今回はチリヅカの幹部会議。楽しんでいただけたら幸いです。
「これはなにかしら?社長」
例の新聞を手に、手入れがしっかりされたとても長い薄桃色の髪でサングラスをかけ、スタイル抜群な身体をピッチリとした黒革のライダースーツと紫色のインナーで身に纏った高身長の女性、“掃除屋”は新東京都の高級街「中央区」に聳え立つ20階建てのチリヅカ・コーポレーション本社ビルの会議室を訪れていた。そこには、幹部と社長が勢揃いしていた。
「ああ、それ?新型ドライバーの被験者デショ?社長サン」
そう机に項垂れながら答えたのは、床まで届く長いプラチナブロンドの髪を持っていてスタイルのいい体に白衣を纏った開発部主任、ネリー・ホワイト。その手にはゲッタドライバーの設計図が握られていてひらひらと揺れている。
「ここ埃っぽいなあ。…あ、もしかして
天井から落ちてきた埃を払いながら反応したのは、黒髪ショートカットで桃色を基調とした煌びやかなライブ衣装を身に纏った小柄な少女、広報部担当の
「……俺は好かん。それは強いのか?」
そう答えたのは、日本刀を握り着物を身に纏った侍の様な出で立ちの髪を乱雑に伸ばして無精髭の浪人の様な男、清掃員の教育係をしている
「強いとも。ゴミルギーを用いた技術はついに物理法則を超えた。素晴らしい力だ、ネリー」
そう拍手して笑うのは、チリヅカ・コーポレーションの創業者にして新東京都の創造主。短く切り揃えた黒髪でサングラスをかけてひょろっとしている30代ぐらいの男、
「お褒めに預かりセンキュ。こっちもこんなグッドな環境で研究させてもらえて感謝してるわ。アメリカは兵器がゴミになった!って大騒ぎだから」
「そんな話をしたいんじゃないわ。あんなのは、仮面ライダーの名に泥を塗ることになる。それがわかっているの?」
「掃除屋。君の献身的な仕事には頭が下がる。だが、世間では“仮面ライダー”と言えば仮面ライダーデリートではなく“仮面ライダートラッシュ”と“仮面ライダーエコー”の二人を指す敬称だ。チリヅカに所属してない彼らの、だ。それでは困るのだよ。“仮面ライダー”は近いうちに公表する時まで我が社の商品でなくてはならない」
「……彼らの評判を下げて「偽物」に仕立てるのが目的だと?」
「君が見逃さなければこんな面倒は起こさなくてよかったのだけどね?」
そう言われて「ぐっ」と言葉に詰まる掃除屋に、六道は続けた。
「ゲッタには、手柄をあげれば幹部にすると話は付けてある。どうやら君の後釜を目指しているようだが、実際掃除屋としての腕はピカイチだ」
「……私に始末を付けろというのかしら?」
「そうしてくれると非常に助かる。なにせあそこにはルインがいる……。まさか廃棄したドライバーがゴミリオンになって、それが外部の人間に回収されるとは……どこまで私の想像の上を行くんだろうね。ゴミルギーは」
過去に思いを馳せる六道に掃除屋は一礼して会議室を出ていく。それを見送り、六道はネリーに問いかけた。
「それで、トラッシュドライバーの持ち主の詳細と仮面ライダーエコーの詳細はわかったのかい?」
「トラッシュドライバーは癖がある子で、普通の精神の持ち主じゃ絶対扱えない。エコー?とやらについてはさっぱり。あんなベルト作った記憶もナッシングよ」
「ではどこから来たというんだ、あのベルトは?」
六道の問いかけに、ネリーは「さあ?」と両手を掲げてお手上げを表す。すると、カオルコが書類を手に立ち上がった。
「広報部もとい諜報部の報告によれば、トラッシュドライバーの持ち主は
「……くくくっ、ふははははははははははははっ!」
カオルコの報告を聞いて突然笑い出した六道に困惑を隠せない幹部陣。六道は狂った様に笑い声をあげながら、サングラスを外して天を仰ぐ。空洞のような真っ黒い眼が天井を見つめて高笑いを上げた。
「そうか、そうか!お前は、そうか!こんなに愉快なことがあるものか!くくくくっ、ふっはははははははははっ!こんなにも薄汚れた世界でなお、お前は戦うのか!素晴らしい、素晴らしいぞ……!」
「―――――――
「へっくしゅん!」
「うわぁ!びっくりしましたわ!」
「おいおい風邪か?俺に移すなよ」
寒気がして、くしゃみを上げると、肩の上に乗っていたヒカリが驚き、鯖の缶詰を炒めたものを食べていたルイが笑う。風邪を引いたつもりはないんだが……旅の疲れが来たか?
