白兎は狩人の誓いを   作:自堕落無力

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九話

 

 

 昨日のダンジョン探索ではこのオラリオ内で鍛冶系最大派閥である【ヘファイストス・ファミリア】の見習い鍛冶師であるヴェルフ・クロッゾを助けた事でベルはその彼と鍛冶契約を結び、またLV.2に【ランクアップ】すれば鍛冶師として本格的に道を進める発展アビリティこと『鍛冶』を手に入れられるというのでそれまでの【経験値】稼ぎを手伝う形でパーティを組んだのである。

 

 

 因みにヴェルフから彼の女神はヘスティアと神友であり、オラリオに来たばかりのヘスティアを世話していたと聞いたのでヘスティアに聞いたら、廃教会の手配やバイトの商会と本当に色々とヘファイストスに頼ったのだと告白した。

 

 それとは別に『本当に君はオリンポスの神と縁があるね』とヘスティアは軽く驚いたりもしたが……。

 

 また西のメインストリートにある大きな酒場の『豊穣の女主人』の店員であるシル・フローヴァと縁が出来たのでさっそく、昨日はヘスティアを連れてその店で食事をし、中々に美味しかったので楽しいひと時を過ごす事が出来た。

 

 

 

 そうして翌朝……。

 

「ベル君、色々と可愛がられてるようだね……だからってボクを蔑ろにしたりしないでくれよ」

 

「ふあ、んん……そ、そんな事しませんよぉ」

 

 もう当たり前のようにベルはヘスティアの抱き枕となって寝台の上で一緒に寝ていて、甘く優しい声で囁かれたり、胸の中に頭を抱き寄せられて頭や首元など触られて蕩かされながら眠り、起きてもやはり可愛がられて意識を蕩かされている。

 

 今日は悪戯するかの如く、ベルはヘスティアに弄られて痺れるような感覚を体感させられて蕩かされる。

 

「だよね」

 

 そうしてベルは首元に口づけされた。その後は身支度を整え、朝食を作ってヘスティアと一緒に食べて少しするとバイトに向かうヘスティアと別れながら廃教会を出た。

 

 

 

 今日も回復薬の調達に『青の薬舗』に向かおうと西のメインストリートを歩いていると……。

 

「ベルさーん」

 

「うわっと、シルさん。だから危ないですって!!」

 

 声をかけながらシルが近づいてきたのでベルは振り返ると彼女が飛び込んできたのでベルは急いで受け止めた。

 

「えへへ、でもベルさんは受け止めてくれるって信じてましたから」

 

「ご期待に添えられて嬉しいですが、でもなるべくこういう事は控えてくださいね(殺気が凄いし)」

 

 シルと会話しながらベルは昨日、まだ気にしなければ無視できる視線を浴びせられていたそれが今は鋭く危機感を抱かせる程の強い殺気を込めた視線を浴びせられているので勘弁してほしかった。

 

 どうもシルを警護だかで遠くの建物の上から見ている凄く強い冒険者がいるらしい。

 

 強いと言えば、『豊穣の女主人』の女将であるドワーフのミアとか言う人と店員のエルフにシルと同じヒューマン、猫人の二人も実力者であるのを見ていたが……少なくともミアの強さは図抜けているのをベルは確信していた。

 

 

 

「はーい、でも本当に嬉しかったですよ。ありがとうございます」

 

「ん、も、もう……」

 

 シルはベルの言葉に返事をしながら、髪を撫で回していく。

 

「シル、急に駆け出すなんて……貴方は昨日の……」

 

 すると店の方から薄緑色の短髪に端麗な容姿、尖った耳のエルフの女性である店員がやって来た。

 

「どうも昨日は食事、美味しかったです……僕は【ヘスティア・ファミリア】のベル・クラネルと言います」

 

 エルフが現れた事でシルが離れるとベルは自己紹介を始める。

 

「それはミア母さんが喜びます。私はリュー・リオンと言います」

 

「リュー・リオンっ、じゃあ貴女がアストレア様の「どうして、アストレア様の事をっ!?」今、説明しますから落ち着いてください」

 

 アストレアが気にしていた眷属の名を彼女自身が言っていたのでベルは聞いてみるとリューは凄い剣幕で詰め寄って来た。たまらず落ち着くように言う。

 

「ああ、すみません」

 

