今回は今章のメインヴィラン登場。楽しんでいただけたら幸いです。
「サラ、星霜家って?」
「知らないんですか怜二さん。星霜家といえば、チリヅカの大株主のスポンサーですよ!平安の時代から代々続く日本有数の名家で、古くは伝説の陰陽師であるかの安倍晴明に連なる、平安の世から国に仕えている霊能力を持つ者の家系です!なんでも、国を滅ぼす災厄を代々封印し続けてきたのだとか」
怜二の問いかけに、半ば興奮した様子で解説するサラ。そんな様子に、その星霜家の末裔、星霜綺羅羅ことヒカリは残念そうに告げた。
「よく知ってますわね……でも、その封印は少なくともお父様の代では
「え、そうなんですか?」
「よく知っているの。君はチリヅカの社員かな?真面目だったんだねえ。感心感心。最近の若い者はそんな
「それは……否定しませんわ。それで、お爺様はなぜここに?私を連れ戻そうって話しなら、残念ながら断らせて……」
「いやいや。あんな愚か者たちの元に戻すなんてとんでもない。ただ、儂を手伝ってほしいのだよ」
仮にも自分の息子とその嫁を愚か者と告げた星霜菅良は、手にした猛禽類の足を模した持ち手の黒い杖をついて椅子から立ち上がると、ヒカリに歩み寄る。
「手伝う…とは?」
「綺羅羅の言う通り、たしかに星霜家の巫術の伝承は我が息子で途絶えている。それが何故かわかるかい?」
「…巫術を扱う霊力が父の代で薄れたのではなくって?」
「それは違う。我が息子は確かに我が一族の霊力を有していた。ただ、その使い方を知らなかっただけなのだ。何故なら、儂が伝承しなかったからだ」
「え、それはなぜ……!?」
『ヒカリ!避けろ!』
『こいつら、何時の間に…相棒!?』
瞬間、窓ガラスや壁を突き破って建物内に飛び込んでくる黒い影が五つ。咄嗟に身構えた怜二の手からトラッシュドライバーを、ヒカリが取り出したエコードライバーを弾き飛ばし、怜二、ヒカリ、サラを拘束すると残り二体が菅良の横に控える。それの正体を見て、信じられないとばかりに目を見開く三人。
「そんな、馬鹿な……倒したはずだ!」
「それにこんなにたくさん…!」
「カラスのゴミリオン…!」
それは、つい先ほど倒したばかりのクロウゴミリオン。それと瓜二つの個体が、五体も。量産型と言えば大晦日に戦ったローカストゴミリオンがいるが、あれと異なる点が二つ。素体であるカラスが絶滅していないことと、そして。人間である菅良に仕えていることだった。
「お爺様!?これは一体……」
「やれやれ。塵塚怪王様の邪魔立てする野良仮面ライダーの一人が綺羅羅だとは、予想だにしなかった。お前は塵塚怪王様の御力を理解し儂と同じ道をたどると思ったのだがな……唆したのはお前か?若いの。余計なことをしてくれたの……」
「違う……俺は唆してなんかない。ヒカリは、自分で戦うことを選んだんだ!」
「塵塚怪王……チリヅカと何か関係が…?」
クロウゴミリオン二体を両脇に控えた菅良は、クロウゴミリオンに拘束されている三人を見下ろしてシルクハットのつばを上げる。その瞳はギラギラと輝いていて、サラは思わず怯む。
「紹介しよう。こやつらはクロウゴミリオン。我が巫術……否、妖術をもってカラスの生霊をゴミに降霊して生み出した我が尖兵じゃ。カラスが生きている限り、いくらでも生みだせるのが利点での。一体だけとはいえ使いに出したこやつを倒すとは思わなかった……故に儂が出向いた。綺羅羅、お前には儂と共に来てもらう」
「お前、ヒカリの家族なんだろ!なんでヒカリを狙った!」
「お爺様、どうして……?」
「まだわからぬか綺羅羅よ。我らの一族は愚かであった!かの偉大な王を封印し続けることなど愚の骨頂!かの王の手足となることこそ我が一族の使命!綺羅羅よ、我が一族最新の巫女よ、生贄となれ!責任を果たすのだ!」
