白兎は狩人の誓いを   作:自堕落無力

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九十話

 

 59階層を目指して進む未到達領域探索パーティは58階層から52階層までの床をぶち抜く凄まじい威力を誇る炎砲を放つ『ヴァルガング・ドラゴン』の攻撃に対応するため、LV.6のティオネにティオナ、ベートにガレスが58階層へと降下した。

 

 ヴァルガング・ドラゴンの炎砲がぶち抜いた穴より、リヴェリアによる防護の魔法をかけられながら飛び降りたのである

 

 そうして、四人がヴァルガング・ドラゴンへの対応に動いている間にフィン率いるベル達、別動隊は52階層から53階層に進む。

 

 多少のヴァルガング・ドラゴンによる炎砲やそれが開けた穴より、イル・ワイヴァーンが襲い掛かったり、52階層の強力で厄介なモンスター、芋虫型の新種が立ちはだかったがそれらを退けたのだ。

 

 こうして、53階層に踏み入ったのだが……。

 

「芋虫型が全く来ませんね」

 

「ベルも気づいたか……アイズがかなり魔法を使っているのにな」

 

「嫌な予感しかしません」

 

「同感だ」

 

 芋虫型の新種は食人花のように魔力に反応する性質を有している。なので本来なら、とうにアイズの魔法のそれに引き寄せられてもおかしくないが、今のところ全く姿を現さない。

 

 リヴェリアと話をしてみると彼女も同様の意見である。

 

 

 

 

「あそこの先に芋虫型と誰かいますっ!!」

 

 ベルの視力が幅広の通路を埋め尽くす芋虫型の群れ、その中でも殊更巨体である大型の上に紫紺の外套で全身を覆っており、不気味な紋様の仮面を被って顔を隠し、ブーツと銀のメタルグローブを装備した存在がいた。

 

「【我が瞳に月の加護を】――【ムーン・サイト】」

 

 ベルは月の視界を得る魔法を発動する。

 

 そして、その目が芋虫型の上にいる存在の全てを見抜いていく。

 

 

「あの者の中に魔石がありますっ!!」

 

「24階層にいたって言う、怪人だね」

 

 ベルが24階層の食糧庫で出会い、危険だと判断したのもあって隙を伺い、魔石を射抜いて消滅させた男の話はフィン達とも共有している。

 

 

 

『殺レ』

 

 そうして、怪人は芋虫型を列に並べながら、階段のように頭部の高さを調節させると腐食液を放出させた。

 

「転進、横穴に飛び込めっ!!」

 

 フィンの指示に一党は通路の横穴に離脱、そうして怪人の指示の元、追撃や待ち伏せしてくる芋虫型の群れからこの階層内を知り尽くしているフィンの指示の下、逃走していき……。

 

 

 

「迎え撃つ、反転」

 

 フィンが盾三枚を並べろと言ったのでサポーター三名はバックパックに取りつけられた大盾を引き剥がし、敵正面、三枚を隙間なく並べた。

 

 そうしてアイズは風の付与魔法を使いつつ、盾の上に乗り……。

 

「リル・ラファーガ!!」

 

 ロキの教えで技の名を口にしながら、盾を蹴りつけて自分を風の弩砲と化した。

 

 こうして螺旋矢として、強烈な勢いと超速で進むアイズは芋虫型の腐食液を突き破りながら芋虫型に迫る。

 

 

 

『っ!!』

 

 怪人は緊急回避した、その瞬間……。

 

「そこだ」

 

 大盾に隠されながら、フィンの指示で弓を構え矢を引き絞っていたベルが隙を晒した怪人に対し、自分の体力と精神力を込めた矢を怪人の魔石を狙って放つ。

 

『――』

 

 怪人は超反応でメタルグローブを矢の前に出しながら、貫かれつつも次の瞬間、消失する事で魔石への直撃を避けたのであった。

 

「消えた、何かの魔法のようです」

 

「今は良い、芋虫型を片付けよう」

 

 ベルが指摘するとフィンはそう返し、そうして芋虫型の対処に皆は動くのであった……。

 

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