今回は新キャラッシュ。楽しんでいただけたら幸いです。
「はあ、はあ、はあ……」
新東京都。酸性雨の降りしきる中を、傘もささずに走る人物がいた。何故かズタボロの姿のその人物は、新東京都では知らぬ者はいない有名人だった。新東京都のトップアイドルにしてチリヅカ・コーポレーションの広報部及び諜報部のトップ、そして幹部で仮面ライダーミラースであるミラであった。先日、トラッシュ達を捕らえる任務に失敗し、氷室を相手に返り討ちにされた彼女だった。そんなミラが全身に切り傷を作り、泥だらけの血まみれで、鏡の破片の様なものがいくつも突き出ているような状態の右腕を庇いながら、息を切らして街の中を走っていた。まるで、なにかから逃げているかのように。そのなにかは、姿を見せず。しかし、窓ガラスにその姿を映しながらミラに迫る。
「やだ、やだ……!」
「やだではありませんわ。貴女はもう用済みなのだと理解してくださいませ」
バキャン!と次々と音を上げながら、ミラの背後の建物の窓ガラスが砕け散りながらミラに迫っていく。目に大粒の涙を浮かべながら絶望した顔を浮かべるミラの脳裏に浮かんだのは。
「たすけ、はーくん……!?」
血飛沫が、建物に飛び散った。
謎の仮面ライダーなシスター・メルの言っていた近くの町までやってきた怜二たち。雪が降り積もるそこは人が見えず、ゴーストタウンにしか見えない。とりあえず町はずれに車を止め、メルを揺り起こす怜二。
「おい、ついたぞ。起きろ」
「ううっ……あたし、いったい何が……ひゃあ!?」
「あ、驚かせてしまったか。悪い」
揺り起こされて目覚めるなり、小さな車で助手席にいるため運転席、つまりすぐ傍にいる怜二に驚いて肩を跳ねさせるメル。先ほどまでの殺伐さはどこへやら、おどおどとするメルに首を傾げる怜二。
「あ。えっと、本当、助けたつもりが助けられるなんて……迷惑をかけました……私も何が何だか……」
「畏まらなくていいぞ。こっちが客なんだから。それより、ゴミリオンに乗っ取られていたわけだけど大丈夫か?」
「だ、大丈夫……です」
『まず第一にメルを心配するのは拙ポイント高いですよ!』
「うっさい女神様」
後部座席に乗せられたアースクロッサーから“女神様”の声が響き、メルは一蹴する。そのやり取りを見て、怜二が思い出すのは同居人とその相棒だった。
「……なあ女神様。アンタがスイセンの言ってたお仲間か?」
『おや。スイセンの知り合いですか?はい、拙はセキカ。北海道を守護する土の女神をやっています』
「……塵塚怪王が復活した際に、スイセンと協力して彼女の相棒を取り返したんだ」
『もしかして仮面ライダートラッシュです?』
「え、有名人じゃん。あ、そこ曲がって?」
驚くセキカとメルに首を傾げながら言われた通りに車を運転する怜二。すると、古ぼけた教会が見えてきた。
「なんかしまんないけど、いらっしゃいませ。ここがあたしがシスターやってる教会だよ」
「あ、シスターおかえり!」
「シスターだ!」
「ぼくたち、良い子にしてたよ!」
するとアースクロッサーを手にしたメルが車から降りた途端、教会の扉からぞろぞろと幼稚園に行ってそうな小さい子供から中学生ほどの少年少女まで、40を超える数の子供たちが出てきてメルを取り囲む。これには車から降りた怜二と、その後ろにバイクを停めたミカもびっくりである。
「……驚いたわ。こんなに子供たちが、生きてるなんてね」
「どういう意味だ?」
「北海道の働ける大人は皆、氷室蒼牙の下で働かされているわ。つまり……」
「ええ、その通りです。ここの子供たちは全員、五年前置いて行かれた子供達。一番若い子達は赤ん坊のまま置いて行かれました」
すると口調を変えたメルがミカの言葉に頷いて振り返った。その瞳には、確かな怒りが垣間見える。子供たちの前では優しいシスターを演じていると理解した怜二は問いかけた。
「もしかして、シスター・メル一人でこの子達を…?」
「食料は雪鬼組から支給されるので、あた……私は身の回りの世話だけですけどね。最近は、もう一人いますけど」
「もう一人……?」
「あ、お帰りになられたのですね。シスター・メル」
