仮面ライダートラッシュ   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。評価を四つもいただいて、応援してもらっているなあと思ったので更新。個人的にも続けたいので、連載に移行しました。どうぞ応援よしなに。

ヒロインと第二のフォーム登場。楽しんでいただけたら幸いです。


第二の清掃:ゴミ捨て場のお嬢様

 スパイダーゴミリオンを倒した後。ゴミが積み上げられた公園の清掃を行いながら、八多喜玲二は紐で括って背負った掃除機の様に見えるトラッシュドライバーから話を聞いていた。

 

 

「それで、ゴミリオンってなんなんだ?相棒は知ってるみたいだけど……」

 

『俺も詳しくは知らねえ。ただ俺は、ゴミリオンが生まれるからそれを掃除しろという使命を背負って作られたんだ。ゴミを掃除してジャンクキューブに変えて、その内圧エネルギーで戦士に変身させるんだぜ!』

 

「そんなすごいシステム……誰に?」

 

『チリヅカ・コーポレーションってところだ』

 

「チリヅカ・コーポレーション!?お前あそこの掃除道具なのか、納得だ」

 

 

 かの〝廃棄物症候群”を始めとしてありとあらゆる〝汚れ仕事”清掃にかけては日本どころか世界一とされる大企業の名前に納得する怜二。口を動かしながら持ちきれない大きなゴミはトラッシュドライバーで吸い込んでジャンクキューブに変え、砂埃は手にした箒で掃いて塵取りに入れ、腰に下げたゴミ袋に入れる。あまりの手際の良さに感心の声を上げるトラッシュドライバー。

 

 

『いやぁ、気持ちいい掃除っぷりだぜ!やっぱり俺の相棒はお前しかいねえよ、相棒!』

 

「俺なんかより、チリヅカの人間じゃダメだったのか?」

 

『俺を使うには俺に気に入られないと駄目らしくてな?みんな俺を使おうとして失敗した。だから俺は、誰よりも潔癖で清らかな精神(ココロ)の持ち主を探して家出したんだ!』

 

「家出!?え、それまずくないか?チリヅカの人たち探してない?」

 

『かもしれないな!』

 

 

 思わず掃除する手を止めて問いかける怜二に、あっけらかんと答えるトラッシュドライバー。勢いだけで生きてるらしいと理解した怜二は深いため息を吐く。

 

 

「かもしれないな、じゃなくて……それに俺、そんな大層なやつじゃないぞ」

 

『いや、お前の清掃魂は本物だ!少なくとも大金目当てで俺を使おうとしていた奴らとは違う!ゴミリオンを掃除して人類を守れるのはお前しかいないぜ、相棒!』

 

「……相棒と呼んでくれるのは嬉しいけど。こんな底辺の清掃員なんかじゃ無理だよ」

 

『ええ!?なんでだよ、相棒!?』

 

 

 ガビーン!という擬音でも聞こえそうな勢いで体を震わせて驚くトラッシュドライバーに、全てを諦めたかのような表情で怜二は告げた。

 

 

「〝ろくにお金が無くとも清掃し、人々を笑顔にする”が俺のモットーだ。そのために死に物狂いで勉強して清掃員の資格を手に入れた。そんな慈善事業したいなら他を当たれって、追い返された。何度も何度もだ」

 

『いや、でも、相棒!それは正しい心の在り方だ!』

 

「いや、正しいのは俺以外だ。正当な対価を得て仕事をするのは当たり前のことだ。だけど俺は、それでも……」

 

『こんな薄汚れてしまった世界で心が(くす)んでいるやつらしかいない中で、そんな綺麗な心を持ってるなんてすごいぜ!やっぱり、ゴミリオンを掃除できるのはお前しかいねえ!頼む、相棒!俺と一緒に戦ってくれ!』

 

「……俺は」

 

 

 怜二の手から離れて土下座のつもりなのか壊れたテレビの上に五体投地(?)するトラッシュドライバーに、怜二は返答を返そうとして。

 

 

「うぎゃああああああああですわああああああああああ!?」

 

「『!』」

 

 

 何とも個性的な女の悲鳴が聞こえ、怜二はトラッシュドライバーと顔(?)を見合わせて頷き、トラッシュドライバーを手に取って腰に取り付けながら走る。

 

 

「ゴミリオンか!?」

 

『わからねえ。だけど尋常じゃない悲鳴だったぜ!』

 

「もしもの時は変身だ、相棒!」

 

『おうよ相棒!ジャンクキューブを忘れるな!それがないと変身できないからな!』

 

「わかった!」

 

 

 ゴミ袋から手袋で覆った手でジャンクキューブを手に取りながら走る怜二。ゴミ山を大きく迂回して回り込み、声の主を探して。思わず絶句した。

 

 

「くさい!重い!きたない!痛い!潰れるっ!あ、そこの人!たすっ、助けてですわぁああああああ!?」

 