先程までの優しい姿が嘘の様に激高し、捲し立てる己の祖父に困惑するヒカリ。信じたくなかった。この同じ血が流れている男は、自らに死ぬように要求しているだなんて。
「せ、責任……?生贄……?」
「そんなこと、させるか!トラ!」
『おうよ!』
「ギャッ!?」
すると、床に転がされていた飛行能力を持つトラがひとりでに浮かんで怜二を拘束していたクロウゴミリオンの後頭部に激突。拘束を解いて手に収まると、怜二はヒカリとサラを拘束しているクロウゴミリオンを蹴り飛ばしつつ、ジャンクキューブを装填したトラを腰に取り付け、ハンドルを押し込む。
『やってしまえ相棒!トラッシュドライバー!…ジャンクキューブ!プレス!』
「変身!」
『ジャストラッシュ!あっと驚く!アトミックブロック!』
ブロックのエネルギーがクロウゴミリオンを押し潰して足止めしてから怜二に重なり、トラッシュに変身。そのままクロウゴミリオンを次々と殴りつける。
「サラ!ヒカリを連れて外に!」
「わ、わかりました!」
『ボクを回収してくれ!』
「ゲヒャヒャッ!俺達を一人で相手するつもりか!」
「そのつもりだよ!」
意気消沈しているヒカリをサラに任せ、エコードライバーを回収して外へ逃れるのを援護するトラッシュ。それを見て、溜め息をつく菅良。
「野良の仮面ライダーというのはどうしてこう、聞き分けがないのかね。チリヅカの者たちは儂の声ひとつで従うというのに。そうか、金が欲しいのか。ならば好きなだけ出してやろう。我が一族はそれだけの金を国から稼いでいる」
「俺はあいつらとは違うし、金も要らない。俺は、〝ろくにお金が無くとも清掃し、人々を笑顔にする”ために戦うんだ!」
『それでこそ相棒だぜ!』
「……そうか。ならば実力行使といこう」
そう言って左手で杖を突いたまま右手を掲げる菅良。すると右横に控えていたクロウゴミリオンが頷き、自らを分解。掲げられた右手に集束して自らを圧縮し翼の意匠があるジャンクキューブ「クロウ」となってその手に握られると、菅良は手にした杖……クロウリーロッドを左に捻って猛禽類の足の様な上部を展開すると、左手で棒部分を握って右手でジャンクキューブを鷲掴む様にセットすると右に捻り、爪部分がジャンクキューブに食い込むと断末魔の様な音声が轟いた。
『グゲェエエエッ!!ジャンクキューブ……グラップ』
「時に若いの。最強の仮面ライダー、クズリューを知っているか?」
「生憎と知らないな」
「そうか、厚顔無恥め。見せてやろう。これがそのクズリューと同じ技術を用いた力だ」
そう言って右手で握った杖で勢いよく三回床を突くと足元に漆黒の硝煙でできたカラスを模した魔法陣が展開、左手でシルクハットを外して胸の前に置いてお辞儀をした菅良は、告げる。
「変身」
『真っ黒ウ!ご苦労ウ!…クーロウリー!』
するとクロウゴミリオンが三体、その身を分解して巨大なカラスの形状となると菅良の周りを高速で円を描いて旋回し、菅良にぶつかる瞬間再びばらけてその身に装着されていくと、最後にシルクハットを頭に被りカラスの意匠のパーツが追加されて補強することでその変身を完了させる。
魔術師然とした漆黒の羽毛型の硬質なローブを身に包み、その下は胸部に四枚のカラスの翼を模した装甲がついている以外は手足が鉤爪だったりとクロウゴミリオンと大差ない。しかし同じくペストマスクを模した頭部の複眼は金色に輝き、頭にカラスの意匠がついて補強されたシルクハットを被っている。その名は、仮面ライダークロウリー。
「なんだ、こいつ……クロウゴミリオンと大差ない見た目なのにプレッシャーが……」
