仮面ライダートラッシュ   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。ついに廃棄物症候群の詳細が明らかに。超重要な回となります。

クロウリーの野望始動。楽しんでいただけたら幸いです。


第三十の清掃:第二次廃棄物症候群(トラッシュシンドロームセカンド)、始動

「フフフ……ハハハ……我が王よ、憎きあの仮面ライダーの悪足掻きで失われた貴方の御身の身代わりを手に入れましたぞ……今こそ、復活の時です」

 

 

 そう告げるのは、ヒカリを横抱きにして佇むクロウリー。旧東京都の中心部、叩き折られたスカイツリーの現在の頂上である展望デッキにて、周囲に大量のクロウゴミリオンが羽ばたいている光景を、ブラウン管テレビ型の飛行ユニットのモニターに顔を映し出した六道捨我は見ていた。

 

 

「ゲッタドライバーを借りるぞ六道の」

 

《「それはよいが……ミスター菅良。本当にやるのだろうか。貴方がスポンサーである我らチリヅカ・コーポレーションはともかく、各地の連中が黙っていないぞ。特にクズリューに限っては、貴方は彼女から技術を盗用している。怒髪天の如く邪魔しに来るぞ」》

 

「それを何とかするのが君たちの仕事じゃ。各地の仮面ライダーの足止め、それぐらいはできるだろう?できなかったらスポンサーを降りるだけのこと。…三割を補っている儂の財が途切れればどうなるかのう?」

 

《「難題をおっしゃる。……まあ、塵塚怪王がよみがえるのは我等の悲願だ。喜んで協力させてもらおう」》

 

 

 頷くしかない六道捨我は、幹部に通達して各地に行かせた。その一方で。クロウゴミリオンの一体が菅良から賜ったメカニカルな下駄……ゲッタドライバーを連結させて腰に取り付けると、鼻緒を模した捩じられたベルトが伸びて巻き付いた。

 

 

『ゲッタドライバー!……くそっ、こんなゴミ野郎を旦那としなきゃいけないなんて……恨むぞネリー!』

 

「黙れ」

 

 

 文句を垂れるゲッタドライバ―を小突いて黙らせたクロウゴミリオンは、仲間の一体が変化した小型のジャンクキューブ「クロウ」を手に取ると装填、鼻緒を引いて粉々に破壊する。

 

 

『ジャンクキューブ…ゲッタ!』

 

「変身」

 

『ケタケタ!ケッタ!ゲタゲタ!ゲタ!ゲッター!』

 

 

 そうしてクロウゴミリオンが変身した仮面ライダーゲッタ。クロウゴミリオンが連れてきた新東京都の人間だったりハシリターだったりと手当たり次第に集めた人々を次々と蹴りつけて小判にして縮んだ人々を容赦なく踏み潰していくと、小判を手渡されたクロウゴミリオンは次々と飛び立っていく。

 

 

「人柱はこれだけあれば十分だ……さあ、儀式を始めよう」

 

 

 

 

 

 

 五年前、廃棄物症候群(トラッシュシンドローム)を引き起こした張本人が塵塚怪王である。旧東京都が復興不可能の壊滅状態に追いやられるまで暴虐の限りを尽くしたが、立ちはだかったただ一人の仮面ライダーの手で倒された。それが仮面ライダーの都市伝説となったわけだが、これはまず前提が違う。

 

 

 そもそも塵塚怪王とは、妖怪の一種の名前である。日本という国の政府はひた隠しになって隠し通していたが、平安の世に一度現れ、「人の歴史を終わらせる」ほどの力を有し世界を滅ぼしかけた付喪神の王、それが塵塚怪王だ。それを封じたのがかつての安倍晴明、星霜家のご先祖様である。それ以降代々国に仕えて封じてきたはずのそれが、五年前何故か目覚めたのが、廃棄物症候群だ。「人の歴史を終わらせる」が未完成の形で行われたのが今の世界である。

 

 

 そんな塵塚怪王が現れたのは、ゴミリオンの前身たる意思を持つ廃棄物……付喪神が大量発生しそれが呼び水となったため。その付喪神の力を集める人柱もまた必要であり、クロウリーはそれを前者はクロウゴミリオンで、後者をゲッタの力で小判化させ純粋なエネルギー源と化した人々で、安倍晴明の末裔たるヒカリを、かつて仮面ライダーに破壊された心臓たる「要石」の代わりとすることで復活させようとしていた。

