白兎は狩人の誓いを   作:自堕落無力

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三十五話

 

 『リヴィラの街』のある島が浮かぶ湖畔の底から大量の食人花の群れが這い出てきている。

 

「【森の先人よ、誇り高き同胞よ。我が声に応じ草原へと(きた)れ】」

 

 それはレフィーヤが魔法を完成させるための詠唱を紡ぎながら、魔力を高まらせているからだ。

 

「【(つな)ぐ絆、楽宴(らくえん)の契り。円環を(まわ)し舞い踊れ】」

 

 

 レフィーヤが詠唱を続ける中で……。

 

「しっ!!」

 

 視力を強化する【スキル】に視力を強化する【魔法】、一度狩ったモンスターの同種との交戦時に小補正がかかる『狩人』もあって、食人花の群れの中を駆け跳ねながら、ベルがレフィーヤに襲い掛かる食人花を複数の矢を矢筒から引き抜いてはそのまま番えて超速同時射出からの連射を行ない、次々と食人花の魔石を射抜いて消滅させていく。

 

 

 

「はああっ!!」

 

 アイズも風を纏う付与魔法である【エアリエル】を使い風姫の剣舞によって、食人花の群れの意識を自分へと誘導しながら、切り裂いていく。

 

「せいやあああっ!!」

 

 ティオナも又、大双刃を振るって食人花を斬断していった。

 

「至れ、妖精の輪。どうか――力を貸し与えてほしい」

 

 兎の狩人と風姫に女戦士が守っていく中で妖精は魔法を紡いでいった。

 

「【エルフ・リング】」

 

 そして山吹色の魔法円が翡翠色に変化する。

 

 【エルフ・リング】とはレフィーヤの二つ名である【千の妖精(サウザンドエルフ)】の由来ともなった物であり、その効果は同胞、つまりはエルフに限り、詠唱及び効果を完全把握したものを使用できるようになる『召喚魔法(サモン・バースト)』だ。

 

「【間もなく、()は放たれる】」

 

 そうしてさらにレフィーヤは魔力を高まらせていった。

 

 

 

 

『アアアアアアッ!!』

 

 

 食人花は次々とレフィーヤのもとに押し寄せていくものの……やはり、ベルとアイズ、ティオナによって討ち取られていく。

 

 そんな時……。

 

『アアアアアアッ!!』

 

 なにやら宝玉が凄い勢いで飛来してきた。

 

「怪物の胎児?」

 

 超絶な視力を手にしているベルが宝玉の中には異形の雌の胎児がいるのを見抜きながらも……。

 

 

 

「ふっ!!」

 

 何発か矢を放つ事で射殺した。

 

 そうして、その後はベルとアイズ、ティオナの活躍で食人花を全滅させていく。レフィーヤの魔法はあくまで食人花を誘き寄せるためのものである。

 

 そんな中で……。

 

「そこだぁっ!!」

 

 ベルの目が少し遠くから息を潜め、アイズに狙いを定めている者の姿を発見する。しかもヒューマンの姿なのに体内に『魔石』を有していた。

 

 ベルは己が【スキル】の効果を最大で使用。ヴェルフから貰った魔剣を元に矢へと改良した『魔弾』をそれ用のホルスターから引き抜き、全ての体力と精神力を込めて放つ。

 

 しかしてベルの標的の勘が鋭かったのか、その標的は身体を上手く動かして狙いをずらしながら、魔石を射抜かれるを回避しつつも魔法の解放に呑み込まれていったのであった。

 

 

 

「とりあえずは終わったかな」

 

 ベルは魔法を解除し、呟くも……。

 

「あう」

 

 全ての体力と精神力を込めた代償による消耗のため、意識を失いながら倒れていき……。

 

「お疲れ様だ、ベル。少し休め」

 

「あり……が……とう、ござい……ます」

 

 ベルはリヴェリアに抱き留められるのを感じながら、眠りに落ちたのであった……。

 

 

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