『ヴァルガング・ドラゴン』の炎による狙撃に対応するため、フィン達、【ロキ・ファミリア】と【ヘファイストス・ファミリア】に【ヘスティア・ファミリア】による未到達領域探索パーティは部隊を分けた。
そうして、58階層にいる【ヴァルガング・ドラゴン】と戦闘し、倒す事で炎の狙撃を抑える役目を担ったのはティオナにティオネとベートにガレスとLV.6の四人である。
フィン達はティオナ達の活躍によって比較的、安全に階層を進む事が出来た。53階層で怪人が率いる芋虫型の群れに襲われたが、これも迎撃し、そうして58階層に向かってティオナ達と合流する。
こうして、フィン達は58階層のモンスターを倒し、長い次産間隔に追いやる事で一旦、休憩を始めたのである。
「ベルは本当、可愛いね」
「私達がここに来た後も活躍してくれたみたいね」
「うん、そうだよ。ベルの弓はとっても頼りになるから」
「褒めようとすればきりがなくなるな」
「良い子ですからね」
「うむ、なにより勇姿も格好良い」
「あうぁぁ……」
休憩の中、ベルは女性陣に可愛がられていく。
「……」
休憩をしている間、フィンは59階層の連絡路を見ながら思考に耽っているようだった。
「フィンさん、どうしました?」
ベルはそれに気づき、声をかける。
「いや、【ゼウス・ファミリア】が遺した記録によれば59階層から先は『氷河の領域』らしいんだ」
フィンはベルの質問に答える。59階層の事はギルドによる公開情報では至るところに氷河湖の水流が流れ、進みづらく、極寒の冷気が体の動きを鈍らせるとの事。
「……そういう話にしては冷気が来てませんね」
本当にフィンのいう通り、冷気が凄い階層なら階層へと入る連絡路には冷気が流れてこないとおかしい。なのでベルも疑問に思った。
「ふふ、やっぱり君は鋭いし聡い……そう、だから何かあると思ってね」
フィンはベルを褒めつつ、ともかく行くしかないので自分達が目的としている59階層に本来は冷気対策で持ってきていた『火精霊の護符』だが、冷気は無いようなのでそのままの恰好で入っていく。
すると……。
「氷河どころか密林じゃない……」
ティオネが口にする。59階層は緑一色に染まった樹や蔦が生えているルームとなっていて、連絡路直前の空間に密生する背の高い樹林。地面には青い草原と毒々しい極彩色の小輪を揺らす花々、壁面に遥か彼方の四方は緑壁、大きさの異なった無数の蕾が垂れ下がっている。
「まるで24階層の……」
「はい、食糧庫のあれみたいですね」
「……確かに」
食人花の生産工場のようなものとなっていた24階層の『食糧庫』のような状態にレフィーヤとベル、アイズが反応する。
ともかく、警戒して進んでいると妙な音が響いて来た。隊列を組みながら進んでいき……。
「あれは『タイタン・アルム』なのか」
「それに宝玉による女体型か」
荒野と見紛う階層の中心に夥しい量の芋虫型と食人花のモンスターの大群が巨大植物の下半身を有する女体型が君臨していて芋虫型は口腔から舌のような器官を伸ばし、魔石を差し出していて、食人花も魔石を露出させていた。
「(まさか、強化種に……不味い)」
ベルは【ムーン・サイト】を全力で使いつつ、長弓を構えてヴェルフ特性の矢型魔剣であり、『魔弾』を番えて弦を引き絞る。
「皆さん、僕はこの一矢に限界以上の全力を込めます。なので後はお願いします」
「分かった」
不味い事になるのを感じたベルは対処するために集中しながら、魔弾に体力と精神力を限界を超えて込めていく。
そしてベルは魔法と【スキル】の効果で女性型の致命的な部位、つまりは魔石がある場所を見抜く。更に過去最高でベルにとって時間の流れはまるで止まっているかのようになっていた。
「これでも、くらえっ!!」
ベルは自分の体力と精神力を込めた事で強烈な輝きを纏う雷属性の魔弾を女体型へ放つ。
『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』
魔弾は女体型の魔石を射抜きながら、雷撃の爆発によって近くにいた芋虫型と食人花が断末魔の叫びを上げながら消滅する。
「後……おねがい「ああ、私達に任せろ」」
そうしてベルは倒れていき、それをリヴェリアが抱くようにして受け止める。
「厄介なモンスターはベルが片付けてくれた。掃討にかかるぞ」
『おうっ!!』
そうして、大群である芋虫型と食人花を掃討するためにベルを除くパーティの者達は動いたのであった……。