前世も現世も、人外に囲まれた人生。   作:緑餅 +上新粉

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今回は『オリジナル成分3、原作成分7』ほどでお送り致します。


File/27.聖剣エクスカリバー

 この世界ではない、見渡す限り赤い地平線が続く異世界にて。

 俺はこんな場所にも何故か存在する酸素を大きく吸い込み、声を張り上げた。

 

 

武具精製(オーディナンス・フォーミング)ッ!!」

 

 

 ざっと千ほどの剣を放射線状に一斉展開し、赤く荒涼とした地を銀で染め上げる。その先へも荒れ狂うように紫電が迸り、走り去った後の場所には剣が突き立った。

 だが、そんな恐ろしい光景に真っ向から挑む影が、一つ。

 

 

「これくらい─────楽勝にゃん!」

 

 

 至極単純な魔力で外側だけを剣として形作っているとはいえ、それは鉄で出来た並の剣よりも頑丈だ。にもかかわらず、迫る銀の凶刃は黒い影を貫く前に、かなり離れているはずのここからでも視認できるくらいの衝撃波を発生させた正拳突きを喰らい、悉く木端微塵となる。

 それもそのはず。何故なら、影の正体は猫(しょう)の一族が一人、黒歌の鋼どころか家を丸ごと吹き飛ばせるくらいの威力を秘めた拳だからだ。今の一撃でざっと二百は飛んでったな。

 俺はそれを確認すると、削られた分を補充するために魔力を足元から再度迸らせ、こっちへ向かって突っ走ってくる黒猫に向かい、五百は超える剣を突き立てる。

 

 

「その手じゃ、時間稼ぎにもならないわよ?」

 

 

 黒歌は大きく跳び上がり、気によって生物が持つ筋力の限界値を果てしなく逸脱させた踵落としを炸裂させる。

 瞬間、隕石かスペースデブリでも落下したかのような爆音とともに地面が弾け、直径五十メートルはあろうかという規模の岩盤が辺り一帯へ降り注ぐ。俺の展開した剣たちはその雨に呑まれ、次々と巨岩の下敷きにされていく。うん。仙術のパワーって恐ろしいね。

 戦々恐々としながら、今度は手に最高純度の魔力を集約させる。

 

 

「オーバーエッジ・Type-σ(シグマ)!」

 

 

 見た目は普通の干将五本、莫耶五本を創造し、それぞれ空中へ放つ。すると、魔術によってあらかじめ飛翔する軌道の操作をしているため、さも意志のある生物のように宙を蛇行し、俺を潰さんと飛来してきた十メートル超の岩たちへ突き立った。

 その瞬間、俺は創造してからずっと止めていた干将莫耶十本の魔力の流れを動かし、その特性を明らかにさせる。とはいっても、実際は何の捻りも工夫も無い────

 

 

「ばァくはつッ!」

 

 

 ─────である。

 具体的に説明すると、干将莫耶は初めから内包していた莫大な魔力に火を点けられ、組み込まれた疑似魔術回路が加速装置として回転できる許容量を超過して大爆発を起こしたのだ。それに巻き込まれた破壊の権化となるはずだった岩たちは、己の持つエネルギーより遥かに極大な力に晒され、無残にも石ころ以下の大きさに成り下がる。

 ....だが、そんな赤い嵐の中を悠々と駆け抜けて来る者がいた。

 

 

「─────なるほど。気で防壁を張ってるのか」

 

 

 まき散らされた数千度はくだらない炎を意にも介さず、黒猫は気の暴風で寧ろ業火を弾き飛ばしながら迫る。つい先ほど格下たる巨岩を焼き尽くした灼熱は、しかし更なる強敵の闊歩に大気もろとも悲鳴を上げた。

 俺はその光景に獰猛な笑みを浮かべ、更にもう一つのオーバーエッジの解放を決断した。

 

 

「オーバーエッジ・Type-ρ(ロー)!」

 

 

 新たに俺の両手で形作られる干将莫耶は、氷が軋み、罅割れるような異音を響かせながら創造された。そのフォルムはオリジナルの流麗さを完璧に失っており、表面はカットグラスのような凹凸さを呈しながらも、光を反射すると綺麗な虹色に輝く。イメージ的には、宝石剣ゼルレッチを大まかな干将莫耶の形と色合いにしたみたいな感じが最も近い。

