仮面ライダートラッシュ   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。真相解明のお時間です。時系列は昨晩、ゲッタとの戦いの後に戻ります。

ルイに何が起きたのか。楽しんでいただけたら幸いです。


第十六の掃除:宝の下駄

 これは昨晩の出来事。チームバーンアウトのリーダー、萌月留依は愛車に乗って横浜ランドマークタワー跡地を訪れていた。そこに、バイクのエンジン音。振り返れば、入り口に爆豪玄太郎が立っていた。

 

 

「リーダー。なんのようだ?こんなところに呼び出して」

 

「……来たか、玄太郎。いやなに、これ以上バーンアウトサイドに被害を出したく無くてな。……いや、こう呼ぼうか。仮面ライダーゲッタ」

 

「……へえ。バレてたんだな、リーダー。わかってて一人で来るなんて俺を舐め過ぎじゃないか?」

 

「先刻の戦いで、住民に避難を促している面子にお前の姿だけ見えなかった。なのに全部終わった後に何食わぬ顔で出て来たんだ。わかるさ。……ああなった時、俺はお前たちの安否をまず最初に確認したからな」

 

「……仲間思いなことで。そんなことでバレてしまうとはなあ」

 

 

 にやりと笑みを浮かべるバクゴーを、ルイは静かに見つめる。ゲッタに見せていた怒りは微塵も感じ取れない。

 

 

「なんでだ?なんであんなことをした」

 

「……知っているか、リーダー。チームバーンアウトはもうすぐ潰れるところだった。他のチームが連合を組んで、バーンアウトサイドを襲撃する計画を立てていたのさ」

 

「なんだって…?」

 

「当たり前だろう。バーンアウトサイドは、新東京都を除けば最大の楽園だ!リーダーが正々堂々スピード勝負して勝ち取って開発した場所だが、人間っていう生き物はリーダーみたいに清廉潔白なお人好しの方が少ないんだ。それも、こんなところに追いやられた奴らはハイエナよりもひどい醜い連中さ!」

 

「だったら俺に言えば良かっただろ、そしたら…!」

 

「そしたらどうした?仮面ライダーの力で黙らせていたか?いや、アンタのことだ。妥協案を考えて説得しようと回ったはずだ。そしたら連中は、それを利用して絞り尽くしていたはずだ。アンタは甘すぎる」

 

 

 そう言い返されて、ぐうの音も出なくなるルイ。補佐官であるバクゴーは、本人よりもルイのことを理解していた。

 

 

「そんな時、俺に取引を持ち掛けてきたゴミリオンがいた。力を与える代わりに、ハシリターを統率して労働力として働かせる、という取引だ。そして俺は、仮面ライダーゲッタとなった。襲撃を考えてた奴らを粛正していったのが、例の事件さ。発覚してないだけで、他にも沢山襲撃したぜ?」

 

「なんてことを……いやハシリターを、労働力……?つまり奴隷ってことか!?お前、それを受けたのか!」

 

「俺達の大事な場所を奪う奴らなんか、どうなってもいいだろ?安心してくれ、バーンアウトやバーンアウトサイドの皆は、見逃して貰う様に話は付けてある」

 

「俺達以外がどうなってもいいなんてこと、あるわけないだろ!それに……ならなんで、清掃員まで殺した!お前の話なら、ハシリターだけで良かったはずだ!」

 

「……俺達をゴミ同然に扱う奴らなんて生きてる価値あるのか?」

 

 

 バクゴーのかけたメガネの奥の瞳に途轍もない闇を見て。ルイは思わず怯む。仲間の闇に気付けなかった不甲斐なさに震え、ルーインズドライバーを構える。バクゴーもそれを見て、赤と白の鼻緒が付けられた灰色に塗られたメカニカルな二枚歯の下駄の様なものを二つ取り出すと、歯を重ね合わせて両端に引いてゲッタドライバーにし、腰に取り付けてベルトにする。

 

 

『ゲッタドライバー!…旦那、出番か?』

 

「そうさゲッタドライバー、お前の出番だ。……さっきのはな、リーダーを殺すつもりはなかった。四肢でも折って邪魔させないつもりだったんだ。だから今ここでアンタを動けなくなるまで痛めつけて、平和になったバーンアウトサイドで生きてもらう。だが、その為には仮面ライダーが邪魔だ。客人と言えどもな。ゴミリオンさんよ。いつもの頼むわ」

 

「いいぞ」

 

