白兎は狩人の誓いを   作:自堕落無力

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十二話

 

 ダンジョン探索を休んで自分の主神であるヘスティアと穏やかな一日を過ごした翌朝……。

 

「結局はベル君が判断して行動する事だけどさ……僕は君が帰ってきてくれたらそれで良いからね」

 

「んふ、っ、うく……は、はい。僕は必ず、ヘスティア様の元に帰ってきます」

 

「うん、良い子だ。ベル君は良い子……」

 

「ひゃ、く、あ、ぁぁ」

 

 寝台の上でベルはヘスティアの胸に顔を包まれながら会話する中で頭を撫でられ、顔を弄られつつ、甘く優しい言葉をかけられては蕩かされていった。

 

 その後はいつも通り、西のメインストリートへと行き……。

 

 

 

「シルさん、リューさん。昨日も楽しい食事の時間を過ごす事が出来ました。本当に良い店ですね」

 

「嬉しいお言葉、ありがとうございます」

 

「そんなに言っていただけると、私達も嬉しいです」

 

 『豊穣の女主人』からシルとリューに声をかけられたので応じ、そうして昨日の料理についての礼を言い、会話を始めた。

 

「それじゃあ、今日も頑張ってくださいね」

 

「お気をつけて」

 

「ふぁうう……」

 

 シルから弁当を渡されつつ、頭を撫で回されリューにも頭を撫で回されながらベルは見送られたのであった。

 

「おはよう、ベル……聞いたよ、宣伝してくれたんだって? 本当に良い子だね」

 

『青の薬舗』へと向かえば、ベルが中層域にて救出した冒険者達とバベルへと帰還している時に『青の薬舗』の事を宣伝していたのだが、しっかりと効果があったようで客足が増えたとの事だ。

 

 よって、ナァーザはご機嫌でベルの頭や顔を撫で回したり、胸の中へと抱き締めて彼が蕩けるように尽くした。

 

 魔法を手に入れた事もあって精神力回復薬も今までより、多めに買い揃えると次に北西のメインストリートへ向かう。

 

 

 

「ベルさん、活躍についてはお聞きしました。ただ、助けるためとはいえ大分無茶をしましたね。あまり感心できませんよ」

 

「すみません……ただ、アミッドさんが負傷した人たちを放っておけないように僕も窮地にいる冒険者を放ってはおけないんですよ」

 

「ぅ……これは手厳しい事を……では、せめて助ける以上は自分が犠牲にならないようにしてください。それは助けられた側にとっても辛い事ですから」

 

「はい」

 

 【ディアンケヒト・ファミリア】の治療院に行き、高等回復薬と高等精神力回復薬を二つずつ買いながら、アミッドと会話をする。

 

 

 

 

「では、無理をしない程度に頑張ってください」

 

「んふ、は、はい。いつもありがとうございます」

 

「こちらこそ」

 

 最後にアミッドに頭を撫で回され、蕩けさせられながら見送られた。

 

 その後、リリルカにヴェルフと【タケミカヅチ・ファミリア】との集合場所である『ギルド本部』へと向かった。

 

「ベル君、約束したようにちゃんと帰ってきてね……待ってるから」

 

「はい、エイナさん」

 

 エイナに挨拶へと行けば、彼女はベルに心配げな表情を浮かべながら言うとベルは頷く。するとエイナはいつものようにベルの頭を撫で回し、そうして見送ったのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 今回もベル達はダンジョンへ向かうため、唯一の出入り口となる『穴』がある地下一階へと向かったのだが……。

 

「貴方がベル・クラネルですね? 私はフレイヤ様に仕える治療師のヘイズ・ベルベットと言います。初めまして」

 

 地下一階にてベルを待っていた薄紅色の長い髪を二つに結わえた可憐な容姿だが、死んだ魚のような目をしている赤の看護衣と白の上衣を着た看護師を連想させる外見で手には金の装飾が施された長杖を持った女性が姿を表し自己紹介しながら、頭を下げた。

 

「は、初めまして……ベル・クラネルです。ご用件は何でしょうか?」

 

「いえ、我が主神のフレイヤ様は貴方の武勇伝を聞いては興味を惹かれておりました。是非、傍で見定めて来いと私におっしゃられたんです。なので、今回は治療師として貴方たちのパーティに加えていただければと……」

 

