エーテル適性1億点TS転生オリ主   作:妄想壁の崩壊

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筆が……筆が鈍い……。一週間以上空いても死んでなきゃ続き書かいてます。

(1/3)校正。リンの年齢描写について添削しました。


アリス-イン-ワンダーラビット2

 

 

 

 

 

「あんたたちが『名無しのプロキシ』か?デフォルト名なんて今時珍しいな。階級は……『伝説のプロキシ』!?嘘だろその若さで?」

 

ルミナスクエアにあるカフェのテラスで依頼人と対面する。お相手はどうやら高校生のようだ。

 

「まぁね!」

 

これでも『パエトーン』。新米から伝説までランクを上げるなんて朝飯前……ではないけれど、まぁ一ヶ月も有れば達成された。お兄ちゃんが過労でゲッソリしたけれど、コラテラル・ダメージ(必要な犠牲)だ。

 

「名前変えた方がもっと依頼が来るんじゃねぇか?」

 

「変わった結果これになったんだ」

 

「お、おう。そうなのか」

 

彼の疑問にお兄ちゃんが答える。やっぱり名前が足枷になってるみたい。

 

「お兄ちゃんやっぱり名前変えようよ……」

 

「その話はまた後にしよう。一先ず依頼の詳細について聞かせくれるかい?」

 

お兄ちゃんは私を軽くあしらうと依頼人と向き合った。彼は机にあるコーヒーを一口飲む。

 

「えっと、そうだな。あれはちょうど一昨日、学校帰りの事なんだ。俺はいつものように下校してる途中で、雑貨屋でボンプが買い物をしているのを見た」

「それだけならただの日常だけど、一つ違うことがあったんだ」

「そのボンプが人の言葉で買い物をしてたんだよ。『ンナンナ』じゃなくて『あれください、これください』ってな」

 

「ふむ……何か他に気になったことは無いかな?例えば購入したものがおかしいとか、聞こえてくる声に聞き覚えは?」

 

「あー……思い返してみるとそうだなぁ、日持ちする食料とか日用品なんかを大量に購入してたな。もしかしたら田舎に住んでるとか?」

 

田舎……この新エリー都に田舎なんてあるのだろうか?都心から離れた場所は軒並みホロウの中。後は郊外くらい?にしてもボンプ一人で移動出来るような距離じゃない。

 

「なるほど」

 

「続けるぞ。そんで俺は不思議に思ってそいつの後ろを忍び足で追いかけた。路地を通り、塀を越え、角を曲がった先──ホロウの中にそいつは消えていって、流石に追い掛けるのは諦めたんだ」

 

ホロウの中、依頼人が地図で指差す位置を見ればそれは多分クリティホロウ近くの共生ホロウかな。

 

『監視カメラの映像では白いボンプがホロウの中に入って行く様子が確認できます』

 

「お兄ちゃん、間違いないみたい」

 

「よし。なら僕たちがホロウの中でその喋るボンプを探して録音を入手しよう」

 

「お願いするよ。報酬は成功報酬の現物払いでも良いかな?友達と賭けをしてて、今回証拠を手に入れることができたらそれをそのままあげるよ。内容はブロック栄養食を段ボールで10箱にエナジードリンク100本にスナック菓子100袋。あと特別ボンプチケットと映画の優待券」

 

「その内容なら構わないけど、随分バラバラだね?」

 

「友達の親が仕事でもらってくるものばっかりだからな。家では余ってるんだと」

 

「ちなみに君は何を賭けたの?」

 

「インターノットアカウントだよ。消されたら困るからな、頼んだぞ!」

 

「もちろん。僕たちに任せてくれ」

 

「期待しといて!ばっちり解決してくるから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『とは言ったけど、なんにも見つからないね、お兄ちゃん』

 

『マスター、ホロウに突入してからすでに一時間以上が経過しました。これ以上は探索を切り上げ休息を取ることを推奨します』

 

「待ってくれ、まだ他に痕跡が無いか探してみよう」

 

『ほんと、どこ行っちゃったのー?ボンプちゃーん?』

 

「……やっぱりこっちの方にも無いか」

 

ホロウに突入して始めに見つけた足跡を追っていくと、それは前触れもなく突然と途切れてしまっていた。

 

まるでボンプがそこから居なくなったかのように、Fairyでも痕跡を追えないらしい。

 

『今回は誰もエージェントを連れてこなかったけど、大丈夫そう?』

 

『周囲にエーテリアスの気配はありません。またこの共生ホロウの規模は小さく、現在進行系で衰退しておりますので助手二号の懸念が的中する確率はスクラッチで1等を当てる確率より低いでしょう』

 

『言っとくけど、私は人生で二回一等に当たったことがあるんだからね?』

 

「二人とも、新しい足跡だ」

 

足跡を追いかけるが、これも途切れてしまっている。ハズレか?

