今回はゲッタとのバトル。楽しんでいただけたら幸いです。
『サイクル!クル!…サイクリング!』
「蹴られなきゃいいのはわかってんだ!」
「鬼さんこちら、手の鳴る方へ。なんてね」
高速で飛び出すルイン。カランコロンと小気味のいい音をあげながら手を鳴らしつつバックステップで後退するゲッタ。ルインのタイヤの拳が突き刺さるがしかし、ゲッタの姿が消える。見れば、下に大穴が開いていた。
「なっ…!?」
「隙ありだぜ!」
チャリン、と音をが鳴った途端、大穴が塞がって中から飛び出してきたゲッタの上段蹴りがルインの頭部目掛けて放たれ、ルインは紙一重の顔面スレスレで回避、後退しながらレバーを逆回転させる。
『リサイクル!お嬢、お気をつけを。ただ者じゃありません!』
「んなのわかってる。今のは…!?」
「地面を蹴って、地面が縮んだことにより生じた穴に潜って、地面をもとに戻したのか…?」
『器用な奴だぜ!』
「でもそれなら、私を戻せるってことですわ!」
「俺の能力のからくりはやっぱりバレてるみたいだな?だがそれで対応できるほど甘くはないぜ?」
そう言って鼻緒の様な装甲に手を差し込んで指で挟んだ石を三つ取り出して、放り投げるゲッタ。トラッシュとルインは知ったことかと言わんばかりに突撃するも、ゲッタはその手に黄金に輝く小判を三枚取り出していて。
「タネの仕掛けもございません♪」
そう言ってバキンと音を立てて握り潰した。なにを、とトラッシュが止まった瞬間。先ほど放り投げられた石が巨岩に変化、トラッシュとルインを押しつぶした。
「ぐあああああっ!?」
「小判……そうか、小判か!あれを壊せば身長が戻るからくりか…!」
「自由にサイズを変えれるとかずる過ぎるだろ!」
トラッシュはブロックの拳で巨岩を打ち上げ、脱出。近くの廃車を殴りつけてゲッタ目掛けて吹き飛ばすも、蹴りつけた瞬間に縮んでミニカーの様になってコロンと転がり小判が宙を舞い、それを手に取ったゲッタはミニカーを蹴り返してきて、小判を破壊。廃車が元に戻って、蹴り飛ばされた勢いのまま突進してきて、咄嗟に腕を畳んで防御したトラッシュを押しつぶした。物理攻撃は効かないどころか敵の武器になると思い知らされる結果となった。
「ぐう……物理法則軽く無視しやがってからに……」
「参ったな。俺達どっちも物理一辺倒だ。分が悪すぎる」
「ようやく理解したか?萌月留依」
「私が行きますわ!小判さえ破壊すればこっちのもの……」
『いや、無理だヒカリ』
トラッシュの肩からヒカリが飛び出そうとするも、それはエコちゃん様に止められた。どうして、と抗議するヒカリにエコちゃん様は窘めるように説明する。
『あの鼻輪みたいなふざけた装甲の内側は異空間になっている。いわゆる四次元ポケットだ。あの中からヒカリの小判を見つけるのは不可能に近い。ゴミルギーの質量変換をそう使うなんて目から鱗だね。作った人間の頭はいかれている』
「だろうな!まともな発想じゃない!」
『相棒!テンペスットボトルだ!物理でだめなら…!』
「遠距離か!ヒカリを頼む、ルイ!」
『ジャンクキューブ!プレス!……ライトラッシュ!
「そらよ!」
ヒカリをルインに預けたトラッシュはテンペスットボトルに変身。ゲッタが蹴り飛ばして小判を破壊し巨大化させた家屋による攻撃を回避、ルインとヒカリも回避できているのを確認すると、ペットボトル型の手甲の飲み口の部分から空気砲を発射するトラッシュ。
「うおおおおおおっ!」
「おっと。空から空爆とは厄介だ。だがこういうのもあるんだ!」
触れることのできない不可視の砲弾が次々と着弾し、ゲッタはカランコロンと音を鳴らしながらひらりひらりと回避していくと、鼻輪アーマーの中に手を突っ込んで、ビルのミニチュアの様なものを取り出すと右手につまんで掲げると、左手で取り出した小判を砕いた。
「なっ……!?」
『トラッシュ!テンペスットバース!』
瞬間、都市部にあるような巨大なビルが一棟丸ごと現れ、ゲッタの手から伸びるようにしてトラッシュに迫る。咄嗟にハンドルをガコンガコンガコンと三回押し込んでジャンクキューブを圧縮、ひび割れて放出されたそのエネルギーが両脇に集束して六つのエネルギーでできたペットボトルを顕現させるトラッシュだったがしかし、打ち出す前に炸裂。屋上でトラッシュを押しつぶし、上空へ打ち上げていく。トラッシュは飛ぶことすらできずにただただ打ち上げられていくしかなかった。
「があああっ!?」
「思い知ったか?だが俺としても、バーンアウトサイドが壊れるのは不本意だ、そらよっと!」
