仮面ライダートラッシュ   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。これだけお膳立てしててもまだ登場キャラの半分しかいってない北海道編。ライダーもまだまだいるよ。

というわけで今回は怜二がいたヘリの襲撃犯の正体、そしてやべー奴の登場となります。楽しんでいただけたら幸いです。


第四十五の清掃:混沌に煙るガオス、不協和音グラセンド

「…くっ、なんだったのあれは……」

 

「不明」

 

 

 不時着し炎上するヘリの傍で、9名の人間が銃器の整備をしていた。調整を終えた三人のクローン兵と合流しフルメンバーとなったホーロドニー・スメルチは、ベノム抹殺とエコーの捕縛は叶わなかったため、捕縛したトラッシュ=怜二を連れて最重要ターゲットであるグレイス=氷室の抹殺をするべく北海道を訪れた。しかし、北海道に入った瞬間、謎の紫色の煙がヘリに纏わりついてきたかと思えばヘリのエンジンが爆発を起こし、無理矢理に不時着して事なきを得たのだ。しかし爆発のどさくさに紛れて怜二には逃げられてしまった。

 

 

「装備確認。雪鬼ファーム、目指す」

 

「「「「「「「「了解」」」」」」」」

 

 

 リーダー格であるエリィが命令を下していると、部下の一人が何かに気付いた様子でコールドガンをエリィ…の背後に構えた。

 

 

「リーダー!後ろ!」

 

「変身」

 

『寒い!サブ過ぎ!絶対ゼロ度!サブ・ゼーロォ!!』

 

 

 瞬時に変身を行い、サブゼロドライバーの銃撃を背後に叩き込むサブゼロ。しかし、それはまるで霞でも撃ったかの様にすり抜けてしまった。

 

 

「おっと、危ない危ない……」

 

「原因。お前?」

 

 

 安全圏に移動して人型に集束していくのは、先刻ヘリを襲った紫色の煙で。人型を形作ったそれは黄色い複眼を輝かせ、頭部や胸部や手足の一部が紫色に輝く靄になっている黄色いボディの仮面ライダーとなり、コキコキと首を動かした。

 

 

「撃墜したのに全員生きてるなんて本当に人間か?まあいい、なにが目的だ?」

 

「まず、あなたは誰…?」

 

「俺か?俺は……仮面ライダーガオス。若頭、氷室蒼牙の猟犬だ。これで満足か?」

 

 

 副隊長であるマリィの問いかけに気だるげにそう返すガオス。サブゼロは油断なく構えるが、ガオスは構わずサブゼロドライバーをすり抜けて目の前に迫って零距離から拳を叩き込んだ。

 

 

「ぐっ…!?」

 

「エリィ!?リーダーを守って!」

 

「無駄だよ。俺は何者にも捉えられない」

 

 

 コールドルーパーに変身し、一斉に射撃し弾幕を叩き込むホーロドニー・スメルチの面々。ならばと、まるで獣の様な動きで飛び込む三人のコールドルーパーがいた。対グレイス用に“調整”されていたクローン組である。肉体が最強クラスである氷室に対抗するべく身体能力を極限まで上げられており、圧倒的なスピードと怪力を有する。だがしかし、今回ばかりは相手が悪かった。

 

 

「だから無駄だって」

 

「「「!?」」」

 

 

 大地を砕く程の拳。余波だけで雲を割る蹴り。常人では反動に耐えられない最大出力のレーザー。それらすべてはガオスの体を虚しくすり抜けてしまう。さらに、直立不動のままふわりと浮いて目の前に迫るガオス。コールドルーパーは胸部に拳を叩き込むもすり抜け、顔面を掴まれて地面に叩きつけられてしまう。

 

 

「よくも…!」

 

「シャルウィーダンス?」

 

 

 倒れたコールドルーパーの手を取り、コールドガンを撃ちまくりながらまるで舞踏会でエスコートでもする様に舞い踊るガオス。クローン兵のコールドルーパーが攻撃を仕掛けるも、ガオスをすり抜けてエスコートされてるコールドルーパーに炸裂し、さらにコールドルーパーを盾にされて躊躇したところを、その身体を突き抜けて放たれたラリアットで首を圧迫され横に回転して気絶。遠く離れて頭部を狙って狙撃しようとするもう一人のクローン兵を、手を放した右腕を突き出したかと思えば二の腕が煙となって伸びてきて、ロケットパンチの様に顔面を殴られ転倒する。

 

 

「こいつ、本当に人間…!?」

 