 そうして、リューが少し身を引いたので気を取り直すとアストレアとの事を説明する。今は剣制都市ゾーリンゲンという場所を拠点にリューにとっては後輩となる数人の眷属たちと過ごしている事を伝えた。

 

 因みにアストレアが度々その眷属たちを連れてベルに会いに来ていたりするし、ベルが使っている現在の短弓に長弓、短剣は全てアストレアの今の眷属にして団長で鍛冶師であるセシル・ブラックリーザが作ってくれたものでもあった。

 

「そうでしたか……アストレア様の事を伝えてくれてありがとうございます。それと詰め寄ってしまい、すみませんでしたクラネルさん」

 

「いえ、それだけリューさんもアストレア様の事を大事に想っているという事ですから……他にも聞きたいなら店の中でお話ししますし、今後も店を利用するつもりですのでよろしくお願いします」

 

 真摯に謝るリューに同じく真摯な態度で応じながらベルは自然な動作で彼女の右手を自分の手で取り、握手をした。

 

「っ……「あ、ご、ごめんなさい。確かエルフって」いえ……構いません。クラネルさん、貴方は尊敬に値するヒューマンだ」

 

 リューは驚き、ベルはエルフという種族は認めた者以外、肌の接触すら嫌がるほど潔癖性が強い種族であるのを思い出し、謝るもリューはそれを首を振りながら、許し微笑んだ。

 

 リューは潔癖性が強く、やはり認めた者以外は握手すらも投げ飛ばしたりして拒否する程なのだがベルに対して拒否感は全く出なかったのである。

 

「ちょっと、リューもベルさんも良い雰囲気にならないでよ」

 

「あ、ちょ、んむ、や、止めてシルさんっ!?」

 

 ベルはシルによって後ろから顔を揉みくちゃにされたので堪らなかった。

 

「っていうか、男なのにえらい肌すべすべで柔らかいですね、羨ましい」

 

「あうあ、だから止めてぇっ!!」

 

 ベルはシルに揉みくちゃにされ、シルの様子を見ている者からは又鋭く強い殺気を込めた視線をぶつけられたので堪らなかったのだった。

 

 その後はシルから手作りだという弁当を貰う事となり、シルとリューの二人に見送られてその場から去ると『青の薬舗』へと向かった。

 

 

 

「ベル、聞いたよ。あの女に可愛がられているって……駄目だよ、ベル」

 

「へ、ひゃ、ちょ、んぁ……か、噛まないでぇっ!!」

 

 するとアミッドとベルが交流していたのを聞いていたナァーザがベルを招き寄せると抱き締めつつ、耳元や首の周りを舐め始めると首元を甘噛みし、ベルはまるで食べられているような妙な感覚と痺れに悶える。

 

【ミアハ・ファミリア】は【ディアンケヒト・ファミリア】に多額の借金をしている事やそもそもナァーザはアミッドを毛嫌いしているのだという。

 

「やっぱり、美味しい」

 

「だから、止めてくださいってぇっ!!」

 

 ベルを苛め、それに対し反応する彼に刺激されたのかナァーザは本格的に責め始めたのでベルは堪らなかった。ミアハが流石にと介入してくれたので何とかなったが……。

 

 その後、北西のメインストリートにある【ディアンケヒト・ファミリア】の治療院へと向かうベル。ナァーザからは駄目だと言われているが既に縁もあって、回復薬もアミッドの行為で二つも譲られている。

 

 人との交流を大事にしたいベルはだからこそ、此処も利用する事にした。

 

 

 

「ベルさん、来てくれたんですね」

 

「まあ、あれだけ世話になっているので流石に……」

 

「そういう心遣いが本当に嬉しいです」

 

 治療院の中に入れば、アミッドと遭遇しそして彼女に喜ばれた。

 

 結構な値がする高等回復薬を二つほど買うと……。

 

「これはサービスです。また、よろしくお願いしますね」

 

「あふ、あ……ありがとうございます」

 

 

 アミッドに頭を下げるよう指示されたので応じれば、頭を撫でられる。そうして、治療院を出てリリルカとヴェルフとの集合場所に決めているギルド本部へと向かった。

 

 

「ちゃんとパーティを組めているみたいで安心したよ。ダンジョンはソロだと特に怖いところだからね」

 

「それは凄く思います」

 

 エイナは三人のパーティでダンジョンへと向かうベルに笑みを浮かべて送り出すため、頭を撫で回す。

 