 

 そう言って物陰から姿を現したのは、顔が青を基調とした派手に塗られたマンドリルの意匠を持つゴミで形成された女性のようなシルエットの怪人、マンドリルゴミリオン。上に向けた掌に形成した小型のジャンクキューブを投げ渡し、受け取ったバクゴーはにやりと笑ってゲッタドライバーに装填する。

 

 

『ジャンクキューブ…ゲッタ!』

 

「変身」

 

『ケタケタ!ケッタ!ゲタゲタ!ゲタ!ゲッター!』

 

 

 鼻緒を引いてジャンクキューブを破壊してバクゴーはゲッタに変身、カランコロンと音を立てて身構える。ルイもルーインズドライバーを腰に取り付けて蓋を開け、ホルダーからジャンクキューブを取り出して放り込み、蓋を閉めて左腕をグルグル回すと勢いよく左側のボタンを押しこむ。

 

 

『ルーインズドライバー!ジャンクキューブ・サイクル!』

 

「変身!」

 

(サイ)クル!()ル!クル!リサイクル!……サイクルーインズ!』

 

 

 回転したミキサーがジャンクキューブを粉砕して蓋が開き、竜巻の様な粉塵がルイを包み込んで、点滅する赤い輝きと共に映るその影が、点滅するたびに変わっていきルインに変身。拳を振りかぶって殴りかかるも、ゲッタに右足を振るわれて咄嗟に寸止め、したところに膝蹴りを叩き込まれて転がるルイン。意識外からの蹴りの攻撃に、思ったよりもダメージを受けて蹲る。

 

 

「ぐうっ……」

 

「ゲッタは能力の関係上、脚力が高い仮面ライダーだ。俺が蹴って小さくなるのは脹脛から下の蹴りだけだ。知ってるかいリーダー?「宝の下駄」って御伽話。岡山県の民話なんだけどな?とある金に困った男が、老人から不思議な下駄をもらった。その下駄を履いて転べば小判が出てくる。しかし転ぶたびに背は低くなる。すってんころりん ちんちゃらりん。そんな不思議な下駄の物語だ」

 

「……そうか、それがお前の能力か……」

 

「この下駄に触れて少しでも動いた物体は、小判と引き換えに手乗りサイズにまで身長を縮めてしまう」

 

「私はこの女性のような体型で生まれてしまって小食でな。でかい人間は喰えない。だから此奴と手を組んだ。小さくなった人間は喰いやすい。あの男の甘言に乗ってやった甲斐があるというものだ」

 

 

 ゲッタの横で腕組して見守るマンドリルゴミリオン。「男」という言葉から更に上に、奴隷を欲しがるナニカがいることはわかる。ルインは奮起して、レバーを一回転させた。

 

 

『サイクル!クル!…サイクリング!』

 

「ここで倒す!」

 

「できるかな!」

 

 

 手始めにマンドリルゴミリオン目掛けて拳を振るいながら突撃するルインだったが、マンドリルゴミリオンはその直前にゲッタに蹴られて縮んで回避。空振りして体勢を崩したところに、小判を破壊したことで元のサイズに戻ったマンドリルゴミリオンのアッパーを、ギリギリ腕を交差して防ぐルイン。しかしゲッタの横蹴りが襲い掛かり、ルインは縮んで蹴り飛ばされてしまった。

 

 

「ぐああああっ!?」

 

「いきなり蹴るな、殺すところだったぞ」

 

「悪いって。蹴ってなかったらお前が殺されてたんだぞ。こうも小さくなったら形無しだな?リーダー」

 

「くそっ……放せ!」

 

『リサイクル!サイクル!クルクルクル!…サイクロン!』

 

 

 カランコロンと音を立てながら歩み寄ってきたゲッタに摘まみ上げられるルイン。しかしそれでも諦めず、レバーを逆回転してから三回転して竜巻を発生させ、ゲッタの手から小判を取り上げて破壊。元のサイズに戻って、横蹴りでゲッタを蹴り飛ばすルイン。

 

 

「ぐあっ!?」

 

「人間!」

 

「俺を舐めるな!」

 

 

 ゲッタに気を取られていたマンドリルゴミリオンにも、助走をつけた拳を叩き込んで殴り飛ばすルイン。すると背後に気配を感じて、裏拳を叩き込むがしかし、逆に飛んできた裏拳を喰らって殴り飛ばされる。それは、ルインの手だった。

 

 

