仮面ライダートラッシュ   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。前回遂に判明した怜二がデリートだという過去。というわけで、怜二のオリジン。廃棄物症候群のことをついに語ろうと思います。楽しんでいただけたら幸いです。


第零の清掃:人類の汚点、廃棄物症候群(トラッシュシンドローム)

5年と数ヶ月前、旧東京都にて。○○大学に通う若輩19歳の男がいた。くせっけの茶髪でメガネをかけた幼さの残る童顔の青年。その名を、八多喜怜二(はばたき れいじ)。九州に父・母・妹を残して上京してきた大学生であり、専攻は文学部で主に民間伝承という変わり者であった。小さい頃から妖怪などの怪奇譚が好きだった怜二は、高校生の時点でその分野で論文を出して学会に発表し評価された実績も持っている俗にいう天才であった。

 

 

「お待たせしました!六道博士!」

 

 

 そんな彼には日々の日課がある。大学の近くにある小さな会社「チリヅカ清掃」があるボロビルを訪れることである。ばったり出会った彼の才能を見込んでチリヅカ清掃の社長である、短く切り揃えた黒髪でサングラスをかけてひょろっとしている二十代後半の男、六道捨我がバイトではあるが助手として怜二を迎え入れたのである。

 

 

「ああ、待っていたよ。八多喜怜二ぃ!」

 

「そのフルネームで呼ぶのやめませんか六道博士」

 

「君を名前で呼ぶなんて恐れ多いさ!君のおかげで、私の研究は飛躍的に進んだんだ!」

 

 

 普段はごく普通の清掃依頼を引き受け社員を送っているというわかりやすい弱小会社なチリヅカ清掃。しかし、社長である六道はある研究を行っていた。「ゴミの再利用及び資源化」である。そのためにはオカルトすら利用する勢いであり、そのうちの一つ「塵塚怪王」と呼ばれる平安時代に一度現れ、かの安倍晴明により祓われ封印されたという怪異に目を付けたのだが、「付喪神の王」としかろくに記録が残されておらず、手詰まりの状態だったところ出くわし、ぶつかった衝撃で宙を舞った怜二のレポートに塵塚怪王の細かな研究が記されていたため協力を願い出たのだった。

 

 

「ゴミにはきっと強力なエネルギーが眠っているに違いないんだ!それを再現するには塵塚怪王という存在がまさしく理想の見本!だがしかしそのメカニズムもなにもわかってないところに君に出会った……まさに運命の出会いだったよ、八多喜怜二ぃ!」

 

「それで、星霜家の人間とは会えたんですか?」

 

「ああ、現当主とは会えなかったから引退したという先代星霜家当主の星霜菅良殿と話をしてきた。君の推察通り、塵塚怪王は実在していたという言質と記録をもらったよ!ほらこれだ!」

 

 

 そう言って六道が金庫を開けて中から取り出したのは、書類の束。見てみれば、巻物のような古い文書をコピーしたものらしい。

 

 

「これは星霜家に代々伝わる記録だそうで、平安の時代。ゴミが動き出し毎晩のように百鬼夜行を行い、それに呼応するように付喪神が集結し塵塚怪王となった、と記されている。そして国を代表する名家の一つ、星霜家は君の推察通り安倍晴明の末裔!先祖代々国に忠誠を誓い、封印し続けてきた一族らしい」

 

「おお!俺の様な一介の大学生じゃ星霜家みたいな名家に質問することも難しかったのでそのことが聞けて嬉しいです!でもどんな手を?」

 

「社長には色々コネがあるのだよ八多喜怜二ぃ!さて、本題だ。実はこの封印は代々弱っている様で、近々塵塚怪王が復活してしまうらしい。その予兆として付喪神が……つまり、動くゴミが現れるとのことだ。この付喪神が数多く現れると塵塚怪王が顕現してしまうらしい」

 

「それって大事(おおごと)じゃないですか!?」

 

「ああ、既に国が対策を始めているらしい。だがこれは千載一遇の好機でもある!その付喪神を捕らえ、エネルギー源を特定することができれば…!」

 

