転生したら人気アイドルのセンターになってしまったんだが 作:御馬鹿様
「わあ!かわいい~」
ガヤガヤと騒がしい都会の街中。ある建物に設置されている大型ビジョンには、可愛らしい少女達がダンスをしながら歌っている様子が映されている。
道行く人々は男女問わず足を止め、ビジョンに見入っていた。
「今人気のあるグループだよね。名前なんだっけ?」
「プリズムローズだよ!」
「そうそう、それだ!」
プリズムローズ。
それは今、人気急上昇中の5人組アイドルグループである。
一見するとそれぞれの個性が際立ち、バラバラに見えるのだが、まるで5人で1つのグループのようにまとまっている。
歌もダンスも抜群に上手く、一度聞くだけで思わず聞き入ってしまうような、そんなグループだ。
大型ビジョンで流れているのは新曲のプロモーションビデオである。
「私さ、あんまり女の子のアイドルって好きじゃなかったんだけどさ、なんか‥‥彼女達は違うっていうか、応援したいって思っちゃうんだよね。」
「わかる!歌もダンスも上手だし、曲がすごく耳に残るんだよね~!」
「それにセンターの子が特にかわいいんだよね。さすがセンターって感じで!」
センターの子‥‥それはプリズムローズのリーダーであり、‥‥‥‥‥俺だ。いきなりごめん。でもこれは俺が転生した姿なんだ。
俺の名前は相場 夏目(あいば なつめ)。今の名前な。
転生したと気づいた時は困惑した。男だったのが、いきなり女の子になっていたのだ。そりゃ困惑するだろう。鏡に写る姿はまさに美少女で、その現実を受け止めるには時間が掛かった。
でも時が経つにつれ段々と受け入れていったんだ。そしてこの姿を生かして今世ではアイドルとして生きていこうと決めたんだ。
アイドルになろうと思ったのは理由が2つある。
1つは単純にアイドルが好きだったから。前世ではテレビやネットでよく見ていたし、ライブに行ったりしてグッズを買い漁って、でもそれが楽しかった。1人で踊ったり歌ったりもしていたな。
2つ目は前世で出来なかった事をやってみよう!と思い立ったから。前の俺はアイドルとは縁遠い容姿をしていて、何の努力もせずに普通の生活を送っていた。特に夢や目標もなく、ただ日々を過ごしていただけの普通の人。これはつまらない人生だったと思う。
でも転生後の俺は、せっかく美少女になれた。だからアイドルのオーディションを受けたところ、すんなり一発合格したという訳だ。
だが美少女だから、というだけでアイドルを続けていくのは難しい事。俺は歌やダンス、体型維持や勉強、トーク力も磨くに磨いて自分に出来る事を少しづつ積み重ねていった。
そして、メンバー達からセンターだと認められたんだ。
「夏目、おつかれ!」
「おつかれ~!今日も良かったよ!夏目!」
「ありがとう!みんなも良かったよ!」
いつものレッスンが終わり、更衣室に戻った俺‥‥いや私はメンバー達と談笑していた。
彼女達は、椎名 結花(しいな ゆいか)、西園寺 可憐(さいおんじ かれん)、望月 瞳(もちづき ひとみ)、湊 理央菜(みなと りおな)。
彼女達は私の大切な仲間であり、ライバルでもある。お互い切磋琢磨しながら日々成長しているのだ。
「ねえ見て!新曲のPVの動画の再生数、もうこんなにいってるよ!」
うきうきとした様子で瞳がスマホを全員に見せる。
画面には彼女達の動画が流れており、再生回数も多くファンからのコメントで溢れていた。
(可愛いいいぃ!!!)
(曲ってほとんどメンバーで作ってるんだっけ?すごいよね!)
(ダンスの振り付けもそうじゃなかった??)
(CDだって売れまくってるし、ダウンロード数もえげつない‥‥!)
(もう全員が推しだよ~)
「動画だけじゃなくてCDの売り上げもダウンロード数もうなぎ登りだって!」
「でもホント夏目のおかげだよね。私達がここまで来れたのって。」
結花がしみじみとした顔で言う。
「え?違うよ。皆が頑張ったからだよ。じゃないとここまで来れなかったよ。」
私がそう返すと全員首を横に振った。
「そんな事ないって、夏目がいてくれたから私達こんなに人気になれたんだよ?自信持ってよ!!」
「ありがとう!結花。」
「あ~!結花だけずるい!私もそう思うよ!夏目ちゃんのおかげで今のプリズムローズがあるんだからね!」
そう言って私に抱き付いてくるのは理央菜だ。この子はいつもスキンシップが激しい。まあ嫌いじゃないけど!
「オーディションの時点で夏目さんの実力はプロ並みでしたもの。やっぱり私達のリーダーは素晴らしいです。」
おっとりとした口調で話すのは可憐だ。こうは言ってくれてるけど、曲を作ってくれるのってほとんどこの子なんだよな。
「私もそう思うよ。いつも私達を引っ張ってくれてありがとう!」
最後に、私から理央奈を引き剥がした瞳が笑顔で言う。
メンバー全員、本当に良い子達だ。厳しい練習にもついてきてくれる。
私は嬉しさのあまり感極まって涙が出そうになったが我慢した。
センターだのリーダーだの皆は言ってくれるけど、絶対に私1人では成り立たなかった。
皆がいてくれるからこそ、こうしてアイドルになれたのだ。
そしてこう思う。
転生して良かったと。前世では、こんなに充実した人生なんて送れなかった。
だが、アイドルとしてはまだまだこれから。人気急上昇中だからと言って油断してはいけない。うぬぼれてはならない。
だって。人気になってからが本番なのだから。
これからも、このメンバー達で頑張っていきたい。
私達は、まだまだ上に登ってゆけるのだから!
プリズムローズ♥メンバー紹介!
相場 夏目(あいば なつめ)
年齢16歳、身長167cm。
センターでありリーダー。
おそらく唯一の転生者。多分。
前世は普通の冴えない会社員だった。
前世はうっすら覚えているが死亡した理由は忘れている。
今世では美少女になった事もあり、どんな努力も惜しまないようになった。
髪型は明るい茶色のツインテール。イメージカラーはレッド。
椎名 結花(しいな ゆいか)
年齢15歳、身長156cm。
小さい頃から歌で皆を喜ばせる事が大好き。
そのため歌は得意だったが、ダンスは苦手だったので、猛特訓して今は上手になった。
少しではあるが、歌の作詞もしている。
髪型は金髪のショートカット。イメージカラーはオレンジ。
西園寺 可憐(さいおんじ かれん)
年齢17歳、身長170cm。
おっとりした性格で、実はお嬢様。両親の反対を押し切りアイドルになる。
曲を作る才能があり、プリズムローズの曲はほとんど彼女が作曲している。でもそれを鼻に掛けたりしない。
髪型は黒髪のロング。イメージカラーはパープル。
望月 瞳(もちづき ひとみ)
年齢17歳、身長159cm。
実はただ何となくでオーディションに応募したところ、合格してしまった。
最初は程々で良いとやる気があまり無かったが、夏目やメンバー達に影響を受け、本気でトップアイドルを目指すようになった。
髪型は暗めの茶髪のセミロング。イメージカラーはグリーン。
湊 理央菜(みなと りおな)
年齢16歳、身長161cm。
日本人だが、小さい頃はアメリカで育った。フレンドリーで人懐っこく、スキンシップが激しい。
ダンスも上手。曲の振り付けを任される事も多い。
髪型は黒髪のポニーテール。イメージカラーはブルー。