仮面ライダートラッシュ   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。こういうストーリーは序盤が一番難しいと思う。

今回は本拠地と、弱点判明。楽しんでいただけたら幸いです。


第四の清掃:路地裏に潜むゴミ

 軽トラの荷台に乗せたゴミを専門業者のところに持って行ったあと、ヒカリが家がないと言うので、とりあえず俺の家に招くことにした。といっても、俺の家は海の近くにある、経営難で潰れた喫茶店だった場所を譲ってもらっただけだが。実家は廃棄物症候群(トラッシュシンドローム)でゴミに埋もれてしまったらしく、いたはずの親も行方不明でここに住んでいる。現在は営業しておらず、古びてこそいるが二階に住居スペースがあるなどしっかりしている作りだ。

 

 

『へえ、ここが相棒の家か!お洒落ってやつか!?』

 

「はあ……ボロ屋ですわね」

 

「ここは俺がお世話になってた人の店だった場所だ。経済悪化で二年前に潰れてから使わせてもらってる。これでも新築三年なんだぞ?二階に住居スペースがまだあるから使ってくれ」

 

 

 薄汚れてしまっているのは今の世だから仕方ない。これでも週一で綺麗にしてるんだが、大気も汚れてしまっているのか潮風に当たるだけでこれだ。海も汚染されてしまっていて、いいところが一つもないところだった。

 

 

「……市井の皆様は、皆このような場所に…?」

 

「内陸部はここまでひどくはないけど……まあ、あんまり大差ないかな。相棒、これ喰えるか?」

 

『おうよ。生ごみだろうと任せなあ!』

 

 

 言いながら、割った卵の殻を相棒に吸い込んでもらいポンッと新しいジャンクキューブが生まれ、卵を入れたフライパンを軽く振るう。廃棄物症候群(トラッシュシンドローム)以降、世界は変わった。ゴミにまみれて、薄汚れて、公害が加速して、人々はそれから目を背けて煌びやかモノを求めて生きている。本州は人が住めなくなって、比較的軽傷で済んだ北海道や四国、九州に逃れた人々のほとんどは、都会を忘れられなくてこの新東京都まで来た。どんなにお金がかかっても、故郷の近くに入れることが幸せなんだろうか。そんな人々の笑顔を守りたい、それが俺の願いだ。

 

 

「……わたくしも早く免許を手に入れて、貴方を手伝いますわ」

 

「……俺の仕事は、稼げないよ?ボランティアに近い」

 

「上等でしてよ。わたくしは、上に立つ者として。皆様を守る義務がありますの」

 

 

 そう言いながら、皿に持ったそれを箸と一緒に、本来客が座る席に座っていたヒカリに差し出す。醤油と白飯を持ってくれば完璧だ。

 

 

「家もないのによく言うよ……ほら、簡単で悪いけどできたぞ。スクランブルエッグだ」

 

『おお、上手だな相棒!』

 

「……スクランブルエッグに、醤油?」

 

「目玉焼きのつもりだったんだよ悪いな!?」

 

「むぐっ。……うちのシェフよりはアレですけど、中々に…えっと、しょっぱいですわよ?」

 

「無理なフォローは傷つくだけなんだぞ」

 

 

 初めての客人だから調子に乗ったがやっぱり料理の腕は変わらなかった。悲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌朝。さすがにジャージだけだとまずいと思い、ヒカリの服と下着を買うために最寄り服屋に来た。トラッシュドライバーは背負ったショルダーバッグに入れている。五年前と違って格安が珍しいこのご時世、服も高いがまあ保護しちゃったものは仕方ない。

 

 

「怜二、怜二!見て見て!市井の商品ってこんなに安いんですわね!」

 

「いや高いよ……あんまり安い安い言わないでくれ、恥ずかしい」

 

 

 ジャージ姿ではしゃぐ金髪縦ロールの美少女はさすがに目立つようで、視線が集まって恥ずかしい。とりあえず予算は五千円だと伝えて、毛恥ずかしくなったので外に出る。そこで、あるものを見つけた。

 

 

「……〝謎の怪人出没中!なにかあればチリヅカまで!”だと?」

 

『おっ、チリヅカの連中か。あのデリートってやつを派遣するんかね?俺達もいるのに、気に入らないぜ!』

 

 

 黒い影の鋭い光った眼をした人型がうがーっと叫んでいるようなポーズの写真とそんな文面が記されたポスターだった。トラッシュドライバーが憤慨しているが、気になったのは別のことで。

 

 

「これ……写真だよな。多分、ゴミリオンだ。でもあの時デリートが倒した犬のやつじゃないし、蜘蛛でも蝙蝠でもない。チリヅカ・コーポレーションはこんな写真をどこで…?」

 

『すまねえ相棒。俺もそこまで詳しくないんだ。でも以前にデリートが倒した奴じゃないのか?』

 

 

 デリートの戦闘中に撮ったのかもしれないが、それにしたってアングルが不自然だ。まるでこれを撮るためだけに用意したような。

 

 

「…そもそもゴミリオンって一体……」

 

「お待たせしましたわ!」

 

 

 するとヒカリが外に出てきて。振り向くと、薄紫色のVネックの上に紫と白のスカジャンを羽織りオレンジのフレアスカートと素足にサンダルを身につけた服装に着替えたヒカリがいた。思わず言葉を失った。ジャージに上履き姿でそう思えてなかったが……服を整えればちゃんとお嬢様なんだな、と納得の着こなしだった。不良っぽいスカジャンもなんだか似合っているのがすごい。