そう言って自分の目の前のビルを回し蹴りで蹴りつけるゲッタ。すると小判が排出されて見る見るうちにミニチュアサイズにまで縮んでゲッタの手に収まると、また別のものを取り出して、ビルを出した際の衝撃で身動きが取れていなかったルインの頭上に宙返りすると、それを放り投げて小判を砕いた。
「しまっ……」
「チェックメイトだ」
『お嬢!』
巨大化したそれは、ジャングルジム。ルインを取り囲む様に展開されたそれはルインの四肢を拘束し、ルーインズドライバーに手も届かない。せめて回せれば技を使えるが、不可能だった。ジャングルジムの上にあぐらをかいてゲッタは座り、地面に倒れ伏したトラッシュを見下ろしながら手を叩いて笑う。
「愉快だ。一騎当千の仮面ライダーたちをこうも一網打尽にできるなんてな。ああ、仮面ライダーを三人も始末なんてできたら……文句なしに“掃除屋”の名を継げるよなぁ?」
「……掃除屋、デリートのことか……」
『ジャンクキューブ!プレス!』
トラッシュは立ち上がる。その手に、ジャンクキューブ「バイク」を握って、砕けかけのジャンクキューブ「プラスチック」を完全に破壊して素体の姿に戻り、トラに装填してハンドルを素早く二回押し込んだ。するとバイクを分解したパーツが周囲に展開され、待機される。それは、デリートのそれとよく似ていた。
「お前は、アイツの足元にも及ばないよ」
『ライドラッシュ!ギアチェンジ!……
バイクパーツがトラッシュに集束し、組み合わさっていく。ハンドル部が両肩に移動し、座席部分がアーマーに、フロント部がバイザー型の頭部となり、背中に後輪の「タイヤジャイロ」が装着され、右腕に盾の様に前輪の「タイヤシールド」が装着される、全身鋼鉄のフルアーマーを身に纏った姿。仮面ライダートラッシュ・リボルバイクだ。
「喰らえ!」
ウィーンとロボット染みた音を鳴らしながら右手のタイヤシールドを向けてホイール部についた複数の銃口から弾丸をばら撒くトラッシュ。ゲッタは宙返りで回避しながら取り出した小石を投げつけるも、それは巨大化する前に打ち砕かれてしまう。その制圧力に、ゲッタはルインを拘束しているジャングルジムに向けて足を振りかぶる。
「お前がその気なら、こいつは潰してジ・エンドだ!さっきの家屋を覚えているか!?身動きが取れない状態でやったらどうなると思う!」
「っ、待て!やめろ!」
「待たねえよ!」
タイヤジャイロを回して突進して止めようとするトラッシュが来る前に、ジャングルジムにその足をぶつけようとするゲッタ。しかしその前に、音声と共に烈風が吹き荒れた。
『サイクル!クルクルクル!…サイクロン!』
「待たないでいいぜ。よくやった、ヒカリ」
「ですわー!?」
それは、ルインから生じたものだった。小さくて動けるヒカリに、頑張ってレバーを三回回してもらったのだ。放たれた竜巻でジャングルジムを打ち上げたルインは、脚を振りかぶりながら呆然としているゲッタに、右拳を振りかぶる。アッパーが、その顎に突き刺さって打ち上げた。
「今だ、怜二!」
「ああ!」
『トラッシュ!リボルバーニンゲイル!』
ギュオオオオオオオオオオオッ!!!
トラッシュドライバーのレバーを三回押し込んでホイールに炎を纏ったタイヤシールドを向け、炎を纏った竜巻を放つトラッシュ。打ち上げられたゲッタは咄嗟にビルのミニチュアを取り出して放り投げ、小判を砕くことで巨大化したそれの屋上に乗って回避。ビルは炎の竜巻に飲み込まれて崩れ落ち、ゲッタはカランコロンと音を立てて着地する。
「危ない危ない……今日はここまでだ。今度は掃除してやるから覚悟しておけ」
「逃がすつもりはないぞ」
「私の身長を返しなさいな!」
「お前こそ覚悟しておいた方がいいぞ。誰かさんよ」
「お前たちは俺を逃がすしかないのさ」
そう言って何かを複数放り投げ、小判を砕くゲッタ。すると、ゴミリオンが突如出現。何事かと様子を見に来ていたバーンアウトサイドの住民に襲い掛かる。トラッシュとルインはそれを見過ごせるはずもなく。
「じゃあな。正直ビビった、仮面ライダーを舐めてた。次は遊びじゃなくて本気だ」
カランコロンと音を鳴らして手を振りながら、ゲッタは闇夜に消えていった。
質量保存を無視して巨大なものを持ち運べるのがゲッタの最大の強み。サイズを自在に小と大を切り替えられるのはかなりトリッキー。
そしてトラッシュの新形態、バイクのジャンクキューブを「ギアチェンジ」することで変身できるリボルバイク。リボルバー×バイクで、モチーフは555のオートバジンとなります。人機一体はスペクターのフーディーニ魂が近いかも?
お気に召していただけたら感想ならびに評価、お気に入りしてくれると嬉しいです。