いそいそと、牛などの飼育する酪農や野菜を育てる農業、漁船に乗り近海にて行う漁業などを数十人規模で行っている、その広さ実に北海道の三分の一を占める日本随一の「食」の要、“雪鬼ファーム”の中心部にある食品加工場に、一人の女性が訪れていた。雪鬼組と思われる雪の刺繍が入った白いネクタイに黒スーツを身に着けたサングラスの男に連れられてやってきたのは工場長室。そこには、書類とにらめっこしている氷室蒼牙がいた。
「む、お前か。正式な手続きをして客としてくるとは驚いた。それで、掃除屋だったか。何の用だ。食料の供給を止めたのを撤回させに来たのか?」
腰までかかる長い薄桃色の髪に、サングラスに隠されたツリ目な真紅の瞳、スタイル抜群で高めの身長を紫色のインナーとピッチリとした黒革のライダースーツで隠した女性……掃除屋は「そんなことじゃないわ」と首を横に振ると、デリートバックルを取り出して腰に取り付ける。
「私の恋人を、ズタボロにした貴方は……絶対にぶっ殺してやるわ……!」
『ジャンクキューブ……セット……』
「変身!」
『メキメキ……!バキン……!ジャンクラッシュ・デリート……!』
そして右手に取り付けたデリートナックラーにDジャンクキューブを装填してデリートバックルに装填してスライドさせてDジャンクキューブがバックル内で粉砕され、取り囲む様に散らばった無数のジャンクパーツが掃除屋に纏わりつく事で変身。黒紫色のボディと装甲を明るい紫色のジャンクパーツと金色のビスの様なパーツで止めた、まるでバイクを人型にしたような姿で、赤い複眼を輝かせながら黒いマントをはためかせた仮面ライダーデリートに変身を果たすと、マントを翻しながら告げた。
「仮面ライダーデリート。
「ここは俺の縄張りだ。余所者は帰るか、労働に貢献するか、冷凍処理させるか選べ。変身」
『冷凍ぉ!ジェネレイトぉ!グレイトぉ!アイス!ナイス!グレーイス!』
向かい合うデリートとグレイス。デリートは不意打ちできたであろうにそうしなかった、故にグレイスは相手の出方を重んじる。そして。デリートナックラーを握った拳が放たれ、氷の壁に阻まれた。
「ハアアアアアアアアッ!」
「殴り砕くか。いいだろう!」
すぐさま何度も何度も殴って氷の障壁を殴り砕くデリートに、氷を武装し手の甲から刀の様な刃を伸ばしたグレイスの斬撃。デリートは紙一重で避けてデリートナックラーで殴りつけて氷の刃を破壊するが、それがグレイスの目論見だった。
「刃の目くらましはされたことないか?」
超人・氷室蒼牙の肉体だからこそできる、躊躇なく刃の破片を掴んで投げつける目くらまし。咄嗟に顔を防御する構えをとったデリートの隙だらけの腹部に拳が叩き込まれ、殴り飛ばされた。
「がはっ……」
『だりぃ……氷室の相手じゃないな。ただの女だ』
「どうした?まだまだいくぞ!」
歩み寄るグレイスが踏みしめるだけで床が凍結して生えた巨大な氷柱がデリートを打ち上げ、落ちてきたところに冷気を纏った拳の一撃が突き刺さり、空中で凍結してしまう。
「グッ……!この程度で……!?」
「掃除屋、だったな。凍り付いた人間を殴ったことはあるか?」
「っ!?」
グググッと力を込めて、身動きが取れないデリートに渾身の正拳突きが炸裂。凍り付いて防御力が低下した装甲が砕け、火花を散らしながら転がっていくデリート。誰が見ても満身創痍だった。
「まだよ……!私の全てを賭けてでも、お前は殺す!」
「それは六道の命令か?」
「私と!私の恋人の為よ!」
『ジャンクラッシュ・ヘブン……!』
ホルダーからDジャンクキューブ「鉄」を取り出してデリートナックラーに取り付け、拳を打ち合う様に左拳を叩きつけて粉砕するデリート。砕け散った破片がデリートナックラーに集束して巨大な鉄の拳を形作り、振りかぶるもグレイスの冷気を纏った拳のアッパーで粉砕され不発に終わる。
『ジャンクラッシュ・ヘル……!』
「氷には炎よ……!」
しかしデリートは諦めずにデリートナックラーをデリートバックルに装填して押し込むことで完全にデリートバックルのDジャンクキューブを破壊すると、その内包された灼熱の炎エネルギーが両手に集束。炎で加速した拳のラッシュを叩き込むも、グレイスが踏みつけた床から生成された氷柱の壁で受け止められる。炎を使ってもなお堅いその壁を破壊することは叶わず、グレイスが氷塊をヤクザキックで蹴りつけ、それを押し付けられ滑っていくデリート。