「俺の台詞なんだよなそれは」

 

 

 クルクルクル!と回され重なっているガオスの体をすり抜けて放たれるコールドガンの直撃を受けて次々と倒れ伏していくホーロドニー・スメルチの面々。残ったのはマリィと呼ばれた副リーダーのコールドルーパーと、エリィと呼ばれたリーダーであるサブゼロである。

 

 

「諦めて気絶してくれないかな?」

 

「拒否」

 

「私達にもプライドはあるんだよ、猟犬…!」

 

 

 するとサブゼロが異変に気付く。ガオスの両足を形作っていた煙が崩れて、周囲に広がっていた。

 

 

「注意!」

 

「狩りの定石を知っているか?獲物に気付かせないことだ」

 

『ガオスファクトリー!スモレッグコンビナート!』

 

「不覚……」

 

 

 そして腰の靄が薄れて見えた腰の工場を思わせるバックルのバルブを舵輪の面舵の如く回して右のレバーを下げると、周囲を取り囲んだ煙が複数の獣の脚を思わせる右足を形成。揃って一斉に伸びて蹴り込み、複数の蹴りで押しつぶされたコールドルーパーとサブゼロはなすすべもなく、崩れ落ちた。

 

 

「若頭の命令は絶対だ」

 

 

 全員倒れているのを見届けたガオスは携帯端末を取り出してどこかに連絡を入れる。

 

 

「ああ、うん。鎮圧した。回収を頼む。……で?お前はなにがしたいんだ?」

 

「……」

 

 

 ガオスが振り返ると、そこにはなにもいなかった。いや、いる。ガスの流れを妨げ煙を反射する人型のなにかがそこに立っている。それは透明な鋭い鉤爪の様な両腕を振り上げると、ジャキンジャキンと刃を擦らせて火花を散らす。

 

 

「仮面ライダーグラセンドォ……ハァ……雪鬼組のガオス、だよなあ?そん首置いてけ……そのくびぃ、置いてけぇええ!!」

 

 

 耳障りな不協和音の様な叫び声をあげ、姿を現してガオスに斬りかかったのは、全身罅割れた半透明のアーマーをステンドグラスの様に貼り付け、目が複数ある様に見える異形の姿をしたグラセンドと名乗った仮面ライダー。両手の甲から生えた三本ずつの透明な歪な刃の様な爪を振りかざし、グラセンドは襲い掛かるもガオスは意に介さず、スカッと靄でも斬るかのように少し揺らいだだけですり抜けてしまう。

 

 

「生憎と、こいつらの捕縛以外は、命令にない!」

 

 

 そのまま回し蹴りを叩き込み、迎撃に振るった爪をすり抜けて胸部だけ蹴りつけるというテクニカルな攻撃を行うガオス。グラセンドは勢いよく蹴り飛ばされ、バキバキバキ!と派手な音を響かせて転がっていく。

 

 

「防御主体の俺と違って、防御力はないようだな。紙装甲だ」

 

「防御なんていらねえ………そん首、叩き切ればそれまでだあ!」

 

 

 蹴り飛ばされた胸部装甲がバキバキに割れながら、爪を地面に刺してブレーキするグラセンド。クラウチングスタートの様な体勢をとったかと思えばドタバタと足をバタつかせながら走り出し、爪で地面を引き裂きながら凄まじいスピードで突進。爪は意外と脆いのか呆気なく割れていきながら地面との摩擦で燃え上がり、炎の爪を振りかざして突進してきたグラセンドの斬撃がガオスの胸部を切り裂いた。

 

 

「があっ…!?」

 

「その身体、ガスだろ。よく燃えるなア!なあ!そうだよなあ!そん首ばッ、置いてけぇえぇええっ!!」

 

 

 斬り裂かれた傷口が燃え上がりながら苦しみ、地面を蹴り空に浮いて離脱しようとするガオス。靄が薄れて見えた腰の工場を思わせるバックルのバルブを回してバックルの煙突部分から煙を放出し、それを集束させた弾を両掌から発射する。

 

 

『ガオスファクトリー!スモッグランチャー!』

 

「煙に巻かれてたまるかよ!」

 

 

 しかし炎の爪を構えたグラセンドにすべて斬り伏せられ、グラセンドは腰の十字で区切られた窓がついた長方形のバックルであるグラセンドライバーの窓を三回スライド、炎を纏ったまま爪を再度生やし、ギラギラ輝くそれを振り下ろして刃同士を打ち付けた。

 

 