 そうして、今回も何か違うものを感じつつ、バベルより降り注ぐ自分をむず痒くさせ痺れさせる銀の視線に応じながらダンジョンへと挑み……。

 

 

 

 

「そろそろ休憩しようか」

 

「はい、ベル様」

 

「お、おう……」

 

 霧が立ち込める場所であり、モンスターが天然武器を使ったり、瞬間的にモンスターが大量に産出されるようになる10階層を越えてヴェルフの到達階層である11階層へとベル達は到達する。

 

 そして、群れを持って狡賢く立ち回るインプや頑丈な甲羅を有する『ハード・アーマード』、大型で怪力を誇るオークや野猿のシルバーバックなどそれぞれ上層域では厄介だったり、強敵であるモンスターを屠っていった。

 

 ベルはそもそも、視界を限られ、あるいは防がれた状況で的を当てる鍛錬を積み重ねているし、感覚も鋭いので霧は何の妨害にもならない。なので容赦なく縦横無尽に駆け跳ね舞い踊りながら、モンスターを射抜いていくし、接近して弓を杖に殴る事で破砕し、矢による刺突で貫いていきながら、近距離で射抜くし、短剣で屠っていく。

 

 最後にリリルカとヴェルフに声をかけながら、視線は向けずに弓だけある方向に向けて番えた矢を放ってその方向に居たモンスターを射抜くとリリルカは平然と応じたが、ヴェルフは絶句した。

 

 そうして、休憩を始めてシルが用意してくれた弁当を食べたのだが……。

 

「(び、微妙な味……シルさん、酒場の店員なのに)」

 

 まるでとにかく沢山の食材を混ぜたような味に微妙な表情を浮かべた。こんなので酒場の店員が務まるのだろうかと心配さえもした程だ……。

 

 ともかく休憩を挟みながら、モンスターと戦い、魔石とドロップアイテムを回収しながら帰還。換金所にて魔石とドロップアイテムの処理をしながらまた、ダンジョンへと向かい、11階層に到達してモンスターと戦闘し、討伐すると……。

 

「本当に素晴らしい技の数々、武神の眷属としてこの命、感服しました」

 

「弓を棒のようにしたり、矢で直接刺したりなんてのにはビビったけどな」

 

「というか近距離で射るのも凄かったよ」

 

 艶のある長い黒髪を結っていて、青紫の瞳、凛々しく美しい容姿の少女が尊敬の込めた表情を浮かべ、同じく敬意の籠った声をベルにかけた。

 

 彼女を追って、大柄の男や前髪で目を隠しがちで人見知りなのを感じさせる少女もベルの戦い方に対して呟く。

 

 自己紹介によると最初に声をかけた少女は【タケミカヅチ・ファミリア】で極東からオラリオに出稼ぎに来たというヤマト・命、大柄の男は団長であるカシマ・桜花、内気な少女で弓を持ち、矢筒を背負っているのはヒタチ・千草である。彼女達に送れて他三名の団員もやって来た。

 

 命ら、彼女たちの主神にして、武技や戦技においては冒険者ですら及ばない程の領域、『神業』を有する男神で武神のタケミカヅチはヘスティアと同じところでバイトをしており、ヘスティアからもタケミカヅチとは神友なのだと聞いている。

 

 今後、一緒にダンジョン探索しようかと話せば、命が食い付いて承諾した。

 

 

 

 その後、バベルから出る前に……。

 

「ベル、今日も良く頑張ったわね……」

 

「んくぅ……ふあぁ……」

 

 休憩室にてリリルカからダンジョン探索が終わった時にされている甘やかしと可愛がりを受ける。その時、リリルカはベルより1歳年上の姉のように振る舞い、ベルを色気も含めて蕩かせているのであった。

 

 

 

 

 そうして……。

 

「シルさん、料理と言うのは基本が大事なんですよ。何でもかんでも使えば良いというものじゃありませんから」

 

「凄いはっきり言われたっ!! うぅ、が、頑張ります……って、もしかしてベルさんって料理出来るんですか?」

 

「基本、祖父と二人暮らしだったので……まあ、僕だって色々と教わりながらだったのでシルさんの場合、お手本となるミアさんに習えるだけ良いと思いますよ」

 

「はぁ~い」

 

 空になった弁当の容器を返しながら、ベルはシルに厳しくアドバイスするのであった……。

 

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