今回はチームバーンアウトやチリヅカの人たちの人となりについて。楽しんでいただけたら幸いです。
「なんで?なんで小さくなっちゃったの?」
「驚き。人間の神秘?」
「つつかないでくださいまし!?」
俺が粉砕した高層ビルの残骸が転がるバーンアウトサイド。住民総出で撤去作業が行われているそこで、俺もヒカリを頭に乗せてトラで瓦礫を吸って掃除していたのだが、そこに同じく撤去作業をしていた穂村兎と眞熊雪子が駆け寄ってきた。ヒカリが摘ままれて玩ばれている。本人は嫌がっているがほほえましいので預けておこう。おっ、廃車のバイクを吸えた。マシントラッシュトライカーがまた使えるな。
「ホムラと……マクマだったか?」
「名字呼びはよしてよ!家族思い出すから!名前で呼んで!」
「ウサギ。
「あ、ああ……悪い」
流石に過失だった。あの大事件で家族を失い、それを思い出させる名字を毛嫌いしている人間もいるんだったな。マクマは?と見てみると、真顔で首を傾げた。
「私も。孤児。だけど。名前。大事。違う?」
「雪子の場合は、ショックで言語能力を一部失ってるんだ。でも、この年齢で大型トレーラーの運転もできる。俺達にとってかけがえのない仲間さ」
そう言いながら柱を担ぎながらやってきたのは爆豪玄太郎。ルイの補佐だったか?すらりとした手足にメガネともじゃもじゃ髪が相まって伊達男だ。
「俺達はルイの生きざまに惹かれて自然と集まったアウトローさ。お前もそうだろ?」
「俺は清掃員だけど……まあ、わかるよ。ルイはすごい奴だ」
「わかってるじゃないか!男の幹部は俺しかいないから歓迎するぜ!怜二!」
「あはは……遠慮しておくよ」
そう言って肩を組んでもたれかかってくるバクゴーを笑っていなす。魅力的な誘いだが、俺は金が無くてロクに掃除もできない人々を助けないといけないからな。ゲッタを何とかしたら早く戻らないと。
「あれ、ルイはどうした?」
「調べ物があるって、どこかにバイクで出かけてったぞ。何か用があったのか?」
「いや……」
「ふん。どうせ逃げたんだろう。奴が犯人だと言っているようなものだ」
「先輩、やめましょうよお……」
ルイがいないことに首を傾げていると、嫌味を言いながらチリヅカの丹下慶太と涙目の北内沙羅がやってきた。サングラスを指で押さえてニヤニヤ笑っているその姿は実に嫌味的だ。
「ルイは仮面ライダーなんだろうが、犯人じゃない。昨夜の騒ぎを忘れたのか」
「仮面ライダー三人で争っていたなあ?仲間割れでもしたんだろう」
「そのうち一人が真犯人だ。ルイは多分それを追って……」
「なぜそう言い切れる?お前も共犯か?その小さくなったアホそうな娘も、なにかやらかしてそうなったんじゃないのか?」
「誰がアホですの!あっちが不意打ち上等くそ野郎だっただけですわ!噛みますわよ!」
「……こいつは俺達の大事な客だ。警察気取りもいい加減にしろよ。一企業だろお前らは」
バクゴーがタンゲに突っかかり胸ぐらを掴む。しかしタンゲはそれを払いのけながら、にやりと笑う。
「もはや五年前まで存在していた政府や警察機関は機能していない。
……それは確かに、事実に近い。だがしかしそれは、あまりに極論だ。
「待て。いくらなんでも横暴だ」
「外部に住んでいる人間が口出しするな。権限は俺達清掃員に……」
「俺は新東京都の人間で、フリーだがれっきとした清掃員だ。清掃員にそんな権限はないし、警察の代わりなのはあくまでチリヅカの影響が強い新東京都の中だけの話だろ。何も知らないからって、やっていいことと悪いことがあるぞ」
そう睨みつけてやると、ぎりぎりと悔し気に歯を噛み締めて睨みつけてくるタンゲ。すると、キタウチもおずおずと手を挙げた。
「先輩……私も、そう思います。私たちの任務はあくまで、郊外の調査で……」
「うるさい、お前は黙っていろ!……絶対尻尾を掴んでやるからな」
そう言い残し、キタウチを連れてタンゲは踵を返して去って行った。ウサギとマクマとバクゴーが無言で手を振り上げて非難の意を示し、タンゲが振り返ると素知らぬ顔で口笛を吹いてそっぽを向く。前を向くとまた同じことをしだす辺り仲がいい。ルイを悪人だと言われてキレてるのがわかる。チリヅカの態度も最悪だ。まるで自分たちこそが絶対だとでも言わんばかりの横暴。アレがチリヅカの実態なのか…?すると、バイクに乗ったルイがゲートから入ってきた。