 

 

 

 

 

「目覚めよ!我が王よ!偉大なりし塵塚怪王よ!!!!」

 

「そうはさせないわ」

 

「何者だ…?」

 

 

  各地に飛び立ったクロウゴミリオンたちとそれぞれが手にした小判により、スカイツリー跡地を中心にした日本中に広がる巨大な魔法陣が形成されていく。それは濃密なゴミルギーを生みだし、それに当てられて各地で塵塚怪王の腕たる例のクレーンアームを介さずにゴミリオンが生まれていく。その中心であるスカイツリー跡地ではヒカリの体が浮かび上がり、各地から集められたゴミルギーが集約していくそこに、クロウリーの背後から攻撃。クロウリーが振り向くと、そこにはデリートナックラーを手にした掃除屋が立っていた。

 

 

「お前は……掃除屋か。六道の部下だったと記録しているが……なんのつもりだね」

 

《「私は関与していない。掃除屋の独断だ」》

 

「社長とは、契約してるだけよ。本当の部下じゃないわ。それに私は、正しさの無い仕事はしない主義よ。貴方が人々を誘拐し、この儀式に利用しようとしてるのは、分かっている……解放しなさい」

 

「残念ながら、この綺羅羅以外は人柱となった時点で助からない」

 

「そう……なら、その子だけでも……!」

 

『ジャンクキューブ……セット……メキメキ……!バキン……!』

 

 

 散らばった無数のジャンクパーツが展開され、クロウリー目掛けて飛んでいくもその全てをクロウリーロッドで弾き飛ばされ、跳ね返ってきたそれらをその身で受け止めながらベルトを操作し、走る掃除屋。

 

 

「変身」

 

『ジャンクラッシュ・デリート……!』

 

 

 そしてデリートに変身、クロウリーのクロウリーロッドとデリートナックラーが激突し、衝撃波がマントをたなびかせた。

 

 

「仮面ライダーデリート。掃除(しごと)・開始」

 

「デリート……デリートかあ…!生憎と、デリート相手は儂は手加減できんぞ…!」

 

「っ!」

 

 

 何故か激高したクロウリーの拳が腹部に炸裂、あまりの衝撃に仮面の下で表情を歪ませたデリートは殴られた勢いを殺さずにバックステップで後退。間髪入れずに飛び込んでデリートナックラーを握った右拳で乱打を叩き込むも、クロウリーが呼び寄せたクロウゴミリオンが身代わりとなって粉砕され、粉砕されたクロウゴミリオンの残骸をクロウリーはクロウリーロッドに球状に纏めて発射。それを高速のラッシュで殴り壊したデリートの眼前に、クロウリーの掌が迫り、顔面を鉤爪で鷲掴みにされてしまった。

 

 

「ぐっ……!?」

 

「逃がさんわい!」

 

「ぐああっ!?」

 

 

 そのまま持ち上げられ、後頭部から床に叩きつけられ、ヒカリのいる階の一部が崩れて落下。さらに後頭部から叩きつけられるデリート。顔面を掴まれながらも左腰のホルダーからDジャンクキューブ「雷」を手探りで手に取りデリートナックラーに装填、勢いよく手で叩き潰してフックを叩き込んだ。

 

 

『ジャンクラッシュ・ヘブン……!』

 

「む?」

 

 

 高圧電流が流れてバチンっという音が響き、電撃が効いたのか手を放して後退するクロウリー。デリートも体勢を立て直して荒い息を吐く。

 

 

「やはり貴様は儂の最大の敵となるか、デリート!」

 

「ええ、そうよ……五年前、塵塚怪王を倒した、この力……再び見せてあげるわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『おい。起きろ八多喜怜二』

 

 

 俺は、確か……クロウリーに負けて、瓦礫に埋もれて……どうなった?

