ところで拙作の雅さんニネヴェ戦で1回刀折ってるんですけど……ま、まぁ妖刀だし自己修復位できるやろ(適当)→修正しました!妖刀は折れてなかった!ヨシッ!
「おーい!」
ニコと抱き合っていると、声が聞こえてくる。
「いやー遅れちゃってごめんねニコ。大丈夫だった?」
声の主を探せば現れたのは一匹のボンプだった。首には『01』と書かれたスカーフを巻いたボンプが短い手を振って必死にアピールしている。そしてトテトテと擬音の付きそうな走り方で側までやって来た。
「プロキシ、遅かったじゃない!……今日はアキラじゃ無いのね」
ニコがそのボンプを抱き上げる。プロキシ……ってことはこの子が邪兎屋と懇意にしてるホロウ案内人なのかしら。てっきり厳つい人物だと思っていたけど、可愛らしい姿をしている。
「あれ、もしかしてお兄ちゃんが良かった?夜通し作業してたから疲れちゃってるみたいでさ……代わりに私がイアス当番ってわけ」
ボンプは『ごめんねー』と両手を合わせて謝るように耳を下げた。あざと可愛い。
そんなことを思っていると突然、アリスの持ち主のお姉さんがプロキシのボンプを持ち上げた。彼女の姿を全く認識していなかったようで、『んなっ!?』と声を上げるボンプ。そしてそれを訝しげに見つめる彼女。
沈黙がしばらく流れ、お姉さんが口を開いた。
「確かに、イアスに間違いない。プロキシ、アキラ、イアス……キーワードを察するに、中身はリンだな?」
「げっ……──んなんな?」
「『人間の言葉を話すボンプは基本存在しない』らしいぞ?」
「うぅ、その通りだよ。というかなんでここに……」
「第一声が『何故ここに?』か?
ボンプちゃんは観念するかのようにお姉さんの腕の中で脱力した。かわいい。
「あんたたち知り合い?」
「……私は『Random Play』の顧客だ、一 応」
ニコの問いにお姉さんが答える。
「あはは……ところで君が例のコルンちゃんだね!よろしく!私はプロキシだよ!」
腕から降ろされたボンプが今度は私の方に来た。
「あ、はい。えっと、宜しくお願いします?」
「やだなー敬語なんて使わなくて良いよ!」
明るく元気のある印象の人。いやボンプね。そのオーラに張り合い私も元気よく答える。
「よろしく。プロキシのボンプさん」
「うん、よろしく。それにしても大丈夫だった?ニコったら心配してたんだよ!『あたし達のコルンがー』って一日中言ってたんだから。ホントニコってば優しいよね。それを指摘されたら照れちゃうのもいじらしいし」
ニコの優しさはつい先程思い知ったばかりなので大袈裟なほど頷いておく。
「ちょっとプロキシ!無駄話はもう良いから早くここから出るわよ」
「はいはい」
ニコが慌てたように話を遮るけれど、彼女の真っ赤な耳を見れば照れているのが丸わかりだった。
ニコは周囲から向けられる生暖かい視線から逃れるように、ホロウの出口へと一歩踏み出す。
──しかし彼女の姿はホロウに残されたままだった。
「あ、あれ?出られないわよ?」
「ちょっと待って。あれ……急激にホロウが活性化してるみたい……」
プロキシさんが無線か何かで通信した後に言う。
「まさか。この工事現場に侵蝕できるような養分なんて殆ど無い。強いて言えば私たち────伏せろッ!」
お姉さんの掛け声に合わせ一同が頭を下げる。反応の遅れた私の頭を彼女は押さえつけ上から覆い被さる。
そして次の瞬間、エーテル光線が頭上を掠めていく。
「次弾来るわよ!」
ニコが叫び、アンビーさんが刀を抜き、盾になるようにみんなの前に立つ。だが光線がアンビーさんに当たることはなかった。
「
温かな感覚とともに半透明のエーテル結晶の結界が私たちを包み込む。結界の外殻触れた光線はあらぬ方向へと弾かれ火花となって散っていった。
孤児院の子、コルンが家出したのが今朝のこと。それから丸一日探し回って、今私たち邪兎屋はホロウの中で攻撃を受けている……人探しの筈が何でこんなことになってるのかしらね?
