『ポイズン・ウェルミス』の異常な大群の襲撃に遭い、そのモンスターの猛毒の被害を受けた【ロキ・ファミリア】と【ヘファイストス・ファミリア】の団員の治療に励んでいる連合派閥。
18階層を拠点に野営をしている中でベルは気晴らしや気分転換代わりに東の森林地帯の散歩へと向かう。まぁ、如何にもベルが行きたそうにうずうずしていたのでフィン達は兎の姿を幻視しながらも許可を出した。
そもそもベルは毒の被害を受けた団員達の看護に励んだり、食糧探しや魔石とドロップアイテム集め、階層主である『ゴライアス』の討伐など積極的に働いているので彼が気分転換したいというなら、断る理由も無い。
こうして、ベルは森林地帯の散歩へと向かうとある場所で水浴びをしている冒険者の気配を察知したので少し待って、接触すればそれはリューであった。
森林地帯にはベルもお世話になった女神、アストレアの眷属たちの墓がある。
『闇派閥』との戦いで犠牲になった者達でリューと合わせて主力陣であった団長のアリーゼに副団長であった輝夜、参謀を担っていたライラ、そして彼女達を支えていたノインとネーゼにイスカ、マリュー、アスタとセルティの十人である。
そうして、ベルはリューと共に細い木立と水晶によって囲まれた十人の墓地へと向かう。
「此処がアストレア様が言っていたアリーゼさん達の……」
「ええ、そうです」
「じゃあ、僕も手伝います」
そうして、ベルはリューが持っていた花束を幾つか受け取って墓の近くに置いていく。
「皆、彼はベル・クラネル。アストレア様と一時期、共に暮らしていたそうです。眷属ではありませんがそれでも私達の後輩ですよ」
リューは墓へとそう、語り掛けた。
「初めまして、僕はベル・クラネルです。アリーゼさん、輝夜さん、ライラさん、ノインさん、ネーゼさん、イスカさん、マリューさん、アスタさん、セルティさん。貴女達の主神であるアストレア様には世話になりました。貴女達の事もたくさん聞かされましたよ」
次にベルが座りながら、墓へと語り掛ける。
そうして、ベルとリューは瞑目しながら祈る。
まるでベルを歓迎するかのように突如、風が撫でるように吹いた。
「ベル、本当に貴方は尊敬に値するヒューマンだ」
「あぅ、い、言いすぎですよ。リューさん」
「いいえ、正当な評価ですよ」
「やふぁ、ひゃう、くふ……」
リューはベルと共に祈る時間を終えると笑みを浮かべながら、彼の頭を撫でる。
「では、店でベルの帰りを待っていますね。貴方の様子はシル達にも伝えておきます」
「はい、よろしくお願いしますリューさん」
その後、墓参りを終えたリューとベルはその場で別れ、リューはオラリオの帰還をするために動き、ベルは野営地に戻るために動いたのであった……。