 俺の手元に出現した、見たことも無い干将莫耶(武器)の姿に驚く黒歌。なに、こいつはそんなに物騒な能力を持ってるわけじゃないから安心してくれ。

 

 

「ふゥッ!」

 

 

 生まれた躊躇を振り払い、黒歌は一切の容赦がない、只の人間が受ければ余りに暴力的なまでの衝撃で、肉片すら残らず赤い霧と化すだろうタイキックを放つ。

 俺はそれを干将のみで迎え撃ち、その軌道を大きく変化させる。直後、耳元で空気を物理的に切り裂く怪音が響き、多少の生理的嫌悪感を覚えた。手元の干将は...折れるどころか傷一つつかない。

 これで大抵の人は気付くだろう。このオーバーエッジで変化した干将莫耶は、異常なまでの堅牢さを誇ることに。何せ、本家のエクスカリバーを弾くつもりで考案されたんだからな!

 俺は続けて白く輝く莫耶を全力で振るい、迫って来た掌底も下段からの逆袈裟切りで上方へ打ち上げる。すると、腕を大きく弾かれた黒歌は身体を浮かせ、目前の俺にわき腹を露出させてしまう。

 

 

「はッ!」

「う、うそっ......ふぎゅ!」

 

 

 勿論それを見逃すはずもない俺は、そこに向かって容赦なく回し蹴りを叩き込む。とはいっても手加減したので、その一撃に問題はなかったのだが...黒歌自身が必死にその攻撃を避けようと無理矢理身体を捻ったお蔭でバランスを崩し、後頭部を思い切り地面に打ち付けてしまった。

 足を滑らせて壁に衝突した猫みたいな鳴き声を上げた黒歌は、プルプル小刻みに震えながら頭を抱え、若干の抗議を含ませた涙目で俺を見上げてくる。

 

 

「い、痛いにゃんコウタぁ...」

「分かった分かった、ちゃんと撫でてやるからそんな目で見るなって」

 

 

 猫耳をしおらせながらの上目遣いは破壊力が凄まじい。いや、今知ったんだけどさ。

 今の事故は俺にも非があるので早々に白旗を上げると、頼りなく手を伸ばしてきた黒歌を胸元まで抱き寄せ、頭を優しく、労わるように撫で擦る。と、いきなり猫耳が天を突きささんばかりに屹立した...かと思うと、再びペタリとしおれる。な、何だったんだ今の。

 

 

「きゅー」

「っと、何だオーフィス...のヘビさん」

 

 

 俺の足をつつく何者かの感触で目を下にやると、そこには無限の龍神・オーフィスから自分の代わりとして遣わせられる黒い蛇が、口に立札を咥えて鎮座していた。ってか、その自分より遙かに大きい立札ドコから出したんだよ....

 興味深い謎現象に首を捻りながらも、彼女(?)の持つ白い木板の表面を見ると、お世辞にも綺麗とは言えない文字でこう書いてあった。

 

 

「なになに?『猫、コウタにくっつき過ぎ。誰がこの空間まで連れて行ってやったと思ってる』....そう言ってるぞ、黒歌」

「そんなの私知らなーい。別に頭撫でてってコウタに頼んでないし、これはコウタ自身の意志にゃん♪」

「シャァー!」

 

 

 小さい身体ながらも、頑張って屁理屈をこねる黒歌へ威嚇を試みているオーフィス。だが、当人は聞こえていないふりをして尚更俺との密着度を増してくる。いや黒歌さん。これ君が自主的にくっついてきてるよね?俺の意志思い切り無視してるよね?

 

 

(まぁ、黒歌が頑張ってくれてるお蔭で、魔力の暴走はここのところ起きてないからな。...これくらいの我儘はいいか)

 

 

 この方法なら、お互いの鍛錬も兼ねて魔力の消費も行える。とはいえ一番の解決法は、俺が体内に流れる魔力の量をちゃんと調節できるようにする事なのだが...今のところは、解決策の影も形も浮かんでこないのが現状だ。

 いつまでも二人に甘える訳もいかないし、そろそろ本格的に考えなければいけないだろう。

 

 自身の足元と胸元の間で繰り広げられる、猫と蛇の激しい睨みあいに極力関与しないよう、俺は明後日の方向を向きながら強く決心した。

 