「ええ………」

 

『なにがどうしたらそうなるんだぜ?』

 

 

 そこには、金髪縦ロールのいかにもなお嬢様がゴミ山から顔だけ出して助けを求めている光景があって。それはもう必死である。正気を取り戻した怜二はトラッシュドライバーを構えると、慎重に上の方から吸い込んでジャンクキューブに変えていき、お嬢様の上にのしかかったゴミを掃除してあげた。最後に残った絨毯らしき丸めた織物を持ち上げてやって、そのお嬢様の変なところに気付いた。

 

 

「えっと……大丈夫か?」

 

「た、助かりましたわ……」

 

 

 恐らく新東京都の中心部、〝中央区”に住む十分なお金を払って清潔さを保っている上級国民だろうそのお嬢様。首から上は気品溢れる金髪縦ロールで碧眼の日本人らしいのだが、よく見れば顔が薄汚れているし、そして何よりその服装。小豆色のぼろく薄汚れたジャージはどう見てもゴミ捨て場から引っ張り出してきたものらしく、靴は「田中」と名前が書かれた上履き。爪やら髪の艶が綺麗な分アンバランスに見える。

 

 

「えっと……君は?どうしてこんなことに?」

 

「これは失礼しましたわ。わたくし、せいs………ではなく。今は慧月光(としつき ヒカリ)と名乗ってますわ。清掃員でしてよ!掃除してたらゴミ山が崩れて巻き込まれたんですわ!」

 

「え?清掃員?」

 

 

 はて、と怜二は首をかしげる。清掃員なら、会社から制服を支給されるか、そうでなくても自分の様に専用のツナギを着ることが義務付けられている。しかし目の前でたわわな胸を張っているヒカリと名乗った女性は、どう見てもゴミ捨て場から引っ張り出しましたと言わんばかりの服装で。

 

 

「もしかして……違法清掃員…?」

 

「ぎくっですわ!おほほほ、このわたくしが犯罪者に見えまして!?」

 

「いや、旧東京都の〝ハシリター”には見えるけど」

 

 

 ハシリター。新東京都に移住せず、かつての住処を拠点にして使えるものを探してバイクを走らせる爪弾き者たちの総称だ。リターとは公共の場などにある散乱したゴミなどを指す言葉であり、蔑称であるハシリターを口にしたくない怜二だが、正直にそう答える。するとヒカリは両手と膝を地面につけて項垂れ、目に見えて落ち込んだ。

 

 

「おほほほ……やはりそう見えますわよね……あなたの言う通り、私は清掃員の免許も何も持っていないド底辺の女ですわ。警察に突き出してくれてよくってよ…?」

 

「いやそこまでするつもりは……」

 

『おいおい相棒。違法なんだろ?正義の味方なら見過ごせないぜ!』

 

「掃除機が浮かんで喋りましたわー!?そして正論ですわー!?」

 

 

 怜二の腰から外れて空に浮かんだトラッシュドライバーにあわわわと驚いて腰を抜かしたヒカリに手を差し伸べながら、怜二は告げた。

 

 

「……俺は誰かの笑顔を守りたいだけで正義の味方のつもりはないよ。相棒」

 

『え、だけど、犯罪者だぜ?見過ごしたらお前、それは…』

 

「悪だって?そうは思わない。だってこの人、……掃除をしてた。清掃員は免許を提示しないと報酬はもらえないんだ。なのに掃除をするのは……ただ、掃除をするためだ。この人は、俺と同じ誰かの笑顔のために掃除をできる人間だよ。それを取り締まらないのを、俺は悪とは思いたくない」

 

「見知らぬお方……」

 

 

 怜二の手を取り、立ち上がるヒカリは眩しいものでも見たかのように目を細める。その光景を見て震えるトラッシュドライバー。

 

 

『相棒……俺は、盲目だったようだぜ。正義がすべてだって考えてた。でもそうじゃないんだな』

 

「ああ。ヒカリ、清掃員試験を受けたことは?」

 

「ない、ですわ。そもそもそんなものがあると今初めて知りましたわ……」

 

「……そうだろうね。なら、俺が手配するから免許を手に入れよう。そしたらヒカリは違法じゃなくなる」

 

「え、でもそんな、悪いですわ……」

 

「いいんだよ。俺は嬉しいんだ。俺以外にもいたんだって、思えたから」

 

 

 そう笑顔を浮かべる怜二に、顔を赤らめてそっぽを向くヒカリ。しかしそれは、突如聞こえてきた耳障りな声に邪魔された。

 

 

「変わらねえよ!ゴミはゴミでしかねえんだ。それがわからないなんて思考がゴミだな、人間は!」

 

 

 そこにいたのは、一見人型だが腕にカーテンか何かを利用したのか膜が張られて翼の様になっており、よく見れば首の後ろの斜め上から鷲掴みにするように錆色のクレーンのアームの様な装甲がついているそれは、蝙蝠を人の形にしたような鉄くずの塊だった。バットゴミリオンだ。

