白兎は狩人の誓いを   作:自堕落無力

30 / 85
二十九話

 オラリオで開催されている『怪物祭』をアルテミスにヘスティアというどちらも『処女神』である女神の二柱と楽しんでいるベル。

 

「ヘスティアはともかく、あの恋愛アンチのアルテミスとあれだけ仲良く……」

 

「アルテミスもすごく楽しそうにしてるし……」

 

 特に天界においては大の恋愛アンチとして知られるアルテミスがベルと中々に甘く暖かい雰囲気を出している事に男神たちは唖然とし……。

 

『ベル・クラネル……恐ろしい()……』

 

 ベル・クラネルに対して恐怖すらしたのであった。

 

「まぁ、ベル君可愛いもんね」

 

「ねー、ああなんて微笑ましくて尊いの」

 

 

 女神たちはベルの可愛さは凄まじいと改めて認識したのであった。

 

「えへへ」

 

「ふふ」

 

「ははは」

 

 そうしてベルにヘスティア、アルテミス等は本当に楽しそうに談笑をしていたのだが……。

 

「ん、地震? いや……」

 

「ああ、妙だ」

 

 冒険者であるベルとモンスターとの戦いにおいて神でありながらも前線で突き進んでいく武闘派のアルテミスは突如感じた地面の揺れに警戒態勢となる。

 

『アアアアアアアアアアッ!!』

 

 そうして次の瞬間、遠くの方で地面を砕きながら激しい土煙を巻き上げ極採色の花弁を頭部に牙の並んだ口を開き、細長い茎と幾多もの触手という姿の巨大な食人花が破鐘の咆哮を響かせながら姿を現した。

 

 それも一体だけでは無く、八体もだ。

 

 

 

「行きます」

 

 ベルはすぐさま駆け出し、跳躍して建物の屋根に着地するとそのまま次々と建物群の屋根を駆け跳ねる事で食人花の群れの元へと向かう。

 

「【我が瞳に月の加護を】――【ムーン・サイト】」

 

 魔法を発動する事でその瞳に月光を纏い、弓と矢を手に取り……。

 

「はっ!!」

 

 先手とばかりにその瞳で見抜いた食人花の一体が口を開けた『間隙』を衝き、口腔内にあった魔石へと矢を放ち、射貫く事で砕いた。

 

 これにより、食人花は当然、消滅する。

 

 そして一体でもモンスターを倒せば同種のモンスターと戦う時、能力補正をする『狩人』の力は発揮される。

 

『オオオオオッ!!』

 

 ベルに対し、触手やその牙をもって蹂躙しようとする食人花であるが、ベルはそれらすべての攻撃を見抜きつつ、食人花の触手や頭を足場に駆け跳ねながら、攻撃の『間隙』へと滑り込む事で回避。

 

 そうして後は的確に食人花の口内へと矢を射抜き続け、魔石を砕いて消滅させるのであった。

 

「皆さん、これで大丈夫ですよ」

 

 食人花の群れを全滅させるとベルは避難や物陰に隠れていた者たちへと笑顔で言う。

 

『ありがとう』

 

 食人花を倒した英雄であるベルに救われた者たちは賞賛の声を上げ、礼をする。

 

 そうして……。

 

「ベル、良くやった……本当にこれまで頑張って来たんだな」

 

「はい、勿論です。アルテミス様と約束しましたから」

 

「そうか……流石は私のオリオンだ」

 

 此処へと駆けつけてきたアルテミスとベルは言葉を交わす。アルテミスはベルに対し、笑みを浮かべるとその顔に手を伸ばし……。

 

 

 

「んちゅ」

 

「っ……」

 

 アステミスはベルへと口づけし、ベルは顔を赤くしながら驚愕した。

 

「愛しているぞ、オリオン」

 

「あ、あぅ……ぼ、僕も愛していますアルテミス様」

 

『ワアアアアア!!』

 

 英雄と女神の愛の一幕に周囲の人々は盛り上がる。英雄譚そのもののような光景でもあるからだ。

 

「……マジか……」

 

 男神たちは更に絶句する事になり……。

 

「きゃあああっ、アルテミスって大胆だったのね」

 

 アルテミスの意外過ぎる行動に女神たちは声を上げつつ、盛り上がるのであった……。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。