日の出と共に一つの馬車がオラリオを出発した。その馬車に乗っているのはヘスティアと彼女の眷属であるベル・クラネル、ミアハと彼の眷属であるナァーザ、そしてベルのサポーターだからと動向を申し出たヘスティアの眷属でもミアハの眷属でも無い【ソーマ・ファミリア】所属のリリルカ・アーデだった。
「すまんな、ヘスティア、ベル、そして別派閥ながら手伝いを申し出てくれたリリルカよ……こんなに朝早くから手伝ってもらって」
「本当に感謝してるよ、ありがとう」
「いやいや、ミアハにもナァーザ君にもベル君が来るまで本当に沢山、世話になったからね。こういう時くらい、恩を返さないと」
「そうですよ、それに困っていれば助け合うのは当たり前です」
「リリはベル様を手伝いに来ただけですけど、丁寧な対応ありがとうございます」
木で出来た馬車の中、御者台に近い所にミアハが座っていて対面する位置にベルがそして、ヘスティアはベルの右側、ナァーザはベルの左側、リリルカはベルの膝の上に座っていて会話をする。
ヘスティアもベルも笑顔で応じ、リリルカは照れ臭げにしつつ、微笑んだ。
今回、ベルたちはナァーザが新商品を構想していて、そのためにはオラリオの外でとある素材を採取しなければならないとの事でこうして馬車で移動しているのだ。
馬車の向かう先はオラリオから東に直進した先に連なっているアルブ山脈、その麓に広がる大森林である『セオロの密林』だ。
緑を構成する樹木は総じて樹高が凄まじく、幹も太い。野花や苔を始めとした植物の隆盛も顕著で緑の王国さながらの場所である。
其処で採取するのはとあるモンスターの『卵』だと言った。数なども考えればナァーザ一人では心許ないので人手が必要であるのも加えて、一番の問題があった。
ナァーザは眷属としてはLV.2で外の世界のモンスターであるならば、本来、ダンジョンで生まれる物と比べれば能力が劣るそれらを相手にするのは訳ない。だが、彼女は数年前にダンジョンにてモンスターに蹂躙され、重傷を負って死にかけた事がある。
ミアハの献身ある救助でなんとかなったものの、右腕は失う事になった。
そして、今のナァーザの右腕はミアハが当時、競合勢力であった【ディアンケヒト・ファミリア】に頼み込んで普通の腕と同じぐらいに動かせる高性能な義手である『
代償として相当な額の借金をする事になり、ナァーザ以外の眷属もミアハの元から別の派閥へ『
そして、なによりナァーザはモンスターの姿を見ると震えて動けなくなるというトラウマを負ってしまい、ダンジョンで稼ぐ事が出来なくなってしまったのだ。LV.2に【ランクアップ】した時に得た『調合』により薬師としては働けるのだが……。
「ベル、本当にありがとうね。このお礼は今後もしてあげる」
「ベル君は良い子だからね」
「ベル様、偉いですよ」
「ふひゃ、んく、うぁ、は……あうぅ」
そうして、ベルはナァーザとヘスティア、リリルカに愛撫されて蕩かされていった。
『セオロの密林』に辿り着くとベルはナァーザが用意したモンスターを誘き寄せる匂いを放つ『
『ヴオオオッ!!』
そうして、高さ五Mはある紅色の肉食恐竜のモンスターである『ブラッドサウルス』の群れに対し、誘き寄せる形で逃げ回り……。
「はあっ!!」
森林の中を駆け跳ねてブラッドサウルスを翻弄すると短弓によって矢を幾本も【ムーン・サイト】で見抜いた致命的な箇所に打ち込みまくって倒した。
ナァーザ達もベルがブラッドサウルスを誘き寄せる間にそのモンスターの巣にある『卵』を全て収穫した。
「ベル、とっても助かったよ」
「お疲れ様、ベル君」
「ベル様、ご苦労様でした」
オラリオに戻ると『豊穣の女主人』で仕事を終わった事に対する打ち上げをした。その中でベルはナァーザにヘスティア、リリルカに甘やかされ、可愛がられていく。
「ベルさん、今日も私達の店に来てくれてありがとうございます」
「クラネルさん、ゆっくりお楽しみください」
「今日もありがとう、兎君」
「良いお客さんね、ベル」
「ふふ、今回もたっぷりお金を使ってくれニャ、白髪頭」
『豊穣の女主人』の店員であるシルにリュー、ルノアとクロエにアーニャ達にも何気なく、近づかれながら愛撫されるようにベルは蕩かされたりしたのであった。
ともかく、ベルの協力もあって【ミアハ・ファミリア】は体力と精神力を回復する『