白兎は狩人の誓いを   作:自堕落無力

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五十二話

 

 ベル達は24階層にある3つの『食糧庫』のうち、北にある『食糧庫』の全てを覆い尽くした緑の肉壁の中へと入った。

 

 中では食人花の群れの襲撃を受け、それを迎撃したのだが途中、アイズを狙うかのように柱が壁内の天井より幾つも打ち出され、そうして分断されてしまったのだ。

 

 どうしようもないのでともかく、ベル達は奥を目指して進み、モンスターに栄養を与える『石英』の輝きが見えたのでそこへ足を踏み入れれば……。

 

 

 

『っ!?』

 

 食糧庫の大主柱に超巨大な食人花が三体、寄生しているのを目撃した。

 

 石英から滲み出す液体の吸収を続ける度、大空洞の壁や天井、地面に伸びている触手や根、それらが構成している緑の肉壁が蠕動する。

 

 更に三体の食人花が寄生している大主柱の根元には雌の胎児を内包した緑色の球体も取り付いている。

 

 他にベル達以外の人物らもおり、上半身を隠す大型のローブに口元まで覆う頭巾、額当てで顔と素性を隠した謎の集団が大空洞の肉壁から間欠的に生まれる食人花を檻に入れたりしていた。

 

 

 更にモンスターの白骨を利用して造られた鎧兜をして顔を隠し、白ずくめの衣装で身を包んだ男もいる。

 

「冒険者達だ、殺せ」

 

『言われなくともっ!!』

 

「させるかああっ!!」

 

 ベル・クラネルは一連の食人花が絡む事態はこの者達も絡んでいると察し、だからこそ、明確となった『悪』に対し激しい義憤を燃やす。それはベルが所有する【正義心炎】によってベルを高める燃料と化した。

 

 

 

「【我が瞳に月の加護を】――【ムーン・サイト】」

 

 更にベルは視界強化の魔法を使い……。

 

 

 

「皆さん、相手は自爆装置を装備しています。気をつけて!!」

 

『なっ、バレただとおおおっ!?』

 

 謎の集団がローブの下に自爆装置を身に着けているのを魔法で強化されてもいるが、【視力重視】という【スキル】でも強化されているベルの目が見通した。

 

 そうして、ベルは短弓もそうだが、刃が一体となっているヴェルフ手製の長弓を預けていたリリルカより、受け取りながら謎の集団を斬舞によって切り伏せていく。

 

 

 無論、アスフィ達も協力しつつ自爆装置を使わせないように立ち回り、次々の叩き伏せて行った。

 

「ちっ、『闇派閥』め……足止めにも……っ?」

 

 リーダーだったのだろう男は突如、胸に衝撃を受け中で何かが砕けるのを感じる。

 

「ば、馬鹿なぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 実は男は普通の人間では無く、前にリヴィラの街がある島が浮かぶ湖畔の底の食人花を誘き出し、片づけていた際にアイズを襲おうとしたヒューマンの女性の様に『魔石』を有していた。

 

 ベルは謎の集団を相手取る一方でこの『怪人』が隙を作るのを見計らっていた。

 

 そうして、ベルの魔法と【スキル】による相乗強化が可能とする視認相手に無理やり隙を作り出す超視力に加え、ベル達の戦闘を見ながら、油断していた事による隙が合わさったそれに対し、ベルは流れるように長弓を構えて矢筒から矢を引き抜き番え、引き絞りそして、矢を放った。

 

 放たれた矢は男の魔石に命中しながら射抜き、そうして砕いた事により、モンスターがそうなる様に『怪人』の男は消滅したのであった……。

 

 

 

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