白兎は狩人の誓いを   作:自堕落無力

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六話

 

 昨日、オラリオが『迷宮都市』と呼ばれる由縁であるモンスターの領域であり、魔窟そのものなダンジョンへとベルは冒険者として初挑戦した。

 

 【ファミリア】は違うがフリーであり、『上層域』については詳しいサポーターリリルカを雇ったので探索自体はスムーズであった。今日も当然、リリルカと共にダンジョン探索へと向かう予定だ。

 

 また、初めてのダンジョンで稼いだ記念としてヘスティアの髪留めが痛んでいたので新しい物を購入するとヘスティアは喜び、ベルを沢山可愛がった。

 

「ん……気持ち良さそうに寝てるな」

 

 そうして昨日はヘスティアの頼みにより、寝台の上でヘスティアに抱き締められながら寝ていたベルは習慣によって暁闇の時間帯に起床する。気持ち良さそうに寝ているヘスティアを見て笑みを浮かべながら起こさないようにゆっくりと起き上がりつつ、抜け出そうとして……。

 

 

 

「まぁ、待ちなよ……」

 

「っ、ヘ、ヘスティア様……起きて……あっ」

 

 ヘスティアが愉快気な表情を浮かべて目を開き、ベルを強く抱き締め胸の中へと抱く。

 

 ベルは頭や側頭部などを撫でられながら、ヘスティアの温もりに感触、匂いによって蕩け始める。

 

「ベル君、とっても抱き心地良いから安眠出来たよ……もしかしてアルテミスやアストレアにも良くこうされてたんじゃないかい?」

 

「そ、それは……はい……」

 

「だろうね……じゃあ、ボクも負けてられないね」

 

「ひゅ、うむ、へ、ヘスティア様ぁ……」

 

「ふふ、沢山可愛がってあげるからね」

 

 ヘスティアは朝日が輝く時間帯まで思う存分、ベルの頭や顔、首元などを撫で回したり、弄ったりしてベルが蕩ける反応を楽しんだのであった……。

 

 

 

 

 

 

 今日もダンジョン探索に行く前にベルは回復薬を調達するため、【ミアハ・ファミリア】の本拠兼店舗である『青の薬舗』へと行く。

 

「今日もこんなに買ってくれるんだね……ベルのおかげでひもじい想いをしなくてすむよ。ありがとう」

 

「どういたしまして……ダンジョンでは何が起こるか分からないので備えは大事だと聞いているので」

 

 今日も複数の回復薬と精神力回復薬を買うとナァーザが喜ぶ。

 

「うん、ダンジョンは本当に恐ろしいところだからね……ほら、今日もサービスしてあげるから、こっち来て」

 

「う、ふ、あう……」

 

「今日もベルは可愛いね」

 

 ベルを手招きするとベルの頭や顔などを撫でたり、擽ったり、掻くようにして刺激するなどベルの反応を探りつつ、彼が蕩けるようにして可愛がるのであった。

 

 その後、ベルはサポーターとして契約をしたリリルカと集合場所にしているギルド本部へと向かう。

 

「おはよう、リリ」

 

「はい、おはようございます。ベル様」

 

 ベルは既にギルド本部内で待っていたリリルカに挨拶すれば、リリルカも笑みを浮かべて挨拶を返した。

 

「エイナさん、それじゃあ今日も頑張ってきます」

 

「うん、気をつけて行ってらっしゃい」

 

「あふ、はい……」

 

 そして折角なのでギルドの受付嬢であり、自分のアドバイザーを担当しているエイナに挨拶をすれば彼女は微笑みながらベルの頭を撫でて送り出す言葉をかけたのである。

 

 こうして、ベルはリリルカと共にダンジョンのあるバベルが建造された中央広場に向かった。

 

「(また視線……)」

 

 するとバベルの上から自分に対して無遠慮に見回しつつ、愛を伝えてくる視線が降り注いだ。何とも言えないむず痒さを感じながらもベルはその視線に対し、笑みを浮かべながら手を振る。

 

 ベルの対応によってまた、視線の熱が強くなった。そんなこんなでベルはバベルの地下一階へと行き、ダンジョンへの出入り口である『穴』の中へと進み……。

 

 

「ふっ!!」

 

 ベルは短弓を手にダンジョン内を縦横無尽に駆け跳ねながら、矢筒から迅速かつ流麗な動作でもって矢を引き抜いては射撃する事で標的であるモンスターを遠近関係なく射貫く。

 

 更にモンスターとの間合いに踏み込んだ状態となると弓を杖にして打撃を炸裂させる事で破砕したり、矢を矢筒から引き抜いてそのまま突き刺しながら、隙を衝いて弓を構え、複数纏めて射抜く。あるいは短剣を抜いて剣舞を披露しながら獲物を切り裂き、貫く。

 

 足を用いて蹴り飛ばしたり、蹴り倒す事でモンスターを破砕したりもした。

 

 

 

 六階層にて産出され、新人冒険者にとっては強敵に属する『ウォーシャドウ』もなんのそのである。

 