 

 

          ****

 

 

 

 ─────噂をすれば。という言葉は、恐らくこういうことを言うのだろう。

 

 現在は放課後。

 聞くに、何やら昨日イッセー宅へ無視できない訪問客が来たようで、先方の話し合いを求める要望に応じ、現在はオカルト研究部部室で、その訪問客...紫藤イリナ、ゼノヴィアという名の二人を招き、ソファへ座るようにグレモリー先輩が促していた。

 装いを見る分だと教会関係者か。神聖...というか、純粋な力のようなものをさっきから感じるな。

 俺は敢えて対面せず、少し遠目から状況を観察することにした。そうすれば、不穏な行動をした時には此方が真っ先に動ける。まぁ、ケンカ売られれば拳銃を突き付けて来るようなどこぞのサングラスシスターではないだろうが、用心に越したことは無い。

 何より、今は木場が心配だ。この場の誰でも分かるほどの殺気を漏らし続け、二人へ憎悪の視線を向けている。

 そんな彼を分かっているのかいないのか、一切言葉を詰まらせることなく本題を口にしたのは、紫藤イリナだ。

 

 

「先日、カトリック教会本部ヴァチカン及び、プロテスタント側、正教会側に保管、管理されていた聖剣エクスカリバーが奪われました」

 

 

 その言葉で、俺は思わず確認の声を上げそうになった。またタイミングよく転がり込んできたもんだ。

 一応木場の方へ目を向けてみるが、彼の顔にはあまり驚きがなかった。己の標的が話題の中心へ立ったってのに、随分と反応が薄いな...

 それにしても、複数個所からエクスカリバーが盗まれたというのはどういうことなのだろう。そういう銘の剣が幾つかあるということか...いや、それら全てをひっくるめて一本のエクスカリバーなのか?

 

 

「聖剣エクスカリバーそのものは現存していないわ」

 

 

 グレモリー先輩の言葉に顔を上げると、彼女は俺とイッセーの方を見ていた。どうやら考えている事を悟られたらしい。続けて、先輩は二人へエクスカリバーの出自についても語って貰うよう促し、紫藤イリナがそれを快諾した。

 

 

「ええと、実はエクスカリバーって大昔の戦争で折れたんです」

 

 

 折れた...だと?星が精製したというあの至上の剣が?!────っと、Fateのエクスカリバーじゃないんだった。あぶねぇ、凄い焦った。

 紫藤の言葉を聞いたもう一人の女性は、自分の傍らに置いてあった、呪言のようなものが書かれた布に巻かれている細長い物体を解いた。そして、現れたのは一振りの長剣。

 ....まさか、これが?

 

 

「これが、エクスカリバーだ」

 

 

 その言葉で、周りの雰囲気が一変した。

 この場にいる中で、俺と紫藤とゼノヴィア以外の人物...つまり、純粋なる悪魔の血族や転生悪魔は身の毛もよだつ感覚を味わっていることだろう。何せ天敵と言ってもいいくらいの代物だ。

 

 

「折れてバラバラになったエクスカリバーの破片を拾い集め、錬金術を用い再生を試みた。それによって生まれたのが七本の剣なんだ。...そして、これはその中の一つ、『破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)』」

 

 

 なるほど。この世界ではエクスカリバーが属性分けされた上、分散しているのか。

 わざわざ治したということは、やはりここでもそれなりの名剣だったということなのだろう。出自がアーサー王伝説なのかは知りたくもあるが、この場で持ちかける話題としては脱線の要因になってしまう。

 ゼノヴィアは破壊の聖剣を布に戻し、再び封をした。それによって部室のヒリヒリした余裕のない雰囲気は一度霧散したが、紫藤の取り出した紐のようなものが全員の眼に触れた瞬間、それはまた復活した。

 それは勝手に動き出したかと思うと、形状を日本刀のように変化させた。そして、この刀からも尋常じゃない聖なるオーラが立ち昇る。

 

 

「私のは『擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)』。今みたいに形を自由に変えられるから便利なのよ。こんな風に他のエクスカリバーも固有の能力があるわ。こっちはプロテスタント側が管理してる」

「おい、イリナ。エクスカリバーの能力まで喋る必要はなかっただろう」

「こういうのは誠意が必要なのよ、ゼノヴィア。下手に出る側は極力出せる情報を開示しなくちゃ、信頼関係なんて築けないわ。それに、能力が知られたところで、この場にいる悪魔の方たちに遅れは取らない」

