白兎は狩人の誓いを   作:自堕落無力

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十一話

 

 自分の主神であるヘスティアとタケミカヅチが神友だという事から【タケミカヅチ・ファミリア】の団員たちと他派閥同士でダンジョン探索をしに来たベル達。

 

 もっとも彼が現在、パーティを組んでいるサポーターのリリルカもそして、ヴェルフも他派閥同士ではあるが……。

 

 そして、【タケミカヅチ・ファミリア】が探索経験が何度かあるのもあって『中層域』の始点となる13階層へと挑んだベルは数十はいるモンスターの大規模の群れが冒険者達を襲おうとしていたのを救うために奮戦し、勝利した。

 

「良ければ、魔石とドロップアイテムをどうぞ。この借りは僕たちがピンチになった時に返してもらえればそれで良いので」

 

 冒険者達の救出へと駆けつける時、元から収穫しているドロップアイテムと魔石が持ち運べない程になっていて帰還するところであったためにどのみち大量に転がっているモンスターの死体から魔石とドロップアイテムをベル達では回収できなかったので借りという事でベルは救出した冒険者達に譲った。

 

「分かった。出来る限り力になるぜ」

 

「こうまでされちゃあな」

 

「命の借りは命で返させてもらうわ」

 

 冒険者達は借りを返す事を誓いながらベルに礼を言う。そうして皆でダンジョンからバベルへと帰還し、どうせ噂になるからと今回の収穫した魔石とドロップアイテムを換金ついでに『ギルド本部』へと向かい……。

 

 

「ベル君、どうしてまた無茶したのっ!!」

 

 当然、『中層域』のモンスター相手に一人で戦った事を個別の面談室に連れてエイナは責めた。

 

「人を助けるためだからって、君が死んだらなんにもならないんだよ?」

 

「それはもっともです……でも、僕は助けない訳にはいかないんですよ……だって、僕はアルテミス様に助けられたんですから……助けられた僕が誰かを助けないなんて僕には出来ません。アルテミス様にも誇る事が出来ませんしね」

 

「ベル君……」

 

 本当に申し訳ないという態度で真摯に誠実にベルは伝えた。

 

「だから、エイナさんを心配させる僕を叱ってください……叱ってもらうために僕はどれだけの窮地に飛び込もうと必ず、頑張ってエイナさんの元に帰ってきますから」

 

「……うん、分かった。叱ってあげる。でもね……」

 

「ぁ……」

 

 エイナはベルに頷きながら、彼を抱き締めて胸の中へと誘う。

 

「ふぁ、んくぅ……」

 

「叱るだけじゃなく、褒めてあげるし可愛がってあげるよ。だから、絶体無事に帰ってきてね、ベル君」

 

「あうぅ……はい」

 

 エイナはベルの顔を胸で包み、自分の匂いと感触、温かさを伝えながら彼の頭や顔を撫で回したり、弄ったりする事で蕩かす。

 

「帰ってきてくれて、ベル君はえらいね、えらい。がんばったね」

 

「ふ、う……」

 

 甘く優しい言葉も囁いて更にベルを蕩かせていったのであった……。

 

 

 

 元々、ダンジョン探索中にその話はしていたが、明日はヘスティアがバイト休みという事で一日休む予定だ。なのでダンジョン探索の再会は二日後だ。

 

 改めて二日後にギルド本部で集合する事を決めて別れると弁当を返しに『青の薬舗』へと向かう。

 

 

 

「今日は美味しかったですよ、ありがとうございました……お礼と言う訳ではありませんが、明日はダンジョン探索も休みなので晩御飯は此処でヘスティア様と食べに来ますね」

 

「それはとても嬉しいです。ありがとうございますベルさん」

 

 シルはベルの言葉に笑みを浮かべながら言った。そして一度、店の方に戻ると……。

 

「あの、良ければこれ受け取ってください……私はとある女神様と神交があるんですけどその方から貴女が力になりたいと思う冒険者に渡しなさいって言われて貰った物です。ベルさんの力にならせてください」

  

 シルは純白の本であり、表紙に幾何学模様が刻まれた古ぼけた本をベルに渡した。

 

「……ありがたく受け取らせてもらいます、ありがとうございます。シルさん」

 

 ベルはシルの本心からの行動に感謝しながら頭を下げ、そうして本を受け取った。

 

