『Ah~!Ah~!
「仮面ライダーアース!祈りなさい、天罰を執行します」
変身したシスターが名乗ったのは仮面ライダーアース。黄色と黒を基調とした修道服を模した砦を思わせる重装甲で、まるで祈る様に目を瞑っているかのようなバイザー型の黄色い複眼と頭巾の様なベールのついたヘッドパーツ、ベルトのバックルがアースクロッサーを小型にしたような十字架の形状をしているのが特徴で、まさしくシスターを仮面ライダーにしたような姿だった。巨大な十字架型の変身アイテム兼武器であるアースクロッサーから散弾を放ち、ハゲタカゴミリオンとハゲワシゴミリオンを撃ち落とすアース。トラがいないため変身できない怜二と、満身創痍の掃除屋は未知なるライダーの登場に驚愕する。
「北海道の仮面ライダー…!?」
「アイツの他にも……北海道に仮面ライダーが居るなんて……」
『驚くのも無理もありません!拙の見出した聖女なのです!』
「女神様うっさい!」
氷室がグレイスに変身できることを知らない怜二と、グレイスのことしか聞いていなかった掃除屋は互いに顔を見合わせて首を傾げると、アースクロッサーが喋りだしアースがツッコむ。その間にも、撃ち落とされたゴミリオン二体にアースクロッサーを盾の様に構えてシールドバッシュを叩き込むアース。
「忌々しい仮面ライダーめ…!」
「ゲハハハッ!これでも喰らえ!」
『聖女を守る聖十字はそんなものでは砕けません!』
吹き飛ばされたハゲタカゴミリオンが火球を、ハゲワシゴミリオンが羽手裏剣を飛ばすも、アースはアースクロッサーを盾にして受け止め、くるりと回って横にしてショットガンモードにしたそれを乱射。再び撃ち落とされたかと思えばアースクロッサーが投げつけられ、頭に直撃してノックアウトして引っ繰り返るハゲタカゴミリオン。
「相棒ォ!?」
「よそ見している暇があるの?っと!」
跳ね返ってきたアースクロッサーをキャッチし、狼狽えるハゲワシゴミリオンの胸部に、持ち手はそのままアースクロッサーを時計回りに一回転させてから銃口を突きつけるアース。
『女神の裁きを下します!アーストライク!』
「いつもいつも子供たちを怖がらせてメンド……祈りは済ませてるよね?」
「あ、あ……」
「もう遅いっつーの!」
『聖なる弾丸……ショットラメント!』
そして、銃口に集まった黄色いエネルギーが解き放たれ、零距離でハゲワシゴミリオンを撃ち抜いた極太ビームはその射線上にいたハゲタカゴミリオンも巻き込み、地面を大きく抉って爆散。ゴミリオンだった残骸がその場に転がった。
「最後まで散らかして……誰が掃除すると思ってんの?ったく」
『そう言いながらちゃんと掃除するから貴女は聖女なのですよ、メル』
「はいはい女神様」
そうぼやいて変身を解除したシスターに、怜二は恐る恐ると問いかけた。
「あんたは、一体…?」
「うん?ああ、あたしは
「お、おう…?」
見た目とは裏腹に旧時代の女子高生みたいな口調で喋るシスター……メルに面食らう怜二の手を引いて、顔を寄せる掃除屋。いきなりドアップになった美人の顔にうおっと声を上げる怜二。
「彼女、本当にシスター?何でギャルっぽい口調なのかしら……あの十字架も、貴方達のベルトみたいに喋るし……」
「いや俺に聞かれても……」
「因みに貴方、何で此処に居るの?新東京からは、大分距離があるはずよ……」
「俺の方が知りたいよ。新東京都で俺達を襲撃してきたどっかの国の特殊部隊と戦ってて気づいたらここにいたんだ。掃除屋こそ、なんでここに?」
「関係……ないわ……」
「なんだよそれ。もしかしてまたチリヅカがなにか企んで……」
「知らないわね。私は、チリヅカに雇われただけの女よ」
「そうだったのか!?」
「恋人が……チリヅカで働いてる、それだけの関係ね……」