 

 

 自分の腕に相当な自信があるようで、すがすがしい程の表情で言い切る紫藤。それに対し、木場は増々顔を強張らせていく。

 油断ならない状況に一層の注意を払おうと気合を入れ直したところで、グレモリー先輩が泰然とした態度で口を開く。

 

 

「で、奪われたエクスカリバーが、どうしてこんな極東の地に関係あるのかしら?」

「....カトリック教会の本部に残っているのは私のを含めて二本。プロテスタントにも二本。正教会にも二本。残る一本は三すくみの戦争で行方不明...うち、各陣営にあるエクスカリバーが一本ずつ奪われ、連中はこの地に持ち込んだという訳なのさ」

「まぁ、そうくるわよね...で、肝心のエクスカリバーを盗んだ輩は?」

 

 

 ゼノヴィアの発言に返答した先輩は、核心である奪った組織の話題へと移ろうとした。それに対し、ゼノヴィアは少し顔を顰めながら答える。

 

 

「『神の子を見張る者(グリゴリ)』だ」

「堕天使の組織に聖剣を奪われたの?...まぁ確かに、聖剣に興味を持つのは堕天使くらいでしょうけど」

「ちなみに、奪った連中の主犯格は特定している。グリゴリの幹部、コカビエルだ」

 

 

 コカビエル...一応聞いた事はある。とはいっても、『聖書に出て来る天使』ぐらいにしか知識として補完していないが。

 先輩の反応を見る分だと、コカビエルはこの世界でもかなり大きな力を持つ存在のようだ。にしても、エクスカリバーに堕天使とは。悪魔にとって最悪の組み合わせなのではないか?

 

 

「さて、本題だが...今回貴方達に要望するのは、私たちと堕天使の所持するエクスカリバー争奪の諍いに、ここら一帯を根城とする悪魔が一切介入しないこと。有り体に言えば、傍観者役に徹してくれという事だ」

 

 

 ゼノヴィアの発言に渋面を作ったグレモリー先輩は黙っていられなかったのか、机を指で叩きながら苦言を漏らす。

 

 

「それは、私たちが堕天使と手を組んで、貴女たちの邪魔をすると疑っているからなのかしら?....随分と軽く見られたものね」

「『可能性が無い訳ではない』、と見ただけの話しだ。今回の状況は、聖剣という不安分子を神側から剥ぐことが可能だからな。以後の目的は堕天使と差異があるのかもしれんが、少なくとも『奪う』目的は悪魔側の利も一致する。そのIf(もしも)を危険視した私たちは、先手を打って君たちへ忠告しにきた訳だ。手を出せば、幾ら魔王の妹であっても排除する....上からのお言葉だよ」

 

 

 中々皮肉の口上が上手いな、ゼノヴィアは。これは先輩の神経を逆撫でするのに十分な威力だ。

 俺は面倒なことになったなぁ、とライトノベルの主人公みたいな態度で頭を掻いた。

 グレモリー先輩はゼノヴィアと対峙するようにソファから立ち上がり、一切の迷いなく自分は魔王の妹であることに誇りを持っていると明言した。だからこそ兄であるサーゼクスへ泥を塗るような真似は一切しないと。

 それを聞いたゼノヴィアは満足したらしく、先輩の言を尊重するような言葉を口にした。

 

 というか、イッセーがそろそろ限界なんじゃなかろうか。さっきから固有名詞ばかりを会話の中に入れられて、理解が完璧に及ばないレベルに来てるはずだ。

 

 

(でもまぁ、多少場の雰囲気は和らいだか。むぅ、なんとも厄介なことになったもんだ...ってか、客相手にお茶とか一切出してねぇな。一応気を利かせてやっとくか)

 

 

 俺は溜息を吐きながら緊張を緩め、人数分の紅茶の作成に取り掛かる。ちなみに、俺の紅茶やコーヒーを淹れる練度は、姫島先輩に比肩するほどである。グレモリー家でグレイフィアさんの仕込みを受けたことと、喫茶店で少し働いた経験があるお蔭だ。コーヒーの味だったら恐らく彼女を抜かしてるな。