 

 六道の言葉にハッとする怜二。ただ聞けば絵空事ではあるが、二人にとってそれは「夢」であった。

 

 

「っ!ゴミをエネルギーとして再利用するための方法がわかるということですね!」

 

「ああ、塵塚怪王を逆に利用してしまえば人類への貢献となるのだ八多喜怜二ぃ!そしてさっそく、SNSにそれらしい情報を見つけた!社員も派遣するから、君の知識を用いて捕らえてきてくれないだろうか!」

 

「やります!やらせてください!人類のために!あと本物の付喪神もぜひ見たい!」

 

「そういう素直なところ大好きだぞ八多喜怜二ぃ!」

 

 

 数日後。暴れ回る雑巾の龍の様な付喪神「白容裔(しろうねり)」と呼称されたそれを無事捕縛することに成功した怜二とチリヅカ清掃の社員たち。錠で拘束し鉄板に磔にした白容裔(しろうねり)を研究することで、ついにそれは発見された。

 

 

「聞いてくれ!遂に完成させたぞ!ゴミを再利用し、エネルギーとして活用する正規の大発明“ゴミルギー”が!」

 

「本当ですか!?博士!ついに資源問題を解決できるんですね!」

 

「ああ、このゴミルギーを使えば、お茶の間の家電から軍事利用だって利用できる!」

 

「でも民間伝承を調べているだけの文学部の俺なんかが役立つなんて……」

 

「そうとも、君のおかげだ八多喜怜二ぃ!手始めにゴミルギーを用いた、ゴミを「ジャンクキューブ」に変えて再利用しゴミルギーを活用できるゴミ処理パワードスーツを完成させた!その名も“デリート”である!」

 

 

 そう言って六道が机に置いたのは、無骨なバックルとナックル型の機械、そしてまだ「D」ではないジャンクキューブであった。どうやって作ったのか、どうやってゴミルギーを実用化したのか、それは六道は語らず、六道を全面的に信頼していた怜二が疑うこともしなかった。

 

 

「デリート!シンプルな名前ですね!こんな小さいのがパワードスーツになるんですか!?」

 

「そうとも。このジャンクキューブに内包されたゴミルギーをこのデリートバックルで制御化に置き、パワードスーツ状に構築するという仕組みだ。ジャンクキューブはこのデリートナックルでゴミを加工することで生み出すことが可能だ!だがこれは試作品。荒狂うゴミルギーを用いるため負担が大きすぎる。人が使うにはあまりにも危険だ。まだ調整が必要だから絶対に使わない様に……」

 

「でも最近、ゴミが増えてきているってニュースで見ました。身に覚えのないゴミがいつの間にか道路の真ん中や家の敷地内に転がってるって……それをゴミルギーとして利用するために使えるのでは?」

 

「だとしてもそのためにこれを使う必要はない。いいか八多喜怜二。ゴミルギーの研究が進むまでこれを使うのは禁止だ」

 

「はい……」

 

 

 そう告げる六道に不満げな怜二。そうしている間にも出どころ不明のゴミの出現は増え続け、ついには大量発生したゴミ山で家屋が飲み込まれるという事件まで世界中で発生。世界中の人間が不安にかられる中、遂にそれは起きた。

 

 

《「緊急速報です。世界中で一晩にして大量発生した廃棄物に飲み込まれる怪事件が発生しており、……え?なんですって?東京湾に怪獣が出現?フィクションじゃないのよそんなこと……きゃあああああああああああ!?」》

 

「そんな…!?」

 

 

 テレビ中継の中で天井が引きはがされ、顔を表す醜悪なゴミの集合体の一本角の生えた鬼のような顔。額の鏡が輝いた瞬間、レーザービームが放たれてテレビ画面は砂嵐となる。チャンネルを変えれば、その海辺にあったテレビ局が突如出現した怪獣によりゴミ山にされたと報道されていた。

 

 

「六道博士、まさかあれは!?」

 