「見て!あそこにエーテリアス!」
プロキシの指を指す先、光線の飛んできた方向には大きなエーテリアスが居た。
人型で、およそ身長は3メートル程だろうか。図鑑で見たエーテリアスのどれにも似つかない姿のそれは右手に巨大な銃のようなものを抱えている。
「恐らく、羽林組の組長がエーテリアス化したモノだ。確かに死んだと思ったんだがな……」
フードを被った謎の人物──コルン曰くこのホロウでコルンを保護してくれた女性がそう言った。
この結界を張った彼女、不思議な能力を持ってるみたいだけど何者かしら?……今は先にエーテリアスの方を考えましょう。
「羽林組ってコルンを誘拐した暴力団よね?その組長がなんでここに……と言うかギャングのボスってエーテリアス化するジンクスでもあるのかしら?」
頭の中で思い浮かべるのは赤牙組のボス、『シルバーヘッド』のこと。あのときは大変だったわね。プロキシの様子が途中おかしくなって。
「ニコ、もしかしてボス……もといシルバーヘッドの話をしてる?あんな反社と任侠たる赤牙組を比較されるのすら嫌なんですけど……晩年はまぁ、あれだったけど」
そういえば、猫又は元々赤牙組にお世話になってたのよね。
「シルバーヘッドのおっさんはデュラハンになったから、エーテリアスの強さで言えば羽林組の組長の方が上じゃねぇか?」
ビリーのあまりにノンデリな発言に猫又が額に青筋を浮かべ顔を引き攣らせる。
「安心して猫又。シルバーヘッドのデュラハンは強かった」
アンビー。それ全然フォローになって無いわよ。
「フォローありがとうアンビー。ちっとも嬉しくないけど」
猫又も同じ思いだったみたいね。恩師がエーテリアスになった話を聞いたらそりゃそうもなるでしょう。後でビリーとアンビーにはきつく言っておかないと。
「ふむ、見たことないエーテリアスだな。素材の素性を鑑みるに『圧制者』と書いて『ギャングスター』とでも言うべきか……」
フードの彼女が興味深そうにエーテリアスを見ながら言った。名前なんてつけてる場合じゃないでしょう……。
「さて、どうする?プロキシ。何か作戦があるならお手並みを拝見させて頂きたいが」
「まずはあのエーテリアスの攻撃手段を抑えたいかな」
「プロキシ先生、向こうまで距離があるわ。顔を出せば良くて射撃の的、最悪地面の染みよ」
「アンビーの言う通りだね。でもお姉さんなら、あらゆる距離を無視して飛び越える事が出来るんじゃない?『ホロウの女王』のあなたなら」
「「「『ホロウの女王』?」」」
皆がオウム返ししてプロキシを見た。『ホロウの女王』……聞いたことある気がするわ。
「プロキシ、『ホロウの女王』って都市伝説の……よね?この人がそうなの?」
「ご本人のお手並みを拝見させて貰ったら分かると思うよ。ね?」
「随分詳しいな。今度会った時にその口から直接問いただしてやる……3つ数えたら跳ぶ。追撃するか、逃げるかはご自由に」
そう言うと彼女はエーテリアスを観る。雨のように結界に降り注ぐエーテル光線を見つめ隙を伺うように3つ数えた。
「3、2、1──」
「消えた!?」
「いいえビリー、よく見て。彼女はエーテリアスの側よ」
「まさか……瞬間移動?」
ビリー、アンビー、猫又が驚き声を上げる。彼女は文字通りエーテリアスの側に『跳んだ』。
『グルルァァァ──ッ!』
エーテリアスは自らの直ぐ側に現れた存在に気が付き咆哮する。が、気付くのが少し遅かったようだ。
「すまん痛かったか?だがそう叫ぶんじゃない。まるで季節外れの虫の声……いや、害虫の騒音だな」
