白兎は狩人の誓いを   作:自堕落無力

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七十三話

 

 現在、ダンジョンにて遠征を行っている【ロキ・ファミリア】に【ヘファイストス・ファミリア】と【ヘスティア・ファミリア】による連合派閥は33階層から36階層までの層域である『砂漠の迷園』に到達した。

 

 そして36階層を抜けた37階層からはいよいよ、『深層域』に踏み入れる事になる。

 

 

 

 そんな『下層域』の最後の層域である砂漠の迷園は文字通り、砂漠地帯である。

 

 迷宮構造など全く無いが、照り付ける赤水晶の熱気が極暑領域を作り出しているし、魔力を伴った蜃気楼が進路を捻じ曲げる。

 

 壁が無いのでモンスターがそこからは現れないが、どの箇所から産出されるかは分からないままに地雷の如く、砂を爆ぜさせてモンスターは生まれるので冒険者にとっては最悪な奇襲になる。

 

 それに最悪なのはとにかく、足元が埋まるくらいに深い砂地だ。もし、速度が優れている者がこの『砂漠の迷園』で走れば、直ぐに背後で砂嵐が生じて後ろの者にとって妨害してしまう感じになる。

 

 なのでベートも此処では自慢の敏捷を発揮する事が出来なかった。

 

 

 

「くうう、暑いですねぇ」

 

 初めて『砂漠の迷園』を探索する事になるベルはとにかく、慣れる事の無い暑さに参っていた。フィン達のアドバイスにより、ゆっくり水分を補給しているがその都度、汗となって流れゆくので堪らないのだ。

 

 

 

「暑いのももう少しだ。ただし、次からは寒くて暗いから気をつけろ」

 

「今度は逆になるんですか!?」

 

「うん、本当に最初だと砂漠の迷園は大変だよ」

 

「そうそう、頑張って」

 

 

 リヴェリアの言葉に驚くベルにアイズとティオナが声をかけた。

 

 そうして、36階層に到達すると嫌なくらいに炎天だった天井は『寒夜』に切り替わった。

 

 光の少ない『夜の砂漠』に足を踏み入れる事となるのだ。無論、急激に低くなる気温はそれまで暑さにへとへとだった者を更に冷やして追い込む。上級冒険者ならばそのタフネスで何とか出来たりはするが……。

 

 

 

「『下層域』最後の層域だけあって、めちゃくちゃきついですね」

 

「安心してくれ、そろそろ良い休息地だから」

 

 ベルの言葉にフィンが答え、そうしてこの36階層、いや『砂漠の迷園』において天国のような場所である『緑地泉地帯(オアシス・エリア)』に到達した。

 

 ここでは良い感じの気温もそうだが、なにより泉の水で水分補給が出来るので本当にありがたいのだ。

 

「天国だぁ」

 

『その気持ち、分かるよ』

 

 次の階層からまた更にきつくなるのでベル達はここを野営地とし、十分に休息をとる事にする。

 

 この場所を喜ぶベルに女性陣は微笑みながら頷くのであった……。

 

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