「……信じられないがそういうことだろう。あれこそが塵塚怪王だ。近々復活するとは聞いていたが、国が対策しているという話は嘘だったのか…?最近のゴミの大量発生はまさかこれが原因か……?」

 

「悩んでいる場合じゃないですよ六道博士!見てください。東京だけじゃない。ニューヨークでも、北京でも、モスクワでも、ロンドンでも!人々が多く集まる首都で、ゴミの怪人が人々を襲ってるって……これって、付喪神……ですよね?」

 

「万を超えるゴミの怪物……ゴミリオンとでも呼んだ方がいいかもしれないな。だが我々にできることは何もない。見たまえ。あの塵塚怪王さえなんとかすれば世界中のゴミリオンたちは停止するかもしれない。だが……自衛隊がまるで歯が立っていない。この世の終わりだ」

 

 

 テレビ中継では、放たれたミサイルが額の鏡からのレーザービームで薙ぎ払われ、機関砲で立ち向かった戦闘機が巨大な腕で纏めて粉砕され、出動した戦車はゴミの山でロクに進めず、大砲も効果がなくただ踏み潰されてしまう光景が中継されている。そして、それを中継していたヘリもレーザービームに飲み込まれ撃墜される。その映像を見て、怜二は覚悟を決めて金庫の前に立つ。

 

 

「博士。俺が出ます。使わせてください“デリート”を!」

 

「無茶だ!まだ調整ができていない!アレを使うのは自殺行為だぞ八多喜怜二ぃ!」

 

「……嫌なんです」

 

 

 断固拒否する六道に、怜二は震えた声で告げた。

 

 

「嫌なんです、ただ見ていることだけなんて。このままじゃ九州にいる俺の家族も死んでしまうかもしれない。大学の友人たちが今にも死んでいるかもしれない。テレビとはいえ目の前で、死んでいくのを見た。このままじゃ世界中でそうなってしまうかもしれない。待っていれば星霜家の人がなんとかしてくれるかもしれない、だけどそれは何時なんですか!本当になんとかしてくれるんですか!?」

 

「それは……」

 

「アイツはゴミの塊だ!あなたは言いましたよね!?デリートはゴミ処理パワードスーツだと!なら、アレに勝てるのはそれしかない!俺は、何とかできる方法があるのに見ているだけなんてしたくない!俺がどうなろうと……アイツを倒して見せる!」

 

「……覚悟は堅いんだな」

 

「…………はい」

 

「お前はただの大学生だ。見ているだけでも許される。なのに、戦うというんだな」

 

「はい!」

 

 

 その返事に、六道は折れた。怜二の横を通って金庫を開け、デリートの装備一式を取り出して怜二に託した。

 

 

「死んでも知らんぞ!勝ってこい、八多喜怜二ぃ!」

 

「行ってきます、六道博士!」

 

 

 ここまでならただの美談である。だがしかし、走り去っていく怜二を見届けた六道が嗤っていたことは、誰も知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「塵塚怪王ォオオオオオオッ!!!」

 

 

 愛車であるハーレーを駆り、ゴミ山の間を縫うように避けて、崩壊した東京都の中心部までやってきた怜二。名前を呼ばれた塵塚怪王は東京駅の破壊活動を止めて振り返り、咆哮を上げる。

 

 

「グオオォオオオオオァアアアアアア!!!」

 

 

 

 

超抜級禍呪特大怨霊(ちょうばっきゅうかじゅとくだいおんりょう)

 

塵 塚 怪 王

 

 

 

 

 

 足元には大量のゴミリオンが鎮座しており、わらわらと動いて怜二を取り囲んでいく。

 

 

「俺は確かにお前に会いたかった、だけどこんな形は望んでいない。お前が世界を壊すというのなら…………俺がどうなってもいい。お前を倒す!」

 

『ジャンクキューブ……セット……』

 

「ぐっ、ああぁああぁぁあああぁああっ!?」

 

 