「(本当に凄まじいですねぇ……)」

 

 ベルの気持ち良いくらいの暴れっぷりをリリルカは眺めながら心の中で呟いた。

 

「お前もあれくらいできたらな……」

 

「いやいや、あんなの無理だからっ!!」

 

 ベルの戦いぶりを見た通りすがりの冒険者のパーティのうち、一人が仲間の弓使いに言い、弓使いは即座にベルのようなやり方は不可能だと言いつつ、ベルの戦いぶりに驚愕の表情を浮かべていた。

 

 そうして7階層では『キラーアント』や『パープル・モス』に『ニードル・ラビット』、希少種で産出されにくく、鱗粉に傷を癒す治癒能力を有する『ブルー・パピリオ』を狩っていった。

 

 当然、矢の回収や魔石に『ドロップアイテム』の回収もする事で荷物がいっぱいになるとバベルまで帰還し、換金所で換金してもらいつつ、預かってもらうとまたダンジョンへ……7階層までの往復を続けていると……。

 

 

 

 

『助けてくれぇぇっ!!』

 

 冒険者達の悲鳴が聞こえたので向かってみれば、傷ついた際にフェロモンを発する事で同族のモンスターを誘い出す能力もあって群れを形成しがちな『キラーアント』の群れが大規模なものとなって冒険者達を呑み込もうとしていた。

 

「させるかあっ!!」

 

 緊急事態もあって、ベルは体力と精神力を込めて威力を増大した矢を複数放ってキラーアントの群れの中の複数を矢の威力で破壊、数を大きく減らしながら接近した。

 

 そのまま左で持った弓を杖として打撃を繰り出す事で更にキラーアントを破砕しながら、右手では矢を引き抜いて刺突によって直接貫き続け、間隙が生じた瞬間に弓を構えて矢を番える事で複数を射抜く射撃を炸裂させる。

 

 直後に短剣を引き抜いて剣舞を披露し、弓を杖としての打撃の戦舞と合わせる事でキラーアントの群れを屠っていった。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 

 数が数であったため、キラーアントの返り血を結構浴びた状態で大きく息を切らせていた。

 

「ベル様、凄い……」

 

『……お、おお……』

 

 リリルカはベルの武勇に見惚れ、助けられた冒険者や通りがかり目撃した冒険者達はまるで狩人を連想させるベルの武威に絶句しつつ、息を漏らした。

 

「お疲れ様です、貴方のおかげで多くの冒険者が助けられました」

 

 そんな中で一五〇Ⅽに届かない小柄な身長、白銀の長髪、精緻な人形の如き整った顔をしているヒューマンの女性がベルに近づき、声をかけた。

 

「怪我はしていませんね……あの武勇、とてもお見事でした。どうぞ」

 

「ありがとうございます。そして初めまして、僕は最近出来たばかりの【ヘスティア・ファミリア】のベル・クラネルと言います」

 

 ベルは女性から回復薬を受け取り、礼を言うと自己紹介をした。

 

「私は【ディアンケヒト・ファミリア】のアミッド・テアサナーレです。よろしくお願いしますね、ベルさん」

 

 アミッドも自己紹介して最後に微笑んだ。

 

 その後はキラーアントの群れに負傷させられた冒険者達に対してのオラリオにおいては最高位の治療師(ヒーラー)として名高いアミッドや彼女と同じ団員である治療師の技を見たりもした。

 

「それではベルさん、もし怪我などをした際は治療院を訪れてください。他にも値は張りますが、回復薬なども売っていますのでそちらの方もご利用いただければ……」

 

「分かりました、必要な時は頼らせていただきます」

 

 ダンジョンからバベルに帰還するとアミッドがベルに声をかけ、ベルが応じると彼女は頷き、別れたのであった。

 

「ベル様、ちょっと休みませんか?」

 

「え、リリがそう言うなら良いけど」

 

 そうして、バベルの休憩室に移動したベルはゴーグルを外した。因みにダンジョン探索においての休憩にてリリルカには素顔を見せており、案の定、『可愛いですね』と言われていたりもした。

 

「ベル様、失礼します」

 

「わうっ、リ、リリ!?」

 

 椅子に座ったベルの体を登るとリリルカは彼の顔を抱きながら胸の中へと誘う

 

「ベル様……いえ、ベル。私は貴方より年上なんですよ……だから、頑張ったベルにご褒美をあげます。ベルはお姉さんに甘やかされるのがお好きなようですから、満たしてあげますね」

 

「ふあっ、リ、リリぃ……」

 

 突如、艶のある声をベルの耳の中へと送りながら頭や側頭部を撫で回す。ベルはリリルカの言葉と行為に痺れながら、蕩けていく。

 

 

 

 

「ベルは偉い、偉くて優しい……好きよ、ベル」

 

「ふあ、んん……」

 

 リリルカは更に甘く優しい言葉を次々にベルへと送って更にベルを心地良くさせ、蕩かせていくのであった……。

 

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