 

『警告、この先に不安定なホロウの裂け目を検知』

 

いや、どうやらアタリみたいだ。

 

『この先にターゲットは向かったみたいだね、お兄ちゃん。行くなら早く行ったほうが良いかも。早くしないとその裂け目が閉じちゃうよ』

 

すぐに消えてしまいそうな裂け目が目の前で揺らいでいる。もしかして今までの足跡もこうした裂け目を使った結果、途切れていたのだろうか。

 

思い切って裂け目の中へと飛び込んだ。

 

「ここは、零号ホロウ?」

 

『嘘……どうして零号ホロウに繋がる裂け目がこんなところに?』

 

裂け目の先で見えた景色はエーテルの陽炎が揺らめく旧都の姿。工場のような場所の、積まれたガラクタの上に降り立つ。

 

あの場所に現れた共生ホロウなら普通は一旦クリティホロウへと繋がるはずだが……。

 

向こう側から物音が近づいてくる。

 

「すぐに物陰に隠れよう」

 

『マスター、付近に生体反応。どうやら、ボンプが暴徒たちに追われているようです』

 

『お兄ちゃん!あれ見て!』

 

顔を出して覗いてみればボンプが見える。白いボディに丸メガネ、おまけにチェックのジャケット。きっと探していたボンプだろう。

 

その後ろでは複数人の暴徒が追いかけて来ている。

 

『──ンナッ!』

 

白いボンプが躓いて転んでしまった。不味い、追いつかれる。

 

すかさず僕は懐からボール状の投擲物を取り出し、投げた。

 

数少ない持ち運べる道具のうちの一つ。煙幕弾だ。投げられたボールが地面に叩きつけられると破裂し、あっという間に周囲は煙で包まれた。

 

「ゲホッ、な、なんだぁ?」

 

「煙幕だ!クソ、ボンプのくせに悪知恵を働かせやがる!」

 

暴徒たちの視界は遮れたようだ。今のうちに救出しよう。

 

「怪我は無いか?」

 

『ンナンナ……?(貴方は……?)』

 

「一先ず隠れよう。こっちだ」

 

困惑している白いポンプの手を引き、物陰へと隠れた。

 

「大丈夫かい」

 

『えぇ、問題ありません。助けていただきありがとうございます』

 

白いポンプはシャツについた小石を払いながら、凛とした姿勢のまま頭を下げてンナンナと礼を言った。

 

『ちょっと待ってお兄ちゃん。その子普通のボンプだよ?』

 

僕も丁度疑問に思っていたところだ。この子は人の言葉を話していない。

 

「僕はプロキシ。依頼を受けて君のことを探しに来たんだ。君は人の言葉を喋るんじゃないのか?」

 

『依頼?一体どなたが?それに喋ると仰いましたがそれは……』

 

『マスター、暴徒たちの反応が接近中』

 

「静かに」

 

白ボンプの言葉を遮り、耳を澄ました。

 

「どこ行きやがった!」

 

「大人しくしてれば、痛くしないでスクラップにしてやったのによぉ!」

 

物陰から覗いてみれば暴徒たちは悪態をつき、苛立ちを発散するようにそこらの物にあたりながらこちらを探していた。

 

「まだ遠くには行ってねぇはずだ。探すぞ」

 

こっちは袋小路だ。このままではいずれ見つかってしまうかもしれない。

 

「不味いな……どうにか姿が見られないよう移動する方法は無いか?」

 

『無茶言わないでよお兄ちゃん』

 

『いえ、このままでも問題ございません。もう間もなくご主人様がお戻りになる頃ですので……』

 

『マスター、亜音速でこちらに飛来する熱源を感知。衝撃にお備えください』

 

そして降ってくる閃光。大きな質量が衝突する音と再び舞う煙。

 

「どわぁぁぁ!?な、なんだぁ!?」

 

「失礼──近くで私のボンプを見なかったか?」

 

凍てつくような凛とした声、揺らめく灰色のローブを纏い現れたのは、零号ホロウで見た彼女だ。

 

『『ホロウの女王』じゃん!なんでここに!?』

 

『ご主人様をご存知なのですか?』

 

「ご主人様だって?」

 

 

 

「あぁ?こいつあのボンプの持ち主かよ。面倒だし適当にボコすぞ!囲め囲め!」

 

暴徒たちは数人がかりで彼女を袋叩きにするつもりのようだ。

 

……命知らずなのか?