「なに、ぐああっ!?」

 

 

 吹き飛ぶルイン。見れば、入り口に見知らぬ誰かが立っていた。鏡の様に反射する緑色のフェイスカバーで前面を覆って雲のような銀色の鬣がついたのっぺらぼうのような頭部に、ギラギラ煌めいて周囲を反射している銀色のガラス細工のような薄い装甲。両手の甲は変形機構のあるガントレットが付けられており、逆に装甲以外は闇に溶け込むような真っ黒なスーツに細い肢体を包んでいる。腰に雲の意匠がある丸い鏡のついたバックルのベルトを取り付けた銀色の女騎士のような印象を醸し出すそれは、胸部装甲から飛び出していたルインの拳を納めてルインに歩み寄る。

 

 

「自分の拳の重みはどうだったかな?」

 

「ぐっ……仮面、ライダー……?」

 

「ご明察だよ。私はミラース。仮面ライダーミラース」

 

「くっ…!」

 

 

 顔を寄せてきたミラースと名乗った仮面ライダーの顔面に拳を叩き込むルイン。しかし、ミラースの姿がかき消えて、いつの間にか隙間から月光が降り注ぐ下でお辞儀……カーテンシーを行うミラース。再びルインの目の前に一瞬で移動したかと思えば両腕を交差し、斬撃がルインの胸部のエンジンを斬り裂き、小爆発を起こして変身を強制解除させた。

 

 

「ぐっ、あああああ……」

 

『お嬢!しっかりしてくれ、お嬢!』

 

「これがルーインズドライバーかあ。廃棄したはずなのに起動するなんて生意気だぞ。返してもらうね」

 

 

 そう言ってルイの腰からルーインズドライバーを奪い取るミラース。ルーインズドライバーはせめてもの抵抗とミキサーを回して暴れるも、ミラースが腕の刃を満身創痍のルイに向けたことで止まらざるを得なかった。

 

 

「この子を殺されたくなかったら、言うことを聞いて?」

 

『……分かった。言う通りに、する』

 

「ねえゲッタ。私が働くことになったんだけど?もっと頑張ってほしいなあ」

 

「面目ねえ……リーダーに勝てる訳がなかったか、ハハハ……」

 

 

 から笑いしながら、蹴られた右腕を庇いながら戻ってきたバクゴーにミラースは苦言を呈す。そして手にしたルーインズドライバーを見つめると、良い事を思いついたと言わんばかりに頷いた。

 

 

「良い事思い付いた!マンドリルちゃん、来て来てー?」

 

「何だ?」

 

「残りの仮面ライダー潰したいんでしょ?じゃあ、この子を利用しちゃえば良いんだよ」

 

「どういう、意味だ?」

 

「こうするの!」

 

『ミラーエフェクト』

 

 

 そう言ってミラースがベルトをタッチパネルの様に操作すると、倒れたルイからルイを鏡合わせにしたような像が浮かび上がり、ミラースの手の動きに合わせてマンドリルゴミリオンに重なる。バクゴーは目を見開いた。マンドリルゴミリオンの姿がルイと瓜二つになったからだ。

 

 

「リーダー…!?」

 

「私だぞ。む?」

 

 

 声まで瓜二つのルイの姿をしたマンドリルゴミリオンにルーインズドライバーを手渡して。ミラースは表情が見えないにも関わらず、ウキウキしているのが良く分かる動きで続けた。

 

 

「声も変わるから安心してね。それじゃ、はりきって仮面ライダー倒しちゃおう!ルーインズドライバーも協力してね?」

 

『……分かった』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして現在。トラッシュとトラは、傷ついて壁に磔にされているルイを見つけて。同時に、エコーもルインと戦いながら告げる。

 

 

「一人称が「俺」ではなく「私」、怜二のことをイントネーションの違う「レイジ」と呼ぶ…!貴方は、ルイの偽物ですわ!」

 

「急ごしらえにしては、上手だっただろう?」

 

 

 ルインに変身したマンドリルゴミリオンは仮面の下で嗤うのだった。




敵の幹部、仮面ライダーミラース登場。ゲッタ戦後のルイはマンドリルゴミリオンでした。ルーインズドライバーは本物で脅されてたっていう。実はトラ相手でも脅せば変身できるのが今作のドライバーだったりします。意思があるから仕方ないね。

バクゴーの動機も判明。闇が深い。ゲッタの元ネタは「宝の下駄」日本昔話のが有名かな?

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