 そう告げてジャンクキューブをデリートナックラーに装填する怜二。すると紫電が発生し、想像を絶する激痛が全身に走って絶叫を上げ、膝をつく怜二。しかし深呼吸して息を整えると、額に脂汗を流しながら、勢いよくデリートバックルに差し込み、そのまま叩きつけるように押し込んだ。

 

 

「……変身」

 

『メキメキ……!バキン……!ジャンクラッシュ・デリート……!』

 

 

 そして、ジャンクキューブがバックル内で粉砕され、取り囲む様に散らばった無数のジャンクパーツが下から上へ纏わりつく事でその姿を変える。黒紫色のボディと装甲を明るい紫色のジャンクパーツと金色のビスの様なパーツで止めた、まるでバイクを人型にしたような姿で、赤い複眼を輝かせながら黒いマントをはためかせた姿。のちに仮面ライダーと呼ばれる、デリートであった。

 

 

「ふぅ……ふぅ……!」

 

「ギギャアアアアッ!」

 

「はあ!」

 

 

 デリートナックラーから手を外し、そのままスナップをかけた右拳を襲い掛かってきたゴミリオンに叩きつけるデリート。その一撃のみで、ゴミリオンは胸部をぶち抜かれて爆散。しかし、その反動で右腕の骨に亀裂が入り、その激痛に悶えるデリート。

 

 

「ぐううっ!?ま、まだだ…!来い!」

 

 

 しかし知ったことかと言わんばかりに、次々と襲い掛かってくるゴミリオンを殴り、蹴り、千切っては投げ、乗ってきたハーレーのハンドルを握って振りまわして薙ぎ払い、それが壊れると飛び込んできたゴミリオンの顔面を掴んで地面に叩きつけていく。そのたびに少なくないダメージがデリートに襲い掛かる。有り余るゴミルギーが肉体を破壊し続けているのだ。

 

 

「ぐっ、うううっ……うおぉおおおおおおおおおおっ!!」

 

 

 雄たけびを上げ、両足の骨が折れ筋肉が断裂するのも関わらず、大跳躍。振り下ろされたそのあまりに巨大な塵塚怪王の腕の上に乗って駆け上り、次々と表面に生えてくる腕を千切っては投げ、千切っては投げてただひたすら頭部に目掛けて突き進んでいく。

 

 

「痛い、苦しい、だけど……だからどうしたッ!!!」

 

 

 放り投げた腕が額の鏡に炸裂し、レーザービームを封じる。そして、角の生えた赤色に光輝く巨大な眼の顔がこちらを睨んで咆哮を上げて極太ビームを口から放ち……それに飛び込んだデリートの拳が、極太ビームと激突。

 

 

「これで、終りだあぁああああああああッ!!!」

 

 

 拮抗することなくビームの中を突き進んで行き、その頭部を殴りぬいた。頭部に大穴が開き、崩れ落ちていく塵塚怪王の巨体。それに呼応するように停止し、崩れ落ちてもとのゴミに戻っていくゴミリオンたち。大災害が終わり、残されたのはゴミの山と、完全に崩壊した国家と、数多く亡くなった人々。残された人々は崩壊した国の中で必死に生き延びて、そしてこの日のことをこう呼んだ。

 

 

 

 

 

 

 

廃棄物症候群(トラッシュシンドローム)、と。

 

 

 

 

 そしてそれを鎮静化させた英雄のことを、数少ないその戦いを目撃していた人々を皮切りにこう呼ばれた。仮面の騎士。仮面ライダーだと。




※塵塚怪王が復活したのは、そもそも菅良が封印するのをやめたせいであり、もちろん国に報告なんてしてるわけじゃないので嘘八百だったという話。まあ倒されて憤慨して怜二のことを散々恨むわけですが。それとは別に六道もなんかやらかしているっていう。

まさかの六道と博士・助手の関係だった怜二。自分の身を削るタイプの仮面ライダーだった初期型デリート。でも現在は少なくとも五体満足で元気です。どうして記憶を失ったのか、どうしてトラッシュに変身できるのかはまだ語らないでおきます。

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