仮面ライダートラッシュ   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。いつもは3000字ぐらいに纏めてるんですが今回は5000字近くになってしまいました。

今回はルイの変身するライダーの登場。新キャラ続々。楽しんでいただけたら幸いです。


第十の清掃:バーンアウトサイドの守護者

「本州の、仮面ライダー…?」

 

 

 神奈川で殺戮を起こしたという仮面ライダーを追って新東京都から出てきた俺たち。様々なハプニングに見舞われピンチを助けてくれた萌月留依と名乗った深紅の髪の女性が取り出したのはジャンクキューブで。ご同類だという。つまりそれは……。

 

 

「あんたが……殺戮したっていう仮面ライダーか!?」

 

『お、おう!?そうなのか、相棒!?』

 

「は?それはそっちだろ。余所者の癖に俺達の仲間を殺した落とし前はつけてもらうぞ」

 

「そっちこそ何の話だ!俺達は……待て、なんだって?」

 

 

 一触即発。睨み合うが、それぞれの勘違いに気付いて我に返る。留依も気づいたらしい。

 

 

「……ハシリターの間で殺人なんかご法度だ。だから俺達の仲間を殺した“仮面ライダー”は、別の場所から来たと考えるのが自然だ」

 

「俺が知る仮面ライダーは俺も含めて三人だが、その誰もがあんなことをするとは思えない。だから、あるとしたら本州の人間、だと……」

 

「「……はあ。振り出しか」」

 

 

 二人揃ってため息を吐く。その間にゼブラゴミリオンが沈黙し、歓声が上がる中で目覚めたらしいヒカリがおっかなびっくりでこっちにやってきた。

 

 

「怜二?何事ですの……?」

 

「俺にもわかんないけど、この人も仮面ライダーらしい。犯人じゃないみたいだ」

 

「もってことはこの嬢ちゃんも仮面ライダーなのか?」

 

「え?え?」

 

「とりあえず、トレーラーに乗れよ。見たところろくに飲み食いしてないんだろ。もてなすぞ」

 

「「!」」

 

 

 罠かとは思ったが、その言葉に目を輝かせる。もう本当に限界だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふんふふんふーん♪」

 

「ご機嫌だな、お前のお姫様」

 

「約二日ぶりのシャワーだからな……」

 

『ヒカリは綺麗好きだからなおさらだな』

 

 

 ガタゴト揺れるトレーラーの荷台、ちょっとしたキャンピングカーというよりは二階建ての居住区になっているそこはなんと簡易的なシャワーまでついており、ヒカリが今浴びていて鼻歌が聞こえてきた。カーテンで仕切られているだけの向こう側でヒカリがシャワーを浴びていると思うとどぎまぎしてしまう。このトレーラー、なんと浄水機までついてるらしく、移動拠点として用いている様だ。俺も浄水機を用いた水と、お湯を使ったカップラーメンを振る舞ってもらい何とか回復した。バイクをジャンクキューブに変えて俺達の世話をしてくれたルイにはもう頭が上がらない。

 

 

「で、玲二とヒカリだったか。五年前から有名な仮面ライダーはお前たちなのか?」

 

「そっちはデリート……掃除屋を名乗るチリヅカの人間だ。俺達はまだ一ヶ月足らずさ」

 

「なんだ、俺と一緒か。同期だな。しかしチリヅカの人間が仮面ライダー、ね。……偶然じゃなさそうか。ルーインズドライバー、なんか知ってるか?」

 

『私は貴女にゴミリオンの中から助け出された身です、お嬢。それ以前の記憶は名前以外何も』

 

 

 そうルイに言われて言うのは、横にしたミキサーみたいな形状の深紅のドライバー。ルーインズドライバーというらしいそれはまるで執事のような口調で透明なグラス部分を仄かに赤く輝かせて応える。なんでも、バーンアウトの仲間と一緒に破壊したゴミリオンの一部になってたらしく、救われてルイを持ち主に選んだらしい。

 

 

『俺はチリヅカ・コーポレーション製だぜ!相棒を探して出て来たんだ!』

 

「またチリヅカか。デリートってやつといい、この妙な力も奴らが何か知ってるのかね。ちょうどいい。今、例の事件の調査でチリヅカの人間がうちの本拠地に来ててな。奴らから情報を引っ張り出してやるか!」

 

「チリヅカの人間が来てるのか?」

 

「キヨミズの連中まで死んでるから、俺達の抗争に巻き込まれたと思ってるらしい。まあ否定はしないがな。俺達と縄張り争いをしてた連中が被害を受けている」

 

「縄張り……」

 

「ああ、俺達バーンアウト以外の縄張りに入るなよ?今はどこも気が立ってるからな身形のいい奴らは殺されてもおかしくない」

 

「肝に銘じておくよ。…バーンアウトはそうじゃないのか?」

 

「“燃えるなら全力で。燃え尽きるまで走り続けろ”それが俺達のモットーだ。そんなことで止まるのは性に合わないのさ」

 

「大したモットーですわね。好きですわ」

 

「ぶっ!?」

 

 

 すると、下着姿のヒカリがカーテンを開けて出てきて。「着替えはありませんの?」なんて俺の目も気にせずルイに問いかけるものだからたまったもんじゃない。俺は、男として見られてないのか…!?

