ベル・クラネルがアルテミスと出会い、『
「それじゃあ、よろしくお願いしますヘルメス様、アスフィさん、ファルガーさん」
「ああ、勿論だよ。今日からベル君の人生が真の意味で始まるんだからね」
「こう、感慨深いものがありますね」
「頑張るんだぞ、ベル」
ベルは今日からオラリオへと向かう事になっており、装備としてはひとまず短弓に矢筒と矢、短剣にアスフィが特殊な能力を有する魔道具を造れる事から両目を覆うバイザー型のゴーグルであり、瞳が見えない濃さであるが、掛けた者からすれば視界が暗くなりはしない透明度を誇り、かなりの頑丈さも誇るそれをプレゼントされているのでベルはそれを掛けていた。
後は幾つかの衣服や生活必需品などを持って行く。
他にも長弓やまだ結構な量の矢があったりするのだが全部持っていけば大荷物になるのもあって、後はベルの所属する【ファミリア】が決まればヘルメスたちが運んでくると約束したのである。
「じゃあ、行ってきますお爺ちゃん」
「ああ、これから先はお前だけの人生で物語だ。好きに生きなさい」
「はい」
そうして見送っている祖父に声をかければ、祖父はベルに言葉をかけ、そうしてベルはヘルメスたちが乗って来た馬車に乗る。
動き出し、進んでいくと整備された街道を走るようになり……。
「ベル君、あれがオラリオだよ」
「わぁっ、本当に凄い……」
ヘルメスが小高い丘から見える大きな壁に囲まれる巨大な都市、蒼穹に向かって伸びる白亜の巨塔を指して言った。ベルは馬車から身を乗り出しゴーグルを外して眺めつつ、感激して言う。
こうして、オラリオの門前まで着くとヘルメスたちが手続きをしてくれた。
「それじゃあ、俺たちはひとまずこれで……ベル君がどんな【ファミリア】に入るか楽しみにさせてもらう。そして、どの【ファミリア】に入っても俺たちは君の味方だ」
「本当は私達の【ファミリア】に入って欲しいですけど……方針が貴方と会わないのが残念です。でも、私がベルを好きなのは変わりませんから安心してください」
「いつでも力になるからな」
「はい、皆さんありがとうございます」
この後は他の都市へとしなければならない用があるとヘルメスたちは別れ際、ベルと会話を交わしベルは礼を言って見送り、そうして自分はオラリオ入りをした。
「英雄の皆さん、貴方たちに感謝を……そして、僕も人々や世界を守れる英雄になれるように頑張ります。どうか見守っていてください」
都市の南東にある無数の墓がひしめく墓地にして『第一墓地』、『冒険者墓地』とも呼ばれるオラリオの共同墓地の奥、漆黒の巨大な
その後はオラリオ内をなるべく回ってみようと歩いていたのだが……。
「おーい、君……初めまして、ボクは女神のヘスティアだよ」
ベルは自分より背が低い黒の長髪をツインテールにしたグラマーなスタイルの美少女で愛嬌を醸し出している女神に声をかけられた。
そして、ヘスティアという女神をベルは知っていた。
「初めまして、僕はベル・クラネルと言います。今日、オラリオへとやってきました。ところでヘスティア様……アルテミス様とは神友だそうですね」
「アルテミスを知っているのかいっ!?」
「はい、危ないところを助けられ、それ以外でもとてもお世話になりましたから」
ベルはアルテミスからヘスティアの事を聞いていて、ヘスティアの事を話すアルテミスの態度から本当に神友であるんだなと思っていて会いたいとも思っていた。
ベルはヘスティアにアルテミスやヘルメス、アストレアの事について話出す。
「まさか、ボクの同郷の神たちとこんなにも縁があるなんてね……ベル君、ボクは【ファミリア】を作ろうとしているところなんだけど全然、人を集める事が出来ないんだ。もし、良ければ最初の眷属になってくれないかい?」