『メイクアンドクラッシュ!スパーキング・ショット!』

 

「ぐっ……ううあああぁああああっ!?」

 

 

 当然爪は砕け散り、炎を纏った刃の散弾が身体を広げて逃げようとしていたガオスの全身を貫き、爆散。もくもくと爆煙が広がる空を見上げ、グラセンドはホーロドニー・スメルチの面々に視線を向けると爪を振り上げたが、遠くから聞こえてきたエンジン音を聞いてバックルの窓を一回スライドさせると透明になった。

 

 

『メイクアンドクラッシュ!グラスケルトン!』

 

「……どこにいるんだ?」

 

 

 そして何かを探すように視線を彷徨わせると、やってきた車の喧噪に紛れてその場を立ち去るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よかった、鍵は刺さりっぱなしだ」

 

『拙が案内するので教会まで!』

 

「わかった。このシスター連れて近くにあるっていう町まで行こう。掃除屋はバイクで追いかけて……どうした?掃除屋」

 

 

 アースクロッサーの言葉のままにメルの乗ってきた車が動くのを確認した怜二の問いかけに、怜二から返却されたデリートナックラーをまじまじと見ていた掃除屋は我に返る。

 

 

「もう、私に掃除屋を名乗る資格は無いわ。清愛美華(きよめ ミカ)、これが私の名前……でも、ついて行きたくないのだけれど?」

 

「そんな名前だったのか。いや、行く当てあるのか?俺はないぞ」

 

「帰ろうと思えば帰れるわよ……今は、行く当てが無いだけで」

 

「じゃあ決まりだな。行こう。ミカ」

 

「……いきなり呼び捨て?失礼にも程があるわ」

 

 

 今までと変わりない対応の怜二に、ミカは何か言おうとしてやめ、愛車に跨って怜二の運転する車を追いかけるのだった。今までの出来事を振り返りながら、北海道の大地を走る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今から二年ほど前。清愛美華は、荒廃した大阪で行われていた違法賭博の裏格闘技大会で、常に出禁レベルで勝ち続けていたチャンピオンであり、既に金には困らない程の大金を稼いでいた。そんな彼女が掃除屋になったのは、ある出会いからだ。

 

 

「貴女が無敗のチャンピオン、清愛美華ですね。私は巻野凛。チリヅカ・コーポレーションの社長秘書をしています。今日は貴女を我が社にスカウトに来ました」

 

「ふーん、私好みの顔ね。貴女が私と付き合うなら、その話を受けるわよ」

 

「はい!?」

 

 

 弱い男を死ぬほど見てきて男への興味を失っていたミカにとって、その女性との出会いはまさに運命、俗にいう一目惚れであった。会社には内緒で付き合うこととなり、六道捨我と出会い、「あの英雄……仮面ライダーを引き継いでほしい」と言われた。凛の存在関係なく、偉大な先駆者の後継者になることは、廃れていた彼女の自尊心を大きく刺激した。

 

 

 そうして清愛美華は仮面ライダーデリートに、掃除屋になった。仮面ライダーであることにプライドを持っていたし、一番強い自分だけが世界を守れると本気で思っていた。しかしそのうちチリヅカの実態を知り、その目的が廃棄物症候群を起こしたバケモノを復活させることだと知って辞めようかと思った。しかし凛がいるから辞めることもできず、仮面ライダーとしてのプライドだけで、せめて自分だけは正しいことを、と戦い続けてきた。

 

 

 

 そして見た。見てしまったのだ。本当の英雄の輝きを。

 

 

 

 

 

 

 

「…………あの男が、私以上のデリートになれるなら。私に必要なのは、掃除屋以上の……もっと大きな力。欲しい、とても欲しいわ……」

 

 

 バイクを駆りながら前を走る運転手の輝きに魅せられ、その瞳は貪欲に輝いていた。




雪鬼組のガスガス猟犬、ガオスと正体不明のガラスヤロー、グラセンドの初陣でした。ホーロドニー・スメルチは完全に噛ませ犬になってますが活躍はそのうち。

ガオスは混沌の神カオスとガスから。グラセンドはグラス&エンド(終わり)から。それぞれ排気ガスと割れたガラス、つまりゴミモチーフのライダーとなってます。ちなみにガオスかグラセンド、片方の変身者は既に本編に出てます。もう一人の変身者は次回の新キャララッシュにて。

怜二が無事だったのは何でなのかとかグラセンドが捜しているのは何なのかとか疑問は増える一方です。そして不穏な掃除屋こと清愛美華。

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