 

そうとしか思えないが、僕たちは以前彼女と出会っているわけだからそう思える訳で。

 

「「──ぐわぁぁぁッ!?」」

 

即落ち二コマ(ワンパンK.O.)。地面を割って現れた、現れた複数の巨大な蛇のようなエーテリアスに彼らは丸呑みにされ一瞬で消えてしまった。

 

 

「チンピラどもめ。……まだ誰かいるな?ホロウの中で私から隠れられると思わないことだ」

 

舌打ちした後、彼女は此方へと足を進めてくる。

 

『あばばばば……どうしようお兄ちゃんこっち来てるぅ……』

 

「よし、投降しよう」

 

『マスターのご冥福をお祈りします』

 

『プロキシ様、そんなに怯えずとも大丈夫ですよ?』

 

白いポンプが僕の背後から飛び出す。危険だと思いすぐに連れ戻そうか迷ったが、どうもそういう訳では無さそうだ。

 

『ご主人様!私です!シロです!』

 

『ホロウの女王』の元へ駆けていく。彼女は白いボンプを抱き上げた。

 

「シロ、そこにいたのか。何処にも行かず待っておけと言っただろう?」

 

『申し訳ございません、暴徒に追いかけ回されてしまいまして……』

 

あの白いボンプ、彼女が持ち主だったのか。あのボンプを探し来ただけなら、このまま隠れてやり過ごせるか?

 

『ほっ……良かった。このままじっと隠れて、彼女が居なくなってからホロウを出よ?』

 

「──ところでお前と一緒にいたそこに隠れてるボンプは何なんだ?」

 

『「バレてる!?」』

 

『ご主人様、そのボンプの方は私を暴徒から救い出してくれた恩人です。ですのでどうか酷いことは……』

 

「いや別に酷いことなんてしないが……とりあえず出てきてくれ」

 

『どうするお兄ちゃん?』

 

「うん。よく考えてみれば、向こうは僕たちの事は知らないはずだ。多分。六課と居た時の姿は見られてないし、普通のボンプのフリをすれば何の問題もない。だろFairy?」

 

『肯定。前回の遭遇時にマスターは彼女と直接対峙しておらず、姿を見られている可能性は低いと推測されます』

 

『おー確かに!』

 

「と言うわけで、一時的にH.D.D解除。あとは頼んだよイアス」

 

『ンナ!?』

 

僕にボンプのフリは無理だ。なら本物のボンプのイアスに任せれば良い。別に無責任に押し付けているのではなくリスクを最大限減らした結果なんだ。許してくれイアス。

 

『えっとぉ……は、はじめまして!僕の名前はイアスだよ!』

 

「お前、何処かで見た気が……?」

 

『おもっきしバレてるじゃん!』

 

おっと、そんなの僕のデータに無いぞとでも言うべきか。

 

「リン落ち着こう。まだだ、まだ泡立てる……もとい慌てる時間じゃない、プランBだ。任せたFairy」

 

『音楽『頑張れマスターと助手二号』を再生します』

 

『いつの間に続編作ったの!?』

 

ジャンジャカと激しめのギターのリズムに乗って流れる合成ボイス。作曲の才能はあるみたいだ、このポンコツAI。

 

イアス、なんとか乗り越えてくれ。

 

『じ、実は僕はあるお店の看板ボンプなんだよね!雑誌にも載ったことあるしそれで見たんじゃないかな?』

 

イアスが18号の話を元に誤魔化しにかかる。勿論流石にイアスを看板ボンプにはしていない。そんなことしたらすぐにうちの店に治安局が来てしまうから。

 

だけどスカーフの番号以外ならうちのメンバーはそっくりだし、意外と行けるか……?

 

『そうですよご主人様。この前雑貨屋で立ち読みなさったじゃありませんか』

 

「あー……そうかな?そうかもしれん」

 

いよいよ私も侵蝕で認知障害でも出たかなとぼやきながら頭をひねる彼女。白いボンプ──シロのフォローもあり、なんとか誤魔化せたみたいだ。

 

「とにかく、シロが助かった。ありがとうイアス」

 

『私からもお礼を申し上げます。イアス様』

 

『どういたしまして!』

 

「お礼をしたいところなんだが、用事があってな」

 

彼女はため息を吐くと続ける。

 

「あの商人(あきんど)、急に休暇とか言い出しよってからに……」

 

『おかげで一昨日買い出しに出ましたけれど、村人さんたちの分は考慮していませんでしたからね……私の配慮が足りていませんでした』

 

「いや、シロのせいじゃない。元はと言えば私が原因でホロウ内の調査員の巡回が増えたんだ。村の人が買い出しに行けないのは私のせいみたいなものだよ、はぁ……」

 

『そんなふうに仰らないで下さい。ご主人様のおかげで村の人たちは暮らせているといつも感謝しているのですから』

 

聞こえてくる会話を察するに、この前の零号ホロウでの出来事の話だろうか?レイ教授は『ホロウの女王』と接触を図るために零号ホロウでの調査頻度を増やすと言っていからその影響だろう。

 

僕たちも報酬のために、毎週の如く探索に勤しんでいる。妹が「ディニー万歳、お兄ちゃんもディニー万歳と言いなさい」って煩いから仕方ない。『そんなこと言ってないよぉ!?』

 

それにしても村人か……彼女は何処かの村にでも住んでいるのか?