「いや、大丈夫だ。それよりも……その話は本当か?」
「ああ、ゲッタとかいう下手人は内部にいるって話か。マジだ。これは絶対に違うお前たちにしか話してない。悟られるな。隙を見せたら狩られるぞ」
小ぢんまりとしたルイの家にて泊めてもらってる俺達。今は晩飯時で、俺とルイと縮んだヒカリ、そしてその相棒たちしかここにはいない。真昼間はルイが質問しに来た人たちにしっちゃかめっちゃかにされていたから、ちゃんと話すのは今が初めてだ。
「まず、バーンアウトサイドの住人達。彼等彼女等はハシリターにもなれない人々ばかりで、俺達チームバーンアウトが庇護下に置いている。庇護下から抜けるってのはもはや死ぬのと同義だ。裏切るとは思えないからほぼほぼ無視していい」
その言葉にそうだろうな、と頷く。クレインゴミリオンが現れた時の様子から一目瞭然だ。慌てふためくばかりで、逃げ惑うばかりだった。あの中にいたら人間不信になるかもしれん。
「次に、バーンアウトの幹部達。私が仮面ライダーだということは知っていて、すぐに対処に回ってくれた仲間達だ。信用してるし、疑いたくない。だが誰よりも私のことを理解している奴らだ。怪人……ゴミリオンだったか?を囮にしたら私がそっちにかかりきりになるのはわかっていたはずだ。ヒカリから聞いた身のこなしから考えて、可能性はある」
それは一番考えたくない可能性だろう。ルイの顔も焦燥に歪んでいる。差し出された白湯を受け取って口に着け一息つく。
「最後に、チリヅカから派遣された清掃員の二人だな。タンゲとサラ、だったか。この二人が現状最も怪しい。あの騒ぎに乗じて変身してヒカリを襲ったってのは十分ありうる。タンゲは私が仮面ライダーだとわかってあの事件の犯人だと民衆の前でわざわざ言ってくれたから最有力候補だな」
『あの下郎……お嬢が悪人だと言わんばかりに……!』
「根に持ってる?」
「ご丁寧にお前たちは変身するところを誰にも見られてないせいで私だけに注目が集中してたからな?」
「俺は止めたんだけどな……その中なら、チリヅカが一番可能性が高い。トラッシュドライバーを作ったところだからな」
『俺以外の奴は知らないが可能性は高いぜ!』
「でも、エコちゃん様みたいにチリヅカが関係ないベルトの可能性もありますわよ?」
「そもそもエコちゃん様はどこから来たんだよ」
『ゴミの中にいつの間にかいたんだ。ルーインズドライバーと一緒で記憶喪失かもしれないね?』
なんかまたはぐらかされた気がする。
「とりあえず、クレインゴミリオンに殺されるところだったヒカリが生きてるのは周知されてしまった。今度こそ命を狙ってくるかもしれない。警戒は怠るなよ、怜二」
「もしもの時はわたくしも変身しますわよ!」
『使えるジャンクキューブのサイズ的に引き出せるゴミルギーは変身するだけで精いっぱいだと思うけどね……』
「ああ、ヒカリは俺が守るさ」
その時だった。カランコロン、と。特徴的な音が外から聞こえてきて。窓から外を覗き込む。そこには、ゲッタと思われる仮面ライダーが闇夜の中を歩いてきていて。
「奴か?」
「行くぞ、ルイ!」
『おい、やべえぞ相棒!』
ルイと頷き合ってトラッシュドライバーを手にして外に出ようとするも、その前にゲッタは突撃してきて、家を蹴りつけてきた。やばい、と思う間もなく、シュルシュルと縮んでいく家屋に潰されそうになる俺達。
「「変身!」」
『あっと驚く!アトミックブロック!』
『
メキメキメキ!ドバギャァアアアアアン!!
咄嗟に変身して、縮んでいく家屋を破壊することで脱出。しがみついたヒカリ共に外に出た俺達は、ゲッタと対峙する。
「ちっ。そこは大人しく死んでおけよ……」
「俺の家をよくも!」
「ヒカリをもとに戻してもらうぞ!」
「断ると言ったら?」
飄々とした態度をとるゲッタに、俺とルインは拳を打ち付け合って応える。
「「ぶっ潰す!」」
癖が強いチリヅカの人間たち。地味に掃除屋のビジュアルも公開。幹部陣の名前の法則性に気付いたらすごい。六道と怜二はなんかあるようです。
こんな芸当もできるゲッタ。足音さえなければ暗殺向き。
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