「社長。こちらが今月の報告書です」
「ありがとう、巻野君。ふむ……ゲッタを使った例の計画が失敗したからかノルマが少ないな」
チリヅカ・コーポレーション社長室。秘書である巻野凛がメガネのずれを直しながら、社長である六道捨我に書類を手渡す。その周りでは、ソファに寝転んだミラが雲の意匠がある手鏡を手にメイクをしており、壁にもたれかかったオボロが車輪の様なものがついたメカニカルな太刀の手入れをしている。社長席の椅子に座った六道はサングラスをずらして書類に記されたとある実績データを見ながらぼやいた。仮面ライダーゲッタこと爆豪玄太郎を、マンドリルゴミリオンを使って利用し「奴隷」を手に入れようとしていたのは、この男だった。目論見が失敗したというのの余裕そうだ。
「ゲッタドライバ―は回収できたもののデリートに倒されるのは予定外でしたね」
「掃除屋はそういう人間だと君も知っているだろう。ゲッタの暴走を制御できなかった我々にも非がある、彼女を責める気はないさ。それにしても王の気まぐれには困ったものだ……まさかマンドリルゴミリオンごと巻き込んで巨大ゴミリオンを作り上げるとは。あればかりは制御が効かないからね。後始末しないと大変だ。掃除屋には苦労を掛ける」
「……やはり、トラッシュやエコーにも協力を要請すべきなのでは……?敵対していては、本末転倒かと」
「勘違いしてはいけないよ巻野君。彼らは決して敵ではない。我々が活用すべき変数だ」
そう豪語する六道に、マジかこいつと言いたげな視線を向ける凛。ドン引きである。するとそこに、ローネドライバーを片手でひらひらさせながらネリーが扉を開けて入ってきた。
「今帰ったワ、社長」
「ああ、お疲れ様。それで、例のあれは見つかったかい?」
「監視カメラで確認したアレがいた場所に行ってきたけど、トラッシュの坊やしか居なかったから遊んできたワ。どうやら雲隠れする知能があるみたイ」
「まさか、ゴミが王の血液に適合するとはね。予想外の収穫だ、リサイクルしてみるものだね」
髑髏の仮面を取り出し、顔の前にかざしたかと思えばずらし、にやりと笑って見せる六道。趣味の悪いそれに、ネリーも苦笑いだ。
「他の人間で試したらグズグズに溶けてしまったし、あの子が特別だったと見るべきでしょうネ。なんにしても、未だに未知な王の一部から生まれたアレは、なにが起こっても不思議じゃないワ。それより、大丈夫かしラ」
「なにがだい?」
「あの子、実験をした私たちの正体に気づいたら復讐しにここまで来そうじゃない?備えはあるノ?」
「備え?何を言ってるんだい、ネリー」
そう言って片手を上げると、凛がため息をついて懐から複雑な文様が記された小型のシュレッダーの様なバックルを取り出して、腰に取り付ける。ミラも手にした手鏡をバックルの様に腰に取り付け、オボロも太刀を構えて車輪の様な鍔を回す。それを見て、ネリーも仕方ないとばかりにローネドライバーを腰に取り付けた。
『リーン…ドライバー…』
『ミラース!ドライバー!』
『ボロウドライバー…!』
『ローネドライバー!』
するとオボロ以外の腰にベルトが巻かれ、それぞれジャンクキューブを取り出すと、凛は腰のリーンドライバーでジャンクキューブを細分化させて御札の様にして大量に散らし、ミラはミラースドライバーの鏡部分にかざしてくっつけ鏡と同化させ、オボロはジャンクキューブを放り投げると太刀で突き刺して車輪の様な鍔に合体させるとそれを回転、ネリーはローネドライバーにジャンクキューブを装填してバケツの様にして、それぞれ構えをとる。
『『『『ジャンクキューブ……』』』』
『シュレッド』
『ディメンジョン』
『参る』
『ウェット』
「「「「変身」」」」
にやにやと笑う六道の前で、姿を変えていく幹部達。
『リーン・エントリー』
凛はジャンクキューブだった御札が全身に張り付いて、巻物が貫通したようなヘッドギアを装着した経文状のデータが右から左に流れるバイザー型の頭部で、御札が無数に張り付いた真っ黒なボディに赤く経文状のデータが全身に記されたピッチリ張り付くタイプの軽装甲で、御札が組み合わさって変化した着物状の白く薄いアーマーだけを羽織った姿をしている、仮面ライダーリーンに。
『キラッキラ!光る!輝かす!ミラース!』
ミラは六面体に展開した鏡化したジャンクキューブに包まれて光に照らされて、鏡の様に反射する緑色のフェイスカバーで前面を覆って雲のような銀色の鬣がついたのっぺらぼうのような頭部に、ギラギラ煌めいて周囲を反射している銀色のガラス細工のような薄い装甲、両手の甲は変形機構のあるガントレットが付けられており、逆に装甲以外は闇に溶け込むような真っ黒なスーツに細い肢体を包んでいる、銀色の女騎士の様な仮面ライダーミラースに。
『朧月夜にて悪を斬る……生者必衰の理なれば……ボロウ……』
オボロは回転したジャンクキューブが砕け散って溢れ出した霧の様なエネルギーの靄とジャンクキューブの破片が展開した装甲に包まれて、青色の鬼の面が胴体にアーマーの様についている、車輪が両肩についたトラッシュのアトミックブロックの様に四角いフォルムの鎧武者のような姿をしている、仮面ライダーボロウに。
『絞り……搾られ……溢れ落ちろ……ローネ……!』『ローネ!』
ネリーは白い襤褸布の龍が巻き付いて水が溢れ出して纏わりつき、狐を模した白い毛皮のような形状の襤褸布を口元から上を隠すように被っている青色の複眼の仮面で、首元に巻いた白くボロボロなマフラーをまるで包帯でも巻き付けるかのように全身に巻き付けており、黒いアンダースーツと忍者を思わせる形状の青い軽量アーマーで包まれた身体を強調していて腰から尻尾の様に先端が垂れ下がっている姿の、仮面ライダーローネに。
「これほどの戦力に勝る備えはないさ。そうだろう?」
それぞれ姿を変えて、自慢げに椅子でくつろぐ六道を囲うように並び立った。
「我等が王よ、塵塚怪王よ。貴女の亡骸は大事に使わせてもらいますよ……くくくっ、ふははははははははははははっ!」
高笑いを上げる六道の姿は、守る様に立つ仮面ライダー四人を従える姿は、まさに魔王のそれだった。
仮面ライダーローネ、ミラースに続き、ボロウとリーン登場。さらにデリートも加えて五人もライダーが幹部格という異色の組織。それがチリヅカ・コーポレーションとなります。
その由来ともなっている「王」の名が判明、その名は塵塚怪王。……ローネでなんとなくばれてたかもですけど、敵ライダーのモチーフは「付喪神」となってます。どれがどれかわかるかな?
ゲッタの事件の黒幕だったチリヅカの社長、六道捨我。彼が目指すのは何なのか。
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