白兎は狩人の誓いを   作:自堕落無力

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六十八話

 

 【ロキ・ファミリア】と【ヘファイストス・ファミリア】の連合派閥とダンジョンへ『遠征』をしているベル・クラネル。

 

 彼は今のところ、視力の良さを活かしての斥候を担当しており、モンスターと戦う際は自分が使う長弓や短弓に融着している刃を振るっての斬舞、あるいは片手剣を使っての斬舞で対応している。

 

 ベル・クラネルの【ステイタス】、習得している技と駆け引きにしても近接戦の熟練者であるのもそうだし、【経験値】稼ぎの為でもある。

 

 一番の理由は自分が使う専用の矢を深層に向けての探索に備えての温存である。

 

 無論、輸送している物資の中には矢も含まれており、いざとなればフィンから補充も許されてはいるが……。

 

 

 

 

 ともかく、ベル達は現在、25階層を順調に進んでおり大空洞の東方面を移動していた。

 

 岸辺に沿って南東に向かえば26階層への連絡路へと辿り着ける場所だ。

 

 

 

 「っ、皆さんあの滝壺辺りに大量のモンスター、『イグアス』がいますっ!!」

 

 ベルは自分の目が捉えたモンスターの情報を伝えた。

 

 

 

 『イグアス』というのは25階層から27階層の層域、『水の迷都』で産出される緋燕のモンスターであり、『巨蒼の滝(グレート・フォール)』の裏側、岸の表面を根城にしている。

 

 『不可視のモンスター』と評される程にイグアスの飛行速度は速く、大瀑布に近づく者へと『閃光』を連想させる勢いで突撃し、嘴で標的を貫くのである。

 

 『下層最速』のモンスターを冒険者に聞けば、間違いなくこのイグアスの名が皆から上がるのは間違いない。

 

 弱点としては速度重視が故かその肉体自体は脆く、盾や鎧、障害物など硬質な物に接触した瞬間に自ら、潰死してしまう。

 

 だが、それでもイグアスはその末路の事は考えずに紅の魔弾となって標的に突撃してくるのだ。

 

 

 

「くっ、厄介じゃのう」

 

「俺が先に潰してきます……【我が瞳に月の加護を】――【ムーン・サイト】」

 

 

 ガレスが顔を顰める中、ベルは視力強化魔法を使ってイグアスのいる方へと駆け跳ねる。ベルの魔法に彼が有する視力強化のスキルである【視力重視】が加わればイグアスの速度ですら彼にとっては遅いものになり、しかも【冷静平常】で集中すればするほどイグアスの速度は止まって見えるようになる。

 

 

 

 

 よって……。

 

 

 

「はああっ!!」

 

 リリが持っている短弓と自分の長弓を換装しながら、片手剣も持って短弓の刃との二刀流で剣舞を披露し、紅の魔弾となって自分に突撃してくるイグアスを全て切り払う事で始末し、他の者達が安全に通れるようにしたのだった……。

 

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