 

 

「5000円で何とか揃えて見ましたわ!怜二、どうかしら?」

 

「あ、ああ……似合ってる、と思う……」

 

『馬子にも衣裳だぜヒカリ!』

 

「はったおしますわよ?」

 

『できるもんならやってみやがれ!』

 

 

 俺が固まっている間に、ムキになったヒカリが空を舞うトラッシュドライバーを捕まえようとするのを、我に返って追いかける。ここ人通りがいいから目立つ行為はやめてくれ!?すると、二人は路地裏の入り口で止まって中を窺っていた。

 

 

「どうしたんだ?二人とも」

 

「しっ。静かにですわ」

 

『相棒、間違いねえ。ゴミリオンだ。近くにいる』

 

「なんでそんなこと…!?」

 

 

 俺も路地裏を覗き込んで、絶句する。そこには、べったりと血のりが壁に飛び散っていて。思い出すのはスパイダーゴミリオンだ。アイツも人を喰っていた。とんでもない量の赤色に、人一人が食われたことが容易に想像がついた。

 

 

「ヒカリ、離れるな。相棒、ベルトだ!」

 

『おうよ!トラッシュドライバー!』

 

「わ、わかりましたわ」

 

 

 怯えている様子のヒカリを背中に庇い、トラッシュドライバーを腰に取り付けて一応持ってきていたジャンクキューブ「鉄」を握って警戒する。すると、上から音がして、顔を上げる。蜥蜴の様なフォルムで壁に張り付きギョロギョロ動く眼と目が合った。

 

 

「ギギギッ、餌、餌!」

 

「きゃああああっ!?」

 

「っ、変身!」

 

『ジャンクキューブ!プレス!…ジャストラッシュ!あっと驚く!アトミックブロック!』

 

 

 伸びてきた舌に、咄嗟にヒカリを庇いながらジャンクキューブをくぼみに装填してハンドルを押し、出現したブロックのエネルギーでゴミリオンを撃墜し、トラッシュに変身。ブロック状の手甲がついている腕で殴りかかるが、ゴミリオンは一跳躍で壁に張り付いて壁に張り付いたまま高速で動き、次々と舌を伸ばしてくるゴミリオン。

 

 

『恐らく、リザードゴミリオンだ!』

 

「逃がすわけにはいかない!ここで倒すぞ!」

 

 

 次々と射出される舌による突き刺し攻撃を、強固な装甲で耐える。駄目だ、遠距離攻撃がないこの形態じゃ壁に張り付いているリザードゴミリオンを攻撃できない。それにもし離れたら、ヒカリが狙われる…!

 

 

「テンペスットボトルだ相棒!」

 

『ジャンクキューブ「プラスチック」は持ってるか、相棒?ないと変身できないぜ!』

 

「え、この間使ったのは?」

 

『必殺技を使った時に破壊しただろ!ジャンクキューブは使い捨てのエネルギーの塊だ!一度使いきったら再利用はできないぜ!』

 

「なんだって!?」

 

 

 そう言えばアトミックブロックのジャンクキューブ「鉄」も、最初のゴミ掃除で集めたのをそのまま使ってたものでいつの間にかなくなってたから新しいのを使ってた……そう言う弱点があるのか、と思い至った直後、舌で腕を巻き付かれて空中に持ち上げられてしまい、投げ出される。

 

 

「うわあああ!?」

 

『相棒!?』

 

「怜二!」

 

 

 背中から勢いよく叩きつけられ、ダメージに呻く。しくじった……アトミックブロックは重いから落下ダメージもでかいのか。万事休すかと思われたその時、ヒカリが動いた。

 

 

「こっちですわ!生身でひ弱な獲物はこっちにいますわよ!」

 

「ギギッ?」

 

 

 俺の横を通り抜け、誘き寄せるように煽りながら路地裏の奥に走るヒカリを、リザードゴミリオンは追いかけていき、あっけなく舌を腕に巻き付けて拘束してしまう。まずい、なんで!

 

 

「私だって、足手まといじゃいられませんの!人々を喰らうなんて、絶対許してはなりませんわ!」

 

「!」

 

 

 それを見て、気付く。ヒカリを追いかけるために高い壁から降りてきて、そこなら…!ガコンガコンガコンと三回ハンドルを押し込んでジャンクキューブを圧縮、ひび割れて放出されたそのエネルギーが両足に集束して跳躍する。その先は、こちらに気付いて驚いているリザードゴミリオンがいた。

 

 

「ギギィ!?」

 

「うおおお!」

 

『トラッシュ!アトミックラッシュ!』

 

 

 全身を畳む様にして巨大なブロック塊になると、高速回転しながら突撃。壁とサンドイッチにして叩き潰し、リザードゴミリオンは爆散した。ジャンクキューブが砕け散って変身が解けた俺は慌ててヒカリに駆け寄った。

 

 

「大丈夫か!?」

 

「こんなの、かすり傷ですわ……」

 

 

 腕に残った締め付けられた傷に手を添えて気丈に笑うヒカリに、俺は安堵のままへたり込むのだった。




世俗にまみれた服装のお嬢様にしかない魅力があると思う。

ジャンクキューブが使い捨てなため、日頃から持ち運んでないとフォームチェンジもままならないと判明。

路地裏のゴミから生まれたリザードゴミリオン。壁に張り付くって地味に厄介だよね。

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