「あぁ今のお前の状況に丁度よいセリフがあるぞエーテリアス。『腕の一本くらい安いもん』だろう?」
彼女の抜いた透き通るも妖しく輝く刀の刀身が、まるで抵抗も無くするりと通り抜けエーテリアスの腕を切り落とした。
「これで銃は撃てまい?」
こちらに目線を向けて彼女が合図する。
「みんな、今のうちだよ!コルンちゃんは私に任せて援護を──」
「おいおい副店長、援護つってもなぁ……」
「これ、あたしたち要らないんじゃないか?」
「──うっそぉ……」
遠距離攻撃を失ったエーテリアスと彼女が格闘戦を繰り広げているが、終始彼女が圧倒している。その場から一歩も動かないまま、攻撃を刀を持っていない義手でいなし続け……そのまま義手でエーテリアスの腕を掴み取り、捻り上げて投げ飛ばしてしまった。
エーテリアスは土煙を上げて建物の壁に叩きつけられる。
「生身の人間がエーテリアスに力で勝てるってどうなってるのよ……彼女何者なの?」
「ホロウレイダーって凄いのね……!」
「あはは、コルンちゃん?あれがスタンダードって訳じゃないからね。あの人虚狩りの星見雅とタイマン張れちゃう人だから……」
「星見雅、最年少の虚狩りと同等の実力者?そんな人間とプロキシ先生に一体どんな接点が……?」
「そういえばこの間新聞に載ってたわね。『対ホロウ六課、未知のエーテリアスと戦闘の末重傷を負う。独立調査員がもたらしたギリギリの救助劇!?』って。つまり……?」
「副店長。それってつまり……あいつ人類の敵ってことじゃねぇのか!?」
ビリーが両手を頬に当て叫ぶ。
確かに……虚狩りと戦う存在って市政と敵対する存在以外に想像できないわね。それに『ホロウの女王』って名前からして怪しいし。ホロウを操ってこの世界を自分の領土にするみたいな感じかしら。
「いや、違うから!星見雅と戦うことになったのはあくまで場の流れで、彼女自身がエリー都に敵対してるわけじゃないよ!」
「ならプロキシ先生との関係は?これまでの発言から鑑みるに、ただの店主と顧客の関係とは思えない」
「えーっと、あれ……よく考えたら零号ホロウで一度敵対してそれっきり?」
「……え?ホントに大丈夫なのよねそれ?」
「向こうはイアスのこと覚えて無かったから大丈夫だよ多分。一応味方っていうか……これから味方になるって言うか……なって欲しい?」
「「「……」」」
二の句を告げず沈黙する私たち。すると会話に参加せず見守ってたコルンが手を挙げた。
「でも、私を助けてくれたから少なくとも悪い人では無いと思うわ!」
確かに……それもそうね。先入観だけで判断するのも良くないわよね。
「あー、みんな盛り上がってるとこ悪いんだけどそろそろ終わりそうだぞ。ホントに一人でやっちゃったな……」
『ホロウの女王』が一体何者なのか議論していると猫又が水を差す。振り返ればエーテリアスは四肢を切断され達磨になり、彼女の足元に這いつくばっているようだった。
「「「えぇ……」」」
あのエーテリアスの危険度は上から数えた方が早いと思ったのだけれど?ちょっと違う世界の人と思いたいわね。いやそもそも人なのかしら……。
「さて、そろそろ引導を渡してやろうか。一度目は銃殺だったな?二度目も同じじゃ詰まらないだろう……絞首刑で送ってやろう。とびっきりのな──ッ!」
彼女は建物を利用しエーテリアスの首に縄をかけ縛り上げる。エーテリアスは首を絞められ宙に浮く。
さらに彼女は首にかけられたもう一本の縄を今度は下に引っ張る。藻掻き苦しむが声すら上げられず、上と下の双方から引き裂かれるように喉の辺りにあるコアを砕かれ、エーテルの塵となった。