 

 

「着替えならそこの棚だ。シャワーはどうだった?」

 

「浄水機まで完備とは……すごいトレーラーですわね」

 

「っヒカリ!いい加減にしてくれ!」

 

 

 シャワー上がりのヒカリの上気した肌に、思わず顔を背ける。というかあの縦ロール、セットとかじゃなくて地毛なんだな……。

 

 

「お前たち、付き合ってるのにその反応はどうなんだ?」

 

「「付き合ってない!」ですわ!」

 

「お、おう。悪かった」

 

 

 再びカーテンの裏に戻っていそいそと着替えるヒカリをよそに、ガタゴト揺られながら俺達は神奈川の中心……横浜へと入るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそ、元横浜ドーム……現、集落“バーンアウトサイド”へ!」

 

「『「おお……!」』」

 

『これはすごいね。ちょっとした町だ』

 

 

 案内されたのは半壊した横浜ドーム。壁に囲まれたその中は、簡単な作りの出店やちょっとした小屋が並んでいて、活気ある小さな町の様になっていた。みすぼらしい格好の人間が、せっせと働いて家屋を建てたりその材料を運んでいる様が見える。売られているのはバイクのパーツから、缶詰やら。価値のあるものを物々交換している様だ。

 

 

「このドームは俺達が手に入れて縄張りにしたんだ。この中は“秩序”がある。安全だから安心しな」

 

「……ルイ。お前はすごいな。ここ、笑顔でいっぱいだ」

 

 

 それは俺の目指した世界。金が無くても、笑顔で生きていけるそんな世界がそこにはあった。

 

 

「俺は責任を負っているからな、これぐらい当然だ。ああそうだ、紹介するよ。チームバーンアウトの幹部三人だ」

 

「やっほ。トレーラーの運転手の穂村兎(ほむら ウサギ)だよ!」

 

「俺はリーダーの補佐役をしている。爆豪玄太郎(バクゴー げんたろう)だ。よろしく!」

 

眞熊雪子(マクマ せつこ)。よろ」

 

「ああ、よろしくな。八多喜玲二(はばたき レイジ)だ」

 

「私は慧月光(としつき ヒカリ)ですわ!」

 

 

 ルイが紹介したのは、垂れた兎の耳の様な髪型が特徴の茶髪の女子高生ぐらいの少女ウサギと、メガネをかけたもじゃもじゃ髪でひょろりとした脚の長い男バクゴー、熊の耳みたいな髪型のまだ中学生位の少女マクマだった。全員ルイと同じTシャツと上着にホットパンツやジーンズやオーバーオールとラフな格好だ。挨拶を交わしていると、そこに黒いツナギ姿の男女二人組がやってきた。

 

 

「やれやれ……やっと戻ったか。バーンアウトのリーダー。ヒーローごっこも大概にしてほしいものだな」

 

「先輩、そんな挑発的な態度だめですよお……」

 

 

 サングラスをかけた七三分けの茶髪の男と、丸メガネをかけていてパッとしない印象の女性だ。あの黒いツナギは、チリヅカの人間だな。2人は俺とヒカリ…正確にはツナギを着ている俺か…に気付くと、歩み寄ってきて男の方が威圧する様に顔を近づけてきた。ヒカリも清掃員なんだがルイの予備の服に着替えてるため気付かないらしい。

 

 

「その恰好、君も清掃員か?俺はチリヅカの清掃員をしている、丹下慶太(タンゲ けいた)というものだ」

 

「わ、わたしは、北内沙羅(きたうち サラ)といいます…!あ、あわわ……」

 

 

 サラと名乗った女がこけて抱えていた書類の山をばら撒いてしまい、慌ててヒカリと一緒に拾い集める。ドジっ子って奴かな。タンゲとやらは手伝おうとする素振りすら見せない。ルイもそれに気づいたのか挑発的な笑みを浮かべる。

 

 

「あんたは拾ってやらないのか?タンゲさんよ」

 

「むっ、愚図が失礼した。そんなことよりも、話を聞かせてもらおうか。君達がやったという話をだ。仮面ライダーなんて都市伝説の仕業にできると思うなよ?」

 