 

 

『てめえ、相棒に手荒な真似をするな!』

 

『ボクに体当たりしたところですり抜けるだけだ。緊急事態だ、ここで動かなければただの役立たずだとわからないのかい?』

 

 

 相棒と聞き慣れてるようでなんか違う声が言い争っている。目を開ける。半透明な青髪の美女と目が合った。踊り子みたいな恰好で目のやり場に困る。

 

 

「う、ぐ……誰……?」

 

『起きたか。いいかい、よく聞け。ボクのヒカリが星霜菅良に攫われた。ボクは相性的な問題で勝ち目がない。お前ひとりでも勝てない。仲間をかき集めて今すぐにでも助けにいけ』

 

「ボクのヒカリって……お前、まさかエコちゃん様か!?」

 

 

 え、なんで、人型?なんか水っぽいとは思ったけど。

 

 

『そう呼んでいいのはヒカリだけだ。……呼び名がないのは不便だな。わかった、名乗ろう。ボクは八百万(ヤオヨロズ)の神の一人。水を司る神【スイセン】だ。ヒカリには絶対言うなよ。彼女が付けたエコちゃん様という呼び名は気に入っている』

 

「神様……だと……!?」

 

『クロウリーの奴からも水の神って呼ばれてたぜ!マジなのかよ!』

 

「それより、ヒカリが攫われたって……サラは!?」

 

『北内沙羅なら、そこにいるよ。ヒカリを騙せてもボクの目は誤魔化せない』

 

 

 そう言ってスイセンが睨みつけるのは、倒壊した喫茶店跡地の床にこびりついた廃液。それがひとりでに動いて一ヵ所に集まり、申し訳なさそうなサラが姿を現した。その腰にはベノムドライバーもいる。

 

 

「……すみません、怜二さん。私も、戦ったんですけどまるで太刀打ちできず……」

 

『相棒のせいじゃねえ。相棒に頼まれておいてあんな奴に負けた俺を責めろ!』

 

『お前実はサラが大好きだよな?』

 

 

 トラの言葉に押し黙るベノムドライバー。図星らしい。サラは困惑している。

 

 

「…俺は相棒の悪意から生まれた。相棒の願いを答えるのが俺の戦いだ」

 

「え、じゃあ今までの大暴れは私のために……?いやでも、私の中にそんな悪意なんて……」

 

『ボクの!話に!戻っていいかな!』

 

「「あ、はい」」

 

 

 スイセンの怒りの声に思わず正座で背筋を正す俺とサラ。

 

 

『……塵塚怪王のことはクロウリーから聞いたと思う。あの子のことを簡単に言えば、廃棄物症候群(トラッシュシンドローム)の元凶だ。今、旧東京都の中心でヒカリはそれになろうとしている』

 

「なんだって!?」

 

「そんな……止めないと!」

 

『でも君達じゃ勝ち目がない、仲間を呼ぶんだ。一人でも多くの戦力がいる。あのクロウリーはゴミルギーを無力化する。ボクの力も通じなかった、数で挑むしかない』

 

「だが俺達の仲間は他にはルイとバーンアウトの奴らしか……」

 

『ルインやベノム、あとデリートなんかが味方でも分が悪いぜ……』

 

「……」

 

『なんでもいい、ボクも他の神に協力を持ち掛ける。変人揃いだから期待できないけどね』

 

「と、とりあえず電話するか」

 

 

 言うだけ言うなり姿を消したスイセンを横目に、電話を取り出す。壊れてなくてよかった。

 

 

「ねえ。まだ、完全に受け入れられないけど……とりあえず、呼び名。ドッくんって呼んでもいいかな…?」

 

『ドッくん?俺に、名前?お、おおおおおおおお』

 

 

 電話をかけてる横でサラとベノムドライバーがそんな会話してたのが聞こえた。可愛いかよドッくん。




まさかまさかのゲッタ再登場。チリヅカの幹部陣もクロウリーの手先になってる、つまり現行登場ライダーの半数近くが敵側です。

・廃棄物症候群
ゴミが溢れ出した、とぼかされて説明されていたが、正確には塵塚怪王が目覚めたことで発生した付喪神の百鬼夜行のようなもの。全ての器物が動き出して塵塚怪王と共に人々や街を襲った、というのが真相。クロウリーの目的はヒカリを生贄に塵塚怪王を再誕させること。関係ない人々も利用している辺り外道である。

塵塚怪王は2009年に電撃文庫様より発売された「ほうかご百物語5」の塵塚怪王を参考にしてます。それ以外は全部オリジナル設定です。

ゴミリオンの前身「付喪神」や塵塚怪王を呼び起こすのに必要な「人柱」心臓であり仮面ライダーに破壊されたという「要石」、そして五年前塵塚怪王を倒したのがデリートだとも判明。都市伝説の仮面ライダーはデリートのことだったわけですね。

そしてエコちゃん様の本名が「スイセン」とも判明。文字通り水洗からですね。あとベノムドライバーが「ドッくん」と命名されました。反撃できるのか。


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