「お前は生きてる間に多くの罪なき人々を苦しめた。故に彼らのために使わせて貰うぞ『圧制者』」
そしてそれは消滅することなく彼女の身体に吸い込まれていく。
「今のは?」
「たぶん、エーテリアスを吸収したんじゃないかな?彼女はエーテリアスを操れるから、ああやって手駒を集めてるのかも」
「マジかよ……」
あたしたちは圧倒されるようにただその様子を見ていた。
『ホロウの女王』……虚狩り以上の実力を持つ彼女はその力を一体何に使うのだろう。そしてプロキシはその力に一体何を求めているのか。
「何をぼーっとしている?元凶が倒れこのホロウは直に消える。早く出たほうが良いぞ」
「一つ聞かせてちょうだい。あんたはその力で何をしようとしてるの?」
「急だな……より良い明日を目指しているだけだ。誰でもそうだろう?力を持っていようがいまいが、目指す先は皆同じ。お前たちは違うのか?」
……って考えても仕方ないわよね。少なくとも今日はコルンが助けることが出来たんだから良しとしましょう。
「そうね、確かに。変なことを聞いてごめんなさい」
「構わない。それじゃあ私は行こう。リンはまたビデオ屋で、邪兎屋もそのうちまた会うこともあるだろう。コルンも元気で」
そう言うと彼女はホロウの裂け目へと消えていった。
「さて、あとは家に帰るだけだねニコ。ところで今回の支払いについてなんだけど」
「ちょーっとプロキシ?それ後で良いでしょ?」
「後って具体的にいつ?そう言っていくつもの支払いがツケになってるんですけど!」
「アンビーさんビリーさん猫又さん。ニコっていつもこうなの?」
「ええ」
「おう」
「うん」
「そっか……うん、私決めたわ!」
【ビデオ屋『RandomPlay』】
あれからコルンは邪兎屋の見習いになった。ホロウレイダーとしては活動しないけれど裏方──特にお金面でのサポートを行うらしい。これで少しは邪兎屋のツケが減ることを友としても債権者としても願うばかりだ。
何はともあれ、今回の事件は一件落着だね。
「おはようリン、今朝のインターノットの記事は見たかい?『治安局、羽林組一斉検挙へ!決め手は謎の人物からの情報提供か!?』だそうだ。軍用のオスプレイまで横流ししてたらしい。怖いな」
「おそようだよお兄ちゃん。きっとその情報提供者は──」
チリン、とドアベルの鳴る音がした。
「あ、お客さんが来たみたい。いらっしゃいませぇぇ!?」
「リン、どうかしたのか……おっと」
「久しぶりだなアキラ、リン。──そしてはじめまして、伝説のプロキシ『パエトーン』」
現れたのはいつぞやの、白いボンプだった。
「調べてみれば案外すぐ見つかったな。だいぶ有名なんじゃないか?」
「こちらこそはじめまして『ホロウの女王』。まぁそっちの仕事もぼちぼちだ」
「昨日の今日ですぐだったね。お話なら裏で聞くよ?」
「あぁ、だがその前に借りていたビデオを返したいんだが?」
「なるほど──一日延滞ですので追加料金がかかります。デポジットから引き落としますね」
「あちゃー、やっちゃったねシロ。初回からこれじゃあ信用にキズがついちゃうよ?」
「昨日行けなかったんだから仕方ないだろう!?」
「ルールはルールですので」
『圧制者《ギャングスター》』
銃器に似た武器を作り出すことの出来る人形エーテリアス。新エリー都の裏社会に於いて名を轟かせた無法者の成れの果て。
【後書き】
これにてキャッチ-ザ-パエトーン終了です。後日談書いたら次行きます。
感想評価お待ちしてます
ちなみにゼンレスゾーンゼロをプレイして
-
いる
-
いた
-
動画で観るだけ
-
したことない