すると髪を引っ張る五歳児を抱えながら扉から出てきたのは、染めているのか桃色の髪を首まで伸ばした160㎝にも満たない小柄な少女だった。ゴシック風の衣装からは上品さがにじみ出ている。少女は怜二とミカに視線を向けると何かに驚いた顔を浮かべたが、すぐに笑顔を浮かべて一礼した。
「私は
「俺は八多喜怜二。新東京都の清掃員派遣会社「RKS」に所属している清掃員だ。こっちは……」
「清愛美華……清掃員よ」
「…清掃員二人がこんなところまでなにしに?」
「いや、気付いたらここにいたというか……あ、そうだ。みんな、空飛ぶ掃除機を見なかったか?」
「「「「「そらとぶそーじき?」」」」」
怜二の問いかけに首を傾げる子供達。横ではミカも呆れている。メルとマヤもよくわからないのか首を傾げていたが、中学生ぐらいの子供の一人がおずおずと手を上げた。黒髪にメガネの大人しそうな子だ。
「あ、あの……掃除機、かどうかはわからないんですけど……お空を飛んでいるちっちゃなUFOみたいなのは見ました」
「本当か!?どこで見た!?」
「え、えっと……南の方の空に……」
「助かったよ。お嬢ちゃん、お名前は?」
「あっ……キョウコ、です」
「ありがとう、キョウコちゃん。俺早速行ってくるよ。そうじy……ミカ、バイク借りてもいいか?」
「お断りよ、あれは私の愛車なの」
「あ、それなら……マヤさん、ミカさん。子供たちをお願いします。私の車で行きましょう!」
さっそく向かおうとするもミカに断られて意気消沈する怜二を見かねたのかメルが名乗り出る。それに頷いた怜二が物欲しげな視線をミカに向けると、ミカは溜め息を吐きながら首を横に振った。
「残念だけれど、貴方がデリート・ゼロでも、貸さないわ」
「!」
「デリート・ゼロ?」
「今、私が使ってるのは安全面を改修した物よ。それ以前のプロトタイプは、デリート・ゼロって呼んでるの。そこのシスターに、守って貰いなさい……何か、気になるかしら?落地さん」
「いえ、まるで熟年夫婦みたいなツーカーだなって!あ、もちろんおに……ぎりが好きそうな怜二さんが選んだ相手なら何も問題ありませんよ!」
「えっ。いや確かにおにぎり好きだけど」
「ふざけないで頂戴。私にはちゃんと、彼女がいるのよ」
その会話に反応したマヤに問いかけるミカだったが、ニコニコ笑顔で返されて呆れるしかない。メルといいそんなにカップルにでも見えるのかと文句を垂れたいが、さすがに子供たちの前でそうするわけにもいかなかった。
メルの運転で怜二とアースクロッサーを乗せ、南へ向かうポンコツ車。プスンボスンと変な音を上げながらいきなり止まったり、かと思えば急に発進したりとやんちゃな車だ。
「へえ、怜二の相棒は空飛ぶ掃除機なんだ。いきなり何言いだすかと思ったよ」
「シスター・メルだって喋る十字架なんてだいぶファンキーだぞ」
『拙のどこがファンキーなんですか!』
「そういうとこだよ女神様。…子供たちがいないなら呼び捨てでいいよ。あたしの方が年下っしょ」
「……それが気になってたんだ。きみ、まだ
「よく分かったね。まあ、若すぎるか。……あたししか、いなかったんだよね」
そして、メルは語る。五年前、ちょうど高校生になるところだった土田芽瑠だったが、
慣れないシスターのフリで手いっぱいだったころ、ようやく別の大人が教会を訪れた。しかし、それはメルの待ち望んでいた「お迎え」ではなく。北海道で生き残った大人はすべて雪鬼組に保護され、そこで働くことになったという「勧告」だった。子供たちを迎えに来れる者など、誰もいなかった。
「……それって、まさか奴隷…?」
「いんや。子供たちはそう思ってるけど、実際はそんなことはないんだよね。廃棄物症候群で私達はすべてを失った。元の住処も、友人家族、そして生きるために必要な食料や、お金を稼ぐための仕事も、未来を生きていく希望も。雪鬼組は、その若頭の氷室蒼牙は、自分も組の親父さんを失ったばかりだってのに雪鬼組をまとめ上げて、行き場を失った大人たちに職と生きる理由を与えたんだ」
「……それは、すごいな」
「うん、すごいんだよ氷室さんは。……「勧告」してきたのも、大人たち以外で唯一生き残っていた私達に、食料や物資を供給してくれるためだったんだ。お陰で今日まで、みんな生き延びてる。文句なんて言えるわけないよね。そんなことも知らない子供たちはみんな氷室を悪者だ、って目の敵にしてるけどね」