もう心が疲れているのか愚痴りだす掃除屋に驚く怜二。その様子を見て何を思ったのか、地面に刺したアースクロッサーの上に頬杖をついてその様子を見ていたメルは何を思ったのか頬を膨らませた。
「なになに?恋人ってもしかして青春?なにそれうらやま……あたしなんか、青春味わう暇すらなかったってのにさー。あたしも恋人欲しかったな……あージェラシー」
「シスターの癖に、随分と失礼な事を……!?」
「え……」
勘違いしているメルに訂正しようと視線を向けた掃除屋と怜二が固まる。その視線の先、ぶーたれているシスターらしからぬメルの背後に、先ほど倒したはずのゴミリオンの残骸が浮かび上がっていたのだ。
「危ない!」
「え、いきなりなに……!?」
『メル!?』
「そろそろ……あの社長も呪うべきかしら……」
咄嗟に呼びかける怜二に振り向いたメルに集束する様に重なっていくゴミリオンの残骸。メルの顔を覆い隠し、修道服が見えなくなるぐらい完全に全身を覆い尽くしてしまった外層が変形。両肩の後部に残骸が集って新たに一対の腕を形成し、メルの呻く声が漏れる頭部はギョロリとした目を形成したかと思えば互いにソッポを向いた2人の顔を背面で無理矢理くっ付けた様な怒りと悲しみの二つの表情を浮かべた形状に変形。四つ腕二面の怪人へと変貌したメルは、無理やり体を動かされているような操り人形のような挙動をすると、四つ腕をぶら下げた様なやる気の見られない前傾姿勢で顔を俯かせた。
「あぁ……なんであたしだけ……え、なんで、身体が言う事聞かない…?/妬ましいもの、すべてぶっ壊す…!」
『しっかりしてくださいメル!メル!』
「人間が、ゴミリオンに……!下がりなさい、トラッシュ……!」
「その姿、まるで両面宿儺……いや待て、両面宿儺ってなんだ?俺……」
『ジャンクキューブ……セット……』
「変身……!」
『メキメキ……!バキン……!ジャンクラッシュ・デリート……!』
そのままゆらゆらと幽鬼のような動きで殴りかかってきたメル……両面宿儺ゴミリオンを、オーバーヒートを起こしているデリートナックラーで無理矢理に掃除屋が変身したデリートが、受け止める。しかし受け止めたのは前方の両腕のみ。後方の両腕が動いてデリートの顔面を掴むと持ち上げ、右腕二本で連続パンチ。続けざまに襲い掛かってきた衝撃に、仮面の下で表情を歪ませたデリートは吹き飛ぶこともできず、左腕二本で身体を掴まれて地面に叩きつけられる。
「やめて、やめて…!/恋人のために戦うなんて妬ましい妬ましい……!」
「私の恋人は!素敵な女よ!アイツじゃない!」
そのまま四つ腕ででたらめに殴りつけて来る両面宿儺ゴミリオンの猛攻を耐え、蹴りを叩き込んで押し退けるデリート。そのままデリートナックラーで殴りつけるが、胸部を打ち付けられても怯みもせず、両腕四本でクラップ。合掌するかのようにデリートに叩きつけ、デリートはあまりの衝撃にDジャンクキューブをホルダーからばら撒きながら変身が解除されて、デリートナックラーやデリートバックルと共に転がった。
「ああ、逃げて……/死ね…!」
「くっ……!?」
「させるか!」
『私を使っていいからメルを止めるのです!』
そのまま右の拳二つが掃除屋の頭を潰そうとするも、そこにアースクロッサーを両手で握った怜二が間に割り込み、防御。しかし衝撃までは殺しきれず、掃除屋と2人纏めて吹き飛ばされてしまう。
『メル…!いったいどうすれば……』
「くそっ、掃除屋……!」
「逃げなさい、トラッシュ……変身できない貴方は、邪魔よ……!」
「それは同じだろ……っ!」
地面に這いつくばる怜二と掃除屋。そんな怜二の手に、なにかが触れる。掃除屋から零れ落ちたデリートバックルだった。
「……そうだ、思いだした……」
「何を、言って……」
「俺は、これを使ったことがある……」
「えっ……?」