 

 

「え?か、怪物……!?」

 

「ゴミリオンか…?相棒!」

 

『ああ、まだいた!相棒、俺を使え!トラッシュドライバー!』

 

 

 トラッシュドライバーを腰に装着してベルトを展開し、鉄くずで作ったジャンクキューブを四角い穴に装填。ハンドルを中央に引いてジャンクキューブが押し込まれ、内包されたエネルギーが放出されて、頭上にエネルギーのブロックが縦に三列三つずつ並ぶ。

 

 

「え、え、え!?今度はなんですの!?」

 

『ジャンクキューブ!プレス!』

 

「取り消せよ。人間は、その思いは、ゴミなんかじゃない!変身!」

 

 

 その宣言と共にエネルギーのブロックが落下して怜二を押しつぶすと、両サイドに出現した赤いエネルギーの拳が挟み込む様に圧縮。ブロックのエネルギーはスーツとなって怜二に纏われ、四角いアーマーが装着されていく。

 

 

『ジャストラッシュ!あっと驚く!アトミックブロック!』

 

「お前、何者だ?」

 

「俺達はトラッシュだ!」

 

 

 そう言いながら、ブロックの様な手で殴りかかるトラッシュ。しかしバットゴミリオンは両腕を羽ばたかせて飛翔して回避。上から連続蹴りを叩き込んでトラッシュを蹴り飛ばす。

 

 

「くっそ、あんまり攻撃は効かないけどこっちも当たらない!」

 

「飛べないゴミは、ただのゴミだ!ひゃああははははははあ!」

 

「ぐあああ!?」

 

 

 そう叫び、超音波を放ちながら急降下してくるバットゴミリオン。超音波が当たった装甲が火花を散らし、ダメージに呻く。通常形態アトミックブロック。物理攻撃にはめっぽう強いが遠距離には弱かった。

 

 

『相棒、さっき作った新しいジャンクキューブを使え!』

 

「これか?」

 

『ジャンクキューブ!プレス!』

 

 

 鉄くずのジャンクキューブを外し、先程ヒカリを助け出した際に吸い込んでいたペットボトルの山から作ったプラスチックのジャンクキューブを装填。するとブロック装甲が弾けて消え、ハンドルを押し込むトラッシュ。

 

 

『ライトラッシュ!(てん)へすっ飛ぶ!テンペスットボトル!』

 

「お、おお!?」

 

 

 すると上空に、蓋を下に向けたペットボトルの幻影が四つ出現。急降下してトラッシュに重なり、そのまま装甲として形成される。手首に蓋がついたクリアパーツのペットボトルを模した手甲を装着し、背中にペットボトルを二つ並べた様なバックパックがついてペットボトルを真っ二つに割ってマントの様に広げた装甲を取り付けた、軽装甲の姿。テンペスットボトルである。

 

 

「おお、軽い!」

 

『だけどその分脆いぜ!飛ぶんだ、相棒!』

 

「こうか!?」

 

 

 そう言って跳躍した瞬間、背中のペットボトル型バックパックから空気が噴出され、急上昇。空を飛ぶバットゴミリオンに肉薄し、蹴りを叩き込む。

 

 

「なにぐはああ!?」

 

「これなら!」

 

「なめるな!ゴミめ!」

 

 

 超音波を放つバットゴミリオン。しかし全身のペットボトルから生じる空気圧で自在に空を移動するトラッシュには当たらず、拳、蹴りと連続で攻撃を受けていく。

 

 

「これで終わりだ!」

 

『決めろ!相棒!』

 

 

 先刻の感覚のままにガコンガコンガコンと三回ハンドルを押し込んでジャンクキューブを圧縮、ひび割れて放出されたそのエネルギーが両脇に集束して六つのエネルギーでできたペットボトルを顕現。振り上げた両手を一気に振り下ろすと、エネルギーペットボトルが震えてババババババン!と勢いよく射出されていく。

 

 

『トラッシュ!テンペスットバース!』

 

「こんな……こんなことが……王様ぁああああああ!?」

 

 

 なんとか高速で飛翔して回避しようとするも、誘導するそれらの直撃を受けたバットゴミリオンは空中でひび割れ、爆散した。

 

 

「よっと」

 

『ナイスな掃除だったぜ相棒!』

 

「な、なんなんですの貴方たち!?」

 

 

 ゆっくりと着地し、変身を解除した怜二に駆け寄るヒカリ。怜二はトラッシュドライバーと顔を見合わせ、笑う。

 

 

「『俺達はトラッシュだ』」




ゴミモチーフでペットボトルロケットは外せなかった。お嬢様系キャラ大好きだけど仮面ライダーだと全然いなくて寂しいので自分で書いてみた。

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