 他の皆が【フレイヤ・ファミリア】の眷属が登場した事に驚いている間にベルが問いかければ、そう用件を言った。

 

「そうですか、なら、治療が必要な時はどうかよろしくお願いします……なるべく、頼らないようにしますので」

 

「ふふ、何度か冒険者の窮地を救ったという話通り、良い人のようですね。治療はお任せください、蘇生3歩手前までなら対応できますから」

 

 ベルが握手を求めればヘイズは応じつつ、笑顔を浮かべたのであった……。

 

 

 

 そうして、ダンジョンを進んでいくベルのパーティ……。

 

「【我が瞳に月の加護を】――【ムーン・サイト】」

 

 ベルはシルから貰った魔導書を呼んだ事で発現した超短文詠唱からなる魔法を発動し、ベルの赤い瞳が月光の輝きを纏った。

 

 この魔法は視力強化魔法なのでベルは昨日のうちに試している。

 

 これを発動すると周囲360度の広範囲を視界に捉えられるようになるし、集中すれば遠視、更には壁などの物体に隠れている者を透視出来るし、相手の動きの全てを細部まで洞察できるなど『視る力』が大きく強化される魔法なのだ。

 

 

 

「ふっ!!」

 

 そうして、13階層――中層域内のモンスターを『視力』で捜索し、動きを洞察しながら弓で狙い、矢を放つ。

 

『グギャアアアッ!!』

 

  モンスターは回避できずに射抜かれていくのみだ。

 

 

「ヴェルフ、これとっても良いよ」

 

 モンスターの牙や爪を素材としてヴェルフがベルとの鍛冶契約を続けるなら、矢を用意する事は必要だと判断し、手始めに実験ながらに作った矢をベルに渡していた。

 

 その性能は当然、普通の矢よりも優れていて一体を貫通してその後ろにいたモンスターに突き刺さるとその攻撃力は高かったのだ。

 

「気に入ってもらえたなら良かったぜ。じゃあ次はこれを使ってみてくれ」

 

 そうしてヴェルフは特殊な鏃を先端に付けた矢を渡す。

 

 

「うん」

 

 それを群れで行動しているモンスターに向かって放って場炸裂した直後に爆炎を生じて群れを呑み込んで消滅させた。

 

「魔剣ならぬ魔弾ってな……使い続けるうちに使い手残して消滅するならいっそ、こういう形で使った方が良いよな、やっぱり」

 

 武器の中には『魔剣』という魔法を使える武器が存在する。ただ、魔剣が使える魔法には回数制限があり、その制限を過ぎれば壊れてしまうのだ。

 

 とある事情から従来の魔剣よりも強力な魔剣を打てるが、回数を過ぎれば所有者の意思などお構いなしに壊れてしまうその武器を自分の主義にはそぐわないとヴェルフは嫌っていた。

 

 だが、ベルを死なせないためにもベルが最適な形で使用できる方法を考えた。それが鏃状の魔剣にして標的に炸裂した直後に魔法を解放するというもので『魔弾』である。

 

「……魔弾、良いね」

 

「だろう……今後もお前のために矢だけじゃなく、弓に剣、防具や靴も良い物を作ってやるからな」

 

「うん、よろしく」

 

 ベルとヴェルフはそう、話し合ったのであった。

 

 

 

「いやぁ、面白いくらいに当てまくりますね。こんなにも凄い弓を見たのは初めてです」

 

「光栄です、ヘイズさん」

 

 ヘイズはベルの弓の腕に驚愕を込めた言葉を送り、ベルは軽く頭を下げる。

 

 

 

 ともかく、今回はじっくりと13階層を探索し尽くし魔石とドロップアイテムを限界まで収穫したのでバベルへと帰還。

 

「ひぃぁ……んあ……ふぁう、うう」

 

「んふふ、前にあれだけ奮戦していただけあって大変強くなっていましたね」

 

「素顔は兎さんだったなんて驚きましたよ、ベル。それに甘えたがりで甘え上手なんてとっても癒されます」

 

「んく、ひゃ、あうぅ……」

 

 バベルの休憩室にてベルはリリルカとヘイズに抱き締められつつ、頭や顔を撫でられ、弄られ体も揉まれたり、様々な方法で甘やかされては可愛がられ、蕩かされる。

 

 特に自派閥内で酷使されているヘイズにとってはとっても癒される者であったのだった……。

 

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