よろよろと立ち上がるとデリートバックルを腰に装着してベルトにし、デリートナックラーとÐジャンクキューブを拾い上げると、Dジャンクキューブをデリートナックラーに装填、デリートバックルに差し込んだ。
『ジャンクキューブ……セット……』
「……変身」
『メキメキ……!バキン……!ジャンクラッシュ・デリート……!』
そのままスライドするデリートナックラーで叩きつけるように押し込み、その言葉を告げると共にDジャンクキューブがバックル内で粉砕され、取り囲む様に散らばった無数のジャンクパーツが下から上へ纏わりつく事でその姿を仮面ライダーデリートへと変えた。
「……」
「お願い逃げて……!/捻り潰してやらああ!」
なにかを確かめるように、拳をググっと握るデリートに、四つ腕を振り回しながら突撃する両面宿儺ゴミリオン。次の瞬間、大砲の様な爆音が轟いた。デリートナックラーも握ってない拳でデリートが両面宿儺ゴミリオンの腹部を殴りつけた音だった。
「がはっ……/ぐうっ、その強さ妬ましい……」
「その人を、返してもらうぞ」
その拳は腹部に深々とめり込んでおり全身に罅が入り、その手に抱くようにしてメルを引っ張り出すデリート。あまりの離れ業に愕然とする掃除屋。負荷が大きい必殺技を使うことなく、素のパワーで人質を取り返した。其の姿は、まるで。
『ああ、よかった!メルは無事です!』
「がえ”ぜぇえええええっ!!」
中身を失いガワだけとなった両面宿儺ゴミリオンがメルを取り返そうと襲い掛かるが、気を失っているメルを姫抱きにしたデリートは蹴りの一発で大きく蹴り飛ばした。メルをゆっくりとその場に下ろし、マントを翻して駆け抜けるデリート。すぐに追いつき、追撃の拳を顔面に叩き込む。
「体が、覚えている」
「ぐがっ!?」
「あの時の恐怖を」
「ぐべっ!?」
「あの時の痛みを」
「ぐはっ!?」
「あの時の、怒りを」
「ぐふっ!?」
殴り、蹴り、一方的な蹂躙を繰り広げるデリート。そして両面宿儺ゴミリオンの顎を蹴り上げると、上空に打ち上げられた両面宿儺ゴミリオンに追いついて、回し蹴りを叩き込んだ。
「ぐああああああっ!?」
「これで掃除は終わりだ」
そのまま地面に叩きつけられた両面宿儺ゴミリオンは耐え切れず、爆散。それをバックに着地しマントをはためかせたデリートの姿は、まさにヒーローそのものだった。
「とにかく、シスター・メルを安全な場所に連れていくぞ!」
『メルを落としたら承知しませんよ!』
「アイツだけじゃ、ない……私は、もう……コイツも、許せない……!」
変身を解除した怜二はメルを担ぎ上げて車に運び込んでいたため、気付かなかった。掃除屋がショックを受けた様子で呆けていたことに。
「……なるほど、彼が廃棄物症候群の英雄か。報告しないとな」
そして、それを空から見守っていたガス状の人型がいたことに。
遂に判明、廃棄物症候群の際に塵塚怪王を倒した最初の仮面ライダーである“初代”デリートの正体は怜二でした。どうやら記憶を失っていたようで…?掃除屋デリートと違って身体能力に物を言わせた荒々しいスタイルを取ります。怜二は一体何者なのか。
女神様と呼ばれるなにかが宿っているアースクロッサーを操る仮面ライダーアース。モチーフはシスターとチェスのルーク、つまり城塞。あとウィザードのランドスタイル。掃除モチーフはとある理由からなかったりします。
そんなアースことメルを取り込み姿を現した両面宿儺ゴミリオン。分類を分けると「ゴミリオン変異体」となります。仮面ライダーたちのインフレに置いてけぼりだったゴミリオンによる新たな脅威。モチーフは「神の名をもとに討伐された怪異」です。これにもちゃんと理由があったり。
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