「だから、俺たちは違うと言ってるだろ。ったくよ……決めつけないでほしいんだけどな」

 

 

 どうやらルイたちを犯人だと決めつけてかかっているらしい。わかりやすく嫌なやつだな。見た目は結構いい奴そうなのに。

 

 

「お前たちバーンアウトと抗争していた連中が消えたのは周知の事実だ。覆そうたってそうはいかないぞ」

 

「だからな……うん?」

 

「……ヒカリ、行くぞ」

 

「なにが……そういうことですわね」

 

 

 何かに気付いたルイに、意識を向ける。その方向を見れば、空から鶴の長い首を思わせる頭部と白と黒に塗られた翼を両腕に持つ、錆色のクレーンで斜めに鷲掴みにされたような姿の怪人……クレインゴミリオンが、10体ほどの群れを成して空から襲撃してくる光景が見えた。陸上のゴミリオン相手なら壁で何とかなるんだろうが、半壊した天井の上からの襲撃までは予想してなかったって感じか!俺とヒカリはパニックになる民衆がいない物陰に隠れて、トラとエコちゃん様を腰に取り付け、ホルダーからジャンクキューブを取り出して装填する。

 

 

『トラッシュドライバー!…ジャンクキューブ!プレス!』

 

『エコードライバー!ジャンクキューブ・ウォッシュ……』

 

 

「「変身!」ですわ!」

 

 

『ジャストラッシュ!あっと驚く!アトミックブロック!』

 

『エコードレス、響け……エコー……エコー……エコー……エコー……!

 

 

 ブロックと泡が弾け合い、俺とヒカリはトラッシュとエコーに変身を遂げ、物陰から飛び出した。足裏からの泡で弾けて跳躍したエコーが空中にいるクレインゴミリオンに蹴りつけてさらに宙を舞い、俺は地面に降り立ったクレインゴミリオンに突っ込みパンチを次々と叩き込む。しかし二人では手いっぱいだ。全員は、救えない…!

 

 

「キリがないですわー!」

 

『テンペスットボトルだ相棒!』

 

「だめだ!他の人間も巻き込む!」

 

 

 俺達が苦戦に強いられていると、ルイがルーインズドライバーを手に参戦しようとしていて。タンゲや他の人間の目もあるのに、正気か!?

 

 

「やめろ、ルイ!それはだめだ!」

 

『ルーインズドライバー!』

 

「なにがダメだって?此処は俺の縄張りだ。それを荒らす奴の相手をお客様だけにさせてちゃ、バーンアウトの名折れだ!」

 

『お嬢、私はどこまでも共に!ジャンクキューブ・サイクル!』

 

「変身、だあ!」

 

 

 腰に取り付けたルーインズドライバーの右側に当たる蓋を開け、ジャンクキューブを放り込んだルイは蓋を閉めて左腕をグルグル回すと勢いよく左側のボタンを押すルイ。ミキサーが回転を始めジャンクキューブを粉砕して蓋が開き、竜巻の様な粉塵がルイを包み込み、点滅する赤い輝きと共に映るその影が、点滅するたびに変わっていく。

 

 

(サイ)クル!()ル!クル!リサイクル!……サイクルーインズ!』

 

 

 そして現れたのは、フィンを模した四つに分かれた緑の複眼の深紅に塗られたメカニカルな戦士。まるでタイヤの様な意匠のごつい両腕に、バイクのボディの様な両肩、しかしごつい上半身とは裏腹に下半身はスマートな流線型のフォルムだ。バイクの擬人化と言われればしっくり来そうな姿だった。あのジャンクキューブの素材は、バイクか?

 

 

「仮面ライダー、ルイン!俺の縄張りでなに暴れてくれてるんだ、鳥公(トリコウ)共。来いよ、全員磨り潰してやる」

 

 

 両拳を打ち付けて音を鳴らし、挑発するルイ…ルインに、クレインゴミリオンたちが殺到する。瞬間、ルインの姿がかき消え、先頭にいたクレインゴミリオンの頭部が弾け飛んだ。速い……だけど、これなら!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな喧噪の中で、カランコロンと、背後から音が鳴って。エコーが振り向くと、ベージュ色の長方形の複眼と目が合って。その足が、振り上げられる。

 

 

「油断大敵だな」

 

『ヒカリ!』

 

 

 次の瞬間、エコーの姿は消えていた。




※実際の建物とは関係ありません念のため。横浜ドーム集落一つぐらいは入りそうだよねって。

ルイと相棒、ルーインズドライバー。ルーインズ及びルインは「残骸、遺跡、廃墟、荒廃、崩壊、破滅、破産、零落」という意味。荒廃した世界のライダーにふさわしい名前です。モチーフはミキサー。

そして現れたゲッタ。容疑者はたくさんいますね。

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