 本拠である廃教会に戻るとなんとシルから貰った本はヘスティアによると『魔導書(グリモア)』といって、読めば必ず魔法を発現させられるとんでもないものであった。

 

 

 

 そうして、本を読み始めると……。

 

「ベルっ!?」

 

「アルテミス様っ!?」

 

 真っ白な空間にアルテミスがいて互いに驚く。ともかくベルは喜びのあまり、アルテミスへと近づいて抱き締め、アルテミスはそれに応じる。

 

「僕、今ヘスティア様の眷属として頑張っています」

 

「そうか、ヘスティアの……なら、そのうちオラリオに行かないとな」

 

 抱き締められながら、アルテミスに頭を撫で回されつつ今までの事を報告する。

 

 

 

 そうして……。

 

「さっき、アルテミス様に会いました」

 

「へぇ、そんな事があったのかい」

 

 ベルがソファの上で目を覚ますとヘスティアは微笑みながら言い……今回の【ステイタス】更新をすると……。

 

 

ベル・クラネル

 

LV.1

 

力:SS1051

耐久:SS1032

器用:SS1064

敏捷:SS1077

魔力:I0

 

 ベルのアビリティは『魔力』以外が本来、Sまでが限界な熟練度を超える成長をしていて……。

 

≪魔法≫

【ムーン・サイト】

・視力強化魔法

 

 アルテミス由来だと確信できる魔法が発現していてベルは大きく喜んだのであった……。

 

 

 そして、とある場所では……。

 

「今、ベルと会話をした夢を見たぞ……とても現実的だった」

 

「なら、会いに行った方が良いかもしれませんね」

 

 珍しくうたた寝をしていたアルテミスが目を覚ました時に眷属たちへそう言い、レトゥーサはアルテミスに言うとランテ達もベルに会う事に賛同したのであった……。

 

 

 

 二

 

 

 翌朝、ベルはヘスティアとオラリオ市内を特別な目的も無く、歩いていたのだが……。

 

「きゃあああっ!! なんて可愛らしい兎さんなのかしら。ゴーグルで隠すなんてもったいないわよ」

 

 このオラリオにおいて全ての食糧事情を一手に担っていると言っても過言ではない農業における最大派閥が【デメテル・ファミリア】の主神であり、蜂蜜色の柔らかな髪を背に流し、優しい雰囲気に満ちた美しい容姿にグラマーなスタイルの女神デメテルと会った。

 

 彼女もヘスティアと神友だというのでゴーグルを取って、素顔を見せれば愛嬌に満ちた可愛らしい容姿のベルのそれがデメテルにはクリーンヒットであったようで即座に胸の中へと誘い、抱き締めた。

 

 ベルにもデメテルの雰囲気や溢れる母性がクリーンヒットであり、抵抗できず受け入れて蕩けてしまった。

 

「まあ、そうなるよね」

 

 デメテルと会った時から予想できた展開に苦笑しつつ、やはりオリンポス関係の神と縁があるベルに改めて驚いたりしたのであった。

 

 その後はデメテルに彼女の本拠に遊びに来たら、野菜を渡すなど言って別れると再び、散策しながら二人の時間を楽しむ。

 

「言った通り、来させていただきました」

 

「いらっしゃいませ、ベルさん。ヘスティア様」

 

「ありがとうございます」

 

 

 

 夕方には『豊穣の女主人』を訪れ、シルにリューの二人から出迎えられる。

 

「シルさんから頂いたものはしっかり、力になりました。ありがとうございます」

 

「喜んでもらえたなら、なによりです」

 

 魔導書についての礼をシルに改めて言うと……。

 

 

 

 

「そう言えば、聞きましたよ。昨日はベルさん、凄く活躍したそうですね。それに他の冒険者さん達を助けるためにモンスターの群れに迷わず、飛び込んだりして……」

 

「いえ、必死だっただけですよ……正直、大分危ないところもありました」

 

「なかなか難しいって言うけど、治療師を眷属にしたいものだね……」

 

 昨日のベルについての話となり、ヘスティアが最後にそう言えば……。

 

「ベルさんならそのうち、凄腕の治療師が見つかりますよ」

 

 シルが確信があるかのように言ったのだった。

 

 ともかく、そうして『豊穣の女主人』でベルは楽しい食事の時間を過ごしたのであった……。

 

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