「ぐうううううううっ!」
『ジャンクラッシュ・ヘル&ヘブン……!』
あまりの威力に声を上げながら、デリートナックラーにホルダーから取り出したDジャンクキューブを装填してデリートバックルに納めると、何度も勢いよく押し込んで限界までヒビ割れさせ、エネルギーを充填したデリートナックラーを引き抜き、左手に押し付けて発動。デリートナックラーを握った右拳の猛連打を叩き込み、氷塊を圧縮して殴り砕くことで難を逃れる。しかしあまりの無茶に、デリートナックラーが悲鳴を上げていた。
「耐えて……!耐えるのよ、デリートナックラー…!私だって、全力を出せば、あのデカブツを倒せるのよ…!」
思い出すのは、圧倒されたクロウリーと、一人では決して勝てなかったゴミの巨人。その幻影を振り払い、デリートバックルに装填したデリートナックラーを一回押し込んでDジャンクキューブを粉砕。
『ジャンクラッシュ・デストロイ!』
「ハアアアアアアアアッ!」
「全力をもって応えてやる!来い!」
左足にゴミルギーを纏い助走をつけて跳躍、グレイス目掛けて飛び蹴りを叩き込むデリート。拳を構えて迎え撃とうとするグレイスだったが、その瞬間。ピーピーピーピー!!という警告音と共にデリートナックラーから漏電した電流でデリートは感電、そのまま変身が強制解除されて飛び蹴りの体勢のまま地面に落ちてしまう。
「オーバーヒート……!?どうして!?」
『だりぃ……そんな旧型のガジェットなんか使うからだ。過剰なエネルギーを用いる必殺技を連打すればそうもなる』
困惑する掃除屋に、デリートナックラーの次世代型であるトラッシュドライバー零が答える。まるで見てられないとでも言うかのような声色に、掃除屋は悔し気に俯きながら床を殴る。すると、グレイスはトラッシュドライバー零の蓋を閉じて変身を解除した。
「……情けは、要らないはずよ」
「戯れは
「…………貴方は、地獄に落ちて永遠に苦しめば良いわ」
冷えた視線で見下ろしてくる氷室に、掃除屋はよろめきながら立ち上がって部屋を後にし、代わりにタイミングを見計らっていたかのように窓の隙間から紫色に輝く煙が入り込んできて、氷室の前で人型に形を整えると跪いた。
「よう…今は“ガオス”と呼んだ方がいいか?」
「若頭の命令通り、南の関所を監視していたところ、ステルスヘリを匂いで確認。撃墜しました」
「さすがは俺の猟犬だ。生きている様なら連中の目的を探れ。恐らくチリヅカの刺客だ」
「御意」
再び形を崩した“ガオス”と呼ばれた存在は、紫色の煙として姿を消し、氷室は窓から移動する煙を確認してため息を吐くと腰に取り付けたまま少なくない冷気を漏らしているトラッシュドライバー零に話しかける。
「なあ、ゼロ」
『いきなりなんだぁ?』
「矜持を貫くためとはいえ、嫌われ役は、辛いな」
『だりぃ……弱音は聞きたくないぞ』
「悪かった、仕事に戻るか」
―――――「聞いてくれ!遂に完成させたぞ!ゴミを再利用し、エネルギーとして活用する正規の大発明“ゴミルギー”が!」
―――――「本当ですか!?博士!ついに資源問題を解決できるんですね!」
―――――「ああ、このゴミルギーを使えば、お茶の間の家電から軍事利用だって利用できる!」
―――――「でも民間伝承を調べているだけの文学部の俺なんかが役立つなんて……」
―――――「そうとも、君のおかげだ●●●●●!手始めにゴミルギーを用いた、ゴミを「ジャンクキューブ」に変えて再利用しゴミルギーを活用できるゴミ処理パワードスーツを完成させた!その名も“デリート”である!」
―――――《「緊急速報です。世界中で一晩にして大量発生した廃棄物に飲み込まれる怪事件が発生しており、……え?なんですって?東京湾に怪獣が出現?フィクションじゃないのよそんなこと……きゃあああああああああああ!?」》
――――「博士。俺が出ます。使わせてください“デリート”を!」
「ぶえっくしょん!」
目が覚める。積もってた雪が頭から落ちた。俺、
「端末もないし……ここどこだよ」
途方に暮れる、とはこのことだろうか。雪原のど真ん中だ。神奈川に向かう道中でも滅んだ街波を見て来たけど、それとはベクトルが違う。しかも上着もないし長袖とはいえシャツ一枚は寒すぎる。とりあえず人里を捜さないと。……歩くか。
「トラ!いないのか!?」
あいつなら飛んで俺を捜してると思うんだが、もしかして捕まっていて身動きが取れなかったりするのか。…うん?エキゾースト音?