 

「イアス、チャンスだ。彼女たちを六分街に案内しよう。会話の中で情報が聞き出せるかもしれない」

 

『了解ンナ!』

 

イアスは頷くと彼女たちに話しかける。

 

『あの、良かったら六分街に来ない?僕はそこに住んでるから案内できるよ!』

 

「六分街、六分街か……これもある種の運命かな。ならイアス、お願いできるか?」

 

彼女はどこか懐かしそうに虚空を見つめると頷いた。

 

『任せて!』

 

「あぁ、近くまでは私が跳ばそう」

 

そう言うと彼女は手を掲げる。掲げた先にはホロウの裂け目が前触れもなく現れた。

 

『前にも見たけど、相変わらず凄い能力だね……一体どうやってるんだろう?』

 

『私の知る限り、彼女のような存在は過去前例を見ません』

 

「だからこそ、少しでも調べるべきだ。もし彼女の能力が利用できたら、僕たちの目的はずっと早く達成できる」

 

『そっか、そうだよね。裂け目なら、例え零号ホロウの奥深くでもひとっ跳びで行けちゃうもん』

 

僕達の目的──零号ホロウにあるヘーリオス研究所を調べ、零号ホロウの真実を暴き、恩師の汚名を拭うこと。

 

今回の遭遇はむしろ幸運だった。

 

星見雅の報告書を読む限りでは、彼女の根幹にあるのは零号ホロウの消滅させると言う目的だろう。僕たちの目的に通ずる所がある。話せば、協力を得られるはずだ。

 

敵対してしまう危険性もあったけれど、彼女とホロウの外で会話できるならそれも限りなく低い。彼女の異能の多くはホロウに依存しているから。

 

裂け目を抜けホロウの出口に近づいていくと彼女は足を止めた。

 

「さて、シロ。この前と同じだ」

 

『承知いたしました』

 

彼女はしゃがみ込み、シロの頭に手を乗せた。何かするつもりなのか?

 

「イアス、今から見ることは誰にも教えては駄目だ」

 

『ンナ……?』

 

現在進行系で観察していることは教えるに含まれないと思いたい。

 

彼女が目を閉じて集中していると、シロの頭に乗せた手から光が漏れ出した。エーテルの輝く光だ。

 

『ンナ、ンナンナ、ンナナナナナナナ──』

 

『ちょ、あれ大丈夫なの!?』

 

シロは論理コアを侵されたボンプのように狂った挙動を示す。

 

光が収まると瞳を閉じたまま彼女は倒れた。イアスが慌てて近寄り介抱としようとすると、彼女はエーテルの裂け目に沈んで消える。

 

『あわわ、シロさん、君のご主人落ちて行っちゃったけど……?』

 

「──よし、準備完了だ」

 

驚くことに、聞こえてきたのは先ほどまでのボンプの声ではない。身体はボンプだがしかし、確かに女性の声だ。

 

『ホロウの女王』、彼女の声。

 

これが喋るボンプの絡繰か、手段は分からないけど僕たちと同じようにボンプを操っている。リンの感が的中したな。

 

「エーテルは魂と深い関係にある。その応用……己の精神、魂を植え付ける技だ。私の肉体はホロウから出られないからな。心配するなイアス。買い出しが終わったら元に戻るから」

 

『な、なにその理論滅茶苦茶すぎない?』

 

『そのような事例は存在しません。ホワイトスター学界の常識を覆す現象です』

 

自我の上塗り、それが可逆の侵蝕だって?

 

これほどの絶技を行っておきながら彼女はなんてことはないと言う風に足を進める。

 

「どうした?ボーっとしてないで早く案内してくれ」

 

『あ、うん。こっちだよ』

 

何にせよまずは彼女と話し、情報を引き出すことが先決だ。六分街に着くまで時間がある。頼んだよイアス。

 

 

 

 

 

 




【後書き】
バーニス来ちゃった。強いんだけどその強さに応えられる敵がもういなんだよなぁ。防衛戦は一回きりだし、もっと強敵増えないかな?感想くれたらンナンナと鳴いて喜びます。

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