発される漆黒の波動にも似たプレッシャーで身動きが取れないトラッシュに、クロウリーロッドをくるくる回しながら歩み寄るクロウリー。
「当たり前だ。儂はこの日本で最も強力な力を持つ一族であるぞ」
瞬間、猛禽類の鉤爪を模した右手が拳を形作り、目にも留まらぬ速度で裏拳が側頭部に炸裂。反応できなかったトラッシュは頭から回転しながら吹き飛ぶ、椅子や机を粉砕しながら壁に激突した。
「はやっ……!?」
「遅いわ小童」
さらに頭を上げたその瞬間には目の前にクロウリーの膝が迫っており、膝蹴りが突き刺さって壁に埋め込まれるトラッシュ。壁から引っ張り出したクロウリーはトラッシュを次々と床に叩きつけ、放り投げると、クロウリーロッドを逆手に持ってトラッシュの胴体に当てると薙ぎ払った。
「ぐはああああっ!?」
『スペックが違いすぎるぜ…!』
天井に叩きつけられ、力なく落ちるトラッシュ。ヒカリと、サラと、過ごしてきた思い出ある建物が破壊されていく。そのことに怒りのままに、ガコンガコンガコンとハンドルを押し込む。
『トラッシュ!アトミックラッシュ!』
「うおおおおああああっ!」
ジャンクキューブを圧縮、ひび割れて放出されたそのエネルギーが両足に集束させたトラッシュは突進しながら跳躍、全身を畳む様にして巨大なブロック塊になると、高速回転しながら真っすぐクロウリーに突き進む。それに対し、クロウリーはやれやれと言わんばかりに肩を竦めるとクロウリーロッドを右に捻ってさらに圧縮、一回床を突いて振り上げる。
『グゲェエエエッ!!グラップ!クロウリージエンド!!』
「身の程を知れ、小童」
「っ、ぐああああああああああああっ!?」
『相棒ぉおお!?』
そして、巨大な翼の様な黒いエネルギーを纏ったクロウリーロッドで薙ぎ払われ、建物はついに倒壊。トラッシュはブロック塊の姿が吹き飛ばされて半壊した壁に叩きつけられ、傷だらけの姿で変身が強制解除。余波で吹き飛ばされたトラは瓦礫に埋もれてしまった。すると、その顔を見たクロウリーはぶるりと震えた。
「…うん?お前は………そうか、そうか!そうかそうかそうか!お前だったのか……
「俺を、知って……?」
「よく知っているぞ。お前だ、お前のせいで……ここで縊り殺してくれるわ」
そう言って元の姿に戻ったクロウリーロッドを振り上げるクロウリー。怜二は万事休すかと目をつぶる。しかし、何時まで経っても衝撃が来ない。不思議に思って目を開くと、自らを泡が包み込んでバリアの様にクロウリーロッドの一撃を防いでいた。クロウリーは振り返り、溜め息をつく。そこにいたのは、仮面ライダーエコーだ。
「……そうか。あくまで儂に逆らうか、綺羅羅」
「星霜綺羅羅の名は捨てました。今の私は、慧月ヒカリ!仮面ライダーエコーですわ!」
対峙する両者。さらにそこに乱入者が。
『ギャアハハハハハハハハッ!面白そうなことやってんなア、俺たちも混ぜてくれよ?』
「塵塚怪王様の残滓か……邪魔立てするのであれば仕方あるまい」
仮面ライダーベノムも乱入し、さらなる混沌へ。
老人の仮面ライダーはなかなかいないと思う。星霜家に関する謎がいろいろ明かされましたね。
メインヴィラン、仮面ライダークロウリー登場。モチーフはカラスとペスト医師、そして仮面ライダースカルです。クズリューの技術と生きたゴミともいえるジャンクキューブ「クロウ」で変身と異色すぎるライダーとなります。スペックは素体となったクロウゴミリオンの掛け算となっているため、前回あんなに圧倒した奴の実質四体分のスペックとかいう頭おかしい性能。
名前はカラス(クロウ)に実在の黒魔術師(アレイスター・クロウリー)まんま合わせたもの。
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