「帰ったぞ」
「おかえりー!ルイちゃん!」
「リーダー。おかえり」
「遅かったなリーダー。このお客様がチリヅカの連中を追っ払ってくれたんだぜ?」
「そんな大層なことはしてないよ。何か手掛かりは見つけたのか?気になることがあるって言ってたが。」
「…ん。ああそうだったな。悪いレイジ。私の気のせいだった。期待させて悪かったな」
そう言って肩を竦めるルイ。そうか、ダメだったか。そう簡単にはいかないか……。
「ただ、現場に行けば何か手掛かりがあるかもしれない。お前なら、な」
「…そうだな。わかった、行こう。どこだ?」
「横浜ランドマークタワー跡地だ。チームバトルクライのアジトだ。場所が場所だ、バーンアウトの幹部総出で向かうぞ」
「おい、それは……ゲッタがいたら全員守れないぞ」
「私が守ってやるから安心しろ。今度は負けない」
「負けてないだろ、俺達は」
「レイジがそう言ってくれると助かるよ」
「どこに行こうというのかね?」
するとルイが帰って来たのを聞きつけたのか、タンゲがキタウチを連れてまたやってきた。暇人か。…いや、暇人だったんだなと思い至る。此奴等、聞き込みしてるだけだからなあ。……ゲッタもチリヅカ製なら一番怪しいのはこいつらチリヅカの清掃員、特にタンゲだ。言動もゲッタと近いからな。ルイは畏まったように馬鹿にした笑みを浮かべて一礼した。
「これはこれは。チリヅカの幹部候補サマ。私達は出かけるところですが、そんなに怪しむなら一緒に来ますか?」
「妙に畏まった態度だな。俺達をどこぞに連れ込んで殺すつもりか?」
「殺すならしていますよ。なにせこっちは、仮面ライダーだ」
「おい、ルイ。それは……」
「ああ、悪い。ちょっとムカついてな」
挑発するルイを咎める。喧嘩っ早いとは思っていたがそこまでとは思わなかったぞ。
「……いいだろう。我々もついていく。北内、車を出せ」
「ひゃい、わかりましたぁ……」
「レイジ、トレーラーに乗れ。ヒカリを連れてバイクは乗れないだろ?私達が先導するからうちの者の運転に任せて揺られてな」
「任せて」
「ああ、助かるよ。なあ、ヒカリ。…ヒカリ?」
「……なんでもありませんわ」
俺とヒカリは準備を整えてからトレーラーに乗り込み、チリヅカの二人は社用車なのだろうバンに乗って、ルイたちのバイクを先導に走り出しバーンアウトサイドを後にしたのだった。
「ここが……横浜ランドマークタワー、その跡地か。崩れ落ちてるのにそれでもでかいな……」
窓から廃墟となった巨大な建物が見えてきた。あそこが、例の事件が起きた場所。何か手掛かりがあるといいが……。そうして辿り着いたのは、血があちこちに飛び散った廃墟の中。バーンアウトの幹部陣は外に残し、俺、ヒカリ、ルイ、タンゲ、キタウチの面々でやってきた。ひび割れたコンクリートが辺りに散らばり見事に荒廃していている。そして、真昼間だというのに暗い。これは……。
「おい、ここは既に我々が調べている。もうなにも……」
「いや、待て。あれは……」
奥にある壁にもたれかかる人影を見つけて、近づこうとした刹那。カランコロンと音が鳴った。
「ああ、それはな。これから増えるんだよ」
「え」
瞬間、いつの間にか背後に立っていたゲッタが上段蹴りを放っていて。ちゃりんと小判が転がる音と共に、タンゲの姿がかき消える。やられた……!
「ゲッタ…!覚悟しろ。行くぞ、ルイ!変身!」
『あっと驚く!アトミックブロック!』
「変身」
『……
俺とルイは変身して並び立つ。それに対して飄々と佇むゲッタ。
「俺は仮面ライダーゲッタだ。間違えるなよ、先輩。それに……覚悟するのはあんただぜ?」
「なに、を…!?」
「怜二!?」
突如、横から衝撃を受けて殴り飛ばされ、ヒカリを投げ出して転倒する。信じられない。それを行ったのは、俺を攻撃してきたのは…!
「なぜだ、ルイ!」
「悪いなレイジ。死んでくれ」
仮面ライダールインが、俺を見下ろして立っていた。
ルインに何が起きたのか。ヒントは出しております。
チリヅカがブイブイ言わせている世界。まあ国として機能しているわけがないよね。
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