「……今回来たのは偶然だったけど、俺は近いうちに北海道来るつもりだったんだ。氷室が宣言した、「新東京都への食料の供給を断つ」それを撤回させたくて。悪い奴だと思っていたけど……あの時感じた通り、悪人じゃなかったんだな」
「あたしらの英雄だよ、氷室さんは。直談判したいなら手伝うよ。あたしは氷室さんに会えるから……あ、噂をすればだ。ほら、あそこにいるのが雪鬼組のオガミさん。若頭の補佐をやってる人でいつも周りのゴミリオンを掃討……って、何事!?」
おそらく廃棄物症候群の際に破壊されたであろう廃墟にて。黒煙が立ち上り、一人の人物が建物の残骸に寄り掛かっているのが見えて、メルと怜二は慌てて車から降りて駆け寄る。日本人には珍しい紅い髪で、犬の耳の様な形に跳ねているロングヘアーで鋭い目つきの女性だった。身に着けた洒落た赤いスーツがところどころ焦げてボロボロだった。
「どうしたんですかオガミさん!?」
「大丈夫か!?」
「……ああ、シスター・メルか。俺のことは心配するな、それよりも気を付けろ……ここには、」
「なんだぁ?雪鬼組の
すると、瓦礫の山を切り崩して、異形が現れる。巨大な複眼の様なヘッドライトが側頭部についていて、両腕にはチェーンソーをカマキリの鎌の如く構えた猫背の人型。マンティスゴミリオンだった。
「……貴方がこの人を傷つけたんですか?」
「弱っている獲物を追い詰めて何が悪い?弱ってなくても甚振るけどなあ、この土地で獲物は貴重なんだ。ましてやこいつは喰えない……虐めるしかないだろうさ」
「……絶対許さないかんな」
『アースクロッサー!!』
アースクロッサーを手に問いかけるメルに、マンティスゴミリオンは下卑た笑みを浮かべながら返す。メルは粘土製のジャンクキューブ「アース」をアースクロッサーの長い部分の蓋をスライドして開けると装填。蓋を閉めると右手で持ち手を握って自分の前にドスン!と地面に先端を打ち付け、マンティスゴミリオンの振るったチェーンソーを受け止めた。
「なんだと!?」
「あたしは守りの聖女なんだよ!怜二は下がってて!」
『ジャンクキューブ・クロス!』
「変身!」
先端からエネルギーが発射されたらしくその反動で光り輝いて打ち上がってマンティスゴミリオンを弾き飛ばし、振り回したアースクロッサーから放たれた四角い弾丸がばらけて装甲となり、城壁を組み立てられるように重装甲が装着されていく。
『Ah~!Ah~!
「お前……仮面ライダーかあ!グレイスといいガオスといいいつもいつも邪魔しやがって!」
「仮面ライダーアース。祈りな!天罰を執行すんよ!」
「なめんなあ!」
横に構えたアースクロッサーから散弾を放つアースと、それを斬り弾きながら突進するマンティスゴミリオン。それをよそに、怜二はオガミの手を取り肩を貸して移動しようとする。
「掴まってくれ!……重いっ!?い、いや失礼!重くない!」
「……正直に言ってくれていいよ。俺はゴミリオンだ。重くて当然さ」
「……なんだって?いや、だけど人間……」
いきなりとんでもないことを言いだしたオガミに信じられないと目を見開く怜二。すると、怜二を突き飛ばしたオガミの姿が、まるでバグっているかの如くぶれると、紅い狼の様な姿のゴミで形成された怪人へと姿が変わる。思わず構える怜二。そんな様子に苦笑する怪人。
「俺はオガミ。ウルフゴミリオンで雪鬼組若頭補佐のオガミだ」
カマキリとかいう人間サイズになったらヤバい昆虫ベスト3に入るバケモン。
意味深な冒頭。生身の氷室に負けた後ミラに何があったのか。
結構過酷な人生を送っているシスター、メル。高校生になる前にこんなことになったので青春を送ってもないので、両面宿儺ゴミリオンに変貌するぐらい渇望してたっていうのがからくりでした。
そして登場。謎の放浪者、落地真夜と、雪鬼組の若頭補佐オガミ。オガミの方はまさかまさかのウルフゴミリオンっていう。その真意やいかに。
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