白兎は狩人の誓いを   作:自堕落無力

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二十三話

 

 オラリオでは数日後に『怪物祭』というオラリオ特有の祭りが開催される。

 

 その開催主となるのはオラリオにおいて最大派閥の一つでギルドとも密接な関係にあると【ガネーシャ・ファミリア】だ。

 

 そして、その事前説明のようなもの含めてオラリオの神々を招待しての『神の宴』をガネーシャは行った。

 

 その『神の宴』に向かったヘスティアは神交を温め直したいと『怪物祭』の開催日まで【ヘスティア・ファミリア】の本拠である廃教会を留守にすると言った。

 

 ベルは必然、留守番にする事になるのだが寂しさを紛らわすために『豊穣の女主人』に行けばシルの強い勧めにより、ヘスティアが帰ってくる日まで『豊穣の女主人』で寝泊まりする事になったのだった。

 

 そうして、朝日が昇る頃……。

 

 

 

「はう、ん、ふ……」

 

「ふふ、そう、もっと甘えて。今はまだゆっくりしていて良いから」

 

 ベルは微睡みの中で抱擁による温もり、心地良い感触、心地良い香りに包まれながら頭を撫で回される事で蕩けていく。

 

 それを是正するのは甘く優しい囁きだった。

 

「気持ち良い……」

 

「ふふ、良かった。もっと気持ち良くなって」

 

 そうして、ベルは顔を揉まれたり、背中を撫でられりして心地良さを感じさせられていく。

 

「う、ぅぅん」

 

 朝日が昇り始めた頃、ベルは意識を覚醒させ……。

 

「おはようございます、シルさん」

 

「はい、おはようございます。ベルさん。んちゅ」

 

「ふあ」

 

 シルに挨拶すれば、軽い口付けをベルはされた。

 

 そうして身支度を整え、朝食を食べつつ日中の開店に向けた準備をベルは手伝い……。

 

 

「リューさん、よろしくお願いします」

 

「はい、よろしくお願いします。ベル」

 

 ダンジョン探索前の準備運動含めた鍛錬をしようとすればそれにリューが付き合ってくれると言い、愛用の武器だという木刀を持ちそうして二人で中々広い、『豊穣の女主人』の中庭に行き、ベルは片手剣を構え、リューは木刀を構えつつ距離を取って対峙する。

 

 

 

「【我が瞳に月の加護を】――【ムーン・サイト】」

 

 自分よりも遥かに上の実力者、LV.4の冒険者であったというリューが相手のためにベルは『視界強化魔法』を最大効力で発動した。

 

 そうして……。

 

「はあっ!!」

 

「っ!?」

 

 黒い紙を日光を背にしつつ、レンズで覗き続けると穴が空くように超常的な視力をリューへと集中する事で、リューの間隙を無理やり作り出しながら見抜く。

 

 間隙を衝いて、踏み込んでリューに接近すれば、突如自分の間合いに踏み込んだベルに一瞬反応出来なかったリューは驚きながらも対応すべく動いた。

 

 ベルはリューに対し、剣閃と開いた左拳と両足による蹴りの戦舞を披露した。

 

 少し前にアイズ達、【ロキ・ファミリア】とダンジョン探索していた時にしっかりとアイズの剣舞とティオナの徒手空拳による戦舞を【ムーン・サイト】でしっかり洞察しており、二人の技と駆け引きを身に着けていたのだ。

 

 

 

「っ、はは、素晴らしいです」

 

 ベルは【ムーン・サイト】で対応してくるリューの動きを洞察しながら、間隙を衝いた戦舞を仕掛けるもリューはどんどん対応していく。

 

 

 

「リューさんも凄いです。っ、あああっ!!」

 

「まだまだ」

 

 

 そうして圧していたベルはどんどん、リューと拮抗するようになっていき……。

 

 

 

「ふっ!!」

 

「うわぁっ!!」

 

 最後には木刀の剛撃にベルは吹っ飛ばされ地面を転がった。

 

 

 

「うう、参りました」

 

「ふふ、でも早いうちに抜かれそうですね」

 

 リューは倒れているベルに近づき、抱き起す。

 

「ベルさん、いつも可愛らしいのにとっても格好良かったですよ」

 

「LV.2でリューとある程度やり合えるなんて凄いわ、ベル」

 

「あう、で、でも魔法あっての事ですから」

 

「それもベルの実力でしょう、やっぱり凄いよ」

 

「良く頑張ったニャ、ベル」

 

 リューにシル、クロエにルノアとアーニャ達にしばらくの間褒められまくりながら可愛がられ、甘やかされて蕩けていく。

 

 時間も時間なのでシル達に見送られながら、『豊穣の女主人』を出て……。

 

 

 

 

「留守をするなら、私のところに泊まれば良いのに」

 

「ふやあ、んく、ひゃ、う、うぅ……やああ」

 

 『豊穣の女主人』で泊まっているのを匂いを元に知られ、ナァーザに虐められつつ、蕩けながら回復薬を調達する。

 

 【ディアンケヒト・ファミリア】の治療院へと行けば、アミッドら数人は【ガネーシャ・ファミリア】が『怪物祭』に向けたダンジョンへのモンスターの捕獲のそれに治療師として派遣されたとの事だった。

 

 ともかく、ベルはそこでも質の高い回復薬を調達。

 

 

 

 

 「ベル様、おはようございます」

 

「ベルー、やっとまた少しの間は同行出来ますよー」

 

「ベル、今日もよろしくね」

 

「アイズ達が世話になっているから、その分、可愛がろう」

 

「えへへ、やっぱりベルは可愛いね」

 

「よろしくお願いします、ベル」

 

 バベルのある中央広場に向かえば、ベルはリリルカに抜け出したか、休みを貰ったかで治療師として同行を申し出たヘイズ、同じく【ロキ・ファミリア】のアイズにリヴェリア、ティオナにレフィーヤらもダンジョン探索の同行を申し出てベルを可愛がる。

 

 今回、用事があってしばらくは同行が出来ないと【ヘルメス・ファミリア】のローリエとルルネからは聞いていて、実際二人はこの場にいなかった。

 

『(大物呼び込むなぁ……)』

 

 ヴェルフに桜花に命に千草他【タケミカヅチ・ファミリア】の団員達は名が知れ渡ったりしている派閥の冒険者の女性たちに好かれ、同行を申し出されたりするベルの愛嬌にしみじみと思うのであった……。

 

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