「なんだ…?」
エキゾースト音が聞こえてきた方向を見やる。ヘルメットを被った誰かがバイクに乗って走っていて、それを空飛ぶ人型が襲っていて……ゴミリオンか!?
「どうした仮面ライダー!変身、してみろよぉ!」
「ゲハハハハ!いつも雪鬼組の連中には苦汁を飲まされてるんだ!」
ハゲタカとハゲワシだろうか。鳥を模した二体のゴミリオンが執拗にバイクの上の女性を狙っている。火球が次々と降り注ぎ、羽手裏剣が道路に突き刺さって爆発。ついにバランスが崩れて転倒、ヘルメットが外れて転がる女性。見覚えのある人物だった。
「掃除屋…!?」
「貴方は……トラッシュの……!?」
こちらを見て眼を見開く掃除屋。その背後から火球が飛んできたので、咄嗟に突き飛ばして一緒に転がることで回避する。
「貴方、どうしてこんな所にいるの……!?危ないから、変身するのよ……!」
「今は相棒がいないんだ!そっちこそ変身しないのか!?」
「今は、無理ね……」
そう言いながら取り出したナックル型のそれは煙を上げていた。オーバーヒートでも起こしたのか?まずい、仮面ライダーが二人もいて、何もできずにここで死ぬのか!?いや、それだけはだめだ。
「俺が時間を稼ぐ!あんただけでも逃げてくれ、掃除屋!」
「まさか、死ぬ気……?」
「それで、一人でも救えるなら本望だ!」
「なら二人仲良く逝っちまいな!」
「ゲハハハハ!!」
言い争っている間に、火球と羽手裏剣が放たれる。不味い…!?と、その時だった。
「その覚悟はいいけど、死んじゃ何にもならないんですよっと!」
そんな声と共に、炎と羽手裏剣が空中で弾ける。振り向くと、丸いカブトムシみたいなフォルムの可愛らしい四人乗りの車が止まっていて、そこからなにかでっかい武器を構えた金髪、だけど顔立ちからして日本人のシスターがいて。掃除屋と一緒に目を丸くする。え、シスター?なにそれ?
「よそから来た人みたいだけど邪魔だからどいて。こういう奴らは、あたしの本分だからさ」
『アースクロッサー!!』
そう言って巨大なメカニカルな十字架?の中心の持ち手を握りながら車から降り、取り出した粘土製らしきジャンクキューブを十字架……アースクロッサー?の長い部分の蓋をスライドして開けると装填。蓋を閉めると右手で持ち手を握って自分の前にドスン!と地面に先端を打ち付ける。
『ジャンクキューブ・クロス!』
「変身!」
すると、先端からエネルギーが発射されたらしくその反動で光り輝いて打ち上がり、振り回したアースクロッサーから放たれた四角い弾丸がばらけて装甲となり、城壁を組み立てられるように重装甲の戦士の姿へと変えていく。
『Ah~!Ah~!
まるで歌うかのような音声と共に、変身が完了した戦士はアースクロッサーをまるで銃でも構えるかの如く先端を向けて、散弾を放つとハゲタカゴミリオンとハゲワシゴミリオンを撃ち落とした。
「仮面ライダーアース!祈りなさい、天罰を執行します」
グレイスに敗北したデリート。ガオスと呼ばれる氷室の部下。寒空の下に放り出されたトラと離れ離れな怜二。そしてシスターが変身する仮面ライダーアース、という内容でした。
そして、謎の会話。廃棄物症候群の際の放送も…?
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