目な顔で続ける。

 

「...あのね、千代ちゃん」

 

「あたしはね。失った時の悲しみは、その存在の大きさが表れると思うの」

「だから千代ちゃんのその悲しみの分だけ、灰桜はきっと千代ちゃんに遺したものがあるはずよ」

「だからたまに思い出してあげて、ただの過去にしないために」

「そして灰桜の“()()”をどうか大切にしてあげて」

 

「なかなか難しいことを言うじゃないか、鴉羽」

 

「でも...」

「それがきっと、あたし達にできる精一杯の弔いなのよ」

 

「...鴉羽さんって意外とロマンチックなんですのね」

 

「いや、そんなことないわよ」

 

「顔が赤くなってますよ〜?」

 

「箒星!?」

 

「かわいいでありますよ、鴉羽」

 

「ちょ!?月下まで!?」

 

いつの間にか、すっかりいつも通りの雰囲気に戻ったのだった。

 




千代ちゃんは、ちゃんと周りを見て行動してるのです。そして、本心を抑えてでも場にあった対応をしちゃうと思うのです。だから、塞ぎ込めるキャパを超えた、千代ちゃんを書きたかったのです。
あくまで“千代”というキャラは崩さずに、年相応の面を書くように意識したのだけれど、どうでしょうか?

んと...絵面変わらなすぎ...
話...進んだ...?w

ストックなくなりました。期間あくかもです。
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