白兎は狩人の誓いを   作:自堕落無力

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六十二話

 

 ダンジョンの中層域にして、モンスターが産出されない『安全階層』である18階層。

 

 他の階層では間隔があるとはいえ、ダンジョンでは常に壁からモンスターが産出されているので突如、襲撃される恐れはあるし他の場所から産出されたモンスターが徘徊する事で遭遇する危険があるので休息するのも結構大変なので『安全階層』は冒険者にとってありがたい階層である。

 

 

 

 だが、だからこそか18階層の手前の階層、つまりは17階層にはとある厄介な性質があった。

 

 それはモンスターにおける王族にして超越種である『階層主』、『迷宮の孤王(モンスターレックス)』のゴライアスがいるという点だ。

 

 一度倒せば二週間の産出間隔があるのとはいえ、遭遇すると面倒なのは間違いない存在だ。

 

 

 

「丁度良いですね」

 

 17階層にて『ゴライアス』が産出された情報を同じLV.4というのもあって、【ロキ・ファミリア】のラウルにアナキティ、アリシア達と軽くダンジョン探索で交流をしようとしていたベルは聞いた。

 

 【ロキ・ファミリア】が『遠征』をするという情報は冒険者の世界ではとっくに広まっており、だからこそ冒険者達は『ゴライアス』の相手を【ロキ・ファミリア】にさせるため、放置しているようであった。

 

 ベル・クラネルはLV.4に【ランクアップ】したばかりなので成長した体と精神にズレが生じるのは確実だ。

 

 それも『EX』という他の冒険者達より、アビリティの最大値が相当に上な状態を貯金しているので余計にズレは大きいのである。

 

 

 そのズレを調整するためにも強敵の存在は必要不可欠なのだ。

 

 

 そして、ベルのズレを調整するための相手として『迷宮の孤王』、『階層主』は最適である。

 

 

 

 

 よって、ベルは17階層へと向かい……。

 

『オオオオオオッ』

 

 人の体格に酷似したその姿、体皮は灰褐色で後頭部に生えている黒い髪は首元を過ぎる位置まで伸びていた。その総身は七Ⅿにもなろうかという巨人のモンスター。

 

 それが『ゴライアス』であり、その潜在能力はLV.4に匹敵している。本来ならば複数の冒険者が協力しながら倒すのが基本であり、常識なモンスターである。

 

 というより、大体の『階層主』は複数で協力して倒すのが普通であるが……。

 

 

 

 

「ふっ!!」

 

 しかしてベルは敢えて一人で戦う事とし、【ムーン・サイト】を使いゴライアスの動きを見切り、更に無理やりゴライアスの間隙を見抜きながら立ち回りつつも心身のズレを調整していき……。

 

「(これが時間的感覚の研ぎ澄ましか)」

 

 

 良い感じに距離が取れたので弓を構えて矢を番えながら、ゴライアスを狙うため集中すると【冷静平常】の効果が発動。

 

 ゴライアスの動きも周囲の動きも遅くなっていき、景色も白黒に染まっていく。

 

 ベルの時間感覚が鋭敏化された事で彼にとっては一秒が数秒に感じるようになったのだ。そしてその感覚についていけるため、身体の動きが置き去りにされる事も無い。

 

 

 

「ふっ!!」

 

 ベルは余裕を持って、矢をゴライアスの致命的箇所となっている額へと放ち、そうして見事に射抜いたのであった。

 

「流石はベル様です」

 

『(流石どころじゃない……)』

 

 ゴライアスに対してとことん優位に立ち回ってみせたベルにリリルカは賞賛したがラウルたちは驚愕したのであった……。

 

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