「喜んで……」
ベルはヘスティアの勧誘に応じる。
「っ、ありがとう。これからよろしくねベル君」
「はい、ヘスティア様」
そう言い合うとベルはヘスティアによってとある本屋に案内された。この場所でどうしても『神の恩恵』を刻みたいのだという。
「じゃあ、刻むよ」
「はい」
ベル・クラネル
LV.1
力:I0
耐久:I0
器用:I0
敏捷:I0
魔力:I0
≪魔法≫
【】
≪スキル≫
【
・早熟する。
・意思が続く限り効果持続。
・意思の丈により効果向上。
【
・発展アビリティ『狩人』の発現。
・弓の装備時、発展アビリティ『射手』の一時発現。
・補正効果はLV.に依存。
・射撃時、体力と
ベルはヘスティアに『恩恵』を刻まれた事でアルテミス由来の【スキル】を二つも発現したのであった。
「ふふふ、ベル君はアルテミスの事が大好きなんだね」
「は、はい……」
「わぁ、素直……でも、ボクの眷属になった以上はボクの事も大好きになってもらうからね。覚悟しておいてくれたまえ」
「は、はは……お手柔らかに……ともかく、これからよろしくお願いします」
ベルはゴーグルを外す。
因みに彼がゴーグルをしているのは女性に間違われたり、可愛い兎と言われる自分の容姿にコンプレックスがあるのも理由の一つで、親しい関係の者以外には素顔を見せないように心がけている。
もっとも自分の主神となるヘスティアには見せるべきなので外した。
「ちょ、ベル君……素顔、とっても可愛いね。まるで兎じゃないか」
ベルの可愛らしい兎のような外見にヘスティアは椅子に座っている彼を胸の中へと抱き締め始めた。
「あ、ちょ……ふあ、んく、ふ、ああ」
「良し良し……可愛がられるのも好きなんだね」
頭や側頭部を優しく撫で回して、蕩けていくベルの様子に満足しながら更にヘスティアはベルを可愛がっていった。
「あ、うああ……」
ベルは只々、ヘスティアによって蕩かされていく。その後は冒険者をするならばと回復薬を売っている派閥であり、ヘスティアも世話になっているという【ミアハ・ファミリア】の本拠兼店舗の『青の薬舗』へと向かう。
「おめでとう、ヘスティア」
「ありがとう、ミアハ」
長身でしなやかな体格、群青色の長い髪に貴公子のような容姿で灰色のローブを着た男神であるミアハは初めての眷属が出来たヘスティアを心から祝った。
「よろしく……同じ弓使い同士……余ってる分という事で良いなら特別に矢も売ってあげるよ」
「はい、その時は買わせていただきますね。勿論、回復薬も買いますのでよろしくお願いします。ナァーザさん」
ミアハの唯一の眷属にして茶髪のハーフアップで犬の耳と尻尾がある眠たげに見える表情の獣人の女性、左腕は半袖で右腕は長袖という変わった上衣、右手に革製の手袋もしている
「美味しそう……」
「ちょっ!?」
「冗談だよ、冗談……それくらい可愛いから……」
「勘弁してくださいよ」
獲物を見つけた獣のような表情と舌なめずりまでされたのでベルはナァーザにびびってしまった。
ともかく、【ミアハ・ファミリア】での自己紹介を終えるとオラリオにおける【ファミリア】と冒険者の登録は明日する事にして今日は本拠で【ファミリア】の関係を築いた祝いの食事をする事にした。
「一応、地下室があるんだ。ごめんね、こんなところで」
「落ち着きますし、僕は好きですよ」
廃教会としか言えない場所まで来るとヘスティアは申し訳無さげに言い……ベルは首を振った。
「それじゃあ、ボクたちのこれからに乾杯」
「乾杯」
その後、ベルとヘスティアは【ファミリア】を築いた事と今後の頑張りに向けた祝いの食事をしたのであった……。