 結局は自画自賛となったことに内心で苦笑いし、温めて置いたカップへ紅茶を注ごうとした、その時。

 

 

「俺はアーシアを守る!お前たちが手を出すって言うんなら、俺が全員敵に回してでも戦ってやる!」

「ほう、それは我ら教会に対する挑戦か?大きく出たものだな」

 

 

 聞こえて来たイッセーの怒声とともに不穏な空気を鋭敏に察した俺は、すぐ部屋へ戻って状況を検めた。

 イッセーがアーシアを庇うように前へ出て、布に包まれた聖剣を持つゼノヴィアから遠ざけようとしている。どうやら神を信仰する者同士で、何らかの拗れがあったのかもしれない。

 そこまで思考を巡らせたところで、事態は突如予想外の方向へ転換した。

 

 

「ちょうどいい。僕が相手になろう」

 

 

 冷め切った声を発する木場が立ち上がり、その手に出現させた剣を持つ。

 

 ─────不味いな、本気だ。止めるか。

 

 先輩たちは木場の豹変ぶりに呑まれ、言葉が出なくなっている。ゼノヴィアは涼しい顔をしてはいるが、挑戦的なイッセーを鎮めるどころかけしかけている手前、望まれれば戦闘行為を承諾するだろう。

 

 

「木場先輩、落ち着け」

「今回ばかりは止めてくれるな、コウタ君。察しのいい君のことだ、もう僕が何を考えているのか分かっているんだろう?それなら尚更だよ」

「なら、尚のこと先輩を止めなきゃ駄目だな。感情に流されて敵の実力を計れていない。...今の先輩じゃ負ける」

 

 

 俺の率直な言葉が勘に触ったか、木場はギリリと歯を鳴らすと、持っていた剣を勢いよく地面に突き立てて激昂した。

 

 

「負けたっていいッ!!剣が砕けても、腕が無くなっても、足が無くなっても!命が僕を動かし続ける限りエクスカリバーをこの手で叩き壊すッ!!」

 

 

 ─────ああ、この分じゃ説得できそうにないな。完全に頭へ血が昇ってる。

 俺はそう結論づけると、木場の腹部を躊躇なく打った。

 

 

「ぐッ?!」

 

 

 全く予期していなかった衝撃で意識を刈り取られた木場は、瞳を見開いた後にその場で頽れてしまう。

 俺は気を失った彼を抱き止め、ソファにまで移動させてから一息つく。そして、誰一人として現状を呑み込めていない中、特定の二人にだけ笑顔を向けて口を開く。

 

 

「いや、騒ぎ立てて申し訳ない。こちらとしてももう厄介事を起こす気は毛頭ないから、お二方も話が終わったのなら、早急に退室して欲しい」

「....ふむ、分かった。彼のためにも、ここは引き下がろう」

「ふぅー、寿命が縮みっぱなしだったよゼノヴィア。もう少しエリートらしく穏便かつスマートに行こうよ」

 

 

 面倒起こしたんだから出てけとも捉えられる台詞だったが、ゼノヴィアは先ほどの木場が見せた形相に思うところがあったらしく、エクスカリバーを持ち直すと紫藤の下へ下がった。そして、何故か視線を俺の方へ向けて来る。

 交錯は二秒程度。それでゼノヴィアは何かを理解したらしい。

 

 

「君、名は?」

「俺は栗花落(つゆり)功太。念のため言っておくが、悪魔じゃない」

「なるほど、人の身でそこまで磨き上げたのか。敬服するよ」

「そりゃどうも。最近分かってくれる人が少なくてね」

『??』

 

 

 俺とゼノヴィアの分かったような会話にクエスチョンマークを幾つも浮かべる皆。説明しようかどうか迷ったが、重要性皆無なので別にいいだろう。

 ゼノヴィアは俺の答えに含み笑いを漏らすと、背を向けた。

 

 

「また会う事もあるだろうが、是非君とは敵対したくないものだ」

 

 

 そう言ってから、彼女は紫藤を連れて部室を後にした。

 




Q. オリ主のオーバーエッジは何種類あるの?
A. ギリシャ文字全部とは言わないけど、結構考えてます。

原作にあったはずのイッセー、木場VSイリナ、ゼノヴィアの戦闘は削りました。同じ内容やってもほぼトレスになるだけだし、オリ主が頭突っ込む理由もないので。
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